乙女ゲーの世界で『ウェイクアップ』と叫んだ男   作:R1zA

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ep.XX「空賊討伐、前哨戦」

 

 

 翌日。

 王都から少し離れた場所に浮かんでいる浮島にある、飛行船の港。

 そこへ朝合流したリオンと共に向かっていた。

 

 

「なあ」

「何だ?」

「昨日帰ったら俺の部屋の前に知らない奴が沢山居たわけなんだが、もしかしなくても教えたのお前だろ」

「だってクラリス先輩達が教えてくれって言ってきたし」

 

 

 そう一切悪びれずに言うリオンを一瞬殴りたくなったが、ぐっと堪える。

 

 昨日学園内が終わった後に部屋に戻った俺は、丁度部屋の前でかち合った数人の男子に連行された。

 心当たりが無さ過ぎるので本当に何事かと思ったが、その先に居たのはクラリス先輩で、その男子たちは先輩の取り巻きの人達だった。

 それで謝罪とお礼をされたわけなのだが、今回の事は俺が勝手にしただけだしそこまで律儀にしなくても……、という本音もあるが。

 よく見なくても随分凹んでいる感じだったし、立ち直れるよう多少の口添えこそしたが、本人が前に進めるようになるのを願うばかりである。

 

 

 

 閑話休題(それはともかく)

 

 

 

 指定ポイントに俺達が着くと、そこには既にリオンの持つ飛行船(偽装船)【パルトナー】が待機させてあった。

 今回の空賊討伐では、リオンは完全にこちらの少数精鋭で行くつもりらしく、俺は自分の家の飛行船ではなくパルトナーに乗せてもらう運びとなった。

 700メートル級という他と比べても分かる圧倒的巨大さは、周囲の人々の物珍しそうな視線がそれを如何ほどの物か物語っている。

 

 どちらかと言うと、ロストアイテムだから注目されているのかもしれないが。

 

 

「……おいヴァン、アレ見ろよ」

「ん?」

 

 

 言われるがままにリオンが示した方向へと視線を向けると、カーラとオリヴィアの姿があった。

 オリヴィアが荷物持ちをやらされて居たので、十中八九これのことをリオンは言っているのだろう。

 

 俺達が近付いてくるのを見つけると、荷物をオリヴィアから強引に受け取り、何事もなかったかのように手を振ってきた。

 

 

「男爵様方、こちらですよ〜」

 

 

 こちらが気付いていないと思っているのか、若しくは気付いていると知った上で狙ってやっているのか。

 どちらにせよあまり良い気分にはならない。

 

 

「やっぱ女って怖いな」

「かもな」 

 

 

 リオンの発言に同意しつつ二人の居る方へと向かうと、その後ろには見知った顔の二人が居た。

 槍を背中に担いだグレッグと、リオンの方を見て顔を顰めているブラッドだ。

 

 

「「「げっ」」」

 

 

 俺以外の三人は出くわすやいなや、露骨に嫌そうな声を漏らしていた。

 まあグレッグの反応は二人と比べるとそこまでだったし、俺自身はそもそも嫌がる理由も何も無いので、横で傍観者に徹していたが。

 

 

 しかし、何でここに二人が……? という疑問こそあったが、俺のその疑問は直ぐに解決されることとなる。

 

 

 

◆◇◆

 

 

「最悪だ……何で俺の大事なパルトナーにチンピラを乗せなきゃならないんだ?」

「誰がチンピラだ!」

「君は本当に嫌な奴だな!」

 

 

 如何にも不服そうなリオンの呟きに噛みつく二人。

 二人が来ていた理由だが、実は事前にカーラが声を掛けていた様で、ついでに乗せて貰おう的なノリだったらしい。

 丁度その事について謝罪していた。

 

 

「ご、ごめんなさい! 実はブラッド様にもお声をかけていたんです」

 

 

 全員の視線がブラッドに集まると、本人も渋々といった口調で説明を始める。

 

 

「……彼女は元婚約者の寄子でね。助けを求められたから、手を貸すことにしたのさ。空賊を捕らえれば報酬も出るし、その空賊は賞金首だ」

「それを聞いて、俺も参加を決めた訳だ。マリエの助けにもなるからな」

 

 

 そう言って手に持つ槍で床を突く姿は様になっていた。

 ……二人の鎧が運び込まれていなかった気がするが、流石に生身は難しくないかと思っていると、リオンがその点について触れる。

 

 

「……たったの槍一本でか?」

「仕方ないだろ! 鎧は実家に没収されたんだ。……だから負担を掛けるだろうが、鎧はどこかで奪った空賊の物を使うつもりだったんだ」

 

 

 どうやらわざと生身で挑もうとしていた訳では無かったらしい。

 リオンが槍一本で鎧と戦うのは無理だろ、とでも言いたげな顔をしていたが、少し考え込むような仕草をしてから俺の方を見てきたのは何だったのか。

 いくら俺が白兵戦に自信があると自負しているとはいえ、鎧の相手は流石に()()厳しいぞ。

 

 

「……取り敢えず、今だけでもこの雰囲気は無しにしないか? 唯でさえ人数が少ないんだから、こんなギスギスした空気だと過ごしにくい」

 

 

 俺がそう言うと、リオン達三人はいまいち納得して無さそうに顔を見合わせていたが、最終的に頷いていた。

 ……まあグレッグ達二人が鎧を没収されるのに至った原因の一端は俺達が担っていたような物だから、最低限のフォローをするくらいは吝かではない。

 

 

「そう言えば他の三人はどうした?」

「三人とも実家に呼び出されたよ。マリエは用事があるから来ない。どのみち危険だから来させないけどね。だから僕たちだけさ」

 

 

 二人以外が不在ということは分かった。

 他の色々に関しては俺からはノーコメントで。

 

 

『(……こいつらたった二人で、しかも碌な武器もなしに何をするつもりだったんだ? グレッグは戦力差程度は理解してるっぽいけど、生身で空賊の鎧に挑んで勝てる訳…………勝てるわけ───無いって言い切れないのが腹立つなー。 バグキャラみたいな奴が俺の眼の前に居るせいで)』

 

 

 またリオンが俺の方を見てくる。

 何やら内心で色々言われてる気がするが、俺はお前と違ってそこまで規格外じゃ無いからな。

 ……だから身体強化の魔法ありなら、意外と鎧とも戦えるかもしれないと思ったのは内緒だ。

 

 

「と、とにかく、皆で力を合わせて頑張りましょう! ほら、オリヴィアさんもお願いして!」

「…………」

 

 

 オリヴィアは先程からずっと俯いていた。

 何も言わないでいると、カーラが俺たちに聞き取れないような小さな舌打ちをしていた。

 

 

 ───分かっていたとはいえ、早速雲行きが怪しくなってきたな。

 どうか、何事もなく終わることを願おう。

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

 パルトナーの中の一室。

 そこは娯楽部屋で、カジノのようなテーブルにビリヤード台やダーツ等、様々な物が揃っている。

 

 

 そこで俺達は、俺とリオン、ブラッドとグレッグの四人でトランプ……ポーカーをしていた。

 リオンの提案で賭けをする事となり、グレッグとブラッドの二人は険しい顔をしている。

 

 リオンは先程から殆ど勝利しており、余裕の笑みを浮かべていた。多分というか絶対こいつイカサマしてるよな。

 

 

「どうした、勝負するか?」

「待て! もう少し考えさせろ!」

 

 

 二人はあの学園祭の分でそこそこ稼いでいたらしく、後に引けなくなっているのが難点だった。

 手持ちが少なければ早々に切り上げられただろうに。

 

 

 それに───

 

 

「もう諦めたらどうだ? ここで引き下がるなら許してやるぞ」

「──っ! ここで引き下がれるものか! そもそも、こんな勝負で勝ち続けるなんて不可能なんだ。次こそは絶対に勝つ!」

 

 

 ここぞとばかりに煽るリオンにムキになっているブラッド達は、額に汗を浮かべて冷静さを失いかけていた。

 思考が散漫としている今で無ければ、自分達がリオンにカモられていることに気付けたかもしれない。

 

 とまあ、言ってももう遅いのだが。

 

 

「───来たぜぇぇぇ!」

「今度こそ僕たちの勝ちだ!」

 

 

 二人は勝ち誇ったような顔でトランプを置く。

 フラッシュにフルハウスと、二人共結構強い役を引き当てていた。

 そしてリオンは、小さく溜息を吐きながらゆっくりと裏返しのトランプをひっくり返す。

 

 

 出したのはストレートフラッシュ。

 先程から異常な程に手札が強いリオンの方が今回も役が強く、二人は青い顔をして机に突っ伏してしまう。

 

 

「ウソだろ!? こんなのインチキだ!」

「何連敗したと思ってるんだ! こんなのありえない!」

「悪いな。また俺の勝───ち?」

 

 

 そう言って悪どい笑みを浮かべていたリオンだが、俺がトランプを表にした瞬間───ピシリと頬を引き攣らせる。

 グレッグとブラッドも、こちらを見て唖然としている。

 

 

「───悪いな。俺の勝ちだ」

「……まじかよ」

 

 

 ロイヤルストレートフラッシュ。

 その確率は0.00015%と、普通にやっていれば引けるはずの無いそれを謎に(ラッキーで)引き当てた俺の勝ちとなった。

 まあさっきまでリオンの圧勝だったから、金額面で見れば結果的にはプラマイゼロになっただけなのだが。

 

 

「凄いじゃねえかエルブレイブ!」

「僕は君を信じていたよ! ようやくバルトファルトに一矢報いることが出来たぞ!」

 

 

 というか二人共めっちゃ喜ぶじゃん。

 ……これ俺なんか仲間認定されてないか? それとも単にリオンが負けて喜んでるだけなのか?

 どっちも有り得そうなのが怖い。 

 

 

 ちなみに今の分でグレッグとブラッドの有り金が尽きたのでトランプの片付けを始める間、リオンが『負けた……? イカサマして負けた……』と壊れた機械の様に呟いていたが、怖いので無視しておいた。

 あと次からのリオンは舐めプ抜きで確率0.00015%(ロイヤルストレートフラッシュ)を連打してきそうなので、ついでに二度とリオン相手に賭けはしないことも決意した。

 

 

「そう言えば、お前の元婚約者ってどんな奴だ?」

 

 

 ふと気になったのか、俺がトランプをしまっている間に、そうグレッグがブラッドへと尋ねていた。

 ブラッドはすっかり寂しくなった財布を見つつ答える。

 

 

「……珍しいタイプの女子かな。伯爵家以上の家柄とは思えない感じだよ」

 

 

 どこか不満げな様子で言うブラッド。

 だが実際珍しいと言えば珍しいタイプであり、こいつの元婚約者というのはあの学園祭の時の女子だ。

 割と品行方正な感じになる伯爵家以上の出身でアレというのは本当、悪い意味で珍しいのだ。

 

 

「会ったのは学園入学前に数回だ。単純な政略結婚だから、殿下やジルクみたいな揉め事はなかったよ。だから性格とか、趣味とかも知らないんだよね」

「……噂で聞いたことがあるな。評判の悪い家だっただろ。メリットも無いのに何で婚約したんだ?」

「いや、確かにメリットはあったさ。だから僕は彼女と婚約したんだよ」

 

 

 元は小さな男爵家だったが、商人が強引に家を乗っ取ってから陞爵して伯爵家になった。

 その為先代や今の当主に正式な貴族の血は流れておらず、ブラッドとの婚約で貴族の血を取り込もうと画策した。

 それがブラッドの元婚約者の家のオフリー家であり、彼女の後とからも分かる通り敵も多かったのだが……。

 

 

「……公国。そうだ、公国との外交で活躍した家だったな」

「そう。その手柄もあって僕が結婚相手に選ばれたのさ。僕の家は公国に近いから、実家も【黒騎士】に怯えないで済むなら、ってさ」

 

 

 辺境伯であるフィールド家は、公国と近いために戦争が起きると自ずと最前線で戦うことになるので大変だ。

 それを防いだ対価として、ブラッドが相手の家の娘と結婚することになったんだとか。

 

 ……それにしても黒騎士か。

 資料でも幾らか見た事があるが、以前その事を聞いた時には爺さん達がかなり強かったと評していた辺り、本当に脅威だったのだろう。

 二、三十年程前に何度か戦ったきりらしいが、決着もつかなかったらしいし。

 

 

 ───曰く、単機で幾つもの船を沈め、鎧も数え切れないほど討ち取った公国最強の騎士。

 その強さは現在の王国の【剣聖】も敵わず、全盛期の【勇者】でさえ、同じく全盛期の【黒騎士】と戦った時にはトドメを刺せず、倒しきることが出来なかった……と。

 

 

 バケモンじゃねーか。

 

 

「今の王国に、黒騎士を確実に抑えられる戦力は居ない。……最前線を退いた英雄、という特例を除いてね。そうだろう? エルブレイブ」

「……何だ、お前も知ってるのか」

「ジルクから聞いたのと……エルブレイブの家名は兎も角、その先代個人の名は知らない人が居ない程に有名だからね。切っ掛けさえあれば、調べるのは容易だったさ」

 

 

 ……周りから見ると、本当に凄いんだな。爺さん達。

 なんか俺が大人になった頃には教科書に載ってそうで怖い、というか本当に載りそう。

 やっぱり家と個人の知名度が釣り合ってないから、こうも俺は舐められやすいのだろうか。

 

 

「なあ、お前等一体何の話───……そうか」

 

 

 リオンが何か言おうとしていたが、ルクシオンが何か報告したらしく、突然真剣な表情となり椅子から立ち上がる。

 この感じ……早速出番か。

 

 

「おいお前ら、仕事の時間だ」

「結構早かったな」

「いや、数が少ない。きっと本隊は別に居る筈だ」

 

 

 俺が椅子に掛けてあったタキシードを羽織り、帽子を被り直している間に、リオンもライフルを手にとって戦闘準備をしていた。

 ……タキシードと言っているけど、傍から見たら魔改造されてるせいで只の黒コートにしか見えないんだろうな、と呑気に考えている中、グレッグとブラッドの二人は動かない。

 

 

 反応が悪いことを見るに、何を言っているのかいまいち理解していない様子だった。

 痺れを切らしたリオンがもう一度端的に言う。

 

 

「敵が来たから準備をしろ、って言ってんだよ!」

「そ、そうか」

「で、でも、僕たちは何をすれば?」

 

 

 ……まあ、鎧が無い以上出たほうが危険か。

 こいつら二人の出番は早くて次になるだろうし、今回はここで大人しく待っていて貰おう。

 

 

「ここで船を守ってろ。それくらいなら出来る筈だ」

「お、おう!」

「了解だ」

「よし、さっさと行くぞ」

 

 

 二人を直接戦闘に関わってこないよう言い包めて、リオンと俺の二人は娯楽部屋を後にする。

 丁度近くにあった窓から外の様子を確認すると、既にパルトナーの四方は空賊の鎧達に囲まれていた。

 

 

 ……数は大体鎧が二十、飛行船が二隻か。

 万が一にも下手な損害を被らない為にも、少しでも早く迎撃しないといけないな。

 

 

「俺は先に出る。お前は早くアロガンツに乗れ」

「は? 先に出るってお前、ここには窓しか───」

「その通りだよぉっ!」

 

 

 俺は先程の窓とは別の、目の前にあった少し大きめの窓をこじ開けて、腰に巻き付けてあった蛮刀を抜刀した。

 俺の身体と蛮刀に電流が流れて刀身には九つの穴が空き、その刀を振るって虚空をVの字に切り払う。

 

 

 

『 boot up A−OK 』

『 chester vitals A−OK 』

『 LZ−C A−OK 』

 

 

    『─── ORIGINAL SEVEN ───』    

    『─ DANN of THURSDAY ─』

 

 

 

『 execution 』

 

 

 

 

 こじ開けた窓から外へと飛び出した俺は、当然下へと落ちるが、その途中で空から降ってきた剣───ダンが俺の足場となり、俺はサーフィンをしているような姿勢になる。

 

 ダンが変形するのと共に俺は中に乗り込み、操縦桿である蛮刀を床へと突き刺して、YIIを起動した。

 

 

「Wake up…DANN」

 

 

 ――勢いよく飛び出たのは良いが、どうしたものか。

 リオンからは事前に全員生け捕りにする事と、空賊の鎧に無駄な傷をつけないようお触れが出ているので、あの時のように無理矢理制圧するよりかは、効率良く降伏を促さねばならない。 

 

 飛行船を捕まえればいけるか?

 

 

『たった一人で何が出来る! 囲め!』

 

 

 そんな事を考えていると相手の指揮官からの指示か、俺の周りにわらわらと空賊達の鎧が集まってくる。

 大方、リオンを含めても人数比1対10という圧倒的数の力で押していく作戦のようだが―――無意味だ。

 

 

 この世界の常識は、俺達には通用しない。

 

 

 最初にライフルを構えて接近してきた二機の鎧にスラスターを吹かせて接近して刀を振るい、手に持つ武装を真っ二つに両断する。

 そして刀の背部を峰打ちの要領で空賊の鎧へと叩きつけて、内側に強い衝撃を与えることで中の空賊の意識を奪う。

 

 

 気絶させた、という手応えを鎧から感じたら、即座に足で蹴り飛ばしてパルトナーの甲板へと打ち捨てる。

 それを二回連続で行うと、その様子を見ていた空賊達からは脅威として判断されたのか、今のように突っ込んでくる奴は居なくなった。

 

 

 ―――だが、パルトナーから飛び出てきた灰色の鎧が死角から空賊達に急接近し、無手であった両手にそれぞれ空賊たちの粗悪な鎧を掴んでぶつけて破壊した。

 

 

『……ほんと、アイツやっぱバカだろ! いくら急いでるからって窓から飛び出して出撃とか正気かよ!?』

 

 

 何故かどこかの誰かに向かっての愚痴を言っているビジョンが見えたが、まあ俺のことじゃ無いでしょ。

 鎧を自分の飛行船に投げつけ、そして囲もうとする空賊たちの鎧を次々に素手で破壊していくアロガンツの様を見て、援護は不要と断じた俺は、狙いを彼らの指揮官が乗っているであろう飛行船へと定める。

 

 

『アレは何だ? ……接近してきたぞ。全機、集中攻撃を仕掛けろ! 上昇だ、上昇――』 

「撃て! あの化け物を止めるぞ!」

「止まれぇぇぇっ!」

 

 

 残っている十近くの鎧全てから撃たれて雨のような弾丸を浴びせられる中、全面で刀を回して自分に迫る弾丸を切り裂き、一切速度を緩めずに強引に突き進む。

 この世界で普及しているのが連射の出来ないボルトアクション式のライフルであったお陰もあってか、ギリギリ防ぎ切ることが出来たのは僥倖だった。

 

 

「わざわざ止まってくれてありがとう。そのお陰で―――間合いに入れた」

 

 

 空賊達の内の一機の懐へと入り込み、蛮刀で武装を破壊した後に先程と同じ様に気絶させて無力化する。

 そしてソレを他の空賊達が集まる中心部へと投げて、それに気を取られた隙に飛行船へと直行した。

 

 奴等の鎧群は丁度こっちに向かってきているリオンが片付けてくれる筈だ。

 

 

『船長、白い方が―――』

「……降伏しろ。お前達の負けだ」

 

 

 飛行船のブリッジの目の前に移動した俺は、いつでもこの船を沈められることを示す為、蛮刀の刃を向ける。

 半ば脅しのような体勢ではあるが、こいつらだって俺が知らないだけで、以前から似たようなことして略奪を繰り返してきた筈だ。

 

 捕らえた後ならまだしも、危険人物である今のこいつらへとかける慈悲など存在する筈が無い。

 

 

『降伏だ! 降伏しろ! 早く白旗を――』

 

 

 詰みであると理解したのか、相手側の艦長と思わしき人物が叫んでいる様子だった。

 一分もしないうちに白旗が掲げられ、現れた空賊達全員を捕縛することに成功する。

 

 

 本隊と戦う前の前哨戦とも言える、空賊討伐の初戦は思いの外あっけなく収束を迎えたのである。

 ……生憎、他の問題はまだまだ残っているのだが。

 

 

 

 

 





 実際にポーカーとかしてロイヤルストレートフラッシュとか出すことは出来るのだろうか。
 教えて有識者。

ヴァン:ラッキーがある人。今までの前科がある空賊にかける慈悲なんか無いよネ!……それはそれとして、この空賊達は犯罪奴隷としてでだが、自領で受け入れる予定でいたりする。

リオン:絵柄を自在に変えられるルクシオン製トランプを使ってただの運に負けた。このことはルクシオンに一週間ほど引き摺られる模様。


前回高評価をして頂いた、

【☆9】
tukumonさん、まさボウさん、トオフGTKさん、翔悟さん、脳内チンパンジーさん、中Ⅱ瓶そん、ザクタンさん、siroziさん、ファイターリュウさん、juda3412さん


ありがとうございますm(_ _)m

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