八陰末席のシータは、今日もマスター(シド)の邪魔に忙しい。 作:醤油味のぽんず
4話
ワドルジィを倒し、前に進む。気分はさながら勇者のそれだ。
無い胸をはっていざ前進。
仕方ないじゃん、少女だもん。
すると、なんだか開けたところへと出てきた。
ブクブクと泡を出す液体の入ったポットや古代文字で書かれた文書が多く散乱している。
いかにも研究所のような光景だ。こんなものを学園の下に作るなんて、そんな土地すら用意できないほどに国には金がないのだろうか。それとも、地下にこんな施設を作る方が金があるのか。謎は深まるばかりである。王族の人に合う機会があったらぜひ聞いてみたい。
それはさておき、ここでは一体何を研究しているのだろうか。
研究というのはロマンに溢れている。
研究者たちが己の信念を通して、やりたいことをやり続ける。カッコいいじゃないか。ここ、マスターやイータにもにもいつか見せてあげよう。
ひょっこりと顔を出し、探検を続けるとひときわ大きな部屋たどり着いた。
そこには今よりもひときわ大きなポットがあり、中は赤い液体で染められている。
ポツリ、ポツリと出てくる泡の隙間からわずかに確認できるあれは──腕?
途中でおられているが、たしかにあれは腕のように見えた。おおよそ人間大きさのものには見えないし、ゴツゴツしたものだが、なかなかに禍々しい腕だった。
そして、なぜだろう。
僕はあの腕に強く惹かれる。
まるで、ずっと会えなかった友達に会えるかのように、とても懐かしい気持ちになる。
ずっとずっと見てられる。
見惚れているのだ。
──会いたい。
──触りたい。
──抱きしめたい!
そう思った瞬間、足は自然と前に出てきた。
こんなポットの中に苦しいだろうから、今すぐ開放してあげたい──
ポチッ。
ん、なにか踏んだ?
僕は嫌な予感とともに、視線を下へと下げると──僕のつぶらな足が戦犯してた。
『緊急ボタンが押されました。繰り返します。緊急ボタンが押されました。』
、、、。
古来より、言われている名言がある。また、これからは僕のモットーに書き加えよう。
逃げる勝ちである。
逃げ切れた。
どうしてか、特に追っても来なかったので、壁に大きく「アルセーヌ・シータ惨状!」って書いたのだが、それくらい誰も来なかった。
そう考えてみると、行きのときもやけに人が少なかったような気がする。
なにか大規模な行動でもするから人が少なかったのだろうか。
相手は剣術指南役だ。何かあったら僕じゃどうしようもない
まぁ、どっちにしろうちのマスターがなんとかするだろう。
そう思って思考を止める。
空を仰いでみると、先程の赤とは違い、穏やかな橙色になっていた。
そろそろ帰る時間かと思い、寮へとあるき始める。
すると、またまた聞き馴染みあるの声が聞こえてきた。
「つまり、アレクシアとゼノン先生は婚約者で、僕はその当て馬ってことだろ」
これは乗り込むしかない。
先程の脱出よりもよっぽど速い速度で、かつ気づかれないように声のする方へ近づく。
どうやら、校舎裏にいるらしい。
ひとまず、僕は校舎の影に隠れてタイミングをはかる。
──そして、衝撃的な言葉を聞く。
「分かってるわ。時間が稼げればいいの。あとはこっちでなんとかするから」
「それと危険な目には遭いたくない。相手は剣術指南役だ。何かあったら僕じゃどうしようもない」
え、、、マスターでもどうしようもない?