無職転生二次小説「鬼の目にも……?」 作:(店`ω´)@てんちょっぷ
ルーデウスは激怒した!
愛するソウルフードであるTKGを貶されたのだ!
ゆえに、かの高慢ちきな甲龍王にぎゃふんと言わせると決意した。
しかしルーデウスには料理がわからぬ。
TKG以外の至高で究極な献立を探し求める旅が、いま始まった――。
困った事になった。
何がって?
俺が、ペルギウスと料理勝負する事になったんだよ。
うん、それはいいんだ。
俺にはイイ考えがある。
でもな、困った事に。
誰も協力してくれねーんだよ。
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あの日、俺は勇んで家に戻った。
ドヤ顔の甲龍王に、目に物を見せてやる。そう思ってな。
で、夕食の席で、こう宣言した訳だ。
「皆さん!俺は一週間後に、ペルギウスと勝負します!!」
ってな。
そしたら、いの一番に、アイシャが驚きの声をあげた。
「えっ!お兄ちゃん、ペルギウスって、あのペルギウス様?」
そうだよ、我が愛しの妹よ。
アイツは、俺とお前の愛の結晶であるTKGを愚弄した。
その罪は七度生まれ変わっても、思い知らさねばならん。七転八倒だ!…違うっけ?
アイシャが俺の右腕になってくれれば、奴を倒せる料理が思い浮かぶだろう。
この妹は天才だ。きっと、料理に関してもその天賦の才を遺憾無く発揮する筈だ。
俺の勝ちは見えた。ぬはははははっ!ペルギウスめ。ザマを見ろ!!
……と、有頂天になっていたが、アイシャは気まずそうな顔をしている。
「うーん、この間、お世話になったし、あたしは反対だなぁ。パース」
クルリと手のひらを返された。
唖然となる。
駄菓子菓子!まだ俺には頼りになる家族がいる!
周囲を見渡してみる。
シルフィは、硬直している。
ロキシーは訝しげな顔。
エリス……なぜ、キミはそんな嬉しそうな顔をしているんだい?
リーリャは頭の上に、?マークが浮いている。
ルーシー、ララ、アルス、ジーク、レオ&ジロー。うん。この辺はいいや。
おかしい。家族の反応が悪い。どういうことだ?
「ルーデウス!勝負はいつやるの?私も参加していい?」
何故か上気した顔のエリス。興奮しまくりだ。何故?
見れば魔剣片手に、バッチンバッチン鯉口を切っては収めてを繰り返している。剣呑だなぁ。
「参加するのは助かるけど……」
この人、料理出来たっけ?
なんか昔、大王亀の直火焼きを旨い旨い言ってたような…。
「ペルギウスはルーデウスがやるのよね?じゃ、私はアルマンフィ辺りがいいわ!」
は?アルマンフィ?あいつは別に今回の料理勝負には噛んでないけど……。
――あ。
まさか、もしもし、エリスさん?
「あの、エリスさん?もしかして、勝負って、戦う事と勘違いしてます?」
「はぁ?それ以外、勝負なんてないでしょ?」
アイタタ。俺の言い方が悪かったのか。
道理で家族の反応がおかしいと思った。
その後、俺は必死で弁解をした。それから、ことの経緯を説明する。
エリスは明白に落胆した。
シルフィやロキシーは安堵の表情。
アイシャは小馬鹿にした顔。
誤解は解けた。
しかし、やっぱり誰も協力はしてくれなかった。
エリスとロキシーは妊娠中、そしてつわりの真最中。
シルフィは、四人の子ども達の世話と家事。
リーリャとアイシャも同様。アイシャは傭兵団の管理もある。
俺とペルギウスの遊びには、付き合えんとさ。
――なんでやねん!料理勝負は男の意地ですぞ!
弱ったな。どうしよう。
ザノバにも相談してみたが、シーローンの食事は、どちらかといえば田舎料理らしい。
ペルギウスは新旧のアスラ宮廷料理に精通している。勝負にならない。
うーむ。
あ、そうだ。ペルギウスは龍族。俺の知り合いにも一人いたっけ。
俺は翌日、その知り合いにお伺いを立ててみることにした。
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鬼神にぶっ壊され、その後綺麗に復旧した新社屋。
そこの社長室で、俺は龍神オルステッドと相対していた。
「……ペルギウスと勝負?」
物凄い顔をして、睨まれてしまった。また、俺は説明を誤ったらしい。
「あ、戦いではなく、料理勝負ってことです、ハイ」
急いで弁解すると、オルステッドは首を振って椅子にもたれかかった。
「――驚かすな」
いや、アンタの顔の方が驚いたっつうか寿命縮んだんですけど。
「それでですね、龍族の好きな食べ物って何かあるようでしたら、聞いておこうかと」
俺は揉み手をしつつ、質問した。
オルステッドは暫し黙るが、ポツリと呟く。
「……知らん」
えーなんでだよー。アンタも龍族だろー?
「俺は、自分以外の龍族と、そう関わりがある訳では無いからな」
……あ、これ凹んでるときの社長だ。
しまった。この人、ヒトガミ世界に行く為に、各龍王をコロコロしないといけないんだっけ。
申し訳ない事きいちゃったなぁ……。あ、そうだ。
「じ、じゃあ、オルステッド様の好きな食べ物って、なんですか?
もし用意出来る物なら、ご馳走しますよ、俺」
切り替えてみる。そういやこの人、いつも何食ってるんだろう。
オルステッドは椅子に持たれ、手を組んだまま、むっつり黙っている。気が重い。
五分……十分……。沈黙がこんなにもツライなんて。
ちらっ。俯いたオルスの視線が、俺に向けられる。
なんか、悪戯をした子どもみたいだ。見た目は、機械仕掛けの抹殺者みたいだけど。
「……昔」
ポツリと言う。
「ビヘイリル地方で食べた魚。アレを、もう一度食べてみたい」
ふんふん、魚。どんな魚だろう。
「もう、何千年前の記憶なので、思い出せん。が、確かに魚だった」
「白身の魚でな。変わった風味の鬼水に浸して食べたのだが」
「あの味は、死んでも忘れられん」
ほうほう、妙に饒舌になってきたな。面白い。
「ビヘイリル地方は漁業も盛んですしね。魚の種類も、ここらより豊富な筈です」
俺は話を整理して、メモにしたためる。これはいい情報を得た。
白身。風味の変わった鬼水(醤油)。死んでも忘れられない味。
うーん、これだけじゃ、わからないな。現地で探すしか無いけど…。
「しかし、死んでも忘れられない味って、凄いですね」
俺は何気なく口にする。オルステッドも何気なく頷く。
「あぁ……何せ、旨さに我を忘れている間に、死んだからな」
――はぁ?
「えぇと……魚を食ったんですよね?」
「あぁ。確かに、魚だった。白身のな」
「んっと、それを食べたら、美味しかったと」
「その通りだ」
「で、旨すぎて、死んじゃった、と?」
「……気がついたら、ループ起点だった。死んだのは間違いなかろう」
なんだ、この、なんていうか。
「えーっと。毒でも盛られていたんですかね?」
「……考えられなくはない。それを作った相手は、かなりの手練だからな」
目を瞑りながら、オルステッドは記憶を遡っている。
涎が口の端から垂れてるぞ、オイ。
ん?作った相手?七大列強二位の龍神が手練と申す相手とは?
「…その料理人って、もしかしてオールバックだったり、厨房地形効果でステータスアップするとか、大阪弁だったりとか、人を人形の様にポイポイ投げ飛ばすとかそういう手合いですか?」
俺は確実に混乱しているのだろう。
オルステッドの顔にも「何言ってんだコイツ」って書いてある。
「オールバックではあった。一応、コックの格好もしていた」
「ケイシーとか、ライバックとか言いませんか?」
「ん?……いや、微妙に違うな」
――へ?微妙にかすったのか?
「お前も知っている人物だぞ?」
はい?
「その時のループでは、たまたまビヘイリル地方で料理人をしていたようだな」
「大体のループでは、王竜王国でも料理人をしていた奴だ」
王竜王国で料理人……俺が知ってる人物……ライバック……う、頭が…。
「奴は俺と正面から戦うのではなく、絡め手で攻めてきた」
「俺も、奴とは殆ど面識の無い時期だったので、気が付くのが遅れた」
「まんまと、奴に毒を盛られて死んでしまった。そう考えれば矛盾は無い」
「しかし、あの魚の旨さを知ることが出来た。無駄なループとは言えまい」
「出来うるなら、もう一度。もう一度、味わいたい」
オルステッドは一人でブツブツ呟いている。
なんつうか、色んな意味で、どうでも良くなってきた。
つーか、誰なんだ、その料理人。
「まだわからんか」
「奴は、七大列強第五位」
「死神の名を冠する料理人――ランドルフ・マリーアンだ」
――なんですとぉ!?
~その3につづきます~
(店`ω´)あと二話、つづくんじゃよ~。