こんちには、秋空沙怜です。なんとなライブ前に更新ができてよかったです。今回も最後まで読んでいただけると、とてもありがたいです。よろしくお願いします!
時は遡り、瑠依たちが病室を後にして、スーミレが一人になったとき。
スーミレは、窓の外から遠くを見つめていた。
「(お母様には娘じゃないといわれて、瑠依たちにも、酷いことをいってしまったし、もう、合わせる顔がないわ…何を信じていいかわからないし…このまま消えたい…一人になりたい…)」
一人、ベットの上で膝を抱えながら顔を伏せて、座っていると、いきなり扉が開いた。
スーミレは誰が入ってきたかも確認をしようとせずに、瑠依たちが戻ってきたと思っていた。
「瑠依、私の話を聞いていた?いまはお願いだから一人にさせてといったわよね?話もしたくないし…」
しかし、スーミレの言葉に返ってくる言葉がなく、痺れを切らして、顔をあげた。
「ねぇ!聞いているの!!私は…え?…なん…で…ここに…」
「あらあら、心配だから様子を見にきたら、そんな酷い対応をするなんて、王女らしからぬ行動ですね。」
そこにいたのは、瑠依でも優でもメイドでもなく。スーミレになり変わっている、すみれだった。
「なんで…なんであんたがここにいるのよ!!一体、何をしにきたと言うの!」
スーミレは目を鋭く、怒りを露わにした表情ですみれを見た、すると、すみれは手を口元に当てて、クスッと笑った。
「そんなに怖い顔をしなくてもいいじゃないですか?わざわざ、お母様たちの目を盗んで、お城を出て、私はあなたに話をしにきたのですよ?」
すみれはお城で寝たふりをして、実はこっそりと抜け出して、スーミレの病院にやってきていた。
「話?ふざけないで!私はあなたに話なんてないわ!帰ってもらえるかしら?」
「いいんですか?あなたにとっても良い話なんですが?」
「どういう意味よ…」
「聞くつもりはなかったのですが、先ほど、一人になりたいとか、どこか遠くへ行きたいって言ってたじゃありませんか?」
「そ、そんなこと言っていないわ。」
不意をつかれたのか、スーミレの表情が一瞬くずれる。
「どうやら、図星のようですね?なので私が素晴らしい提案を差し上げましょう。」
スーミレは何も言い返さずに黙っていた。
「黙っているということは、聞くということでよろしいですね?」
すると、すみれはスーミレの耳元で話始めた。
「私が提案をするのは、あなたがあの二人を二度と私の元に近づかせないようにして、諦めさせてくれればいいのですよ。」
「何を言って…」
スーミレが話そうとしたとき、すみれはスーミレの唇に人差し指を当てた。
「ダメですわよ、王女様?人の話は最後まで聞いてもらわないと?まだ続きがありますから。あなたがもし、これをしてくれるのであれば、あなたの一人になって遠くへ行きたいという、願いを叶えてあげますわ。どう?悪い話ではないでしょ?」
その話を聞いて、感情的になるスーミレ。
「そんなこと、あなたにできるわけが…」
「できますわよ!」
すみれは大声で返事をした。
「だって、私はいま、王女ですから。お母様にお願いすれば、一つや二つの願い事は叶えてくれますわ。」
「いくら、あなたでも無理ね!あのお母様がそんなこと認めてくれるわけないわ!」
「ふふっ、そうでしょうか?」
すみれの不敵な笑みを見た、スーミレは。
「なにがおかしいのよ?」
「いえ、だって、あなたの知っているお母様と私が知っているお母様では、ぜんぜん別人ですから。」
「何を言っているの?お母様はお母様よ?そんなわけ…」
スーミレは、そう思っていたが、お城でのことを思い出した。寂しそうな顔をしたスーミレを見てすみれは。
「どうやら、心当たりもあったようですし、そうですね。明日まで返事を待ちますわ。それではいいお答えをお待ちしておりますね?」
そう言い、すみれは病室を出ていき、スーミレは一人、病室のベットからしばらく動くことができなかった。
「私は…私は…」
お母様と仲直りをしたい気持ちとこのまま一人になりたい気持ちとでぐちゃぐちゃになっていたが、すみれやお母様の言葉を思い出した。
すると、スーミレは黙って、1人どこかへ消えてしまった。
〜そして、現在の瑠依たちへ〜
「スーミレ!どこにいるの?」
「スーミレちゃーん?いたら返事してや!」
瑠依と優は周囲を隅から隅まで探していたが、スーミレを見つけれずにいた。
「いないわね。」
「そうやな、ほんまにどこにおるんやろ…」
「手分けして、もう少し探してみましょ。何かあったら、連絡するってことで!」
「わかったで!けど無理はしたらあかんで!」
「優こそね。」
そうして、瑠依と優はそれぞれ別れてスーミレを再び探しにいった。
「(待っていてね、スーミレ。必ず見つけるから)」
病室を飛び出してから、1人、スーミレはただ歩いていた。
「(……、私…一体…)」
すると、スーミレの足に痛みが走った。
「痛っ、あれ?なんで私、素足で歩いているんだろう…まぁどうでもいいわね。それに、いままで、誰かと一緒に歩くことが多かったから、1人で街を歩くことがこんなにも怖くて…知らない街に感じてきたわ…」
すると、通行人から声をかけられた。
「お嬢さん、こんな夜に1人でしかも、素足で歩いていたら、危ないよ?お母さんとお父さんは近くにいるのかな??」
スーミレは突然、話しかけられて、体が恐怖心に包まれて、息が荒くなった。
「だ、大丈夫かい?いま、救急車を呼んであげるから」
次の瞬間、スーミレは走り出した。
「あっ、あぁっ、(に、逃げなきゃ…きっと捕まって、また…また…)」
スーミレは何も考えずにすぎてく、景色が別世界で歩いてる人が全員、捕まえにきていると、そう感じ、ただひたすら走った。
そして、どれぐらい走ったか覚えておらず、体力が切れたころには、海にいた。
スーミレは浜辺に膝を抱えて、丸まりながら寝転がっていた。
「はぁ、はぁはぁ…(こ、怖い…なんでみんなして、私を…私を…)お願いだから放っておいてよ!!」
この時、スーミレの心の容量はいっぱいどころか、溢れかえっており、気を正常に保つことができていなかった…
〜一方で瑠依たちは〜
優と別れてから、辺りを探していたが、いまだに見つかっていなかった。
「いないわね。優からも連絡もないし…今日のところは一旦、戻って明日また探そうかしら。」
そう思い、優に連絡をしようと携帯を取り出して、歩いていたら。
「おい!さっきの子見たかよ!」
「あぁ、見たぜ。素足で走っている、女の子だろ?何かに追われていたのか?」
「わからないな。けど、あの子どこかで見たことがあるような気が。」
「あれだよ!あれ!王女、スーミレ様にそっくりだったよな。」
「そうだ!そうだ!けど、王女様がこんな夜にしかも、あんな格好でいるわけないだろ?きっとそっくりだよ。」
「そうだよな。けど、なんだったんだろうな。」
「さぁな?まぁそんなことより次の店に行こうぜ!」
瑠依はその話を聞いて、突然その通行人にグループに話しかけた。
「あ、あの!その子ってどっちに向かって、走って行きましたか?」
「え?あぁ、それなら、確か、海の方に走っていた気がするような。」
「ありがとうございます。」
「なんだ、お嬢さん、あの子の知り合いなのか?」
「まぁ、そんなところです。教えてくれて、ありがとうございました。」
そうして、瑠依は海に向かって走り始めた。
「(見つけたわ。絶対にスーミレよ。待っていなさいよ。)」
その頃、スーミレは上がっていた、呼吸は元に戻ったが…感情はボロボロのまま空を見ていた。
「もう、何がなんだか…すみれのあの言葉…ふふっ、私には無理ね…一人になりたいと言ったけど…もう、このまま消えたい…私はもう、誰からも必要とされていない、きっと。だったら…」
スーミレは海へと歩き出し、一歩、一歩進んでいくごとに、体が海に浸かっていった。
「自分の人生をまさか、こんな形で終わることになるなんて、想像もしていなかったわ。でもこれで…」
「…ミレ!ーミレ!」
「だれか…私を呼んでいる?そんなわけないわよね。」
スーミレは、一瞬足を止めたが再び海の中へ歩き始めた、その時だった。スーミレの手を瑠依が掴んだ。
「スーミレ!!スーミレ、なにやってるのよ!」
「(え…?瑠依?なんで…ここにいるの?夢?)」
「スーミレ?スーミレ!ねぇ!聞いているの?」
瑠依はスーミレの肩を揺さぶったが、スーミレの瞳は、真っ暗だった…そして、スーミレは夢だと思ったが、掴まれた手には温かみがあり、夢じゃないとわかった。
「…なして…」
「え?」
「お願い…」
「とにかく、浜辺まで行くわよ。」
「離して!!!」
スーミレは感情的になり瑠依の手を振り払った。
「スーミレ?」
「何をしにきたのよ!私はもう、終わりにしたいのよ!!それなのに、なんでこんな邪魔をするの!!」
「何を言っているの?終わりにする?あなた、死んでいなくなろうなんて思ってないでしょうね!」
「えぇ!そうよ!私はもう、消えたいの!居場所を無くしたのよ!誰からも必要とされていないの!お願いだから、これ以上、私の中に踏みこまないで!私の前から消えて!!」
スーミレは涙を流しながら、瑠依に自分の心の中を打ち明けた。それは15歳が背負うにはあまりにも深い闇で、辛く、悲しく、寂しいものだった。
「スーミレ…」
瑠依は、また手を掴もうとしたが、手が途中で止まってしまった。
そして、スーミレはまた再び歩き始めた。
「まって!スーミレ!」
「何回言わせるつもり!もう来ないで!!私のことはほっておいて!すみれのことも諦めなさい!!あなたたちじゃ何もできないのよ!!いい加減、日本に帰りなさい!この…」
次の瞬間、スーミレの右頬に電気が走ると同時にバチン!!っと音が鳴り赤く腫れていた。
スーミレは歩くのをやめて、手を右頬に当てた。
「いい加減にしなさい!さっきから聞いていれば、必要とされていない?もう終わりにしたい?消えたい?すみれのこともあなたのことも諦めなさい?冗談じゃないわ!一体どれだけ、わがままを言えば気が済むのよ!まだわからないの?あなたには、大切な人たちがいるでしょ!」
「いない…私にはいないわよ!!なにを勝手なことを言っているの!会って間もないのに!ちょっと関わっただけで、何もかも知った口できかないでよ!」
スーミレは怒りを全て瑠依にぶつけていた。
瑠依は、それを真正面から受け止めた。
「えぇ、知らないわよ。あなたのことなんて。けどね、知っていることもあるわよ。いつもうるさくて、頑固でわがままで、自分の目的のためなら、周りも巻き込むし、私たちも散々と振り回された。でもね、誰よりもまっすぐで、明るく笑う姿だったり、隠れて練習するところも、本当は諦めないってところも全部含めて、あなたのことを知っている、私はあなたが大切で大好きよ、スーミレ。」
「なによ!馬鹿馬鹿しい…それに、諦めてないって、私は諦めたからこうやって、消えたいのよ!瑠依たちのこともお母様のこともちっとも大切じゃないわ!みんな、私の邪魔しかしないわ!そんなの大切だとも大事だとも思えないわ!」
「じゃあ、なんで、そんな顔で言っているの?そんなことを思っていたら、泣きながら悲しそうな顔では言わないはずよ。」
「そ、それは…」
瑠依はスーミレのことを優しく包み込むように抱きしめた。
「スーミレ、絶望したっていい、失敗したっていい、泣いたっていいのよ。けど、あなたはそこから立ち上がって、前に進むことができるって私は知っているわ。あなたには、私や優、メイドさん、それにあなたのお母様だっているわよ。周りの人はみんな、あなたのことが大切なのよ。だからそんな風に諦めないで、私たちはずっとそばにいるから。」
スーミレは瑠依の胸の中でその言葉を聞いて、海の水面にポツンと一滴二滴と涙が流れた。
瑠依は、スーミレが泣き止むまで、ずっと優しく抱いていた。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
物語も、いよいよ最終章へ突入する手前まで、更新ができたのでよかったです。次もまた早めの更新ができるように頑張りますので、よろしくお願いします!!