乙女ゲーの世界で『ウェイクアップ』と叫んだ男   作:R1zA

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誕生日翌日に投稿するやつがいるとかマ?

投稿遅れたのはギター買って練習したり、バトオペダウンロードしたりFORTNITEしたり高校入学準備してたからですね。ハイ。

多分エタらないから気長に待っててください。


ep.Ⅶ「お茶会とは」

 

 

 入学初日から約三週間が過ぎた。

 あの俺が食堂で引き起こした一件以降、特に大きな出来事は無いまま学園の生活にも少しずつ馴染んできた。

 

 

 調味料の件だが、食堂ではもうやっていない。

 というか出来ない。

 周りから見ればかなりショッキングな光景だったらしく、学園に苦情が発生した為に「次やったらお前一ヶ月出禁な」と言われてしまったからである。ちくしょう。

 

 その代わりに俺の料理には特別濃い味付けをすると言うことで片が付いたので、不満は………そんなにない。

 気が向いたら何処かの店でやれば良い話だ。

 

 

「なぁ、お前らお茶会はどうする?やっぱり招待する相手は選ぶべきだよな?」

 

 

 中庭にあるベンチ……というかテーブルと椅子。

 その内の一つに腰掛けた俺達は、来月の最初にある茶会に向けての作戦会議を行っていた。

 俺は椅子が一つ足りなかったので、近くから一つ拝借してきて座っている。

 

 

 そして、何故此処まで皆が真剣に取り組んでいるのかというと、この茶会が行われる五月の連休は男子にとってはむしろ普段よりも気合いを入れなくてはいけないから……らしい。

 『結婚』という最終目標を果たす為、ここで異性との距離を詰めなくてはいけない。

 しかも誰でも良いという訳でも無く、パートナーとなる相手―――家同士の格が釣り合う家系でなくてはならないというしきたりがある。

 これに関してはあっても無くても結果は大して変わらない気もするが。

 

 

「……実家からの仕送りはあるけど、そんな贅沢なお茶会は開けないよ。僕は参加してくれそうな女子なら誰でもいいや」

 

 

 会話の皮切りとなったダニエルの問いかけに答えるレイモンド。

 その通りであり、この学園は金がかかる。

 授業料や学食代などは無料なのに、こうした催し等の非公式なイベントで毎度多額の出費を余儀なくされるからだ。

 ――全て男子のみに当てはまる、というのが何とも言えない所だが。

 流石に俺自身の手持ちは其処まで無いので、無駄な出費は抑えたい所なのだが。

 

 

 リオンも似たような事を考えていたのか、右手で頬杖をつきながら愚痴っぽく言い出した。

 

 

「俺の方は格式高いお茶会っていうの?それをしないといけないらしくてさ。正直、気が重いよ」

 

 

 他と違って冒険者としての功績から今の地位へと成り上がり、卒業後は俺同様男爵としての独立が決まっているリオンは、その分多くの財産を有していると周りから思われている。

 その為周りの男子よりもワンランク上の物をしなくてはならないというプレッシャーがあるのだ。

 まあこれは俺にも一部当てはまるのであまり考えないことにしておこう。

 

 

 そう考えて軽く欠伸をすると、三人の視線が俺へと向けられていることに気付く。

 一瞬何だろうと疑問に思ったが、そういえば俺だけ何も言って無かったなと思い出す。

 

 

「あー、次は俺か。でも俺の場合なぁ―――そもそも来るのか?誰か」

「「「………」」」

 

 

 おい目を逸らすな。

 自分で言ってて悲しくなるが、どうも初日からやらかしたあの一件がその場にいた人達から広まったらしく、学園内での俺の評価は「やっぱり兄弟揃ってヤベー奴だったよ……他のスペックは結構良いのに」という何とも言えない感じになった。

 だからまあこの広まった印象が薄まらない限りは、大々的に狙ってくる人も居ないというアレだ。

 

 

「いやでもさぁ、お前の実家って結構金のある子爵家だろ?そこの子供で実力のある時期男爵家当主なら結構な有望株だと思われてるんじゃないか?……奇行以外は」

「最後のは余計だぞダニエル。……それにそれって金目当てだろ?そんなのこっちから願い下げだ」

「あ、君の方から振るスタイルなんだね……」

 

 

 そんなの当たり前だ。

 本人じゃなくてその人の金と権力目当てで愛人ありきの結婚なんて俺は絶対認めねえからな。

 俺の中の結婚というものはお互いがお互いを好いて、愛し合った果てに、幸せの絶頂に達する節目のような物だ。

 それがこの世界では少数で歪だというのなら、もちろん俺は抵抗しますよ。拳と刀とヨロイでね。

 

 

 ……でもこれ、童貞が言ってもそんな説得力ねえな。

 

 

 一瞬脳裏によぎったその考えに蓋をした。

 これ以上考えると流石に虚しくなってくる。

 

 

「―――とにかく、来ないなら来ない。来たなら来たで相手にとって相応の対応をする。最低でも高い菓子と茶適当に出しとけば満足するだろ」

「お前のその気楽さが偶に羨ましくなってくるよ……」

 

 

 そう言ってリオン達三人ははあ、と溜め息を吐いて項垂れてしまった。

 そしてその直後、視界の端にユリ何とか殿下が大勢の取り巻きや女子を引き連れて歩いているのを見つけた。

 アレが俗に言う勝ち組という奴か。

 

 

 

 それで一番側に居るのは―――誰だっけ?

 思い出せないのでこれからは『緑』と呼ばせて貰うが、確か緑は宮廷貴族の子爵家の跡取りで、あっちの皇子とは乳兄弟であり親友だったか?

 リオンから攻略対象云々は詳しく聞かなかったが、多分あいつも皇子と同じなのだろう。キャラ的に。

 こうして思い返してみると、何で名前だけは覚えてないのか自分でも疑問だが、もう多分こういう性分なのだろう。

 実際目の前の三人以外の名前殆ど覚えてないし。

 

 

 女子たちがさながらアイドルの追っかけの様に皇子達に張り付き、周囲の人の中には伯爵家や辺境伯家出身の男子たちが取り巻きを気取っていた。

 

 

「殿下は五月のお茶会は開かれるのですか?」

「私も参加したいです」

「わ、私も!」

 

 

 是非とも殿下の開催するお茶会に招待されたいと媚びる女子たちを見て、改めて俺達の厳しい現実を直視する。

 リオンはそこまでだったが、レイモンドは両手で肩を覆い、ダニエルは肩を落としていた。

 

 

「……今年は殿下や名門貴族達が居るから、ハードル高いよね」

「比べられるよな。勘弁して欲しいぜ」

 

 

 世の中には相対評価と言うものがある。

 その学年という集団の中でそれぞれの価値を周囲が評価する故に、他の男子が例年より劣っている訳じゃ無くても、皇子や名門貴族などの‘‘絶対的な上’’が居るせいで本来よりも劣って見えてしまうのだ。

 

 俺達とは到底縁のないような、皇子達の光景を長めていると、そこに新たに一人の女子が現れた。

 多くの取り巻きを連れており、一目見ただけでも偉い人物だという事がよくわかる。

 名前は当然知らないのだが……公爵令嬢だったか?

 常人よりも強い意志の籠もった鋭い目つきをしている。

 

 

「―――王太子殿下の婚約者様か」

 

 

 リオンがそう言葉を紡ぐより速く、皇子と緑を取り囲んでいた女子達がそそくさと距離を取る。

 学園内では外及び家の地位、権力を振りかざす事はいけないと言われているが、それは爵位の低い人が不敬を働いてもよい理由にならず、やはりこういう場所には暗黙の了解が存在しているのだ。

 流石に公爵令嬢の目の前で婚約者に媚びる程命知らずではなかったらしい。

 公爵令嬢の視線が険しくなる。

 

「殿下、五月のお茶会についてお話があります。ご一緒してもよろしいでしょうか?」

「……アンジェリカ、周囲を威圧するな。ここは学園だぞ」

「えぇ、分かっていますよ。ただ……王太子殿下の周りが少々五月蝿かったもので」

 

 彼女の威圧的な視線を向けられた令嬢達は慄き、気まずそうに視線を逸らした。

 少々おっかない様な気もするが……そこに至るまでの光景を見ているが故にある程度納得はいく。

 公爵令嬢という公的な婚約者がいる中、他の面々は本人が居ないのを良いことに王太子に取り入ろうとした。

 確かに学園には王太子の言う通り実家の権威に頼ったり、その権力を振りかざしてはならないという規則がある。

 しかしそれは権威が弱い人達が、上流階級同様に好き勝手出来る免罪符では決して無いのだ。

 

 

 出る杭は打たれるという。

 ここで必要以上に上の貴族に対して出しゃばるのは、文字通り自身の首を絞める行いなのだろう。

 そして今行った通りの事が俺達の視線の先で―――今まさに現在進行系で繰り広げられていた。

 

「殿下」

「ん?ああ、マリエか。丁度よかった、お前を探していたんだ。こっちに来てくれないか?」

 

 緑が皇子へと耳打ちし、皇子はその女子の方へと笑顔を浮かべた。

 その様子を見ていた公爵令嬢の眉が動き、周りにいた取り巻きから話を聞くと公爵令嬢は更に眉を顰めた。

 

 

 ばれたから仕方なく来ました、という体の雰囲気を出しながら彼女は緊張感漂うこの場所にやって来る。

 ダニエルが胃の辺りを押さえていた。

 

 

「俺、帰ったら駄目かな?」

「駄目だ。終わるまで動かないほうがいい。それにしても、彼女が噂の女子だったのか」

「―――噂?」

 

 首を横に振りながらダニエルを窘めていたレイモンドの発言に含まれていた、噂とやらに対し疑問がひらっとした俺は反射鏡の様に問いかけた。

 リオンも同じく知らなかったのか、俺の疑問に続いてレイモンドへ問いかけていた。

 

「知っているのか?レイモンド」

「逆に二人は知らないのかい?有名な話だよ。彼女―――マリエさんはユリウス殿下に平手打ちをしたんだ」

「……嘘だろ?俺が聞いたのは、確か名門貴族と一緒に食事をした時にステーキを注文して豪快に食べたとか、そんな噂だぞ」

 

 レイモンドの說明に対して驚いた面持ちをしたダニエルの発言を聞き、今度はレイモンドが瞠目した。

 

「え、そうなの?僕はそっちの噂は聞いていないな。でも平手打ちをしたのは本当で、殿下はそれを笑って許したらしいよ」

 

 結局その話は皇子の懐が深いということで終わったが、いくつか不審点は残ったままだ。

 

「平手打ち……ステーキ?」

 

 さらにこっちもこっちで何かうんうん唸って思案に暮れているが、その単語に何か共通点があるのだろうか。

 まあ本当に重要な事ならリオンの方から言ってきてくれるだろうということで過度な干渉は要らないだろう。

 

 

「なんでしょう、殿下?」

「実は男子は五月に茶会を開かなくてはいけなくてね。あまり派手に開催したくないから知り合いだけを呼ぶつもりだ」

 

 

 そして向こう側の雰囲気も、皇子が子爵家の出身らしい彼女を茶会に呼ぼうとしてからより険悪な雰囲気となる。

 公爵令嬢が皇子に反論したことで、二人の確執と口論により事態の深刻性は増すばかり。

 どうしたものかと思いながら皆で息を潜めていると、不意にリオンが辺りをキョロキョロと見回しだす。

 

 

「……何をしているのさ?」

「いや、探している人がいるんだけど……ほら、特待生ってここにいる?」

 

 リオンにそう返されたレイモンドが同じように周囲を見回すが、すぐに首を横に振る。

 

 

「いないよ。そもそも特待生はこの場に交ざれないよ。ほら、黙ってじっとしていよう。嵐が過ぎ去るのを待つ心持ちで耐えるんだ」

 

 

 苛烈で重苦しい雰囲気のひしめく中庭から逃げられない俺たち。

 丁度中庭に入ろうとして、その異様な雰囲気を感じ取ったのか、直ぐ様回れ右をして逃げる生徒たち。

 その判断は間違ってないぞ。

 公爵令嬢と未だに口論を続けている皇子の表情は面倒事を被るような、どこか煩わしそうな様子であった。

 

 

「いい加減にしろ、アンジェリカ。ここは学園で、俺は一生徒としてここにいる。お前は俺の婚約者だが、そこまで干渉されるいわれはないぞ」

「……失礼しました」

 

 

 皇子の最後の言葉で引き下がったのか、そう言ってこの場を離れていく公爵令嬢。

 去り際ににキッという擬音が響く様な感じで件の女子を睨み付けてから去って行く。

 公爵令嬢の周囲の取り巻きたちも、彼女に対して明確な敵を見るようなきつい視線を向けていた。

 

 

 その後は、皇子と緑と件の女子―――マリエが二言三言会話をした後に皇子達が自らの取り巻きを連れて去っていったことにより、嵐が明けたかのように張り詰めていた一面の空気が霧散した。

 取り巻きはマリエに複雑そうな視線を向けていたが。

 

 

 マリエとやらに軽く視線を走らせる。

 やはり入学式での印象通り、特段他の人と変わった部分は見受けられないが―――自身の直感に近い感覚が、彼女に近づくのを拒んでいた。

 彼女が嫌いだとかそういう次元では無いのだが……何というか、関わると自身が損をする貧乏神に近い厄ネタな気がするのだ。

 ―――後から思い返せば、ダニエルとレイモンドが解放された事に安堵する中、リオンも何か妙な目で彼女を見ていたので、俺の勘が外れたわけでも無いだろう。

  

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 お茶会のためのマナー教室と言うものがある。

 教師はは髭を綺麗に整えた紳士という感じで、執事の様な立ち振る舞いの男性教師だった。

 実際に教室の前方にはテーブルが置かれ、お菓子やお茶が用意されている。

 実践形式で教えてくれるらしい。

 

「良いですか? 女性をお茶会に誘う時は全てを見られていると思いなさい。立ち居振る舞いからどのような教育を受けてきたのか、そしてどのような人物なのか相手に見抜かれますからね。つまり、ここでしっかり女性をもてなせば君達はそれだけ高評価を受けることになります」

 

 

 周囲の殆どの男子生徒が緊張感を持ち、こぞって真剣に講義を聞いている中、俺はと言うと―――

 

 

「ミスタリオン、もっと緊張感を持ちなさい。あとミスタヴァン、寝ていてはいけませんよ」

「は、はい!」

「……すみません」

 

 

 寝てました。

 それはもう思いっきり爆睡かましてました。

 そのせいで講師の人からは注意されてしまったが、少し心の中だけでも言わせて欲しい。

 

 

 ……もうその授業内容殆ど知ってるんですわ。

 礼節の面には結構厳しい親父の手によってみっちり仕込まれたせいで。

 一ヵ月周期で抜き打ち検査されて、挙句忘れてたら覚え直すまでご飯食べれないからね。仕方ないね。

 お陰でその手の店でバイト出来る程度―――準一流レベルにまで茶会の技術が到達してしまいましたよ。 全然嬉しいとは思わないけど。

 だからまあ、心構えとかの基礎的な事を教える授業では俺に最低限の心構えはあれど肝心の向上心が無い以上、記憶を擦り合わせて復習するくらいしかやることが無い。

 

 

 

 周りから這うように自分の耳の中へと入り込んでくる、クスクスと蔑むような笑い声。

 笑っているのは金持ちや宮廷貴族の跡取りで、所謂お坊っちゃまとかそういう人種の奴等だった。

 

 

『田舎者はこれだから』

『少し手柄があるからと偉そうに』

『野蛮人は冒険者に向いているが、この場には相応しくないね』

 

 

 針を孕んだ様な批判の声が聞こえてくる。

 正直言って不快ではあるしムカつくが、直接的な害が無い以上俺から言うことは無いし、何もすることは無い。

 どうせ自分達から見て格下だと思ってる奴が出世して注目されてるのが気に入らないとかそんなのだろう。

 ここは聞こえないふりをして寛容に行くべきだ。

 

 

 ……この学園に男子トーナメント式の武芸大会とかあったら良かったのになあ。

 別に他意は無いけど。

 

 

「まずはお茶会で大事なのは全体の雰囲気です。とりあえず道具を揃えた、空いている部屋を押さえたというのは論外です! 道具一つ一つに至るまでこだわり、女性を特別な空間に誘うのです。ただ場を用意するなど三流以下と覚えておきなさい」

 

 

 教師――ルーカス先生の授業は他の物とは毛色が違う。

 ただやれば良いと「結果」のみを注視しているという訳でも無く、その中の「過程」も重要視するタイプなのだ。

 実際これは的を射た発言で、仮に自分が茶会に招待された側だと考えてみればすぐに分かる。

 

 招待された茶会に赴いた先で相手の男子に「とりあえずこれでいいか」的な感じで無造作に高い菓子を出され、その相手も終始客相手とは思えない程無愛想で、追加に室内は可もなく不可もない微妙な部屋で、挙句の果てには茶器も周囲の骨董品も今日限りの安物だとすぐに分かる代物。

 こんな場に居て楽しいか?と言った単純な話だ。

 

 

 故に先生は老舗旅館の女将の様な視点―――もてなす側から、日本人にも通ずる所のある「おもてなしの心」を重視しているわけだ。

 まあ俺は相手次第では前述の通りのクソ対応でさっさとお帰りしてもらう気満々だったんだが。

 

 

「ミスタリオン……理解していないようですね。では、一つ実践してご覧に入れましょう」

「あ…、自分でしょうか」

 

 

 教師に指摘されおずおずと立ち上がったリオンは、何処か確認するような口調をして俺の方をチラチラ見てくる。

 ハハハ、すまんが俺はこっち側(理解できるタイプ)の人種なのだよ。

 お疲れとリオンに向けて小さくサムズアップをすると、一瞬恨みがましく睨んできたが、案外直ぐに先生の居る中心へと歩き出した。

 ……不自然な笑みを浮かべながら。

 

 

 

 どうやら俺を道連れにするのを諦めて適当にやり過ごす方向へとシフトした様だ。

 まあ、別に誰かから咎められる程の悪い事でもないし好きにすれば良いと思うけども。

 ただ俺の見解だと―――

 

 

「わ~、楽しみですね」

「―――えぇ、楽しんでください」

 

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 ――授業の終了後。

 

 

 教室を出た男性教師に駆け寄る一人の男。

 

 

「先生!俺、感動しました!」

 

 

 男―――リオンは、感慨に打たれた様な表情でルーカス先生へと声を掛けた。

 その姿はまさに感泣至極、平身低頭。

 先程の「お茶会なんて意味あるんですか?」といった態度は欠片も存在していなかった。

 即落ちニコマとはこのことか。

 

 

 背筋を伸ばしたルーカス先生は、綺麗に振り返るとチャームポイントと思わしき髭をなでていた。

 

 

「ミスタリオン、分かってくれたようですね」

「はい! 俺、お茶というのを舐めていました。いえ、馬鹿にしていました。今は凄く反省しています。俺、先生みたいに完璧なお茶会を開きたいです!」

 

 

 未だ興奮が抜けないのかそう言って感嘆の息を漏らすリオンに軽く相槌を打ち、直後に男性教師は小さく首を横に振った。

 

 

「大変結構。ですが、間違えていますよ」

「え?」

 

 

 今度は身体ごとリオンの方へ向き直る。

 右手を胸に当てて、今までのことを思い返すように、静かに瞳を閉じるその姿には、常人には出せない得も言われぬ美しさがあった。

 

 ―――最初に見たときからずっと思ってたけど、やっぱりあの人只者じゃ無いよな。

 一挙手一投足から、その辺の貴族と比べても圧倒的なカリスマ性を持っていることが見て取れる。

 まさか王族だったり?……流石に有り得ないか。

 

 

「大事なのはもてなす心。そして、私はまだ道半ば。未だに満足できるもてなしが出来た事がありません」

「そ、そんな。先生でも完璧じゃないんですか?」

 

 こくりと頷き肯定する。

 そして目を開けたルーカス先生は胸に当てていた右腕をリオンへと差し伸べてこう告げる。

 

 

「えぇ、そうです。私もその場、その瞬間に最高のもてなしを目指していますが、その境地にはまだ届きません。ですが、基礎は教えられます。ミスタリオン、共に茶の道を進もうではありませんか」

「はい!」

 

 

 

 そうしてリオンとルーカス先生が笑顔で話をしていると、俺の横にダニエルとレイモンドがやってくる。

 

 

「……なあ、リオンの奴やばい薬でも決めたのか?」

「さぁ?まぁ、無駄にはならないし……良いんじゃないか?」

「これで明日元に戻ってたら面白いな」

『……あいつら後で一発殴ってやる』

 

 

 そんな事を言いながら廊下に居る二人の事を眺めていると、会話が聞こえていたのか、先生に見えないよう俺たちに向けて爽やかな笑顔で中指を立ててくるリオン。

 ……普通に気づいてるけどな。先生。

 

 

 

 

 この後めちゃめちゃ鬼ごっこした。

 

 

 

 

 




モブに厳しい世界だから鬼ごっこで死人が出ちゃうんだよね……()


ヴァン:食堂出禁一歩手前まで追い込まれた。
 誠に遺憾ではあるものの、多分もうしないと誓う。多分。
 なお今月のお茶会には誰も来ません(予言)。

リオン:転生など何も気にしないで良い友人が出来た為、なんやかんや本来よりも学園生活エンジョイ中。
 その分ボケとツッコミを兼任する羽目になったので心労は若干増した。


男性教師:ある意味国内最強説がある(ないです)人。
 ヴァンに初見でで只者じゃないと認識され、内心でも先生呼びされる唯一の人物。
 ―――(ヴァン)には今は茶を修める者としての熱意が無いが、磨けば光るセンスがある。是非とも彼にとっての本気の茶を見てみたい物だ。

前回高評価して下さった

【☆10】
アイサさん

【☆9】
残酷な蟻さん、JOJIさん、A-kiさん、トランプさん、トワイスさん、XANXさん、緋皇 龍也さん、U-Ziさん、姉沢さん、翔悟さん、ぬま沼さん、跳び箱サイズさん、pose195さん、マティサさん、laranaさん、事務かすたむさん、mozuさん、規律式足さん、白銀竜さん、ブドウ糖さん


宜しければ一日遅れの誕プレ(評価or感想)下さい。


再追記

Twitter及びマシュマロの開設。
感想要望なんでもござれ。

Twitter
https://twitter.com/Riza_dayoo?t=qVWwrWgxrh0FpA0mylUtEA&s=09

マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/riza_dayoo



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