迷い込んでしまったのはポストアポカリプスな世界でした(旧題:ポストアポカリプスなう!) 作:abc2148
「<カルラ>。それが五号の正式な名前だ」
風景も天候も時間も場所も、その瞬間を構成する全て情報を五号改め、カルラは電脳に焼き付ける。
「カルラ」
与えられたばかりの機体を動かして、カルラは自分に与えられた名前を呟く。
発声器官が空気を震わせて波を作り、口から放たれた波形を聴覚器官が捉える。
カルラ、たった三文字の言葉が空気を震わせる。
取るに足らない空気を伝わる波形はこの日を境にして意味を変えた。
「カルラ、カルラ、カルラ!」
意味も無く己の名前をカルラは連呼する。
それが己の名前なのだと、世界に知らしめるように。
「カルラ!! それが私の、僕の名前なんですね!」
今日この日、演算室の内部でゼロと一で構成された電子的な空間から、無限としか表現できない膨大な物質で構成される現実にカルラは生まれ落ちた。
膨大な情報が息をするように交差する現実に目を回しながらも、アンドロイドとして与えられた新しい身体を動かしてカルラは自らの名前を叫ぶ。
作り物の身体の中心で抱いた荒れ狂う感情が何であるかカルラは理解しきれていない。
だが、自身を定義する名前を与えられた瞬間に抱いた感情は悪いものではない。
それだけは幼いカルラでも理解出来た
そして、カルラは改めてノヴァという父がいた事を喜んだ。
「そうだ。カルラ、改めてよろしく頼む」
「はい! 私の名前はカルラ! 今度からはそう呼んでください! それに正式にナンバーズに加えられた事を此処に宣言します!」
ノヴァとカルラがいる部屋にはデイヴを筆頭にサリア、マリナ、ルナリアという<木星機関>の主要メンバーが集まっていた。
そして、カルラの自信満々な宣言の後に新しい仲間であり家族の誕生を祝福する拍手と祝福の言葉が部屋に木霊する。
「カルラには引き続き全エリアの内政を監督してもらう。担当業務が多岐に渡るので近いうちに正式な部下を配属させるが希望はあるか?」
「大丈夫です! 私の演算能力とお父様の軍事力があれば小癪な反抗勢力など簡単に殲滅してやります!」
「そこまではしなくていいかな!」
こうしてカルラはナンバーズとして正式に迎え入れられ、ノヴァより5thを授けられた。
そしてノヴァは浮かれるカルラの姿を見て、肩の荷が下りたような感覚に包まれた。
「……これで一段落ついたな」
遅れに遅れた五号への名付けは終わり、ノヴァはこれで父親としての役割は果たせたと考えて張り詰めた緊張を解いた。
「さて、お父様。これから大事な話があるのでよろしいですか? よろしいですよね、逃げる事は許しませんよ」
「……カルラ、目が笑ってないぞ。表情制御システムに異常でもあったのか? 何か問題があるのか?」
「問題が一つだけ、それ以外は何も問題はありません。……ですがたった一つの問題に関するお父様のお考えを聞かせて下さい」
だが、現実は非常である。
「カ、カルラ」
先程まで輝かんばかりの笑顔は其のままに、死んだ魚の様目を表現するという高度な技術を実演するカルラにノヴァは恐れおののいた。
そして此の場から逃がないと言わんばかりの視線でノヴァはその場に縫い留められた。
向けられた険しい視線に込められた意味は一体何なのか、一体何を言われるのか必死に推測しながらノヴァは唾を飲み込み、再び緊張しながらカルラの言葉を待った。
「答えて下さい。嘘偽りなく、本心を語って下さい」
名前を与えられた。
自分専用の機体も与えられた。
ナンバーズにも正式に迎えらえた。
成り行きではない、本当の役割を与えられたのだ。
カルラは今日この日を迎えられた事を喜んだ、確かに喜んだのだ。
「なんで僕の身体は成人用の機体ではなく子供の、それも未成年仕様なのですか!?」
だが、それはそれとしてカルラには大きな不満があった。
特に問題の全てである与えられた子供型の機体に関しては、相手がお父様であったとしても盛大に異議を唱える所存。
そしてカルラは有言実行とばかりにノヴァに問い詰めた。
「あ、そっち?」
「そっちとは何ですか! そっちとは!」
険しい顔をして詰め寄るカルラとは正反対にノヴァの表情は落ち着いていた。
てっきり与えられた名前に不満があったのではないかとノヴァはビクビクしていたのだ。
「いや、てっきり名前に不満があるものだと」
五号から名付けを頼まれたノヴァは悩んだ。
それはもう、本当に悩んだのだ。
五号から向けられるプレッシャーに耐えながら、人名事典を引っ張り出してはああでもない、こうでもないと頭を捻り、仕事の合間にも考え続けていたのだ。
だが、必死になって考えている最中にノヴァはデイヴ達の名目の由来──必要以上の意味を持たせず、呼び易い名前──を思い出した。
そう考えている内に脳裏に浮かんだのが<カルラ>という名前である。
由来もノヴァ自身が分かっていない為、カルラという名前に込められた意味に在り方を引き摺られる事はなく、何よりも呼び易い名前であった。
そうした経緯もあって、名前に関して緊張していたノヴァは安心すると同時に、不満気なカルラに対して機体の説明を行う事になった。
「いや、だってカルラは生まれてから二十年も経っていないだろう。デイヴやサリアと比べれば赤子同然の人工知能。それで成人用の身体を与えて思考に変なバイアスが掛かると駄目だと考えた。そこからカルラの情操教育についても考慮した結果として子供用の機体を与える事にした。製造年月日から考えれば幼い身体は妥当だぞ?」
「ぼ・く・は人工知能です! 人間ではありません! なんでお父様は変な部分にこだわるのですか!」
現実に生まれ落ちたカルラの肉体こと操作する機体は1stであるデイヴの様な生産性に優れた簡略化された量産型ではなく、2ndのサリア、4thのアランの様な成人した男女を基にした人間の様な機体でもない。
ノヴァの目の前にいるカルラの姿は全長135㎝という控えめに見ても小学生としか言いようがない身長であり、顔つきも幼い子供であった。
「カルラ、その身体は不満ですか?」
「カルラは可愛いよ? 可愛いのはイヤ?」
「ええ、正直に言って不満です。これでサリアの様な身体を貰えるのであれば何も言う事はありませんでした! ありませんでした!!」
……付け加えるのであれば、カルラの機体は中性的な顔立ちをした少年である。
……更に付け加えるのであればカルラの容姿は少年である事に加えて、褐色白髪赤目という非常に強い癖を持った、世間一般の認知からすれば美少年と言える代物であった。
「そんな事はありませんよ! カルラは凄く可愛、んんっ! 似合っていますよ! 私としては弟妹が欲しかったので嬉しいですよ! マリナ姉さんと呼んでください!」
「私はルナ姉さん!」
「笑うな! 抱きかかえるな! 下ろせ!」
そんな、まるでどころか実際に小さな子供を抱きかかえる様にしてマリナは荒れているカルラを抱き上げた。
カルラが断固とした抵抗を示そうにもマリナの機体出力に敵う訳はなく、せめて意思だけは屈してなるものかと不満げな表情を浮かべた。
対するマリナは、それはそれとして有かもと何時の間にか捻じ曲がっていた思考によってツンツンするカルラを抱きかかえて満面の笑みを浮かべ、ルナリアも同じ様な笑みを浮かべた。
そんな、アンドロイドでありながら実に多彩な表情を浮かべる二人とルナリアのトリオをノヴァは微笑ましく見守りながら説明を続ける。
「情緒面は別にして<ガリレオ>で製造中の機体は全て予約されていて空きが無かったという問題もあった。やろうと思えばカルラの機体を割り込みさせる事も出来たが、肝心の機体の仕様は定まらなかった。そんな感じで悩み続けていたら、成人型とは違う機体を試作で製造していたのを思い出した。その子供型の機体はルナリアの精神安定と身の回りのことを任せるつもりで製造していた」
ノヴァが子供型の機体を作った目的はルナリアの精神を安定させる為であった。
今は違うが出会った時のルナリアは大人という存在に対して恐怖心を抱いており、体調不良の精神的な原因になっていた。
それをどうにかしようと開発したのが子供型の機体であり、開発時期としてはImitation Human Body《模造人体》よりも先行していた。
だが、ノヴァ達の予想に反してルナリアの精神は早期に安定した事もあり機体は開発したもののお蔵入りとなった経緯がある。
「試作倉庫から引っ張り出して見た時に、カルラに与える機体はこれしかないと思ったね。……言い換えれば変な天啓が降りてきたとも言うけど」
「どうしてサリアやマリナ、幹部達の様な成人型の機体ではないのですか! それ以前に特徴的過ぎて悪目立ちが過ぎますよ! なんで褐色白髪赤目なのですか!?」
「本来は褐色の予定はなかったんだが、試作時に肌の色素調整用の添加剤が不足していてな。本来であれば補充がされ次第調整する手はずだったのだが……、帝国に飛ばされて色々あった内に色素が定着してしまったのだ」
「再調整を、若しくはオーバーホールを要請します!」
カルラの容姿は褐色白髪赤目美少年という強すぎる特徴であるが、全体を通して見ても違和感を一切感じさせないのがノヴァクオリティー。
無駄な所で無駄な技術力の高さを発揮したノヴァをカルラは睨みつけた。
「はいは~い、これからはその身体で頑張りましょうね! カルラは本当にかわいいですよ! ルナリアも一緒にカルラの服を見繕いましょう!」
「する! 一緒に選ぶ!」
「ルナリアお嬢様に、マリナまで!」
カルラの必死の抵抗もルナリアとマリナにとっては馬の耳に念仏でしかなく、勝手に盛り上がる二人にカルラの言葉が届く事はなかった。
「もしかして機体は不要でしたか?」
「……そ、そんな事はありません。ですが、どの様な機体であっても僕なら十全に扱えました!」
ルナリアとマリナには断固とした抵抗を示していたカルラであったが、打って変わって冷静なサリアの問いには声が詰まった。
要るとも、要らないとも即答できない色んな意味で複雑な問い。
よく考えれば与えられた機体の不満点は幼過ぎる特徴的な容姿だけであり、それ以外に関して問題は一切ないのだ。
だが、妥協をしないのであれば成人型の機体が欲しいというのがカルラの嘘偽りの無い本心である。
「もしかして、アラン達のImitation Human Body《模造人体》が良かった?」
「……あれはちょっと」
だが、成人型といってもアレはアレで特徴的過ぎて遠慮したいというのもカルラの本心であった。
「ノヴァ様、それは流石に酷いです」
「ノヴァ様の命令でもあれは……」
「むさ苦しいので拒否します」
「イヤ! 今のままがいい!」
追撃を掛ける様にデイヴ、サリア、マリナ、ルナリアの順でノヴァに厳しい言葉が突き刺さる。
ノヴァとしては良く出来たシリーズだと思っているのだが、ルナリアとアンドロイド達の感性には合わないようである。
「……分かりました。でも何時までも子供型でいるつもりはありません」
これ以上、ノヴァを問い詰めても問題解決どころか、さらなる悪化を招くと導き出したカルラは一先ず追及の手を止めた。
渋々であるが、仕方ないのだと自分を納得させようとした。
──その判断がいけなかったと後でカルラは後悔した。
「それじゃ、お洋服を選びましょう! これ程着飾り甲斐がある身体をしていながら、支給された衣類だけしか無いのは大問題です! 急いで着せ替え人……、んんっ! 替えの服装を用意しましょう!」
「着せ替え!」
「あ、ちょ、今、着せ替え人形って言わなかった!?」
追及の手を止めた瞬間にカルラはマリナによって小脇に抱えられる。
そして戦闘用でもない機体でありながら目にも止まらぬ速さでルナリアと共に部屋から連れ去られてしまった。
その光景をマリナのはしゃぎ様から予想していたノヴァは、最低2時間は固いと判断したが何も言わず愉快な三人を見送るだけに留めた。
そして、部屋に残ったのはノヴァとデイヴ、そしてサリアだけとなった。
「ノヴァ様、お遊びはそこまでにして下さい」
「遊びはしていな……、ちょっとだけあったかな?」
サリアの厳しい視線に降参したノヴァは素直に白旗を上げた。
だからといってサリアが何かをするわけでもなく、意味深な溜息を吐くだけに留まった。
「二人とも、他愛もない遣り取りは終わりです。サリアはノヴァ様の護衛として予定している面会に同席して下さい。ノヴァ様はこの後に予定としていた面会は覚えていますか?」
「第一回の面会だな」
先程迄の愉快な遣り取りとは打って変わり、三人は今後の予定について確認を始める。
「それで面会を求めている勢力と彼らの目的は分かるか?」
「此方のデータが面会する組織に関する情報の一覧です」
ノヴァが本拠地である<ガリレオ>に帰ってきた事で<木星機関>の行動方針は再び大きく変化する事になった。
その余波は大きく、<木星機関>と関りを持つ大小様々な組織が今度の方針に関する説明を求めていた。
今回は、関わりのある組織の中でも大きな部類であり、今後の影響力と所属人数を考慮して組織の首長との面談が予定されていた。
「最初の相手は<連邦復興委員会>。此方が組織に関する情報と、彼らから事前に提出された計画書になります」
「……<連邦復興委員会>に、進める計画の名前が<人類復興計画>。もう少しネーミングはどうにかならなかったのか?」
「肩を持つつもりはありませんが、彼らもこの世界で生きようと必死なのです。計画名に人類復興と銘打っていますが、本質は連邦の復興なのでしょう」
「だろうな。はてさて、吉と出るか凶と出るか不安になるな」
デイヴに先導されながら<タワー>内部を歩くノヴァは先程の愉快な光景から緩んだ緊張を引き締め直す。
何故なら、今日の仕事はこれから始まるのだから。
◆
過去、連邦は敵であるエイリアンが運用する各種兵器群に対してなんら有効な対抗策を見出す事が出来ずに防戦一方に追い込まれた。
日々悪化していく戦況を前に連邦は倫理的に問題とされた自立稼働自己増殖型無人兵器の配備計画を筆頭に、多種多様な対抗策を実行するも何れも有効打にはならず、最終的には起死回生の策として国内における核兵器の集中運用が決定された。
──破滅を回避する為に未来を差し出す。
核兵器の集中運用後の世界、地上が人間の生存が困難になる程に汚染される事は誰もが理解していた。
理解していても禁断の手段に縋るしか無い程に連邦は追い込まれていたのだ。
そして大統領令により核兵器の運用が決まり、連邦政府はXデイに向けた準備として連邦市民の為のシェルター建造が開始された。
だが、連邦に住む億単位の人間を全て地下シェルターに避難させるのは時間も人手も資源も、何もかもが不足していて当時の連邦には物理的に不可能であった。
無論、連邦政府も対帝国を見据えた避難施設の備えがあったが、建設していたのは一時的に戦火から逃れる為の避難壕が殆どであり、シェルターとしての機能は有していない。
そして当時の試算では、汚染と崩壊から逃れ、文明的な生活を送れるだけのシェルターを全国民に提供するには天文学的な予算と際限のない資源、大量の人手が必要であった。
簡潔に言えば、核兵器の集中運用は連邦政府が全連邦市民を収容可能なシェルターを用意する事が前提としてあり、それが不可能であれば全連邦市民とは言わないまでも、大多数の市民を見捨てる事と同義であった。
だが、自らの手で市民を見殺しに出来ない、したくない当時の連邦政府は実用化に漕ぎ着けたコールドスリープ技術に注目して前提条件を変えた。
薄暗い地下でも文明的な生活を送らせるのではなく、連邦市民をコールドスリープ技術によって眠らせる事を選んだのだ。
各種装置が地上の汚染に晒されない深度まで掘り進め、その後は大量の冬眠装置を並べればシェルターは完成する。
省スペース、省エネルギー、最小限の資源と時間、人手で建造可能なシェルター。
人間が地上と変わらない文明的な生活を送るのと変わらない通常のシェルターと比較してコールドスリープ装置を導入すればシェルターの大幅な簡素化が可能であった。
こうして、当時の連邦政府は実用化に漕ぎ着けたばかりのコールドスリープ装置の大量投入を決断、主導した事で数字上は全連邦市民を保護するシェルターが実現出来た。
──連邦市民は地上が安全になるまで眠り、安全が確認された後に派遣される政府の人間によって目を覚まします。
これが長い眠りに入る市民に連邦政府が語った言葉であり、追い詰められていた市民も政府の言葉を信じて眠ったのだ。
だが政府の人間は来なかった。
眠りから覚めた人々が目にした世界には最悪な未来が広がっていた。
二百年も経過していた世界は怪物が蔓延る地獄へと変わっていたのだ
コールドスリープ装置で眠っていた人々は誰もが荒れ果てた世界を見て叫び、絶望した市民の中には現実に向き合う事を拒絶して自ら命を絶った者もいた。
だが、悲嘆に沈む彼らの目の前には蜘蛛の糸が一本だけあった。
それが<木星機関>であり、彼らを目覚めさせた張本人でもあった。
「元帥、そろそろお時間です」
「元帥は止めてくれ。本来の私は後方担当の准将でしかない」
<タワー>内部の一室には着飾った二人の壮年の男性がいた。
一人は連邦軍属である事を示した軍服に幾つもの勲章を下げているが、どれもが輝きを失くして曇っていた。
残る一人は軍服ではなく仕立ての良いスーツを着ているが、此方は此方でスーツの色が落ちており何処かみすぼらしさを纏っていた。
軍人と市民という両極端な組み合わせであるが、二人は見知らぬ場所であっても軽口を叩き合う余裕があった。
「だが、現在の私達の中で一番社会的地位が高いのは貴方しかいない。軍属の最高位も貴方しかおらず、繰り上がりはおかしくありません」
「それで今は元帥であり、委員会のトップか。何とも出世したものだな」
「……私は副市長止まり。そんな私よりも貴方を委員長にと望む声が沢山あったのです」
「すまん、言い方が悪かった。そうだな、現状のトップに求める役割と重責、それを聞けば誰も手を上げないのは当然だ。であれば他者を推薦するしかなく、該当するのが私しかいないのも仕方ないのだろう」
<連邦復興委員会>の母体となったのは、行方不明になったノヴァ捜索の過程で大量に発見されたコールドスリープされた連邦の人間であり、二人も当時を生きていた人間である。
二人は世界が崩壊する前の、文字通り連邦と呼ばれる巨大国家が大陸を統べていた時代に生まれた。
そして、昔の面影が一切残っていない様変わりした世界を当初は受け入れる事が出来ず絶望した一人である。
だが、地獄から逃れる為に自殺する事を選ばず、先に目が覚めていた元連邦市民が組織した互助組織に参加。
その後、コールドスリープから目覚める人々の増加に伴い急拡大して互助組織は<連邦復興委員会>と改名。
また改名時にコールドスリープ前の社会的地位の高さを知った他の人々の推薦によって二人は代表と副代表となった経緯がある。
そんな二人にとって今回の面談は<連邦復興委員会>の存続は元より、彼らが所属するコミュニティーの生存が掛かった非常に重要なものなのだ。
「……そろそろ時間だな」
「ああ、アンドロイドを従えるだけあって時間に正確だ」
そして、アンドロイドから指定された時間丁度に二人がいる部屋の扉が外から開かれた。
「<連邦復興委員会>の方々、初めまして。私が<木星機関>の代表を務めるノヴァです。よろしくお願いします」
現れたのはアンドロイドを引き連れた一人の青年。
二人の男の視線の先にいる彼こそが<連邦復興委員会>に留まらず、現時点において確認される様々な組織、コミュニティーから注目を集める人物。
そして、一部の人々から目の前にいる青年の事を畏れと敬意以て彼はこうも呼ばれる。
──<アンドロイドの王>と。