蒼焔の機影 〜ハワイ攻略作戦編〜   作:蒼海 輪斗

9 / 10
海軍第一航空団の全力攻撃が開始される。

今回は少し長めです。


第九話 決戦!!ハワイ攻略作戦

1946年 2月3日 早朝

 

グアム島 日本軍飛行場

 

 飛行場の滑走路に所狭しと零戦七八型が並べられている。すでにエンジンが回されており、出撃の用意をしているようだ。

 

飛行隊長    「本日の作戦を発表する!」

 

 朝礼台に乗った海軍第一航空団の飛行団長である西澤が声を上げる。伊藤たち零戦搭乗員たちは前に整然と整列している。

 

西澤広義    「本日の作戦は富嶽によるハワイへの大型爆弾投下だ。我々海軍第一航空団の任務は富嶽の護衛だ。何が何でも守り通さなければならない。皇国の勝利は君たちにかかっている!」

 

全員      「はい!!」

 

 作戦説明が終わると零戦搭乗員が小走りに乗機に向かっていった。

 

 

 

 それぞれが愛機へと乗り込んでいく。坂井と赤松は零戦七八型、岩本は桜の撃墜マークを描いた零戦七八型、西澤は飛行団長のマークが示された零戦七八型、菅野は蒼く塗られた紫電改こと紫電二一型に、そして伊藤は操縦席に小国から渡された懐中時計を下げた零戦七八型…。

 

 朝日に照らされて、零戦の翼が光輝く。先頭の編隊が離陸を始める。坂井の小隊だ。続いて赤松の小隊、岩本の小隊、航空団長の西澤の小隊、剣部隊長の菅野の小隊。そして伊藤の小国のいない小隊。

 

 伊藤の小隊だけ三機編隊だ。他は四機編隊であり、伊藤の小隊だけ少ない。(大戦末期の日本海軍の航空隊の編隊は三機から四機になっていた)

 

 今回の作戦での海軍第一航空団の戦力は富嶽一機、零戦七八型四十三機、紫電改四機の合計四十八機だ。

 

 零戦七八型は富嶽より航続距離が無いため、途中ウェーク島にて補給を行い再び富嶽の護衛を行う。次に先週占領したミッドウェー島にて再補給を行い、ハワイまで飛行する。

 富嶽が爆撃を行う前にハワイ上空から離脱、そのままミッドウェー島まで帰還することが今回の作戦の内容である。

 

 帰りの燃料を考えるとハワイ上空では30分ほどしか戦闘はできない。

 

ミッドウェーからハワイまで1295海里…、つまり約2400km離れている。零戦七八型の巡航速度で飛行すると五時間はかかる。

 

坂井三郎    「この作戦、ガダルカナルを思い出すな…。」

 

西沢広義    「そうですね。しかも今回のほうが飛行距離は長いですよ。」

 

岩本徹三    「つべこべ言ってないで作戦に集中しろよ。」

 

赤松貞明    「まあ、そうだな。」

 

 とは言いつつも、グアム島からウェーク島までの制海権制空権はすでに掌握(しょうあく)している。一時は敗戦寸前からここまで大日本帝国は勢いを盛り返した。

 

 伊藤たち海軍第一航空団はその日、一発の機銃弾を撃つこともなくウェーク島に到着し、その日の作戦行動は終了した。

 

 

 

 

その日の夜 ウェーク島

 

伊藤龍生    「はああ〜」

 

西澤広義    「疲れましたね。」

 

岩本徹三    「ああ、そうだな。ガダルカナル侵攻戦を思い出すぜ。」

 

坂井三郎    「明日のマルロクマルマルには出撃みたいだ。今日は早く休もう。」

 

赤松貞明    「ああ、そうしようぜ。」

 

 全員が就寝の準備をする。

 

伊藤龍生    「明日はミッドウェーか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1946年 2月4日 早朝 ウェーク島

 

 ここからまた海軍第一航空団が富嶽を護衛し、次はミッドウェー島に向けて飛び立った。ここからは制空権制海権がアメリカに傾いている。米軍は今だにミッドウェー島の奪還を試みているようだ。

 

赤松貞明    「さあ、ここからまた長旅が始まるぜ〜。」

 

 グアム島からウェーク島までは約2417kmだった。ウェーク島からミッドウェー島までは約1901kmほどで、昨日に比べると飛行距離は短いが、ガダルカナル侵攻戦時の距離は軽く超えている。

 

伊藤龍生    「この地域は十分に警戒する必要がありますね。」

 

菅野直     「ああ、そうだな。この間もアイオワ型戦艦がミッドウェーの彩雲から確認されたらしいぜ。」

 

岩本徹三    「空にも海にも気をつけねぇといけないな。」

 

西澤広義    「一番怖いのは、富嶽が落とされることですね…」

 

菅野直     「西澤、そんなに不安がるな。富嶽はちょっとやそっとの攻撃じゃ、びくともしないぜ。対空砲にあたってもそう簡単には落ちないぜ。」

 

赤松貞明    「それに落とされないように守るのが精鋭の俺たちの仕事だろ?」

 

菅野直     「赤松、お前なかなか言うじゃないか。」

 

赤松貞明    「はははは!当たり前だろ!」

 

坂井三郎    「おしゃべりはそこまでだ。護衛に戻ろう。」

 

西澤広義    「ええ、そうですね。」

 

 伊藤たちは各編隊を組み直し、富嶽を囲むように飛行し続けていった。

 

 

 

 

 

 この日も一機の敵機にも、一隻の敵艦にも遭遇することなく無事にミッドウェー島へ到着した。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方

 

 

西澤広義    「明日はマルヨンマルヨンの出撃だ。夜明けとともにハワイ真珠湾へと侵入する。富嶽が爆弾を投下するまで各機は敵機を殲滅すること。それが明日の作戦行動だ。皆が無事帰投することを祈っている。」

 

全員      「はい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1946年 2月5日 夜明け前

 

ミッドウェー島

 

 まだ夜が明けないうちに、整備と補給が完了した零戦七八型が富嶽とともに出撃する。

 

坂井三郎    「これからが作戦の始まりだ…。」

 

 坂井の言う通り、作戦とは言っても二日間は移動しているだけであった。しかし、戦闘機乗りにとって移動もかなりの体力を消費する。そのため、西澤は補給のついでに数時間の休憩を搭乗員たちに与えたのだ。そのおかげで疲労が抜けきっていない搭乗員はいなかった。

 

西澤広義    「これで万全の状態で米軍と戦えますね。」

 

岩本徹三    「ああ、そうだな。西澤らしいな、そういうところ。」

 

坂井三郎    「俺もそう思う。」

 

西澤広義    「そうですか?」

 

赤松貞明    「ああ、俺もそう思うぜ。」

 

西澤広義    「そうですか。分かりました。絶対に作戦を成功させましょう!」

 

 西澤たちがそう固く決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハワイ島 近海

 

米搭乗員1   「隊長、レーダーに反応あり。日本軍機を思われます。」

 

米隊長     「やっぱり来たか…。いいか。奴らの一人たりともハワイにいれさせるな!」

 

米搭乗員たち  「了解!!」

 

 哨戒飛行をしていた80機ほどのF8Fベアキャットがレーダーの反応地点へと向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隊員1     「敵機接近中!!数80機程度!」

 

 先頭を飛行していた西澤の列機の一人が無線報告する。

 

西澤広義    「全機、対空警戒を厳としろ!何があっても富嶽を守り切るぞ!」

 

岩本徹三    「ああ、当然わかってるよ!」

 

赤松貞明    「よしきた!ようやく戦闘か!!叩き落としてやるぜ!」

 

 赤松と岩本はかなり張り切っているようだ。

 

 

 

 

 

 

 そして遂に、F8Fベアキャットの大編隊が目の前に現れた。

 

西澤広義    「全機!各機にて戦闘開始!!」

 

 零戦七八型、紫電改、F8Fベアキャット、富嶽、F4Uコルセア…。さまざまな機がハワイ近海の上空で大空戦が始まった。

 

 

ガガガガガガガ!!  ガガガガガガガ!!

 

 数々の曳光弾があたり一面に飛び交う。両軍からしたら前も後ろも上も下も敵だらけだ。

 

岩本徹三    「ふぅ、こんな激戦一週間ぶりだぜ!」

 

隊員2     「頻度高くないですか!?」

 

岩本徹三    「そんなこと言ってる暇があったら敵機を撃墜しろ!」

 

隊員2     「はっ、はい!!」

 

 

 

 

 

コルセア乗員  「くっ、振り切れないっ!早すぎる!!」

 

赤松貞明    「さっさと俺のスコアになれっ!」

 

ドガガガガガガガ!!  ドガガガガガガガ!!

 

 赤松に目をつけられたアメリカ軍機は次々と火を吹いて落ちていった。

 

米搭乗員1   「あれは岩本徹三…。間違いない…!サクラが描かれている…」

 

 すると背後に岩本の零戦七八型が回り込んできた。

 

岩本徹三    「よーくわかったな。」

 

米搭乗員1   「しまっ」

 

ドガガガガガガガ!!

 

 また一機米軍機が落ちていった。もちろん数機の日本軍機も落ちていく姿は目にするが、一方的に日本軍が米軍を圧倒している。

 

伊藤龍生    「見つけました!!」

 

ドガガガガガガガ!!  ドガガガガガガガ!!

 

米搭乗員2   「うわあああああああああああああああああああああ!!」

 

 続いて伊藤がベアキャットを撃墜する。やはりベアキャットの性能は零戦七八型に及ばないようだ。

 

米隊長     「くそ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。…!!」

 

 米隊長が目を疑う。富嶽がハワイ上空に侵入していたからだ。それにたいした損傷も受けていないようだ。

 

富嶽爆撃手   「まもなく爆撃地点!」

 

 爆撃手が照準器から爆撃地点を覗く。爆弾倉が開き、日本初の原子爆弾”旭日弾”が姿を現す。

 

米隊長     「やらせるかっ!!」

 

 米隊長が富嶽へと向かっていく。

 

機銃員     「こっちにくるんじゃね〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

 機銃員が機銃を撃ちまくる。その弾幕をかいくぐり、米隊長の操るベアキャットが富嶽に襲いかかる。

 

機銃員     「まずいっ!!」

 

ドガガガガガガガ!!

 

 機銃が火を吹いた。

 

 

 

 

 そして次の瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 米隊長のベアキャットは火を吹いて落ちていった。

 

機銃員     「!?」

 

 後ろには伊藤の零戦七八型がいた。

 

伊藤龍生    「なっ、なんとか間に合った…」

 

 伊藤は富嶽が襲われているのを発見し、全速力で護衛に向かったのだ。

 

富嶽操縦員   「助かりました。ありがとう。」

 

伊藤龍生    「いいえ。無事でよかったです。」

 

 

 

 

 

 

 まもなくして、米軍機が複数の零戦七八型に追われるほど数が減少してきた。

 

西澤広義    「全機!ハワイ上空から退避!!できるだけ島から離れろ!!」

 

 西澤が無線で全機に通達する。原子爆弾の爆発範囲は広い。全機がハワイ上空から次々と離れていった。

 

米搭乗員3   「あいつらいきなり逃げ始めたぞ!」

 

米搭乗員4   「なにをするつもりだ…。」

 

 富嶽の爆弾倉から一発の大型爆弾が、遂に切り離された。

 

 切り離された大型爆弾、”旭日弾”はゆっくりとハワイの島々に向かい落ちていく。

 

富嶽搭乗員   「早く離脱だ!!」

 

 慌てて富嶽も離脱していく。

 

 

 

 

 

 

 

 地上では何人もの米兵が空を見上げていた。

 

米兵1     「あれは一体…」

 

米兵2     「なんだ…」

 

 

 

 その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 旭日弾がハワイで炸裂した。

 

 轟音が響き渡り、恐ろしい威力の爆風がハワイを襲う。森林は次々となぎ倒され、建物は崩壊していく。上空で先程まで戦闘を行っていたベアキャットも一瞬にして灰になっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして巨大なきのこ雲がハワイ上空に浮かんだんのだった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

伊藤龍生    「…本当にこれで、よかったのだろうか…」

 

 きのこ雲を風貌越しにみつめながら、一人伊藤は呟いた。

 

 

 

 

次回 第二章最終話 皇国の大反攻




ハワイ島を遂に攻略した海軍第一航空団。次回、第二章最終回へ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。