無職転生二次小説「鬼の目にも……?」   作:(店`ω´)@てんちょっぷ

3 / 5



~前回のあらすじ~




ルーデウスはぼっちになった!


悲しみの果てにオルステッドにすがった!


社長は呆れた!


ルーデウスは諦めなかった!


社長は涎を垂らした!


よし!死神に会いに行こう!






第三話『観光のルーデウス』

 

 

 

 

 

 

 

やぁみんな。元ヒキニートのルーデウスおじさんだよ。

 

 

 

本日はですね、ビヘイリル王国に来ています。

 

いいですね、この王国は。

のんびりしていて、時間がゆったり進んでいる気分です。

数日後に、あのペルギウスとの料理勝負がある事なんて、忘れさせてくれそうです。

 

いや忘れちゃダメなんですけどね。

 

 

そう。料理勝負。

料理漫画の王道ですよね。二次小説ですけど。

 

 

料理系創作物の王道。

 

美味しいものを食べ、寄ってたかって貶しあったり。

 

試作が上手くいかないからと、素材を投げ捨てたり。

 

自分の口に合わないからと、皿を叩き割り踏みにじったり。

 

全国放送で敗者を盛大に罵り放映し、人生引退まで追い込んだり。

 

 

なんとも素晴らしくも下品な戦い――最低だと思います!

野菜を作った農家の人や、お肉になった家畜たちが、どんな気持ちになるでしょうか。

 

 

おっと失礼。

個人的な感想がだだ漏れになってしまいましたね。

 

コホンエホンウホン。エフッエフッエフッ!

 

 

僕らは気分を変えまして、復興中の第三都市ヘイレルルに足を伸ばしてみました。

勿論、最高にして究極至高の食材探しに、です。

 

いいですね、この街は。

明るい青空。白い砂浜。鳴き喚く海鳥たち。

ここが北方地方でなければ、水着のお姉さんが沢山いた事でしょう。

あぁ、この世界じゃ、そもそも水着だの海水浴だのは無いんでしたっけ。残念。

 

 

(……居たにしても、俺の両隣が厳ついおっさん二人じゃ、どうしようもねぇけどな)

 

 

「……ルーデウス、さっきから何をキョロキョロぶつぶつと」

 

 

「いやいやいやぁ、景色が良いですからねぇ、観光に来た気分なんでしょうよ。ククク……」

 

 

錆びた野太い声と、甲高く陰鬱な声が、ステレオで聞こえる。

 

先ほど、僕ら、と言いましたよね。僕の複数形。僕s'。

走れメロスってのは、メロが一杯って事なんだろうか。メロメロ、メロ。

 

……ダメだ。段々ゲシュタルト崩壊してきた。

あれか、現実頭皮し過ぎなんだろうか。また髪の毛の話してる……。

 

 

でっ、ていう。

 

俺は、お供を二人引き連れて、ここビヘイリル王国にやってきた。

お供っつっても、どっちも、俺より強いんだけどな。

 

そう、俺の隣にいるのは、七大列強第二位・龍神オルステッド。

そしてもう一人こそは、七大列強第五位・死神ランドルフその人だった……。

 

 

 

 

 

♦♦♦

 

 

 

 

――話は少し前に戻る。

 

 

 

先日、俺はオルステッドにこれまでの事の顛末を全て話した。

 

 

ペルギウスに俺のソウルフードをバカにされた事。

 

奴がフンギャロというような料理を持っていく事。

 

家族を巻き込もうと画策していた事。

 

だが全員からすげなく断られ、ぼっち・ざ・るーでうすになった事。

 

仕方ないので、孤軍奮闘しようと思った事。

 

俺には一応、生前の料理知識があるが、この世界の常識とは色々と違う事。

 

それに、知識と言っても料理マンガネタばかりな事。

 

 

そこまで話すと「料理マンガネタとはなんだ?」と問われた。

俺は身振り手振りを駆使して、オルステッドに説明した。

 

 

「料理マンガとは――」

 

 

美食家で陶芸家の親父が、グータラな息子と貶し合いをしたり。

 

「でも、日本人も悪いんですよ」と理由も無く一方的に日本人を貶しめたり。

 

料理界の天皇がカツ丼食って口から光線を吐きながら海上を走ったり。

 

太った少年が、大人げない料理人相手に啖呵切ったり。

 

地上最強の親父が、空想で味噌汁作って息子と食したり。

 

包丁人がうん○の香りを嬉しそうに叫んだり――

 

 

「……わかった、もういい。頭痛がする」

 

 

などと凄い顔で止められてしまった。

ウォームアップはまだ終わって無いのだが、ま、いっか。

 

 

とりあえず龍族、というかペルギウスが納得しそうな料理を教えてもらおうと思った。

この人も一応龍族だし。

っていうか龍神だし。なんかしら知ってるでしょ?っていう。

 

駄菓子菓子。

 

違った、だがしかし。

そもそものところ、それは無理な相談だったのだ。

 

オルステッドは食に関しては無頓着で、腹に貯まればいい程度の意識の人でした。

なんということだ。

 

 

俺は落胆し、かつ焦った。

このままでは負けてしまう。

 

いや、負けるのはいい。

だがペルギウスは絶対あのムカつく上から目線で小馬鹿にしてくる。

 

 

それだけは許せない。絶対にだ!

 

 

悩む俺。シラけた顔の龍神。

もうだめだ……おしまいだ……。

 

しかし棄てる神あれば拾う龍神あり。光明はあった。

 

 

「ふむ、そういえば……」

 

 

オルステッドが熊を睨み殺しそうな形相をしつつ、呟きだしたのだ。

なんでも、彼が生前(?)に食べた料理で、物凄く美味しかった料理があったと。

出来ればもう一度食べたいと。そう思うようなモノがあったのだという。

 

 

それが、いわゆる「SASHIMI」だったようだ。

さすがMADE IN JAPAN。異世界でも通用する優良なブランド。

 

 

しかし、ひとつ問題があった。

 

 

その「SASHIMI」が、どんな魚から作られたかが、謎なのだ。

 

白身の魚、だったらしい。

らしい、ってのは、食べたのが最早記憶もおぼろげな、彼の体感でいう、数千年前の出来事だったからだ。

 

誠に頼りない話だが、俺はその魚を探してみることにした。

一応、ビヘイリル王国で食べたらしい事は判明してるしね。

 

あと、その料理を作った人物も同時に判明した。

 

死神の名を冠した料理人、じゃない剣士。

七大列強五位の、ランドルフ・マリーアンだ。

 

 

彼は王竜王国に雇われる以前は、料理屋を営んでいたらしい。

努力虚しく、経営難により閉鎖してしまったらしいが。

 

一体、彼はどんな料理人だったんだろう。

そして、どうして閉鎖してしまったんだろう。

 

顛末について興味深いが、今はそれどころではない。

とりあえず、彼にも協力してくれるよう頼むため、俺は遥々王竜王国まで出向いた。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

「いやぁ、ようこそ。お久しぶりですねぇ?ククク……」

 

 

彼はとても嬉しそうに出迎えてくれた。

 

 

――いや、骸骨が笑ったようにしか見えなかったけど。

 

 

以前、ベネディクト元王妃と子息の小パックスの安全の確保の件で、多少俺が動いた。

王竜王国の国王は、妙に俺とシンパシーを共有してくれてるので、割とアッサリといった。

あのおっさん(王様)とは、一度サシで飲みたいと思う。

 

 

ともあれ、俺は死神からも信頼されるようになった――表面上は。

 

饒舌に小パックスの成長を語るランドルフ。なんか、保父さんみたいだな。

話はそこそこに、俺は料理勝負の事を持ちかけてみた。

果たして、ランドルフの片目はキラリと光った。

 

 

「んんん~、料理、勝負、ですかぁ~?それはまた、ご大層な」

 

 

大仰に驚くランドルフ。どう見ても道化だ。

俺はオルステッドのループの事は隠し、白身魚の刺身の事を伝えた。

 

 

「ふむ~。白身の生魚を、薄くスライスした料理…ですか」

 

 

ランドルフは右目の眼帯を持ちあげたり閉じたり、クパクパしつつ思案した。

なんかエロぃ。

 

 

「いえねぇ、私もこちらに雇われる以前は、料理を齧っておりましたからぁ」

 

「馬肉や魚を薄くスライスした料理は、勿論存じ上げておりますともぉ、ハイ」

 

「しかしですねぇ。白身で、とても美味しい魚、というだけではぁ……」

 

「私としては、協力するのにやぶさかではないのですけど……」

 

「そこはほらぁ、魚心あれば水心、と言うじゃないですかぁ」

 

 

なんか、難しい言葉知ってるな。何が言いたいんだろう。

凄く料理したそうな顔はしているけど、人をコロコロしたそうにも見えるから困る。

 

 

「ほらぁ~、私はパックス殿下とベネディクト様の護衛ですからぁ」

 

「あまりフラフラとは、ね?」

 

 

あー。なるほどね。そういうことか。行動制限がある、ってことか。

 

 

「つまり、お二人の安全が確保されれば、心置きなく協力出来る、と?」

 

 

「ん~エクセレントッ!イグザクチュリィッ!物わかりが早い!つまりはそういう事です」

 

 

長い睫毛の目で、バチコンとウィンクされる。ゾクリ……

 

 

ふむ。一応、色好い返事は貰えた。

しかし、二人の安全確保かぁ。どうすっかな。

 

 

小パックスも、そこそこ大きくなった頃か。

確か、うちのアルスかジークくらいかな。

てことは、もう自分の足で歩き回ってる頃だな。

 

あ、名案を思いついた。

 

 

「ランドルフさん、俺に良い考えがあるのですが……」

 

 

ランドルフは、その片目を妖しく輝かせて、俺の次の言葉を待っていた。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

俺の名案。

 

それは、我がルーデウス邸に二人を招いて、泊まって頂く事だった。

まぁ、仮にも王族を一般家庭に泊まらせるのは、ちょっと失礼かとも思ったが。

 

 

俺の家には、子どもが多い。それこそ保育園の様相だ。

幼い小パックスも、同じ年くらいの子どもと一緒の方が楽しいだろう。

何より将来の事を考えても、ぼっちで育つよりも、子供達の沢山いるコミュニティに入れておいたほうが情操教育的にも絶対に良いに決まってる。

 

ふひひ、俺も子煩悩になったもんだよな。

 

 

俺の提案に、ランドルフも最初は思案げだった。

しかし俺の子どもが大勢いると聞いた途端、

 

 

「んんん~!素晴らしい、素晴らしいじゃないですかぁ!是非そちらに伺いましょう!」

 

 

と喉を鳴らして了承の意を発したのだった。

勝手に決めちゃってますけど、ベネディクト様に伺わなくていいんですかね?

 

 

「あの方からは、身の回りの事は私に一任すると申しつけられております。

 

 なによりパックス殿下の御為になるというのであれば!はぁい!」

 

 

信任されていると。なら話は早い。

でもその信頼する護衛がいなくなるって事なんですけど、と口にすれば、

 

 

「貴方の細君のお三方は、それぞれ腕に覚えがある方々でしょう?それならば、

 

 ベネディクト様と殿下を預けても安心でしょう。――んねぇ?」

 

 

最後に、すごい目で睨まれた。うへぇ責任重大だ。

これで二人になにかあったら俺が刺身にされちまう。

シルフィ達に、頭を下げてしっかり頼み込まねば。

 

 

とまぁ、これでこっちの話はまとまった。

あとはベネディクト様の方と、王竜王国の方にも打診だな。

 

 

王竜王国の国王陛下(おっさん)に申し出ると、二つ返事で許可がおりた。

あの母子が王国にいると、あれこれと気を揉む事も多いんだろうな。

いないならいないで、そっちのがいいのかもしれない。面倒だよな王族って。

 

 

ベネディクト様の方も、快く了承してくれた。

表情の変化は乏しいものの、小パックスと同じ年頃の子どもがたくさんいるというのが決め手だったっぽい。

 

自分らの不遇な生い立ちを鑑みれば、自分の子には友達に囲まれた優しい人生を送らせたいのは、親心ってもんだろうしな。

 

 

そうして、死神とベネディクト母子の出立の準備は出来上がった。

 

 

転移魔法陣によってシャリーアの事務所に。

そこからは俺の家へ。

前もってシルフィたちには来訪の意図を告げてある。

 

白、青、赤のママたちは、新しいママ友が増えると喜んでいた。

それに、ウチの子ども達にとっても新しい交友関係が増えるのは良い事だろう。

 

 

我が家に来訪したベネディクトと小パックスは、最初こそ怯えがちだった。

ウチは大家族と言えるし、デカい犬もアルマジロもいるし。

人の多さや構成の多彩さに目を回しただろう。

 

しかし、レオがころんと寝転がって腹を見せたり、ジローが丸まったりを見せると、小パックスは大喜びでレオに飛びついた。

ベネディクトは一瞬慌てたようだが、ジローの背中に乗った一人息子の喜ぶ様を見て、安心したようだ。

 

 

ウチの子ども達も、ルーシーを筆頭に、ちゃんと二人を受け入れてくれた。

 

最近、ますますお姉さんぶりが板についてきたルーシー。頼もしい長女だ。嫁にはやらん。

 

次女のララは、相変わらず達観したかのような顔だが、小パックスの頭を撫でてくれている。

 

ジークは初めて見る相手にキョトンとしている。

 

腕白なアルスがちょっと怖いが、兄貴分として頑張ってもらいたい。

 

将来、こいつらが仲良しに育てば、小パックスの伯父であるザノバも嬉しいだろうしな。

 

 

母親と子ども連中の対面式は滞りなく終わった。

次は、俺ら男共の話し合いだ。

 

 

俺はランドルフをオルステッドに引き合わせた。

なんつうか、達人同士の駆け引きを見た感じだった。

こっちが緊張で心臓が口から出そうだったわ。

そのシーンは割愛するけど。

 

 

とにかく、オルステッドには、覚えている限りの記憶を語ってもらい。

ランドルフには、その持てる料理知識を総動員してもらった。

しかし、魚種の特定には至らなかった。

 

何故か。

それは、ランドルフも扱った事の無い魚だったからだ。

 

 

たしかにランドルフは武者修行中、各地で様々な魚を調理してきたらしい。

しかし、ビヘイリル地方では腰を据えて料理をする期間が短かった。

ビヘイリル王国に立ち寄った際に、やたらとケンカを吹っ掛けられたのだという。

 

そういう気風の土地柄なんだろう。地元の腕自慢だけでなく、王国の王子とその仲間からも勝負だなんだと追い掛け回されたとか。

お陰で料理人としての活動は碌にできなかったらしい。

 

そういや、列強五位・死神の名前を継いでから、戦いに次ぐ戦いだったらしいしな。

小次郎を倒した後の、名声を得た宮本武蔵みたいなもんだったんだろう。

 

 

「残念でした。ビヘイリル地方は食材も豊富ですし、調味料も独特でしたからぁ。

 

 料理人を志す私にとっては、魅力的な土地だったのですがぁ……」

 

 

そう言いながら、死神は持ってきた愛用の包丁の手入れをしている。

なんか凄い刃紋が浮き出てる切れ味良さそうな刃物だ。

大きいのから小さいの、長いのから短いのまで、何本も持っているのが職人らしい。

しかし見た目が裏稼業の無免許医みたいだから、笑いながら刃物持ってると普通に怖い。

 

 

うーむ、考えてみると、不思議な人物だよな。

列強五位になるくらい強い癖に、憧れの職業が料理人ってのもさ。

 

 

あ、そういえば、北神三世のアレクサンダー君。彼とこの人は親戚なんだっけ。

丁度、アレクは出張中で、二人の邂逅は無かったけど。

 

 

「ンフフフ。アレク君がお元気そうで、それは何よりですがぁ」

 

 

カクカクカタカタと、髑髏が凄い目をして笑っていた。

さらに、柳葉っぽい包丁の切れ味を指の腹で確かめつつこう呟いた。

 

 

「先代がここに居られなくて、残念ですねぇ本当にぃ。ククク……」

 

 

何が残念なのか、その意味を聞くのが怖い仕草だよ。

先代ってのは、つまり二代目北神アレックスのことか。

 

一体、何がこの二人の間にあったんだか。

 

 

聞いた話によれば、若い頃は三代目北神の座を目指して修行してたそうだけど。

結局、アレックスやアレクサンダーと仲違いしたとかなんとか。

 

アレクと喧嘩はわからなくもない。今よりもっと頭がガチガチだったろうし。

でも、シャンドルのおっさん(アレックス)は悪い人じゃないと思うんだよなぁ。

 

それとも当時は厳しかったとかなのかな。アレクとも意見の食い違いで仲違いしてたし。

北神候補だったのに、それを捨てて修行半ばで飛び出すほど、恨み骨髄なのか。

 

 

まぁ、それは置いといて。

うーん、白身の魚の刺身かぁ。

 

こりゃ、実際、現地に行って、片っ端から食べてみるしか無いか。

そうなると、味の記憶を持つオルステッドを連れて行くのは確定として。

あっちに食わせてくれる料理屋があるかすらわからない。

じゃぁ、死神のおっさんも連れて行くか。

なんか、二人共ウキウキしてるように見えたしな。

 

それじゃ、いっちょ男三人のブラリ旅にでも行きますか。

あんまり嬉しくない旅行だなぁ。

 

 

 

 

♦♦♦

 

 

 

 

――ってのが、男三人道連れ旅気分の、キッカケだったのさ。

 

 

あー。回想を語るのもめんどくせーや。何してんだ、俺。

 

 

 

――次回 ミスター味パパは三分間クッキング「白身魚の正体は?」お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          ーその4につづきますー

 

 

 

 

 

 

 

 







(店`ω´)物凄く更新が遅れました。ゴメンナサイ


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。