乙女ゲーの世界で『ウェイクアップ』と叫んだ男   作:R1zA

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受験勉強しながらガン×ソード見返してました。
やっぱりおもしれぇ……。


ep.Ⅲ「勇者は再び」

 

 

 ―――俺が帰宅して一週間が経った。

 その間、何かあったかと言われれば其処まで目立ったことは無い。

 だが、強いて言えば―――近々王国本土から書状が届くのかもしれないらしいというのが、丁度帰宅してきた兄の言だ。

 

 

 実はあの廃墟で俺が発見したのはダンだけではなく、そこそこの量の財宝……金塊を発見していたのだ。

 尤も、直径1.5メートル程しかないダンのコックピットに余裕で積み込める程度の量だったので、財力だけなら子爵の中でもかなり上位に位置するうちや伯爵家以上の家からすれば、総資産の1割にも満たないはした金だが。

 

 

 まあそれでも、100万ディア……日本円で言うと一億はくだらないので、ギルドに所得税的な感じで何割か納税した後もそこそこの額が残った。

 だからこそ、ロストアイテム&迷宮踏破の功績で、俺個人に騎士爵程度の地位が与えられるかもと言う訳だ。

 

 

 棚ぼたとでも言えば良いのだろうか。

 恐らくこの後待つ学園生活などに影響があるとは思えないので、貰えるならありがたく受け取ろう。

 

 

 

 さて、今日は―――爺さん達の所にでも行くか。

 

 

 基本的に爺さんは昼間、友人たちと砂漠側にある町の酒場……いま亡き母側の祖母の店に入り浸っている。

 エルブレイブ宅は、癖の強い領地の管理のために、領土中心にある湖の畔―――砂漠と緑土の交わる所に位置している。

 なので、それぞれの方面にある街にも気軽に手早く訪れる事が出来るのだ。

 

 

「あら、何処に行ってくるの?」

「婆さんの店にいる爺さんたちの所に」

 

 夕飯までには帰って来るのよー、という母さんの忠告を受けつつ、靴を履いて外に出る。

 ちなみに俺の服装はあのタキシードで、腰にはベルトの様に剣を巻き付けているという、マジでまんまな服装である。

 左側に拳銃をセットしているのが唯一の違いだが、この服装だと何というか―――気が引き締まる。

 

 

 いわゆる戦闘装束と言った所か。

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 ―――エルブレイブ領、砂漠地帯。

 本家から徒歩二十分程で町に到着し、土壌が砂漠でありながら温暖な気候と広大な水源に恵まれた事により、そこそこの規模を誇っている。

 

 主な産業として鉱業が発達しており、多くの鉱石や……少量ながらアダマンティアスも出土しており、エルブレイブ家の財源となっている。

 

 

 そしてそんな町にある酒場『PING・AMIGO』にて。

 

 

 

 

「――おはようございます、ヴァンです」

 

 

 なお今の時間は昼過ぎである。

 

 

「あらご子息様、皆様は何時もの場所にいますよ」

「うい」

 

 扉を開けて、軽く店員と挨拶を交わした俺は、店員の案内を受けて一つの席へと向かう。

 そこには、四つの人影があった。

 

「だからぁ、あの時のが無ければこの島は今亡き帝国の手に落ちてたんだ。俺の一撃は完璧だと、何度言えば……」

「フン、オレ達のフォローがあってこそだ。先代ポンコツ領主は頭が弱くなったか?」

「何だァ……お前、やんのか?」

「……zzz」

 

 爺さんに、ホセ爺さんにバリヨ爺さんに……寝てるのはカルロス爺さんか。

 世界線が違うのにまたやってらあ。

 まあいつも通りの光景だし、これでも爺さん達それぞれが個人で爵位持ちだから客含め皆仲良くやってるんだけども。

 

 

「ほら、先ずは座らんか……。折角昼間からヴァンも来てくれたのだぞ……」

「そうだぞ、ジジイ共。……特に爺さんが酔ったら連れ帰るのは俺なんだから勘弁してくれ」

 

 いやほんとマジで。

 もう巻き添え食らって母さんに怒られるのは嫌なの。

 それで次の日の朝ご飯がもやしと調味料だけになるのも結構くるから嫌なの。

 

 

「おお、ヴァン。聞いたぞ、外に出てロストアイテムを取ってくるとはやるじゃないか!流石オレたちの弟子だ」

「違うね、お前らの弟子だからじゃない。俺の孫だからやれたんだ!」

 

 そう言ってホセ爺さんと爺さんが俺を間に座らせる。

 鼻に来る酒の匂いが少しきついが、いつも遠慮なしに来るせいでもう慣れた。

 

 あ、それよりも訂正しないと。

 

 

「いや、ただのヴァンじゃない……人呼んで『後先無しのヴァン』」

 

 由来は後先考えずに嵐の中を突っ切ったからである。

 ちなみにこの呼び名で誰かに呼ばれたことはない。

 『子爵家のヴァン』とか『冒険者ヴァン』とか含めその場の思いつきの呼び名は結構あるんだがなぁ……。

 

 

「……?―――食え、タコスは体に良い」

 

 疑問符を浮かべるような表情をして、注文していたらしいタコスが乗った皿をテーブルに置くバリヨ爺さん。

 どうやら頭がおかしくなったと思われてしまったらしい。

 ……あとタコスは体に良いのか、初めて知ったわ。

 

 

 

 

 青い空。

 

 綺麗な空気。

 

 賑やかな町に店。

 

 愉快な爺さんや町の人達。

 

 

 数十年間の間、平和が続いてるうちってやっぱり凄いのではと思いつつタコスを頬張ろうとした俺は―――耳を聾する炸裂音と共に椅子から転がり落ちた。

 

 

 

「―――!?」

「な、何が起きた!?」

「外からじゃないか!?」

 

 

 突然のことに混乱してか、店内がざわつく。

 ひっくり返っていた状態から直ぐに立ち上がった俺も、被害はあるのかと辺りを見回す。

 

 

「―――あ」

 

 

 どうやら店は無事だったらしい。

 でも―――俺の持っていたタコスは駄目だった。

 床に落ちて無惨な姿になってしまっている。

 

 

 

 そうして俺が内心でショックを受けていると、扉から鬼気迫るような表情で保安官のおっさんが駆け込んでくる。

 ―――やはり、何かあったらしい。

 

 

「皆さん、ここは危険だ!私達の案内の下、直ぐに町の外れに避難を!!」

「……なあ、一体何が来たんだ?」

「『空賊』だ!鎧の数も多く、()()()()()()()()()()()!」

 

 

 店内の人達がこぞって避難する中、俺が保安官の人に問いかけると、予想とは斜め上の答えが帰ってきた。

 

 

 ―――空賊。

 飛行船を悪用した海賊行為を行う犯罪組織。

 その割には構成員も多く、他国の依頼や差し金なりで高性能の鎧を保有しているケースが多かったりするのでたちが悪い。

 

 

 まあそれだけなら予想の範疇なのだが、モンスターを連れているのは予想外だ。

 モンスターとはあくまで『人類の敵』という定義があり、テイムなんぞ出来るはずが無い、というのがこの世界の一般認識だ。

 ―――何か裏がある。

 

 

「―――!?ヴァン様、そちらは空賊が!」

「分かってる!!それよりもあんたらはさっさと親父達に救援要請の連絡を入れろ!」

 

 

 そんな確信にも近い疑念を抱いた俺は、避難経路とは真逆の方向―――空賊達の下へ走り出す。

 あいにく親父や兄貴、それに鎧の部隊は本邸及び工場に全機待機させていたため、救援にも最速一時間はかかるだろう。

 

 

 他所の町ならともかく、自分達の町は自分達で守らねばなるまい。

 

 

 それに……そいつ等のせいで俺の食事が邪魔されたと考えると途端に苛ついてきた。

 絶対に捕まえた後で謝らせてやる。

 

 

 

 あ、そういえば―――爺さん達が気付いた時には居なくなっていたが、何処に行ったのだろうか?

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

「―――お前ら!艦隊が動く前に急いで工場を探せ!そこに依頼された物が有るはずだ!」

『了解です、ボス!』

 

 コックピットから乗り出している、旗頭と思われる人物の指示を受け、数機の鎧が銃弾を振り撒きながら歩き回る。

 保安官達も生身で抵抗は続けているが、よりによって丁度鎧の一斉点検をしていたのが悪かった。

 

 

 100m級の飛行船が一船と、50m級が二船。

 様々な設計の鎧が合わせて10に、後方には30m級のモンスターが数匹待機している。

 それがその空賊達の全戦力。

 強大と言い切る程ではないが、軍隊が出動する程度には規模の大きい集団だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな絶望的かと思われた状況で、一人の男が現れた。

 

 

 

 タキシードの様な服に身を包んだ男は、帽子で目元が見えない程に俯きながら、静かに道の真ん中を歩いている。

 

 ―――そして、無造作に腰に巻き付けた剣を抜き放つ。

 

 

 

「……何だお前、ガキが出しゃばって来るんじゃねえよ!」

 

 

 そう言って、空賊達の頭は男に向かって銃口を突きつけ、雨のような数の弾丸を放つが―――

 

『―――』

「な―――!?」

 

 男は剣を自身の前方で高速回転させて、その全ての銃弾を断ち切った。

 人間業とは思えないその動きに、空賊の頭は一瞬たじろぐものの、数の差を理解し、直ぐに余裕を取り戻した様な表情を見せる。

 

 

『……お前が』

「ああん?」

『お前が、これをやったのか』

 

 

 そう無機質な声色で静かに問いかけながら、男は帽子に指を通す。

 その問いかけに対し、旗頭の男は沸き立ったかのような饒舌な喋りで解を返した。

 

 

「―――()()()!お前達の発掘する希少金属(アダマンティアス)、ソレを奪ってこいとの申し出でね。そしてこれを足掛かりとして、俺達は世界一の空賊に―――」

『……いや、違うね』

「……あぁん?」

 

 もう話すことはないと言わんばかりに、男は帽子を反時計回りに180°回転させる。

 

 

『これはお前達の進む足掛かりでも、始まりでもない。これは―――お前達の、終結(フィナーレ)だ』

 

 

 そう吐き捨てるように言い放ち、男は蛮刀で虚空をVの字に切り払う。

 空賊達はその光景に言い様のない恐怖と危機感を覚え、男に対し一斉射撃を行うも―――雲を散らして、空から舞い降りた剣に銃弾は阻まれた。

 

 

「あれは、まさか……ロストアイテム!?」

「―――Wake up.DANN」

 

 然り。

 この世界における最高峰の異端(イレギュラー)

 最強のヨロイが、現れた。

 

 

「……良いだろう、このザコタ様の鎧、『35式スーパーガイン200001型』と勝負だ!」

 

 

 しかし、空賊の頭―――ザコタは動じない。

 自身の鎧に絶対の自信を持っているのだろう。

 新手の兵器と思わしき円盤の上に乗り、そのまま回転しながらダンに突撃する。

 

「食らえ、スーパーサイドスピンアタァァック!!」

「……はあ」

 

 ソレを横に逸れることで躱したダンは、そのまま刀で浮遊装置を真っ二つに断ち切った。

 爆発音と共にそのまま呆気なく吹き飛んだザコタを見て、周りの部下たちが動揺の声色を上げる。

 

「ぐわあぁぁぁ!?」

「ボ、ボスがあんな簡単に!?」

「あの野郎、よくも!」

 

  

 続けて二機の鎧が携行していた銃をダンに向けて放つが、ダンは先程ヴァンがやっていたのと同じ様に剣を高速で回転させて、全ての銃弾を切り払いながら距離を詰める。

 

「ぐはっ!?」

「うわぁぁぁ!?」

 

 そしてそのまま間合いに詰め寄り、片方は頭部と右腕を、もう片方は両足を切り裂いて、二人纏めて蹴り飛ばした。

 しかし一息つく間もなく、背後からはまた一機の鎧が両手で持ったスピアをダンの胴体に突きつけようとする。

 

 

「チッ、キリがねぇ!」

「そんな―――!?」

 

 

 そしてソレに気づいていたヴァンは、ダンの太刀の背にマウントされている小太刀を逆手に握り、背後から迫るスピアの先を小太刀の剣先で受け止める。

 そのまま相手が動揺した隙に振り返り、X字に相手の鎧の頭部と両腕を切り払った。

 

 

 これで4機。

 そう思って今一度辺りを見回すと―――先程のモンスターが町を襲おうとしていた。

 これは不味いと思って直ぐに向かおうとするも、残りの六機の鎧が休みなく猛攻を仕掛けてきて、前進できずジリ貧に追い込まれてしまう。

 

「ヘヘッ、お前が抵抗するから悪いんだ……こんな町、やっちまえ!!」

 

 いつの間にかザコタも立ち上がっていた。

 ヴァンは銃弾を全て切り裂きながら、意地で強引に突き進み、六機の内三機の無力化には成功した。

 

 が、そのせいで余計に警戒されているのか、他の鎧は遠巻きに射撃を行ってくるのみで、中々進むことが出来ない。

 そして最悪なことに、モンスターの先には―――逃げ遅れた人が居る。

 

 

「あ、あぁ……」

『くそ、このままだと町の人達が……っっ!!』

 

 

 ……万事休す。

 そう思い、男が、そしてその場の全ての人が、もうダメだと折れかけた瞬間―――色褪せた赤色が、そのモンスターを吹き飛ばした。

 

 

 そしてソレを見たダンに乗る男が、

 在りし日の姿を知る老いた町の人々が、

 

 

 その魂に、その輝きに瞠目した。

 

 

「アレは……!?嘘だろ……!?」

 

 

 男は……ヴァンは、その戦闘機を知っていた。

 知っているが故に、己の目を疑った。

 

 

 

 グランヘッダー。

 『ガン×ソード』作中において、ザウルス帝国を滅ぼした勇者、エルドラⅤを構成する一機。

 ソレの搭乗者と同姓同名の祖父が、確かに存在を匂わせるような発言をしていたが、まさかダンの他にも同型のヨロイが存在するとは夢にも思っていなかった。

 

 

 ならば当然搭乗者は―――

 

 

『ハハッ、見たか!数十年ぶりでも俺の腕は健在のようだぞ!!』

「爺さん―――」

 

 

 エルブレイブ家先代当主にして、嘗て王国への侵略を目論んだザウルス帝国を退けた勇者。

 ソレが長い時を経て、再び空に舞い戻った。

 

 

 ふと後ろを見てみると、他にも見覚えのある姿がある。

 

 重爆撃機『パワーハンダー』。

 

 鳥型メカ『ボディーガンダー』。

 

 重戦車『ナイスフッター』。

 

 ピンクアミーゴの姿は―――無かったが、そのどれもが、確かにこの世界にある事自体がおかしい物であった。

 先程の一撃に怒ったようにグランヘッダーへと突撃するモンスターであったが、ネロはソレを華麗に躱す。

 

 

「バリヨ、カルロスのフォローを頼む」

「分かった」

「どうした、もうアレをやるのか?」

「ああ、一気に決める―――Let's go! El dorado(エル・ド・ラド)

 

 

 ネロが操縦席の左レバーを手前に限界まで引き、搭載された合体シークエンスが作動する。

 ―――そして彼らは、高らかに空へと舞い戻り、数十年ぶりに復活の狼煙を上げた。

 

 

 ナイスフッターが地を走り、グランヘッダー、パワーハンダー、ボディーガンダーが空へと舞う。

 そしてグランヘッダー以外の三機が合体することによって四肢となり、最後に頭部―――グランヘッダーが合体する。

 

 その名は―――

 

 

「古代合体・エルドラ(フォー)!!」

 

 平和な時代に勇者は必要ないのが世の常。

 そうして勇者の名を過去のものとした彼らは、再び人々を守るため今一度蘇る。

 それは、5体のマシン―――今回は4体だが、それらが合体して誕生する現行の中でも最強の鎧であり、嘗て『王国の切り札』とまで称された、正しき心を持つものにしか使用を許されぬロストアイテムである。

 

 

「フリーフォールグラッチェ!!」

 

 

 訳すると「自由落下ありがとう」。

 それでも通常の鎧の二倍近い大きさから放たれる質量攻撃であるが故、踏みつけられたモンスターは衝撃に断末魔のような悲鳴をあげる。

 

 

 当然それだけでは終わらない。

 地面に降り立ち、()()()()()モンスターの懐に入ったエルドラⅣは、左腕にナックルガードを嵌め、左ストレートを放つ。

 

「エルドラフィスト!!」

『―――!?』

 

 その拳をまともに食らったモンスターは爆散し、その攻撃力の高さに空賊達はたじろぐ。

 なにせ、やぶ蛇どころかやぶ虎だ。

 大した戦力など無いと思っていた場所が、よりにもよって王国1の魔境だったのだから。

 

 

「む、無理だ、こんな奴らに勝てるか!!撤退だ!」

「逃がすかよ……!」

 

 

 ザコタの一声に応じて、これ幸いと言わんばかりに空賊の残党は逃亡を始めるが、それをヴァンが追いかける。

 そしてまず一人、背中を向けていた鎧の背部を削ぎ落として地面へと落下させる。

 

 

「がぁぁぁ……!?」

「ひっ……く、来るな!化け物め!」

「やだね……」

 

 

 その瞬間を見てやけを起こしたのか、狂った様に全火器を一斉放出するものの、何とか数発命中した所でダンに目立った損傷は見えず、すれ違いざまに刀の峰で叩かれて意識を奪われた。

 何とか逃れようとしていたザコタだったが、目の前には手下全てを切り倒した鎧が立ちふさがる。

 

 

「―――もう勝負はついた。こちらとしては大人しく身柄を寄越して欲しいんだが……」

「くそ、だが俺のテクでお前を撒けば……」

「やっぱ無理だよな……」

 

 

 そう言って両者は町の外れへと降り立った。

 荒廃した大地に、一陣の風がさっと吹いてきて、一瞬の静寂が辺り一面に訪れる。

 ―――そして、

 

「死ねぇぇぇっっ―――!!」

「……!」

 

 ザコタが小細工なしに剣を構えて突撃し、ヴァンは太陽を背にして飛び上がる。

 そして太刀を右手の甲にマウントし、

 

 

「チェェストォォ―――!!」

 

 

 チリン、と帽子のリングの音を響かせて、飛び降りながらザコタの鎧を一閃した。

 

 

「あ、ぁぁ……」

「言っただろ―――此処が、お前達の終結(フィナーレ)だと」

 

 そう言って、爆発寸前の鎧からザコタを引っ張りだすと、顔を上げたダンの双峰は紅く輝き、ザコタの鎧は大きな炸裂音と共に爆散した。

 

 

 ふう、と溜め息を吐いたヴァンがネロ達の方を見ると、丁度残りのモンスターを撲殺している所だった。

 

 

「―――さあ、お前達の頭は討ち取ったぞ!……まだ続けるか?」

 

 

 ヴァンがそう言うと、飛行船から降伏を示す白旗が登る。

 この瞬間を以て、エルブレイブ領に突如訪れた危機は終わったのだった。

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「あ、あれ……俺達、何で生きて……」

「起きたか」

 

 

 あれから数時間後。

 日も沈みつつある中、纏めて縄で縛られた空賊達が目を覚ました。

 コックピットを切らないように頑張ったのにこいつ等は呑気な物である。

 

 

「……さて、貴様らの雇い主を聞かせて貰おうか」

「し、知らねえよ!」

「はあ?」

 

 俺と応援に来た兄貴が空賊達に剣を突きつけるが、空賊達の反応が芳しくない。

 ……まさか、依頼主は匿名でこいつ等に依頼をしたのか?

 あまり聞けることは無いかも知れないな。

 

 

「よし、じゃあ俺の質問に答えろ。余計なことを言えば―――」

「い、言えば?」

「……聞きたいか?」

「いえ!全っ然聞きたくありません!」

「ならよし」

 

 引き金に指をかけながら問いたのは正解だったらしい。

 流石に撃ち殺すのは嫌なので助かった。

 

 これはどうしても気になっていたのだが―――

 

 

「何故……いや、どうやってあのモンスターを従えた?」

「依頼主が寄越したんだ!『戦力の足しにしろ』って!それ以外は知らない!」

 

 ふむ。

 つまりこの裏にはモンスターを従える力のある者がついていると言うことが。

 これは勘なのだが―――そいつとはこれからも関わることになりそうだ。

 面倒事は御免被るのだが……仕方ない。

 

 

「依頼主の正体は?」

「知らない、本当に知らないんだ!……お前と同じ貴族様だってことくらいは分かったがな」

 

 ―――へえ。

 つまり家を狙う他国の貴族がいる可能性があるのか。

 王国にモンスターを従えられる貴族家が居るなんて聞いたことがないからな。

 警戒する必要がありそうだ。

 

 

「よし、もう聞くことはない。―――爺さん、あとは任せた」

「おう、後は俺たちに任せな!!」

 

 

 取り敢えず空賊達は爺さんに任せよう。

 なにせ悪党の改心率脅威の100%らしいからな。

 数年間は鉱脈での地下労働になるだろうが、生きてるだけ儲けものだと思ってほしい。

 

 

 ―――しかし、このときの俺は気づいて居なかった。

 

 

 ただでさえ準男爵への陞爵が決まっていた中起きた、ほぼ単独での空賊討伐。

 それが何を意味するのかを―――

 

 

 

 






ザコタファンの皆様ごめんなさい……。

あと分かっている人も多いと思いますが、エルブレイブ家の名前は『エルドラⅤ』のエルと、『勇者(ブレイブ)』の名を繋げただけのクソ安直な名前だったりします。


『エルドラⅣ』:今の性能を一言で言うと、合体機構のあるままのエルドラソウル。なので合体バンクも基地の状態も『ガン×ソード』の原作と全く同じ。
 なお埃が取れるほどの相手では無かった為、この後町の人たちの手によって綺麗に洗われた模様。
 ちなみにこの世界では某王家の白船と似たような機能が初回認証に搭載されているので、初代エルブレイブと現爺さん達にしか扱えなかった模様。

『ヴァン』:まだ「縁の下の力任せヴァン」にはならなかった模様。
 なお今後の運命はお察し。


それでは、今回高評価してくださった

【☆10】
スクアさん、trigun9さん、ニアデス トーテムさん、ウナギメロンさん、Ω11さん、あさましくてさん、カルマさん、Krescentさん、十六夜翔さん

【☆9】
D@!さん、Syureiさん、如意菊さん、TABASAさん、観賞用Δさん、WEB小説おじさんさん、ゾウリムシさん、白銀さん、因幡守さん、しょーと01さん、タイガージョーさん、紋白さんら詩仙堂黒猫さん、ポトフGさん、藤村 紫炎さん、BBDKさん、tatsumaさん、bizaa712さん、雨宮さん、八音さん、レトロニカさん、ウニヴェルシタシさん、ヴィヴィオンさん、しゃもじししゃもんさん、梟鸚鵡さん、フリュウさん、久遠 巴さん、パンダメーンさん、茶柱,さん、ザンギ@さん、ほたて()さん、ぱちぱちさん、BlueD9さん、シヤタさん、梨緒さん、和将さん、太陽戦士さん、炭酸珈琲さん、槍座さん、種植えおじさんさん、跳び箱サイズさん、望夢さん、kanaroaさん、kurouさん、ぬーぴーさん、グレーガンさん、studioegoさん、カクタスさん、そばもやしさん、Kazuma@SBさん、I沢さん、みつばさん、パインカン・シルスキーさん、カヤンさん、2469さん、Nira-Tamaさん、タ・チャンカ ワヅキさん、クロネコガミさん、紅鬼さん、寂縞さん、翔悟さん、地球刑事ジバンさん、スミス12さん、ヒヒロイさん、KNさん、まるさんさん、バルトスさん、dai-26さん、ぬま沼さん、震玄公さん、ギャラクシーさん、なごやじんさん、リュウガ2022さん、 

ありがとうございます!

よろしければ感想もくれると嬉しいです!

  
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