高雄艦長 「面舵一杯ぃぃぃぃ!!」
高雄が米艦爆”ヘルダイバー”の爆撃を回避するために、右へ大旋回を行っていた。ヘルダイバーが投下した爆弾が高雄を挟むように海面に着弾する。
米士官 「クソッ!外したか…」
コルセアの米士官は悪態をついた。すると、二機の零戦が背後から追尾してきた。
米士官 「くっ、またか!」
追尾してきた零戦は西澤と伊藤の乗機だった。二機は連携しながら米士官のコルセアを追いかけていく。
西澤広義 「伊藤さん、三時方向に飛行してください。挟み撃ちにします。」
伊藤龍生 「わかりました!」
伊藤は西澤に言われたように、三時方向に向かって飛行した。
米士官 「?あいつは何をやっているんだ。」
米兵1 「隊長!大丈夫ですか!?」
米士官 「俺は大丈夫だ。被害はどうなっている。」
米兵1 「自分の小隊は自分以外全滅しました!あの戦闘機は我々がかなう相手ではありません!」
零戦七八型とコルセアの性能は大人と子供と同じくらい離れている。武装も防弾も速度も馬力も全て、零戦七八型が上回っている。
ガガガガガガガ!! ガガガガガガガ!!
三時方向から迫ってきていた伊藤の零戦七八型が機銃を発射した。反応が遅れた米士官のコルセアは瞬く間に火だるまとなった。
米兵1 「隊長〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
一人の米兵が叫ぶ。
伊藤龍生 「やった!」
伊藤はまたしても撃墜を確認した。これで零戦七八型での撃墜は八機目だ。
米兵1 「よくも隊長を!!」
一機のコルセアが伊藤の零戦七八型に向かっていく。照準器に入ったとたんに機銃を撃ちまくった。
ガガガガガガガ!! ガガガガガガガ!!
伊藤龍生 「!?」
伊藤はとっさに回避行動をとった。しかし、反応が遅かったこともあり数発の機銃弾の受けた。零戦七八型の防御力は強いが、運悪く発動機に被弾してしまったようだ。伊藤の機の発動機から黒煙が上がる。
伊藤龍生 「くっ、やってしまった…」
撃墜は防がれたが、墜落ももはや時間の問題だろう。わずかではあるが少しずつ発動機の出力が下がっている。その時
赤松貞明 「伊藤、ここは俺たちに任せてお前はグアムに帰投しろ。このまま戦闘は危険だ。」
岩本徹三 「赤松の言う通りだ。ここは俺たちに任せろ。」
伊藤龍生 「赤松さん、岩本さん…」
伊藤は決心し、言われたとおりにグアム島を目指した。発動機は徐々に弱まっていくが、グアム島に着くまでは持つはずだ。
西澤広義 「伊藤さんの分も頑張らないといけませんね。」
坂井三郎 「そうだな。」
少しずつ離れていく伊藤の機を見つめながら、坂井たちは敵機へと向かっていった。
グアム島 飛行場
整備兵1 「一機戻ってきたぞ!」
整備兵2 「エンジンから煙が出てるぞ!」
整備兵3 「急げ〜!!」
伊藤の零戦七八型はなんとかグアム島に到着した。途中、敵機に遭遇したりしたが敵は零戦七八型の恐ろしい性能を知っていたこともあり、深追いはしなかった。おかげで伊藤は無事にグアム島へたどり着けたのだ。
伊藤龍生 「なんだ…これ…」
飛行場に降り立ち、零戦七八型から降りた伊藤が目をみはる。飛行場の滑走路に見慣れないものがあったからだ。
伊藤が見たもの。それは、
合計六つの大型のエンジンを搭載した巨大な爆撃機だった。
それも一機のみではない。何機も何機も…。百機以上はある。
伊藤龍生 「なんなんだ、この爆撃機は…」
??? 「富嶽(ふがく)だ。」
伊藤の問に誰かが答えた。伊藤が振り返るとそこには菅野直がいた。
菅野直 「どうやら無事に帰ってこれたみたいだな。」
伊藤龍生 「菅野さん…。この爆撃機は一体…」
菅野直 「俺もグアムに来たときにあったからビビったぜ。陸軍さんと共同開発した爆撃機らしいぞ。」
伊藤龍生 「そうですか。…大きいですね。」
菅野直 「当たり前だろ。全長46m、全幅63mの巨人機だぞ。爆弾搭載量は最大20㌧、雷撃機仕様の場合は航空魚雷を20本搭載できる。」
伊藤龍生 「20本!?そんなにですか!?」
菅野直 「この爆撃機には東条首相もかなり期待しているらしく、開発にはかなりの支援をしていたそうだぞ。」
伊藤龍生 「それも、こんなにたくさん…」
菅野直 「全部で三百機あるぞ。」
伊藤龍生 「三百機!!?」
菅野直 「そんなにでかい声だすな。」
伊藤龍生 「すっ、すみません。三百機もですか…。しかし、こんなにたくさん用意してどこを爆撃するつもりなんでしょうか?」
菅野直 「よくぞ聞いたな。教えてやろう。爆撃先は…」
その日の日没に、ようやく重巡高雄を守り抜いた海軍第一航空団がグアム島へ帰投する。今回の損害は十四機被弾、または被撃墜だった。戦果のほうは敵機四十機撃墜であった。もちろん坂井たちも無事だった。
伊藤龍生 「坂井さん〜!」
坂井三郎 「おっ、伊藤!無事に帰投できたみたいだな。」
岩本徹三 「当たり前だろ。これでも十機撃墜の搭乗員だ。簡単にはやられないだろ。」
伊藤龍生 「まあ、そうなりますね。」
西澤広義 「これは…爆撃機ですか?」
西澤が飛行場に止まっている超高高度爆撃機、富嶽に目を向けた。
菅野直 「ああ、そうだ。」
赤松貞明 「おお、直、いたのか。」
菅野直 「ああ、いたぞ。」
赤松貞明 「この爆撃機たちはなんなんだ。」
赤松の問いかけに菅野ではなく伊藤が答えた。
伊藤龍生 「この爆撃機はハワイ島を空襲するために作られたそうです。」
岩本徹三 「ハワイ空襲だと!?」
赤松貞明 「おいおいおい、何言ってるんだよ。ここからハワイまで6000キロも離れてるんだぞ。あいつにそんな航続距離があるわけn」
菅野直 「あるぞ。富嶽の航続距離は20000キロだ。」
坂井三郎 「20000キロ!?」
岩本徹三 「これは驚いたな…。とんでもない航続距離だ。」
菅野直 「ああ。俺も初めてみたときビビったわ。」
赤松貞明 「それで、これを使ってどうするんだよ?」
赤松がそう問いかけた時、菅野が衝撃の事実を言い放った。
菅野直 「お前らが護衛していた重巡高雄の積んでいたものを知りたいか?」
全員 「??」
そして菅野は言った。
菅野直 「俺たち日本海軍が開発した試作の原子爆弾、”旭日弾”だ。」
全員 「!!?」
全員が驚愕の表情を浮かべた。それはそうだろう。そんな極秘物資を自分たちは守るべく米軍と戦闘をしていたからだ。
伊藤龍生 「まさか、富嶽を使って…」
菅野直 「おっ、察しがいいな。その通りだ。」
菅野は不敵な笑みを浮かべ、付け加えた。
菅野直 「…ハワイを火の海にしてやるのさ…。」
次回 富嶽出撃!!
次回から投稿ペースは戻していきます!(PCの不調が最近多い…)