IDOLY PRIDE 翼を広げて   作:秋空沙怜

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こんにちは、秋空沙怜です。ひさしぶりの更新となり年末前に投稿することができてよかったです。年内終了を目標にしていましたが来年以降に
変更になると思います。今回も最後まで読んでいただけると嬉しいです。


本物とそれぞれの想い

「(もう嫌よ…私は…また…また何もできない…誰一人…優も…お母様も…どうしてなの!?またこのまま、ダメになるの…どうしたら…)」

 

どうにかしたいという気持ちとは裏腹に自分のことを責め、何度も何度も止めようとしたが瑠依やみんなに対する気持ちが大きいすぎて、溢れる涙を止めれなく泣いていたが、涙が携帯の画面に落ち、それに反応して画面がついた。光る画面にスーミレは、視線を携帯へと移した。そこには、瑠依、優、メイドと撮った写真が映った。

 

「(これは…あの時の写真…)」

 

すると、以前、ビーチで瑠依に言われた言葉を思い出した。

 

「(絶望したっていい、失敗したっていい、泣いたっていいのよ。けど、あなたはそこから立ち上がって、前に進むことができるって私は知っているわ。)」

 

そんなことを思い出して、泣きながら笑った。

 

「そうよね…瑠依。泣いたっていい、失敗しても、絶望もしてもいい…」

 

スーミレは、溢れていた涙を止めた。

 

「私は…私は!あの時、誓ったんだ。もう二度と諦めたり、逃げたりしない!私には、こんなにもかけがえのない大切で大事な人がいる。私のことを必要と思ってくれる人がいる。こんなところで終わらないわ。必ず、3人…いいえ、すみれも迎えて、4人で笑うんだ。」

 

そう言い、スーミレは、立ち上がり、部屋を飛び出した。

 

一方、その頃、瑠依は優と別れた場所で膝をつき雨に打たれながら、水たまりに映る自分を見ていた。

 

「優…私は、一体…どうしたらよかったの…なんて声をかければ良かった…」

 

そんな瑠依を見て、スーミレから瑠依をお願いされた、メイドは近づいて傘を瑠依が濡れないようにさした。

 

「瑠依様、大丈夫ですか?こんな所で居ては、風邪を引いてしまいますわ。ささ、一度ホテルにお戻りになりましょう。」

 

でも瑠依は返事をしなかった…

 

「優…なんで…」

 

すると、過去を振り返るように優との思い出が頭をよぎった。

 

「(瑠依ちゃん!瑠衣ちゃん。うちは、瑠依ちゃんのすること、やりたいことならどこまでもついていくで!ほんと瑠依ちゃんは、頑なやな。やったで、瑠依ちゃん、うちら勝ったんやで!)」

 

次第に雨か涙かわからないが地面に落ちていった。

 

「(すみれも優もいなくって…私は…どうしたら…)」

 

「(言ったのに…)」

 

「え?」

 

突然、雨の音が消え、声が聞こえ、人影見え、視線を上げると、どこから現れたのかわからないが小さな女の子が前に立っていた。

 

急な出来事に瑠依は周りを見渡したが、誰もなにもなく、二人だけの空間になっていた。思わずは、少女に声をかける。

 

「だ、だれ?」

 

「ねぇ、なんで泣いているの?」

 

少女の質問に瑠依は、視線を逸らした。

 

「な、なんでって…それは…」

 

「ふーん。まぁなんでもいいけど、あの時言われてなかった?」

 

「あの時?」

 

少女は笑顔で答えた。

 

「うん、琴乃ちゃんに負けた時に言われてなかった?一人でアイドルした方がいいよって?」

 

「ち、違うわ!それは、絶対に!」

 

「なにが違うの?」

 

少女は首を傾げた。

 

「それは…」

 

「だって、一人でやらなかったからこんなに辛い想いをしているんじゃないの?」

 

「そんなことないわ!絶対に…」

 

「嘘ね。そんなことがあるから優もすみれも何もかも失ってるのよ。もうアイドル辞めちゃえば?辞めたら、辛い想いしないよ??」

 

「私は…私は辞めたりなんか…」

 

瑠依が言い淀んでいると、少女は最後まで聞かずに溜め息を漏らし、答えた。

 

「無理よ無理。いまのあなたを見て、誰が喜ぶの?誰があなたとステージに立ちたいと思うの?もういいわ。あなたは、初めからアイドルになるべき…いいえ、ならないことを選ぶべきだったわね。本当にこんな人になるなんて…最初から憧れなんてするんじゃなかったわ。うんざりだわ。」

 

「ま…待って…」

 

瑠依の言葉を少女には、届かず何処かに消えてしまった…

 

「もう、何が何だかわからないわね…もう本当にダメなのか…」

 

するとまた、声が聞こえてきた。

 

「…様…瑠依…様…瑠依様!!」

 

その声は、メイドの声だった。

 

「大丈夫ですか??先ほどから何度も声をかけていたのですが…」

 

「え…?だ、大丈夫です…」

 

「なら、いいのですが。」

 

すると、突然、瑠依立ち上がり、メイドに伝えた。

 

「私は、もう大丈夫です。少し歩いてから帰りますので、メイドさんは、スーミレの所に行ってあげてください。」

 

「で、ですが、スーミレ様に瑠依様の元にと言われてますので…」

 

「本当に大丈夫ですから。私行きますね!」

 

そう言い、瑠依はその場を走り出し立ち去った。その際に瑠依の瞳には涙が…

 

その顔を見て、メイドは

 

「る、瑠依様…!」

 

メイドは追いかけることも出来ずに、その場で立ったままだった。

 

 

走り出した、瑠依はどこかに向かいわけでもなく、ただ走った。

 

「ごめんなさい…優、すみれ、スーミレ。もう、きっと…アイドルをしてはいけないのかもしれない…私は何もできない。」

 

そうして、瑠依はどこかへと姿を消した…

そんな瑠依とは、対極的にスーミレは前を見て、走っていた。

 

「瑠依、優、すみれ!待ってなさいよ!必ず私がなんとするから!」

 

走り出した、スーミレは今は使われていない、人気のつかない古い教会に着いた。

 

「はぁはぁ…着いた。」

 

スーミレは中に入り、息を整え、身だしなみを直していると、足音が聞こえ、その方向に視線を向けるとそこにすみれが姿を現した。

 

「一体、なんなのですか?突然、連絡をしてきたと思えば、人をこんな場所に呼んで、会いたいと言ってきますし、来てみたら、お茶の一つも無さそうですし、何様のつもり?」

 

「いいじゃない?それに約束通り一人で来てくれたし。さすが王女様。」

 

「ふふっ、安っぽい挑発でしたがまぁあなたの元王女様のお顔を立てると思って、来ただけですよ。」

 

「っ!まぁいいわ。こんなことを話に来たわけじゃないし。」

 

「そうですわね?そんなくだらないことで私を呼び出したわけないですわよね?」

 

「ええ、もちろん。まどろっこしい話も無しで単刀直入に聞くわ。あなた、優に何をしたの?」

 

スーミレの唐突な質問にすみれは、クスッと笑った。

 

「何かと思えば、何その質問?」

 

「いいから答えて!」

 

はぐらかす、すみれに対してスーミレは声を荒げる。しかし、すみれは予知をしていたのか淡々と答えた。

 

「知らないわよ。」

 

「そんなはずないでしょ!あなたが何かしなければ、優は…優はいなくなったりしないわよ!」

 

「(なんだ、あんな単純な演技で優ちゃんはいなくなったんだ。)」

 

「なんとか言いなさいよ!」

 

スーミレは、すみれを真っ直ぐに見た。

 

「しつこいわね。なにも知らないわよ。勝手に辞めたんじゃないの?少なくとも私は直接、何かしたわけでもないし、勝手に思い込んだじゃないの?」

 

スーミレはすみれの言葉を一言も逃すことなく、疑問に思ったことをすぐに質問し返した。

 

「なんで優がトリエルを辞めたって知っているのよ!それに直接は何もしてないって…やっぱり、あなたなにかしたのね!ねぇ!何を!優に何をしたの?」

 

スーミレはすみれの腕を掴んだが、すみれはそれを軽く振り払った。

 

「話はこれで終わりよ。そんなに知りたければ二人から直接聞けば?」

 

そう言い、すみれは立ち去ろうとした。

 

「ま、待ちなさい!話は終わってないわよ!」

 

「いいえ、終わりましたよ?もう話すことも会うこともないんだから。」

 

「だから!」

 

「しつこいですよ?私はあなたと違って、馴れ合ってる暇はないの?わかる?私はあなたと違って、お母様の期待も背よっているのよ?自分のことしか考えてないあなたとはね。」

 

スーミレは、すみれの何を考えてるかそして、暗い目を見て、さっきまでの威勢は消え、気づいた頃には、恐怖を感じ、おとなしくなっていたが…

 

「わかってもらえて良かったわ。さすが元王女様。それでは…」

 

すると、スーミレは突然、笑い始め、すみれはそれを見て、イラつきを隠せなかった。

 

「何がおかしいの?」

 

「いやいや、ごめんなさいね。あなたも私と同じってなったら、おかしくて、笑いが止まらなくなったよ。」

 

すみれは、スーミレを睨みつけるように言った。

 

「何?頭でも壊れたのかしら?それにあなたと私が同じってどういう意味よ…」

 

「同じよ。そんなこともわからないの?あなたも私もいまの居場所にいるために必死になっているのよ。私たちって本当に似たもの同士よね。」

 

「あなたなんかと一緒にしないでちょうだい!」

 

「はいはい。ごめんなさいね、王女様。まぁいいわ。最初はあなたから洗いざらい話してもらうまでは、粘るつもりだったけど、少し演技をしたら勝手にペラペラと話してくれたし、扱いやすかったわよ?ありがとうね。」

 

「っ!!好き勝手言わせれば、このっ!」

 

スーミレの言葉に対して、すみれはなにも答えることが出来ずにスーミレに近づき、手をあげようとした。

しかし、スーミレはすみれの振り払った手をいとも簡単に掴んだ。

 

「なに?そんなに私に手を掴まれたのが不思議?気づいていないかもしれないからいいことを教えてあげるわ?」

 

「驚いてなんて…」

 

すみれは、初めてスーミレの前で動揺してしまった。

 

「いい?よく聞きない?あなたはいま一人で来て、私を傷つけることも、屈服させることもできない。なぜかわかる?」

 

「ふっ、なに?強がり?」

 

「いいえ?違うわ。強がりでも見栄でもないわ。私が王女だからよ?そして、あなたは王女ではなく、TRINITYAiLEの奥山すみれなのよ!」

 

スーミレの言葉にすみれは、小さな声からだんだんと大きな声で叫んだ。

 

「…さい…うるさい…うるさいうるさいうるさい!私はもう、奥山すみれじゃない!!私は、スーミレになったよ!この国の王女になったよ!」

 

すると、それを聞いて、スーミレは微笑んだ。

 

「違うわ。あなたには、瑠依も優も大切な人が周りにたくさんいるわ。

もちろん、私もね。いまは、まだ王女様でいいかもしれない。

けど、本当の自分を忘れないで欲しいの。いままでのことを無かったことにしないで、ただそれを言いたかったのよ。」

 

すみれは、膝をつき下を向き何も話さなくなってしまった。

スーミレはそれを見て。

 

「大丈夫よ。あなたはこんなところで負けたりしないわ。だから私たちは、いつでもあなたの帰りを待っているからね。それと、優のこと話してくれてありがとう。」

 

そう言い、スーミレはその場を離れていった。

一人になった、すみれは、落ちてる石を手で握り、スーミレの歩いた方向にそれを力いっぱい投げつけてから、地面の砂をつかんだ。

 

「負ける?間違っている?待っている?いいえ、負けてもいなし、間違ってもいない。そして、誰も何も待っていないわ。私には、もうこの道しかないのだから。覚えてなさい、この屈辱は絶対に返すから…」

 

そして、立ち上がり、すみれもどこかへと姿を消していった…

 

スーミレが教会から外に出ると先ほどまで雨が降っていたとは思えないほど、空は青く遠くまで澄み切っていた。

 

「っ!眩しい…」

 

スーミレは、久しぶりに太陽を見た気がしたのか、手を顔にかざしながら隙間から漏れる光を見て少し笑った。

 

「いい天気ね。なんでだろうね?今ならなんでもできる気がするわ。さぁ反撃開始ね。」

 

そう言い、スーミレは再び走り出した。

 

その頃、瑠依はどこに行くわけでもなく。

ただ走り出し、息が切れ立止まって周りを見ると自分がどこにいるのかもわからない場所に来ていた。

 

「ここは…どこ…いえ、そんなことはどうでもいいわね。もう、私は…」

 

ひとりごとを呟き、立ち尽くしていると

また、あの時の少女が話しかけてきた。

 

「あーあ。結局逃げ出してきたんだね。だから

あの時のこと守っていればよかったのにー。」

 

「……」

 

瑠依は、少女のことを見ずに歩き始めた。

 

「待ってよ。何逃げるの?」

 

「……」

 

少女の質問に対して、何も話さずに足を止めなかった。

 

「そうやって、また嫌なことから逃げるんだ。私からも優やみんなからも。」

 

「やめて…」

 

「そうだよね!逃げ出さないと無理だもんね?」

 

少女の笑顔にイラついた、瑠依は…

 

「違う!私は…」

 

「私は?なに?あなたになにがあるの?」

 

「わ、私には…私には…」

 

「なにもないよね?あなたに残っているのは、敗北よ?それ以外なにもない。」

 

「消えて!もう来ないで!!私は…私は…」

 

そう言い、再び瑠依は走り出した。

 

一方、優はホテルから大量の荷物を持ってきていたためその荷物を預け、帽子とサングラスして、街に出掛けていた。

 

「ふぅー、やっと片付いたわ。なんだか背負うものがなくなるとこんなにも人って気分が楽になるんやなー。」

 

トリエルをやめ、アイドルをやめた優は、晴々な気持ちでまるで自由を得た鳥のようだった。

 

「うちはこれからもう、自分のやりたいこと好きなことをして生きていくんや。もうあんな思いはしたくない。二度と絶対に…」

 

そんな強い想いを内に潜めて、優は休憩がてらカフェに入った。

 

「やっと涼しい場所についたー。外は暑いし、雨も降ってて、ジメジメしてたしほんとしんどいわ〜。」

 

店内は冷房がよく効いており、落ち着いた雰囲気だった。注文を終え、席につき飲み物を飲みながら携帯を見ながらこれからのことを考えているとお店のテレビから日本のニュースが流れてきた。優はそれに耳を傾けた。

 

「へぇー、こんなところでも日本のニュースが

流れるんやな。なんか不思議というかなんというか。」

 

しばらくニュースを見ていると。

 

「次は、いま、話題沸騰中のこの方々!」

 

そこに映ったのは、長瀬琴乃のリズノワールの

メンバーだった。

 

すると、ここでは見ることはないだろうと思っていた優は少しむせてしまった。

 

「うそ…やろ…こんなところまでアイドルの話するん?しかも星見プロと琴乃ちゃんやん。」

 

優は、自然とテレビから目が離せずにいて、番組のMCが紹介する情報を静かに見つめた。

 

「現在行われている、BIG4No.1決定ライブバトル!今回のライブバトルは多くのファンが待ち望んだ対戦カードです。突如現れた。元月のテンペストリーダー長瀬琴乃、それに対抗するのは人気グループ、リズノワール!どうなることなんでしょうか。勝利予想では長瀬琴乃に圧倒的な数の票を持っていましたが、リズノワはそう簡単に勝てる相手ではないことは本人もわかっていると思います。さぁ今回のバトル勝つのはスリクス、トリエルと次々と強敵を圧倒した、長瀬琴乃か!それとも圧倒的な歌唱力、ダンス、そして、コンビネーションを備えるリズノワールか!勝負の行方は明日決まります!」

 

番組が終わり、CMが流れてしばらく画面を見続けていた。

 

「なんや、リズノワさんたちも琴乃ちゃんに挑むか…どうせ勝てると思い込んでいるんやろな。絶対に無理やのに。それにトリエルも圧倒か…」

 

飲み物を一口飲み、優は昔のことを思い出していた。それは長瀬琴乃とライブ直前の出来事だった。

 

 





今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。もう一話年内に投稿できるように頑張ります。
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