蒼焔の機影 〜ハワイ攻略作戦編〜   作:蒼海 輪斗

2 / 10
大日本帝国の反撃は止まらない。


第二話 復活!!台南航空隊

1945年 7月1日 台南(現 台湾)上空

 

 四機の米軍機が上空を飛行している。双胴の特徴的な機体をもつP-38ライトニングだ。

 

米エース1   「全機に告ぐ。敵影はないか十分に目を凝らせ。」

 

米エース2   「三番機、四番機、敵影はないか?」

 

三番機     「今のところ何も見つかりません。」

 

四番機     「こっちもです。敵軍機はいないようですね。」

 

 三番機と四番機の搭乗員はそう答えた。しかし、エースパイロットの二人”エドワード”と”スミス”は油断していなかった。

 

エドワード   「そうだろうか…。敵はいないと思うか、スミス?」

 

スミス     「いやエドワード、敵はいるぞ。一時方向だ。」

 

 一時方向には機影がみえる。日本陸軍の一式戦闘機隼だ。

 

エドワード   「あの形状はOscarだな。」

 

スミス     「よし、追跡するぞ!」

 

 四機のライトニングは隼に向けて飛行した。

 

 

 

 

隼搭乗員    「一人での移動は心もとないな。仲間がいれば安心するんだが…」

 

 隼の搭乗員、伊藤龍生が狭い操縦席でそう呟いていた。

 

その時

 

 

 

 

ガガガガガガガ!!

 

伊藤      「!?なっ、敵機が後方に!いつの間にっ!」

 

 ライトニング四機が後方から接近し、攻撃を行ってきた。伊藤は瞬時に操縦桿を引いた。隼が左旋回して回避行動に移る。

 

エドワード   「私が敵を追う。三番機と四番機は援護を。」

 

三番機・四番機 「了解!」

 

 

伊藤      「どうする…。逃げ回っていてもじきに落とされる…」

 

 するとその時、上空から新たな機影が現れた。

 

スミス     「?エドワード。上空から新たな機影が接近している。気をつけろ。」

 

エドワード   「機影?…あれは…」

 

 そこまで言い、エドワードは言葉を失った。

 

三番機     「てっ、敵機です!!」

 

 上空から現れたのは、蒼い零戦…零戦七八型だったのだ。

 

スミス     「エドワード!!すぐにOscarから離れろ!上空からBullZekeが接近している!!」

 

エドワード   「なんだとっ!!?」

 

岩本徹三    「みつけたぞ!隼に手は出させないぞ!」

 

 みるみる零戦七八型はエドワードのライトニングの後方についた。

 

エドワード   「だめだっ!!こいつ離れるどころか近づいて来やがる!」

 

岩本徹三    「射線に捉えたぞ。観念しやがれペロ八野朗!」

 

カチィ…

 

 岩本が機銃のレバーをゆっくりと引いた。

 

エドワード   「くっ、スミス。私が迂闊だったのかもしれないな…」

 

ドガガガガガガ!!

 

スミス     「エドワーードーーーーーー!!!」

 

 右翼を撃ち抜かれたライトニングはエドワードとともに、火を吹いて森林へと落ちていった。

 

伊藤      「あれが噂に聞いていた零戦七八型か…。なんという性能だ。」

 

 そのとおりだ。乗っている搭乗員の腕もあるだろうが、まさに神業だった。水が流れるように敵機を撃墜していた。

 

三番機     「くっ…BullZekeがついてくる!!誰か助けてくれ!!」

 

スミス     「三番機!四番機!君たちは現空域から離脱しろ!後は私がどうにかする。」

 

四番機     「分かりました!離脱します!」

 

 三番機と四番機が離脱していった。

 

岩本徹三    「一式戦に告ぐ。直ちに現空域から離脱しろ。あとは俺がどうにかする。」

 

伊藤      「は、はい!」

 

 岩本の指示により、伊藤はすぐさま離脱を開始した。

 

スミス     「クソッ!よくもエドワードをっ!!」

 

ガガガガガガガ!!  ガガガガガガガ!!

 

 ライトニングは零戦七八型へ攻撃を集中させる。しかし、岩本は優れた旋回性能を活かしながら弾丸を回避していく。

 

岩本徹三    「なかなかやるやつだな。だがこの零戦の機動力についてこられるか?」

 

 突然、岩本は機体を急上昇させた。

 

スミス     「逃がすか!!」

 

スミスは七八型を追った。しかし、ライトニングは双胴の機体の為機動性能は極端に低い。

 

スミス     「グッ、曲がれ!ライトニング!曲がるんだっ!!」

 

 重くなる操縦桿を無理に引いた。

 

 

 

その時、操縦桿がフッと軽くなった。

 

スミス     「あ、れ…。なんだ、これ…」

 

 体が浮いている感覚がする。そしてスミスはすべてを悟った。

 

スミス     「まさか、スピン!?」

 

 そうだ。無理に舵を取ろうとした結果、空気抵抗を多く受け機体のバランスが崩れたのだ。こうなったらもう何もできない。

 

 回りながらゆっくりと落ちていく機内でスミスは思った。

 

スミス     「これじゃあ、家に帰れないな…」

 

 機体が地面に叩きつけられ、爆発が起きた。

 

岩本徹三    「…………お前の腕、なかなかだったぞ。」

 

 岩本はそう呟いた。そして一式戦に無線連絡をする。

 

岩本徹三    「こちら七八型。貴機に被害はないか?」

 

伊藤      「はい!救援感謝します!」

 

岩本徹三    「この先に飛行場がある。そこに着陸するぞ。」

 

伊藤      「了解しました。」

 

 零戦七八型と隼が編隊を組んで飛行する。以前はなかなか見れない光景であった。

 

 

 

台南基地(現 台南空港)

 

赤松貞明    「ここが台南基地かぁ。」

 

西澤広義    「懐かしいですね…」

 

坂井三郎    「そうだな。あの頃はまだ太田がいたからな…」

 

 太田敏夫は1942年10月21日のガダルカナル侵攻戦で戦死している。

 

赤松貞明    「あの空に散っていったあいつらの為にも、俺たちが頑張らないとな…。」

 

坂井三郎    「赤松がそんな事言うなんて、珍しいな。」

 

赤松貞明    「気にするな。」

 

 すると、整備兵たちが全力で滑走路へと向かっていった。

 

整備兵1    「二機戻ってきたぞ〜!」

 

整備兵2    「急げ〜!!」

 

赤松貞明    「おっ、岩本が帰ってきたか…」

 

西澤広義    「もう一機はなんでしょうか?」

 

坂井三郎    「あれは隼じゃないか。」

 

 坂井たちはなぜ陸軍の戦闘機が台湾にいるのか不思議がっているようだ。すると、小走りに岩本と伊藤が近づいてきた。

 

岩本徹三    「おう、今帰ったぞ。」

 

赤松貞明    「おい、岩本。お前、今日は何機喰った?」

 

岩本徹三    「ペロ八野朗を二機喰ってやったよ。まあ、奴らのうち一機はなかなかの腕前だったけどな。」

 

坂井三郎    「それで、撃墜したのか?」

 

岩本徹三    「当たり前だろ。まあ、スピンさせたから落としたとは言えないかもしれないけどな…」

 

西澤広義    「それで、彼は一体…」

 

伊藤龍生    「あっ、はい!陸軍准尉の伊藤龍生であります!」

 

赤松貞明    「おう、俺は赤松貞明だ。よろしくな。」

 

坂井三郎    「坂井三郎だ。」

 

西澤広義    「私は西澤広義です。よろしくおねがいします。」

 

伊藤龍生    「はい!こちらこそよろしくおねがいします!」

 

岩本徹三    「そういえば伊藤。お前はなぜこの飛行場にいる?」

 

 岩本も陸軍の搭乗員が海軍の基地にいるのか疑問のようだ。その疑問に伊藤がすぐに答えた。

 

伊藤龍生    「はい!実は本日付でこの台南海軍航空隊に所属になりました!」

 

四人      「!?」

 

 四人は顔を見合わせて驚いた。なぜ陸軍が海軍の航空隊に?

 

伊藤龍生   「実はですね…」

 

 伊藤はここまでの経緯を話すのであった。

 

 

 

 

次回   比島奪還作戦




今回の蒼焔の機影は、オリキャラ伊藤が主役になります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。