一体いつからサッカーに筋肉が必要ないと錯覚していた? 作:リーリンリーリン
アンケートも積極的に参加してくれた方々ありがとうござます!!
アンケートの期限は4/10までとしますので投票はお早めにお願いします。
※2023/4/6:感想欄にてずっと気付かなかった臥牙丸→我牙丸へと修正致しました!
マジでありがとうございます!!
フィールドに現れたチームW
「なんというか・・・・肝が据わっているな・・」
「凄い気迫だ・・・」
覚悟の決まった燃え盛るような闘志。当然だ。
今回のチームWは原作とは異なり、馬狼率いるチームXに敗北している。もし仮に今回負けてしまえば次の二次セレクションへ勝ち上がる可能性が一気に下がってしまう。
故に彼らにとってこの一戦は次のステージへと上がるためのラストチャンスでもあるということだ。
(相手にはあの鰐間兄弟がいる。鰐間兄弟だけじゃない。他のメンバーだってこの一戦で勝つための策を講じて修練を重ねてきたはずだ・・)
原作よりも大幅に強くなっているのは必然的。一時も気は抜けない一戦となりうるだろう。
と考えてたまさにその時だった
「ふんッ!」
「!?」
突然兄である鰐間淳一が俺に駆け寄ってきた。
宣戦布告でもしに来たのか・・・?と俺は思っていたが・・・
「ふん」
スッ
「?」
なぜか握手を求めてくる彼。何が何だかよくわからない状況ではあるが、俺は一応握手を返す。
すると鰐間兄はなぜか俺の手を両手で必死に掴んで上下にブンブンと振り回す。
「感謝するぞっ!!」
「「「「「「!?」」」」」」」
キャァァァァァァァシャベッタァァァァァァァ
と突然興奮じみた声でお兄が喋り出したため、俺含むチームWのメンバー達も驚く。
「あぁぁ悪い悪いッ・・!実はよぉ・・・お兄はアンタの大ファンなんだ・・」
と弟である鰐間計助がそう言う。
俺の・・・・ファン?鰐間お兄が・・・?あまりにも突然のことで俺は戸惑う。
「増瑠筋夫!!アンタのその豪快なフットボールスタイルが俺は好きだ!この日本が弱点とするフィジカルでの力強いプレイは俺自身がもっとも憧れたもの!!一見身体能力でのゴリ押しと感じられるが、それは戦略的な知能に裏付けされた非常にインテリジェンスなもの!!中学時代で初めて見た時からアンタは俺の心を掴んだ!!あれはまさにNo1にふさわしい男の姿そのものだった!!」
と普段は無口とは考えられないほどハキハキとした声で具体的に叫びながら褒めてくる。
そういえば鰐間兄って意外と知的で分析家でもあったんだっけな・・・
まぁなんというか・・・そこまでまっすぐな目で言ってくれると照れるな・・・
「・・・ありがたいが今回俺は敵だ。情けはかけられないぞ?」
「当然だ!!お互い全力でやってこそ相手にとって不足無ッ!俺たちの全力を存分にぶつけさせて貰おうッ!!」
「あの・・・お兄・・・ちょっと落ち着いて・・・」
((((((なんだこれ・・・・))))))
他のメンバー達は完全に置いてけぼりにされた感じではあったが、ちょっとしたいざこざはすぐに終わりを迎え、試合が始まるのだった。
ピィィィィィ
そして試合開始の笛が鳴り響く。
試合開始の数時間前。
「今回の相手はチームW。前回の試合はチームXに大差で負けている。故に一回戦のチームY戦と違ってしっかりとした戦略を練って挑んでくるはずだ」
「ならこっちもちゃんとしたフォーメーションを決めておかないとね・・・今回もチームY戦と同じでいいんじゃないか?そっちの方が安定もするだろうし」
「そうだな。それに現状これが俺たちの持てる武器を一番に活かせるフォーメーションだ」
久遠の提案に潔含む数人のメンバーが納得の意を見せる。
確かにあのフォーメーションはそれぞれの武器を最大限に活かせられる。一時は俺もそれでいいかと考えていた・・・が
「いや。今回は別のポジションでやるべきだ」
「「「「!?」」」」
俺の発言にチームZのほとんどが驚きの表情を見せる。
「別のポジションって・・・」
「なんでーー?」
「前回のチームX戦で敗れたことで、相手は今回の試合に全力で挑んでくる。それはつまり・・・自分たちの強化はもちろん、相手チームの研究だって徹底的にやりこんできたはずだ」
もちろん絶対とは言い切れない。彼らがチームX戦後の反省を上手く活かさず単に自分達の強化だけに努めてくれればそれでいい。
ただ俺と言うイレギュラーが存在したことで生まれる原作改変にも備える必要がある。用意周到して損はないだろう。
「そういえば・・・モニタリングルームの映像って・・確か他のチームの映像も確認できるだったな・・・」
「映像による分析が可能って事か・・・」
「つまり・・・チームY戦の俺たちの動きや武器も、相手はすでに承知済みってことか?」
「そういうことだ。だから、今回は前回とは全く違ったポジション決めとフォーメーションの設定が必要なんだ」
相手に分析されているのならその分析から逸脱した戦略が必要だ。
でないと相手に自分たちの手の内を晒したまま戦ってしまうことになる。そうなれば即座にジ・エンド。
いくらトレーニングで強化されたチームZでも苦戦を強いることになるだろう。
「それで・・・肝心のポジションはどうする?」
と國神は尋ねる。
そうして俺は予め考えていたことを発表する。
「今回は前回と違って4-1-3-2のツートップにしようと思う。まずDFなんだが前回同様俺・・・そして伊右衛門」
「!俺・・?」
「今回もDFなんだーー。なんか増瑠って意外と欲が浅いというかーー」
「別に浅いわけじゃない。ただ、能力値の高い相手の攻撃陣に対応するならこの中でおそらく一番DF経験の多い俺が適任ってだけだ。伊右衛門は持ち前の高さとフィジカルを見越して置いたんだ」
「なるほどな・・・一理ある・・」
「そして
「サイドバックか・・・・」
「初めてやるかも・・・」
「二人は守備もしつつ、サイドから積極的にオーバーラップして攻撃の役割も担ってほしい」
蜂楽に関してはU20戦で
むしろ後方からの攻撃参加の方が相手にとって予測のしにくい展開を創り上げるのにうってつけだ。
イガグリもこの短期間でスタミナが向上している。この二人にはサイドバックでのDF兼ゴールを狙うスナイパーとしての役割を与えた。
「りょーかい♪任せてよ♪」
「おっしゃぁぁぁぁぁ点取るぞぉぉぉ南無三ッ!!」
「伊右衛門はすまない・・・もちろんチャンスがあれば攻撃に参加しては良いが極力DFに集中してくれないか?」
「フッ・・・キーパー以外なら大歓迎さ・・・それにアンタの考えなら俺は喜んで賛同するぞ」
「助かるよ。そして攻撃と守備のアンカー・同時にスイッチの役割を担うのは・・・」
「俺だろ?」
「!いいのか・・?」
「けっ!どうせ俺を指名するつもりだったんだろ?それにこんなデカい大仕事を俺以外の奴がこなせるわけねぇ。・・・勝つためだ・・・今更贅沢言ってられるかよ・・」
「雷市・・・」
とやけに素直でかつ自分にしかできないという意思を表明して申し立てる彼。
馬狼もそうだが、今回の雷市って凄くやわらかな感じで・・なんというか接しやすい。
「ありがとう・・任せたぞ。そして
「「!」」
「國神は前回の試合によるロングレンジ戦術がすでに研究されていて使えないだろう。利き足も兼ねて今度はそのフィジカルを活かしたサイドからの突破でゴールを狙ってくれ」
「わかった。どこだろうと打ち込んでやるまでだ」
「千切は・・・フッ。言うまでもないだろ?右は任せたぞ」
「あぁ・・任せろ!」
と闘志を燃やす國神と千切。
「そしてこれらにツートップの合わさった計4枚の
「「「「!」」」」
「俺が・・・ゲームメイカー・・・?」
突然の指名に驚きの表情を見せる彼。
まさか自分がチームの心臓となるとは彼はもちろんここにいるメンバー誰もが思いもしなかっただろう。
「前回の試合でお前は眼の使い方を熟知したはずだ。この短期間で体力だって向上している。ならその眼と頭脳を使ってコイツらを得点に導いて欲しいんだ」
「!だけど・・・・本当にそんなこと俺にできるのか・・・」
困惑する彼。当然だ。本来その役割を担えるようになるのは完全に眼を使いこなすU20戦以降の話。
まだほんのわずかなきっかけしか与えられていない彼はいまだに能力による試行錯誤を重ねている最中。
そんな状況下で急にやれと言われる方がまず無理だろう。
「馬鹿かテメェは?できるできないかじゃねぇッ。やらなきゃ負けるんだよッ!」
そんな彼に雷市は近づいてそう言う。
「雷市・・・けど・・・」
「少なくとも俺はこの仕事・・・お前にしかできなことだと思っているぞ潔」
「お前が言ったじゃないか潔。自分の武器を理解したサッカーは楽しいって。なら今回ここで出来ないなんて言ってられるか?」
「だいじょーぶだよ♪潔なら出来るって俺信じてるから♪」
「失敗しても俺らが支えてあげるさ!自信持って行こうよ!」
「そーそー!」
國神に続き千切、そして蜂楽も彼の背中を押すようにそう告げた。
彼らだけでなくここにいるチームZ全員が潔のことを信頼している。そんな目をしていた。
「みんな・・・わかった!増瑠。このチームで勝つために俺は俺のやれることをやってみせる!」
うん。もう完全に主人公のシーンだよこれ・・・
まぁ潔にはなんというか・・・周りを引き付ける大きな力があるからな。
今回の一戦でまた更に成長を遂げてほしいところだな・・・
「それで・・・肝心のツートップは・・・」
残るは3人
「あぁ。今回のチームW相手に一番ゴールを狙ってもらうエースは・・・・久遠、そして成早。お前達だ」
「FWか・・・なんだか久しぶりな気がするよ・・」
「・・・なんだかちょっと緊張してきたな・・・」
「二人はただ単に自身の武器を活かして得点してもらうだけだ。もちろんこの二人だけじゃない。両サイドからも攻撃は仕掛ける。さっきも言ったようにチャンスがあれば俺達後方も攻撃に参加する」
久遠の高さと成早の裏への抜け出し。ここに俺が強化を施したことでFWとして大きく機能させることができるようになったはずだ。
「点取らなかったら殺すぞチビ?」
「ひ~もう完全に脅迫じゃん・・・」
「頼んだぞ久遠。お前の高さで敵陣を切り離せ」
「・・・あぁ。任せてよ。必ず点取ってみせるよ!」
前回はここで裏切りがあったが、今回は大丈夫そうだ。
彼の眼は純粋にゴールを取りに行かんとする熱い意志を感じ取れる。
「え・・?てことは・・・キーパーって・・・」
残るはただ一人
「あぁ。今回のチームZの守護神となりうる存在。GKは・・・我牙丸。お前だ」
「おー・・・俺かーー」
「理由はちゃんとある。高身長からの全身バネの特性と反射神経の高さを見て俺は判断したんだ。すまないが頼めるか?」
「そういうことかー・・・わかった。全部止めてやる」
我牙丸の場合少し残念であるが、これからの
今回を機に強化されたバネの使い方も兼ねてGKを経験させるのも悪くないはずだ。
そしてようやくチームW戦に向けてのポジションとフォーメーションが完成する。
FW: 成早 久遠
MF: 國神 潔 千切
雷市
DF:蜂楽 イガグリ
増瑠 伊右衛門
GK: 我牙丸
フォーメーションは4-1-3-2の【パーフェクトサッカー】と呼ばれる一番よく使われるもの。
前回のDF固定型と違い、オフェンス時にかける人数の多さ、そしてセンターアタックやサイドアタックを有効に機能させるバランスもとれたフォーメーションだ。
ディフェンシブハーフである雷市とセンターバックの俺と伊右衛門を基準に守備をし、攻撃はオフェンシブハーフである潔の空間認識能力を活かしたサイドアタック・センターアタック。
多彩な攻撃方法と比較的安定、特に精度と威力の高い俺のロングフィードがあればそれはカウンターの取りやすい強力なディフェンスシステムともなりうる。
そうして俺たちは入念な対策で策を講じて試合に挑んだのだった。
万全な準備で望んだこの試合。
今回も必ず勝てる。
俺含む誰もがそう考えていた。
「いくぞお兄!!」
「あぁ!!蹴散らすぞッ!弟よッ!!」
チームWのキックオフからツートップの鰐間兄弟が一気に向かってくる。
「おらぁ!」
「させない!!」
即座に久遠と成早そして潔が対応する。
彼らにもチームWのデータは目を通させている。
特にキーマンとなる鰐間兄弟は念入りに研究済みだ。彼らの得意とするのは【
原作だと無策のまま挑んだため容易に突破を許してしまった。しかし今回は違う。
【
(見極めるんだ・・・お互いが
以心伝心とは双方による意識の了解。本来意識の了解とは一度互いの視覚を通じて行われなければならない。
それはつまり文字通り
(まだだ・・・もっと引き付けて・・・)
要するにそれぞれマンマークで向かってくる二人の視覚動作を見てその一瞬を突けば、【
今回前線をツートップとしたのも前線・中盤・後方どこでも数によるプレスをかけやすくするためのも互いの視覚を合わせるタイミングさえわかれば怖くなどない。
完全な予測対策を練った俺にとって、まさに勝利への戦略と言えるもの・・・
「おいおい。
の、はずだった・・
「!?」
前線で備えていた久遠と成早そして潔はそのあまりの連携の速さに突破を許す。
「遅いッ!!」
「そんなもので俺たちが止めるとでも思ったかぁ!?」
予測はあくまで予測内でのシミュレーションに過ぎなかった・・・
「クッソ・・」
「早い!!誰か止めてくれ!」
「コイツら・・・
俺の予想の範疇を大きく超える
(まさかそんなこともできるのか・・・!?)
俺の中で考えうる最悪の事態に驚愕する。
あまりに想定外の動きで鰐間兄弟はたった二人で前線から中盤・・・そしていよいよ俺達DF陣営まで持ってきやがった。
「くっ・・・!」
「俺たちの【
「だから俺たちは鍛錬を積んだ!!互いの呼吸や気配そして双子だからこそ備え持っている以心伝心力を更に強化したことで!」
「俺たちは
なんと鰐間兄弟は互いの姿を見ずに【
完全予想外の事態。
見なくてもお互いの場所わかるって・・・・そんなの完全なテレパシストじゃないか・・!
「くっそ・・・まずい!」
故に俺と伊右衛門もあっという間に突破を許してしまう。
いくら身体能力があったとしても彼らほどのスピードと
「ふんッ!」
そして残るはゴールただ一つのみ。鰐間淳一から放たれる利き足からのシュート。
我牙丸も超反応で対応するも・・・
(届か・・・ない・・・!)
彼はまだグローブをはめてまだ数時間しか経っていない初心者。故にボールまで手は届かず・・・
ピィィィィ
ボールはゴールを突き刺した。
チームZ 0-1 チームW
「そんな・・・俺たちが何もできずに・・・」
「あんなの・・・どうやって止めんだよ・・・」
完全無視覚による【
しかもただの分身ではなく、言ってしまえば互いに意識疎通可能な分身ってわけだ。
これではマンマーク対策でも不意を突かれ、意味がなくなってしまう。
(まさかあの二人がここまで強くなっていたなんて・・・)
まるで二匹の龍がフィールドを次々と薙ぎ払っていくようにフィールドを戦慄する超速連携・・・
【
「「世界一になるのは・・・俺達だッ!!」」
彼らの叫びがフィールド全体を包み込む。
増瑠筋夫達率いるチームZに想定外の牙が喰らいついていたのだった。
ということでまさかの失点・・・!?
鰐間兄弟の大幅な強化により筋夫は出し抜かれてしまう。
そんな彼ら相手に筋夫達はどんな戦いを繰り広げるのだろうか・・?
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-
時光
-
オシャ(蟻生)
-
凛
-
氷織
-
黒奈
-
潔
-
凪
-
その他