「世界一のストライカーでなければ世界一のエゴイストにはなれない」 作:名前決ま欄
チャンピオンズリーグ 決勝トーナメント
ヨーロッパのある国で今、サッカーでもっとも熱い試合が行われている。
欧州5大リーグとも言われる各国の強豪クラブがしのぎをきって競い合うサッカーの大会。チャンピオンズリーグともなるとその注目度や知名度はW杯と並ぶほどだ。ある選手は言った
「W杯で勝つよりチャンピオンズリーグで優勝した方が嬉しい」と。
《いやー、スタジアム雰囲気が熱いですね。これゃスタジアムのボルテージも最高潮です》
実況を担当するアナウンサーが会場の雰囲気を語る。有名クラブのスタジアムともなると数万人のサポーターが訪れ、テレビ中継やネット配信を合わせると3億から4億の視聴者に登ると言う。
《そうですね。何千何万人に人達が注目する試合ですから。ただ今日は日本人のサポーターも多いじゃないですか?》
《やっぱり彼じゃないですか。今や日本人FWナンバーワンて呼び声高いですから》
スタジアムの観客席は現地人のヨーロッパ人が多い。だがそこには日本語で書かれたボードを掲げる観客もいた。
《スターティングメンバーの発表です。4バック、スリーセンターと続いてスリートップ。
《やっぱりスタメンですね。今日は点を取ってくれるか期待です》
実況と解説の男が台本を読み上げていく。両チームのスターティングメンバー及びベンチメンバーの話になり話題はまた日本人FWに戻ってきた。
《それにしても凄いですねぇ。この活気。観てる私達も緊張感が伝わってきます》
《ですねぇ。ヨーロッパNo. 1のクラブを決める訳ですから。そこに日本人選手がいる事が誇りです》
《はは。現地評価や我々日本での評価もここ最近鰻登りですからねぇ。
実況の男が感服したように解説の男に問いかける。
《若いですね。末恐ろしいです。私が19の頃なんてまだベンチでしたから》
解説の男のジョークで雰囲気が明るくなる。実況の男が嬉々した声音で問いかけた。
《〇〇さんが思うに
解説の男は思案する。
《そうですね。テクニック、身体能力、フィジカルどれを取っても彼は一流だと思いますよ。ただ僕が思うに彼の1番の武器はメンタルだと思います》
《と言うと?》
《ピッチ内外での立ち振る舞いもそうなんですが、
《規律を守るなど監督やコーチ陣からの人望もありそうですよね。さてお時間になりました。───選手入場のお時間です》
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いやー、疲れたぁ。
俺は相手チームの選手に握手や抱擁を求められていた。
え、ユニフォーム? 欲しけりゃくれてやる探せ。俺はユニフォーム交換を求めてくる選手に汗まみれのユニフォームをあげた。お返しにはブルーのユニフォーム。背面にはネームと背番号が記されている。よし、これでコレクションが増えた。俺はまだ握手をしていない選手の元へ向かった。
「ハットトリックおめでとう。クリス。今夜はパーティーですね」
俺は今日の試合の対戦相手
マンシャイン・C所属 クリス・プリンス
に声をかけていた。金髪碧眼と鍛え抜かれた身体がかっこいい。西洋の彫刻の様な面立ちと言ったら伝わるだろうか。そんなハンサムなクリスさんは半裸で良い匂いただ合わせていた。あれ俺、今、汗だくで気持ち悪いだけどな。
「はは。まさか3点も取れるなんてね。我ながら笑いが止まらないよ」
「流石クリスさんです。服着られては? 冷えますよ」
俺がそう言うと、クリスさんは笑いながら手で前髪をかき上げる。
「大丈夫。僕の身体はそんなやわじゃない。鍛え抜かれた肉体が僕を守ってくれるのさ。そうゆう君も今日1点取ってたじゃないか」
「あーアレはCKからの混戦の中だったのでたまたまです」
「はは。君が言うと嫌味に聞こえるね。この
クリスさんが片手でバシバシと背中を叩いてくる。……痛い。ただでさえ力強いのに。痛い思いは試合だけで十分だ。俺は半笑いで答えておく。
「今日はおめでとう。良い夜を」
「あぁ。君も良い夜を。あぁ、君のシャツと交換したいんだけど良いかい?」
今日は俺のユニフォームが大人気の様だ。あんな汗まみれの臭えユニになんの価値があるのか。ただ交換を申し込まれて断るのは心苦しい。どうしようか悩む。
「ごめん、クリス。もうシャツは交換しちゃったんだ。また今度でも良いかい?」
「no problemさ! 君のシャツならいくらでも待つよ。また2ndの時よろしく頼むよ」
俺達はそうして最後の握手をした。
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俺は数ヶ月ぶりのオフシーズンを貰い、母国、日本に帰国していた。練習やリーグは今は一時休止している。そんな中での取材での仕事。都内、日本サッカー協会のビルでの仕事だった。疲労や精神的な理由があるからと断りたかったが頼まれたら断れない性格の俺。は断れる事なくある男とのスペシャル対談なるモノを組まされていた。
「サッカージャーナルの弐瓶と申します。今日はお忙しいところ取材に応じてくれてありがとうございます」
「……」
「はは。どうも。今日はよろしくお願いします」
おい、コラ。冴ちゃん。ちゃんと挨拶しなさい。これだから礼儀がなってないとか愛想がないって言われるんだぞ。
俺は取材に応じたもう1人の選手、
冴と俺の仲は良い……筈だ? 歳も近いしこう言った仕事柄ちょくちょく会って喋る。移住地も今は海外だから何かと話がしやすい。俺はそんな風に考えていると記者の弐瓶さんが冴に幾つかの質問をしていた。
─────名門クラブレ・アールでのプレー有無。規定によりトップチームでのプレーが出来なかった事。
─────日本でプレーするのは死んでも嫌っす。との事。
「この国には俺のパスを受けられる
「え、ここで俺にふる?」
突然の冴からの指名。冴は「まぁ、こいつの場合1人で自己完結できるけど」とか言ってる。あんまり辞めて欲しい。目立つのは。ここで冴の特集で終わって俺は隅っこの方でちょこっとの文面だけで良い筈。俺は適当に話を振った。
「彼の場合言葉足りずなだけです。しっかりコミュニケーションやチームプレイ徹したら彼は代表での主軸になっていく選手です」
弐瓶さんはメモを見ながらペンを走らせた。
「なるほど。天才と天才は惹かれ合うと言う事なんですね。糸師選手や
「……コイツの場合、技術や身体能力に問題はないっすけどプレースタイルが俺に合わないっすね。俺が満点のパス出しても仲間に散らすとかキーププレイしかしない」
「まぁ、それが俺のプレースタイルだからね。
──────自分でシュート決めるよりアシストする方が嬉しいんだ」
「……な、訳で俺とコイツとじゃ共存は無理で」
冴が睨みつけてくる。まだ何か言いたげな顔だ。しまいには拳も飛んできそうだ。俺は畏怖しながら時が進むのを待った。
「そうか。……それは残念。話を変えて、
「あの試合はポゼッション自体も取られてましたし、押し込まれる展開が多かったです。だからカウンターやCK、FCは組織的にやろうと指示されてました」
「ならほど。だからあの
「はは。ありがとうございます」
褒められた事に対しては素直に感謝しておく。この業界にいるとどうもこう言った言葉が多い。反応に困るから素直にありがとうで良いのだ。と学んだ。
それから、日本人では珍しいヨーロッパで通用する大型FWなどと褒め称えられた。
「それから最後にサッカーを始めたきっかけはなんですか?」
「え、なんかこうもっと自分に自己主張……エゴイズムが欲しかったからです」
「まだ早いと思いますが引退後のキャリアはどう考えていますか?」
「(早く引退したいので)俺がW杯優勝させます」