蒼焔の機影 〜ハワイ攻略作戦編〜   作:蒼海 輪斗

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グアム島の攻略が開始。そして秘密裏にある兵器の開発が進められていた…。


第六話 F研究防衛戦

グアム島上空

 

 

ドガガガガガガ!! ドガガガガガガ!!

 

 機銃音が鳴り響く。海軍第一航空団の零戦七八型と米海軍の新鋭戦闘機であるF8Fベアキャットが空戦を繰り広げている。

 

 史実では「最良のレシプロ戦闘機」との呼び名が高いベアキャットだが、堀越二郎ら零戦設計家や三菱重工業のさらなる血の滲むような努力によって生み出された零戦七八型にはあと一歩及ばなかった。

 

米軍乗員    「くっ、なんなんだ!?この新鋭機のベアキャットでも歯が立たない!」

 

ドガガガガガガ!! ガガガガガガ!!

 

 早速一機の零戦七八型が、ベアキャットの後方についた。坂井の零戦七八型だ。

 

坂井三郎    「逃さないぞ!」

 

 ドガガガガガガ!!

 

 二十粍(ミリ)機銃と十三粍機銃が火を吹く。重装甲を誇るベアキャットも二十粍機銃と十三粍機銃の火力には敵わなかった。 

 またたく間にベアキャットは左翼を撃ち抜かれ、海上へと落ちていった。

 

伊藤龍生    「す、すごい…。敵の新鋭機相手に難なく戦ってる。」

 

 伊藤はその驚異的な性能をみせる零戦七八型に驚いている。今までの乗機であった隼とは全く違うエンジンの力強さに怯えてすらいた。(隼二型の馬力は1130馬力)

 

岩本徹三    「どうだ、伊藤准尉。零戦七八型の乗り心地は?」

 

 戦闘そっちのけで岩本が伊藤に無線で話しかける。

 

伊藤龍生    「すごいです!隼とは全然大違いです!」

 

赤松貞明    「そうだろう。お前も早く敵機を撃墜してみろ。」

 

 赤松が伊藤に言った。伊藤は言われた通りに敵機を撃墜したくなった。キョロキョロしてあたりを見回すと、下方を飛行している一機のベアキャットの姿をみつけた。

 

伊藤龍生    「あいつを撃墜するか。」

 

 伊藤は実は空戦が得意であった。今までの空戦で十機程撃墜している立派なエースなのだ。

 

米搭乗員    「ふぅ、この高度までくればそう追ってくる敵機はいないだろう。」

 

 伊藤が狙いをつけたベアキャットは運のいいことに完全に油断していた。伊藤は気づかれないように、敵機の背後に回り込んだ。

 

伊藤龍生    「くらえ!」

 

 伊藤は機銃のレバーを引いた。

 

ドガガガガガガ!!

 

 二十粍機銃が火を吹く。いくつもの曳光弾が弧を描いてベアキャットへ向かっていく。

 

米搭乗員    「!?」

 

 ベアキャットの搭乗員は背後からの銃撃に気がつき、回避行動をとろうとした。しかし、遅かった。

 

 伊藤の放った二十粍機銃弾が次々とベアキャットの機体に射し込まれていく。遂にベアキャットの機体から火が吹いた。

 

米搭乗員    「くっ、脱出だ!」

 

 墜落寸前のベアキャットから米搭乗員が飛び出した。そのまま落下傘が開き、米搭乗員はゆっくりと降下していった。伊藤は追うようなことはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが零戦七八型での伊藤の最初の撃墜となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 グアム島奪還作戦からしばらくして、伊藤たちは内地へ帰還となった。日本国内で製造されたものをグアム島まで輸送する重巡高雄の護衛任務を命じられたからだ。

 

坂井三郎    「一体何用で俺たちを内地帰還になんかしたんだ。」

 

 日本へ向かう輸送船の甲板で坂井は呟いた。西澤たちもうなずく。

 

西澤広義    「そうですね。重巡高雄の護衛なだけで私達を呼ぶ必要がありましたかね…」

 

岩本徹三    「そうだな。他の連中も最近手が空いてるのにわざわざ撃墜王の俺たちが呼ばれたんだ?」

 

伊藤龍生    「もしかしたら高雄に積んであるものが重要なものだからじゃないですか?」

 

 伊藤はなんとなく思ったことを口にした。すると坂井がいきなり声を上げた。

 

坂井三郎    「それだっ!!」

 

全員      「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 グアム島南東海域

 

 修理を終えた、大日本帝国海軍の重巡洋艦高雄が佐世保軍港を出港した。数隻の駆逐艦と空母雷龍の護衛を従えて。先日の攻撃により早急にグアム島は陥落、日本軍は手早くグアム島を確保できた。重巡高雄はそのままグアム島に移動するのだ。その道中の護衛が、伊藤たち海軍第一航空団の役目だった。

 

西澤広義    「一体高雄にはなにが積まれているんですかね。」

 

 高雄の周りを哨戒飛行していた西澤が無線を通して坂井たちに話しかける。

 

岩本徹三    「俺たちを護衛につけるくらいだ。相当重要なものなんじゃないか。」

 

坂井三郎    「そう言えば高雄の艦長も積んでいるものがわからないらしいぞ。」

 

伊藤龍生    「一体この艦にはなにが積まれているんでしょう。」

 

 伊藤が疑問を口にしたその時、

 

赤松貞明    「上空に敵機確認!おそらくコルセアだ。」

 

 赤松が敵機を発見し無線連絡した。全機が迎撃体制をとる。追加で空母雷龍から零戦七八型が発艦する。

 

岩本徹三    「いくぞっ!」

 

 重巡高雄を守るべく、海軍第一航空団と米海兵隊コルセアとの戦闘が開始された。入り乱れて数々の曳光弾(えいこうだん)が飛び交う。

 

米兵1     「クソッ!敵機の数が多すぎて重巡に近づけない!」

 

 アメリカ軍は日本海軍の暗号解読により、重巡にとんでもないものが積まれていることは分かっている。なんとしてでも重巡は沈めなければならない。

 

米士官     「あの重巡だけはなんとしてでも沈めろ!何機失ったっていい!」

 

 米士官は先の報告により、上層部よりなんとしてでも敵重巡をグアム島到達前に撃沈せよとの命令が入っていた。米士官は全機が未帰還になろうとも撃沈することに力を注いでいた。

 

坂井三郎    「それはどうかな?」

 

 坂井があっという間に、米士官のコルセアの背後をとった。

 

米士官     「!?なっ、いつのまにっ!?」

 

 坂井が機銃の引き金を引く。とっさに米士官は機体を滑らせて坂井の放った機銃弾から逃れた。

 

坂井三郎    「おっ。やるやつだなアイツ。西澤、聞こえるか。」

 

西澤広義    「はい。今敵機を追尾中です。」

 

坂井三郎    「そっちに一機、腕のあるやつが飛んでいった。気をつけろよ。」

 

西澤広義    「はい。気をつけます。」

 

 陸軍の無線機の利用により以前より海軍は、編隊同士の連携がよくなっていった。(陸軍は海軍よりも質の高い無線機を使用していた。一方海軍では、ほとんど雑音ばかりで使い物にはならなかった)

 

米士官     「よし。周りに敵機がいなくなったぞ。重巡に攻撃するならいまのうちだ。」

 

 米士官は、率いていた艦爆隊に突撃を命令した。艦爆隊は一斉に高雄に向かって急降下を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時、伊藤たちやアメリカ軍は高雄に何が積まれているのかを知らない。

 

 

 海軍が陸軍より早期に完成させ、実用化一歩手前という新型の兵器。

 

 

 

 

 F研究…。それは核分裂を意味するFissionの頭文字。つまり重巡高雄に積まれていたのは日本の原子爆弾開発計画により作り出された試作の日本初の原子爆弾、”旭日弾”だったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

次回   三百機の爆撃機




投稿スペースがだいぶ遅くなっている…。(反省)
次回投稿はがんばります!
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