蒼焔の機影 〜ハワイ攻略作戦編〜   作:蒼海 輪斗

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日本の超重爆撃機、”富嶽”が出撃する…。


第八話 富嶽出撃!!

1946年 2月1日

 

グアム島

 

 朝の光に照らされて滑走路が明るく光る。

 

 次々とエンジンの始動音が鳴り響く。富嶽が出撃するのだ。今回は三百機の内僅か五機のみだが、富嶽が実戦に投入される。

 

 今回の作戦はハワイ島への往復爆撃だ。危険性を考えて日本海軍が開発した原子爆弾”旭日弾”はまだ投下されないようだ。

 

岩本徹三    「ほんとに俺たちの護衛は必要ないのか…」

 

西澤広義    「岩本さん、まず零戦七八型の航続力を持ってしても富嶽には遠く及びませんし、富嶽だけでもどうにかなります。」

 

坂井三郎    「確かに零戦七八型の航続距離は3800キロだからな。富嶽に遠く及ばない。」

 

赤松貞明    「まさに要塞だな。B公よりもデケェじゃねえか。」

 

菅野直     「言うところ”超空の大要塞”だな。」

 

 ゆっくりと富嶽が滑走路へと向かっていく。圧巻の光景だ。

 

岩本徹三    「さて、ちゃんと飛ぶことができるかな〜。」

 

赤松貞明    「どうせ無理だろ。」

 

 岩本と赤松は今だに富嶽のことを信用していないようだ。

 

 富嶽が滑走路に入り離陸するために速度を上げた。凄まじい轟音が島中に響く。先頭を走っていた富嶽が遂に空に舞った。

 

岩本徹三    「!!」

 

赤松貞明    「!!」

 

 岩本と赤松の二人が驚きの表情を浮かべる。本当に離陸できると思っていなかったからだ。

 

 続いて二番機が飛び立ち、さらに三番機も空に舞った。最後に残った四番機も五番機も無事に離陸し、空の彼方へと飛んでいった。

 

伊藤龍生    「本当に護衛が無くて大丈夫なんでしょうか…。」

 

 伊藤が不安を表す。裸の爆撃機は戦闘機からしてみればおいしい目標だ。護衛のない爆撃機はいともたやすく落とされていくことを伊藤は知っている。

 

 そこで菅野が口を挟んだ。

 

菅野直     「なぁ〜に心配するな。一式陸攻や百式重爆と違って富嶽の防弾性能は最高だ。零戦七八型と同じく自動消火装置を搭載、さらに防護用に12.7mm連装機銃を八基(計画時)搭載している。防御力はピカイチだ。B公よりも対戦闘機戦に特化した超重爆撃機なんだよ。」

 

伊藤龍生    「そ、そうなんですか…」

 

 確かに機銃があるのは伊藤でも分かった。だがせいぜい気休め程度にしかならないと思っていたため、まさかここまでの能力があるとは思わなかった。

 

伊藤龍生    「ほんとに凄い爆撃機なんですね、富嶽は…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同日 ハワイ 真珠湾

 

戦艦ミズーリ艦上

 

米兵1     「おい、聞いたか。グアムがジャップの連中に取られちまったそうだぞ。」

 

米兵2     「おい、まじかよ。」

 

米兵3     「どうやらジャップの新鋭機はかなりのものらしいな。硫黄島から撤退してきた陸軍兵も同じこと言ってたぜ。」

 

米兵1     「まあ、流石にここまでは来ないな。そんな航続距離を持ってるのは爆撃機くらいだぞ。」

 

米兵2     「まあ、そうだな。」

 

米兵3     「あははははははは」

 

米兵1     「もしかしたらジャップの奴ら、今からここを空襲するかもしれないぞ〜♪」

 

米兵2     「おいおい、勘弁してくれよ…。」

 

米兵1     「なーに本気になってるんだよ。そんなことあるわk」

 

 その時、けたたましく空襲警報が鳴り響いた。

 

米士官     「なにごとだ!」

 

 米士官が声を上げる。

 

偵察員     「敵機接近中!!数五!高度3000!」

 

米士官     「戦闘機かっ!?それとも艦爆か艦攻かっ!?」

 

偵察員     「いいえ!!爆撃機です!!」

 

米士官     「なんだと!!いくらグアムが取られてとはいえ、グアムから6000キロ以上離れているんだぞ!」

 

 米士官が怒鳴り散らす。すると、とうとう上空に航空機が現れた。

 

米士官     「!!」

 

 米士官が空を見上げると、巨大な爆撃機がゆうゆうと上空を飛行していた。

 

米士官     「退避〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 戦艦ミズーリ上空に到達した富嶽爆撃隊は爆弾倉を開いた。

 

爆撃手     「目標、米戦艦ミズーリ!投下角よし!距離よし!…投下っ!!」

 

 爆撃手が引き金を引く。

 

ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 合計100発もの1トン爆弾が戦艦ミズーリの艦上、周囲の艦船、飛行場に降り注ぐ。

 

バァーン!!  バァーン!!  バァーン!!  バァーン!!

 

 次々と爆発音が鳴り響く。飛行場で発進準備を行っていたF8Fベアキャット戦闘機はまともに空襲を受け、発進準備をしていた機のみならず、駐留していた機も瞬く間に破壊されていった。

 

米兵たち    「うわあああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 戦艦ミズーリは周辺の艦艇とともに1トン爆弾の複数直撃を受け、両舷から煙を吹く。さらに内部弾薬庫に引火し、艦内で次々と爆発が起こった。

 

米士官     「だめだ!総員退艦!!」

 

 さすがのアイオワ型戦艦でも1トン爆弾の複数直撃には耐えられなかったようだ。みるみるうちに右に傾斜していく。次の瞬間、

 

 

 

ボガァーーーーーーン!!!

 

 ミズーリの第一砲塔付近が大爆発を起こした。そのまま船体は真っ二つに折れ、ゆっくりと海中に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

爆撃手     「戦艦一隻爆沈確認!」

 

偵察員     「やったな!!」

 

 富嶽の機内では搭乗員たちがミズーリの爆沈を目の当たりにしていた。米戦艦の撃沈は1941年12月の真珠湾攻撃以来だ。

 

操縦員     「よし、このままグアム島まで帰投するぞ。」

 

 そのまま五機の富嶽は編隊を組み直し、まっすぐグアム島へ帰投する進路をとった。

 

 

 しかし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガガガガガガガ!!

 

操縦員     「!?なんだ!」

 

 後方より八機のベアキャットが攻撃をしてきた。おそらく上空哨戒を行っていた機だろう。

 

米搭乗員    「よくもやってくれたな!!」

 

 怒りをあらわにした米搭乗員たちが富嶽に猟犬の如く襲いかかっていく。だが富嶽もこれまでの爆撃機とは大違いだ。

 

機銃員     「よ〜し!穴だらけにしてやる!」

 

 富嶽の12.7mm連装機銃が火を吹く。機体のありとあらゆる場所に備えられた八基の連装機銃に守られた富嶽はもはやハリネズミ状態だ。そして容赦のない弾幕が八機のベアキャットに襲いかかっていく。

 

ガガガガガガガ!!  ガガガガガガガ!!

 

 次々と曳光弾が飛び交う。早速一機のベアキャットが火を吹いて落ちていった。

 

米搭乗員    「っ!?クソッ!なんて火力だ!」

 

 自国産のB-29でもここまで弾幕を張ることはできない。名の通り富嶽は爆撃だけでなく対戦闘機戦も行える万能の”超空の大要塞”なのだ。

 

米搭乗員    「だめだっ!!引くしかない!!」

 

 とうとう諦めたのか残ったベアキャットが引きかえしていった。

 

機銃員     「やったぞ〜〜〜〜〜〜!!」

 

偵察員     「やるじゃないか!見直したぞ!」

 

 富嶽の機内で歓喜の声が上がる。

 

操縦員     「今日は祝杯だな!」

 

 夕日に照らされて、蒼く塗られた富嶽がグアム島の方角に向けて飛行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回   決戦!!ハワイ攻略作戦




 富嶽は史実では実際は12.7mm機銃ではなく、20mm機銃を四基ほど搭載する計画や自動消火装置ではなく装甲そのものを厚くするなどの計画があったそうです。
 (ちなみにF研究で開発された原子爆弾の名前は自分で決めました)

 次回、遂にハワイ攻略作戦が開始される…!
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