トリスタから蹴り出されてリーヴスに着いたんだが……   作:全自動髭剃り

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今回の被害者はロゼたんです。

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4月22日 特別演習1日目 動乱の火種(前編)

 朝4時半というありえない時間にアラームが設定されていたが、人体の不思議というもので鳴る直前に4人部屋の全員が目を覚ますという珍事に見舞われながら、無事辿り着いたのがセントアーク付近の野営演習地で、テント張りと野営装備の運搬を手伝っているとあっという間に6時を過ぎる時間になり、VII組、VIII組、IX組それぞれが分かれて担当教官のところに集合して特別演習での予定を聞かされることとなった。

 さすがに数時間体を動かしただけあって眠気はとうに吹っ飛んでいたのだが、いくら軍の延長線上にある士官学院とは言え、あまりにハードすぎるスケジュールに文句をつけたくもなる。実戦ではこれ以上に過酷なスケジュールなど当たり前だという話はわからなくもないし、これがそのための訓練の一環になるであろうことは想像に難くないが、一応言わせてもらうと、俺が士官学院に行くことになったのはあくまで選択肢による強制が大きい。なので、文句を言っても仕方ない立場であるのだ。

 

 昨日も言われたように、俺たちVII組の活動は本日になってのお楽しみだっただけに、玄武岩のように硬い表情のミハイル少佐が石柱のようにピンと背筋を張りながら俺たちに言い渡したその内容は、広域哨戒と現地貢献とのことであった。お隣さんにいる別嬪美女のクレア少佐を見習って、少しは愛嬌ってものを身に着けてみたらどうだと進言したいが、触らぬ神に祟りなしという名言に従って、波風立たぬようにみんなと同じく神妙な顔つきで話を聞くことにする。

 効率も悪い上に現場指揮官に任務内容まで丸投げするという、軍らしくない活動内容についてみんなが一様に神妙そうな顔つきを微妙そうな顔つきに変化させていたので、直接聞いてみることにした。

 

「つまり、遊撃士の代わりになれって事っすか……?」

 

 わが意を得たりという顔をした級友4人と、神妙な顔つきのままのリィン教官、そしてばつの悪そうな顔になるクレア少佐に、苦虫をかみ砕いたのちに梅干しを口に入れてしまったかのような厳しい顔のミハイル少佐。

 おそらくその活動が禁止されているだけに、明言すること自体が避けられたのだろう。大人の事情に配慮ができる賢い生徒である俺はそれ以上の追及は控えることにして――

 

  <選べ>

 

【これって遊撃士っすよね。ねぇねぇ、遊撃士っすよね】

【クレア少佐の胸に注視する】

 

「これって遊撃士っすよね。ねぇねぇ、遊撃士っすよね」

「確かに類似点はあるかもしれないが、あくまで軍務の一環に過ぎない」

 

 俺の追及に顔をゴーヤのようにしかめながらミハイル少佐は満点にも近い答えをしてくれた。

 ごめんなさい、ミハイル少佐……。クレア少佐には嫌われたくなかったんです……。

 

 その後、特務活動の内容をもらいにセントアークにいるハイアームズ侯爵の下へと行くことになった。クレア少佐も同じく侯爵に用事があるとのことで、同行することになったが、道中リィン教官と仲睦まじい様子をこれでもかと醸し出していたので、実は裏でできていたり、なんて妄想をしながら歩くこととなった。

 遠目でも見えるくそデカい城に通してもらい、鏡面のようにピッカピカに磨かれた玄関を通ったのちにたどり着いた執務室で、柔らかな笑みで俺たちを温かく歓迎してくれた侯爵から特務活動の要請一覧を渡されたのち、侯爵に用事のあるクレア少佐と別れた。

 そして、渡された依頼と言えば、染料の原材料や食材、薬草の調達、迷いネコの捜査に、最重要となる機械仕掛けの魔獣の調査といったものだった。前半4つは俺とユウナ、ライカが日常的にやり始めた依頼とそう変わらないものだった。相当ハードなものになるとの判断で、最重要要請を除く要請をどれほど達成するかを俺たちの判断に任せると言ってくれたリィン教官には悪いが、それなりのノウハウを持っているためにさっさと終わらせられる程度のものに過ぎないのもあって、全部を片付けてから軽くセントアーク旅行にでも洒落込もう的な話でまとまってしまった。

 実際には便利部の部員と似たような活動の経験のあるリィン教官以外のクルトやアルティナに少しずつこういった依頼の達成の仕方について説明しながらやることになるので、さすがに旅行の時間は取れそうにはないけどな。

 

「それではVII組特務科、最初の特務活動を開始する」

 

 との号令とともに、長い長い今日の一日がようやく始まった気がした。

 

 

 セントアークに土地勘のあるクルトの情報を頼りに、それぞれの依頼主の場所へと依頼内容の確認に行く。その道中、ヴィヴィという名のトールズ本校の方の卒業生で、記者として働いてるリィン教官の学生時代から続くカキタレ――

 

「カキタレじゃない!」

 

 もといただならぬほどにただれた――

 

「ただれてもいない!」

 

 ……。しょうがないなぁ。リィン教官曰く、仲の良かった同級生と出会うこともあったりもした。

 街中での活動はつつがなく順調に終わりかけ、あとは街中で完結しそうな迷いネコの依頼を追いかけて、飼い主から聞いた猫の好きなおやつと確保したときに使うタオルをそろえて、発見情報のあったセントアークの空港の入り口にたどり着いたとき――

 

 迷い猫とともに面倒な猫に出会ってしまった。

 猫というか、大型の猛禽類の方が正しいかもしれない。

 背丈は割とちんちくりんだけど。

 とはいえアルティナほどでも――

 

「私にはまだ成長の可能性が……」

 

 まあ、前に出会ったときにはアルティナほどの背丈だっただけに、ちょっとはちんちくりんから卒業しかかってる、災厄をもたらす祟り神のような少女に出会ってしまった。

 

「フェリクスぅ~、あんな妖怪化け猫じゃなくて、ここに好物の猫缶があるから、おいでおいで~。フェリクスぅ~」

「みゃー?」

 

 と、ひと先ずは赤毛の少女のことを無視し、少女と戯れていたクリーム色の猫に近づき、タオルでくるんであげる。最初のうちは少し暴れようとしたけど、何度か優しくなでているうちにおとなしくなったので、そっとアルティナに渡したのちに、

 

「ひっどーい。シャーリィがその子猫ちゃんと遊んでたんだけど」

「飼い主の依頼なんだよ、てめえのお戯れに比べて優先される正当な理由があるんだ、こっちは」

「なーんだ、つまんない……」

 

 しかし、彼女はいつもらしくなく、何一つ警戒をせずに立ち上がりながら、こちらを向き始めた。

 

「えと、彼女は……?」

「ノクス、知り合いなの?」

 

 クルトとユウナが訊ねてきたので、嘆息しながら答えてやる。

 

「ああ、昔馴染みでな。3回くらいガチで殺しあった」

 

 一回目はオルキスタワー、二回目はアルカンシェル、三回目はノルド高原。

 一回目は殺されかけて、二回目は事情もあって痛み分け、三回目で間違って殺しかけた。

 

「リィン教官や情報局にいたアルティナは当然、ユウナやクルト、ライカも聞いたことがあると思うぜ、大陸西部で名前を轟かせる最強の猟兵団、赤い星座の部隊長、シャーリィ・オルランドだよ」

「な……っ!?」

「猟兵……!?」

「……!」

 

 人生で出会うべきじゃなかった人間ランキングでいえば上位に来る類のやつである。だけど不思議なことに、なぜかこいつのことはレクターほど嫌いになれない。

 

「代わりに自己紹介してくれて、ありがとねー。わざわざ名乗り上げる手間も省けたし」

「んで、星座は今回もここで何か悪だくみをしてるのか?」

「うーん、別にそういうわけじゃないんだよね~。ここに来たのってたまたまだし」

 

 とぼけたように彼女は言う。嘘だと断定するのは簡単だが……

 

「機械でできた魔獣の発見報告がある……。聞くところによるとクロスベル内戦の時、赤い星座が結社から人形兵器を貸し与えられたらしいが」

「今回は本当に赤い星座とは関係ないんだけどな~。観光に来た、ってだけだけど」

「教官! 鉄道憲兵隊に突き出した方がいいんじゃないんですか!? ノクス君もそう思うでしょ!?」

 

 はぐらかしながら話すシャーリィに怒りの声を上げながら叫ぶユウナ。

 クロスベルが猟兵にいいイメージなど持つはずもなかろうナノはその通りなのだが、

 

「いや、意味がないと思う。俺がもうやってる」

「もうやってる……?」

「はい、ノルドでひっ捕らえて領邦軍に突き出した次の日には出獄してました。たぶん、帝国のお得意さんだからなのか、密約があるからなのかはわかりませんが、より帝国首脳に近い憲兵隊に突き出してもフリーパスで出てきそうなので」

「……」

「なすすべなしということか……」

 

 押し黙ってしまうアルティナに悔しがるクルト。

 とは言っても、やれることがないわけでもない。

 

「こんな感じで誰もお前の言ってることを信じてないみたいだな」

「ショックだなぁ、何一つ嘘を言ってないのに。ノクスならシャーリィのこと信用してくれるよね?」

「……まあ、お前はなぜかあんまり嘘をつかねえからなぁ……」

「だったら新VII組とやらのお仲間さんに教えてあげてよ~」

「信用できるかどうかは別の話だからな」

 

 俺たちの所属を知ってる時点で、大方の仕込みが終わってあとは導火線に火をつけるくらいしかやること残ってなさそうだけど……。とはいえ聞き出そうにも口を割らないだろうし、もう一度縄で締め上げるのも手じゃないわけじゃないけど、離脱する算段なしで俺の前に姿を現すわけがない。前回は巻き込まれる一般人がいなかったからいいものの、今回は街中である。下手に刺激しすぎないほうがいいのも間違いないので――

 

「じゃあ、用事がないのならシャーリィ、もう行くね?」

「待て」

 

 一つだけ、聞き出せそうな情報を得るだけ得てみたいと思う。

 

「一般人を巻き込むつもりじゃねえだろうな?」

「うーん、今回はしないかな?」

「今回は……!?」

 

 今にも掴みかからんとするユウナを片手で抑えて、

 

「敵地偵察お疲れ様。次に会うときは戦場で、ってところか?」

「もうシャーリィはノクスとやらないけどね」

 

 ――だって、ノクスとやってもつまんないし。

 

 そう言いつつ、手を振りながら彼女は去って行った。

 

「あれ、放置してもいいのか? どう見てもここで何かをやろうとしてそうなんだが……」

 

 ライカが心配そうな声音で訊ねてきた。

 

「ああ、俺としてもあんまり放置したくない……けど、ここはリィン教官が決めるべきでしょう」

「……」

 

 俺に訊ねられて、暫く考え込むリィン教官。

 

「あんなのを放置しちゃだめです! もしかしたら……もしかしたら! セントアークまで火の海に……!」

 

 おそらくクロスベルの事件のことを思い出しつつ怒るユウナ。たった2年ほどしか経ってないのだ。あの反応になるのもわかる。

 俺はどうなのかって? 正直微妙な感覚である。

 人が人を匕首で刺したとして、匕首を責めるべきだろうか? 匕首の責を唱え、刃物を世界から無くすべきか? そういう問題に帰着しそうな気がする。

 まあ、匕首と猟兵団の違いは、猟兵団には意志があり、自制を効かせるべき責任があるところだけど。

 と長々と自説を語っていたが、ついにリィン教官は噤んでいた口を開けて、

 

「いや、猟兵団の動きは憲兵隊や領邦軍に任せよう。俺たちは、あくまで俺たちにできることをやるべきだろう」

「教官……!」

 

 それでもなお食い下がろうとするユウナ。だがここはリィン教官が、

 

「たとえ赤い星座の本拠地を見つけたとしても、俺たちの戦力じゃ全く対応できないだろう。それよりはこの情報を軍部に渡したほうがよほど有意義だ」

 

 クレア少佐への連絡は俺の方でやっておく、とそう言いつつ、

 

「今の所俺たちは、街路の機械魔獣の調査をしつつ結社、もしくは赤い星座につながるような情報を逐一報告するべきだ」

 

 もっともらしく筋の通ったオーダーを出したリィンにユウナが言い返すことはできなかった。

 

 ・・・・・・

 

 その後といえば予定通りにまずはイストミア大森林へと赴き、依頼された薬草を摘んでくることとなった。

 ユウナはいまだに何か言いたそうではあったが、それを無視したリィン教官の強行軍である。強行軍の言葉の使い方があっているかはともかく、リィン教官にしても苦労してるなと思ってしまう。

 少なくともあの内戦での灰の騎神に乗った英雄の話を聞く限り、また、実際にここ数週間教官として教えを請うた限りにおいては、リィン教官こそ居ても立っても居られないような人だろうに、おそらくは俺たちの安全を気にして行動しているのがわかる。

 クルトもそれに対して感じるところがあるのか先ほどから押し黙っているが、

 

「あのシャーリィとかっての、放置していいのか?」

 

 本隊から少しばかり後ろの方を歩いていた俺とライカは、教官たちに聞こえないようにこそこそ話しをしていた。

 

「よくないんだよなぁ……」

「だったらオレたちだけでも――」

「それも考えたけど、分が悪すぎる」

 

 あのままシャーリィの尾行をすれば、何らかの情報が得られることは間違いないだろうが……

 

「作戦ってのは計画の規模によって運用する部隊の規模を決めるだろ?」

「ああ、授業でもやったな」

「だからセントアークででかい花火を打ち上げるのと、セントアークを火の海にするのとでは必要な部隊数も規模も変わってくる。前者だったら俺らで行けば問題ないけど、今回はどうやら後者に近い」

「だったら余計行かなきゃ行けねぇだろう!?」

「しーっ! ユウナには聞かれないようにしろって。今は刺激せずに、後でフォローしようぜ」

「ああ、わるい……」

 

 変に刺激して、飛び出されたら困るのでな。

 

「奴さんらの兵士である人形兵器が、制御しきれずに一般人の前まで姿を現してるってことは、そうとうデカい拠点があるってこった」

「セントアークが危ねぇじゃねぇか……!」

「いや、そういうわけでもないんだ……。よく考えてみろ」

「…………」

 

 少し考えるそぶりをしたのち、気付いたのかポンと手を叩くライカ。

 

「猟兵団についての情報が少なすぎるってことか?」

「そう。猟兵が大量に移動するなら、補給その他で山ほどの痕跡を残すはず。それがないってことは、赤い星座が本体を動かしていない証拠にもなる。その上で人形兵器が溢れかえってるってんなら、十中八九結社の仕業にシャーリィが個人的に乗っかってるだけだと思う」

 

 それに、と俺は続けた。

 

「人形兵器は哨戒に使えても制圧には向かない代物だから、民間人に被害は出ないだろう」

「ということは、あの時のシャーリィってのが話したのはほぼ本当ってことか?」

「俺はそう睨んでる。んで、結社について詳しいわけじゃないけど、人形兵器を持つとはいえ、あいつらは基本的に少数精鋭だ。小隊規模の実戦経験や実力が乏しい俺らで相手取るには一番向かない」

「そういうことか……」

「だから、ああいうのにはマンパワーに物を言わせて物量で押す帝国軍が1番刺さる。そういう意味でリィン教官の判断は正しいと思ってるよ」

「ああ……。けど、結局元を正せばオレたちが力不足ってことだよな」

「その通りだな。とは言っても相手が悪すぎるってのは否めない。けど、それに腐らずに、できることだけでもしようってのが、俺らのやるべきことだろ?」

「……そうだな」

 

 と、長々と話していたが、正直リィン教官のやり方にもろ手を挙げて賛成はできない。が、それを主張しても仕方ないだろう。

 そんなことを思っていると――

 

「そういうことだったのね……」

 

 なぜかユウナが会話に参加してきた。

 

「あれ、聞こえちまってたのか」

「うん。作戦ってのはってところからだけど」

「ほぼ全部じゃねえか!」

「やはり僕たちの――僕の力不足が……」

「え、クルトも聞こえてたの?」

「小音量とはいえ、人の声がほぼしないイストミア森林内で内緒話は不可能かと」

「アルティナまで……。ってことはリィン教官も……」

「盗み聞きするつもりはなかったけど……」

「というか、先ほどの話題は隠すほどのものではないかと」

「まあ、そうだけど……」

 

 結論から言えば、ユウナが暴走することもなかったし、普通に話せばよかったと言えばその通りである。

 

「それ以上に、先ほどの推論、どこまでがリィン教官の思惑と一致するかはわかりませんが、リィン教官から共有すべき情報だったのでは?」

「それを言われると……」

 

 困った顔のリィン教官。

 おそらくだけど教員として生徒を引率しており、生徒の危険を避けるために色々と考えていて、言うに言えなかったんだろう。

 

「俺らに気づかせる機会をくれたんだよ。全部とは言わないけど、多少は授業の内容とも被るしな」

 

 と、さりげなくフォローを入れる俺ってば教官想いのいい子!

 

  <選べ>

 

【アルティナにリィンへの愛の告白をする】

【リィンに直接愛の告白をする】

 

 俺は!! 教官想いのいい子であって!! 教官に想いを寄せるホモい子じゃねえんだよ!!

 なんだこの選択肢は!

 どっちも無理じゃねえか!!

 おいおい、選択肢(おまえ)ってばいつもは逃げのためのまだマシな選択肢をくれてただろ? これどっちもキツくねえか?

 

「おい、アルティナ! 俺はなぁ、こんなに生徒思いで真剣に一生懸命教官やってるリィン教官が大好きなんだぜ!」

「は、はぁ……」

 

 呆れたような反応。わかる、俺も多分同じ反応をするわ。

 だが、俺の口はここで止まらなかった。

 

「ノロノロしてると、俺がリィン教官の隣の席、奪っちまうぜ……!」

「な……っ! それは……!」

 

 で、なんでかよくわからないけど、アルティナがショックを受けてしまった。

 

「ノクスってそういう趣味が……」

「……人の性癖に文句は言えねぇが……」

「なんと……」

 

 ガヤの3人も何やらショックを受けている様子。

 急いで誤魔化さねえと!!

 

「あ、いや、これはあれです! 俺もリィン教官みたいに立派な大人になりたいという意思表示なだけであって、他意はないというか……」

「あ、ああ。なんだかよくわからないが、慕われているようでよかったよ」

 

 よし、誤魔化し成功!

 

「他意はないって……」

「他意しかねぇように見えるが……」

 

 こらそこ! 掘り下げないの!

 

「負けません……!」

 

 って、アルティナもなんで対抗心燃やしてきてるの……!?

 くそっ! こうなれば!

 

「おい、みんな見ろよ! あそこにある花、依頼の薬草じゃないか! 取りに行こうぜ! なあ!」

 

 実力行使の強引技で乗り越えさせてもらうぜ!!!

 

  <選べ>

 

【“ときめきハートを射抜いちゃえ! ファンタスティック・ミラクル・ラブラブビーム”をリィンに発射する】

【“ドキドキラッキースケベを狙え! ポロリスティック・セクシー・透け透けビーム”をライカに発射する】

 

 こっちは! 誤魔化してんだよおおおおおおお!!!!!!!! リィン教官に発射したら今度こそ俺がリィン教官のケツを狙いを定めてる変態になるじゃねえか!!

 だからと言って下の方も無理だよおおお!!! ただでさえ昨日のアレ(パンツの色事件)がまだ尾を引いてるんだよ! 今度はパンチじゃなくてガンブレイカーで殴打されかねない……

 考えろ俺!

 どっちだ……どっちだ!

 

 いや、よく考えれば下の方がマシなのではないか? ラッキースケベとかポロリとかの意味をユウナが知らない可能性があるし、透け透けビームも文字にしたら変態だけど、声だけじゃあ伝わらないだろう。

 よし、君に決めた!! もうどうにでもなれ!!!

 

「ドキドキラッキースケベを狙え! ポロリスティック・セクシー・透け透けビーム!!!!!」

 

「どうやら結界に反応――って!! な、なんじゃああああああああ!!!!!

 

 ポロリとかのレベルじゃなく、全身透け透けの全裸金髪灼眼幼女が顔を真っ赤にしながら困惑していた。

 選択肢を選び終わってるというのに世界も止まってるし。

 幼女は急に現れるし。

 もうわけわかんない!!!!

 

 ・・・・・・

 

「座れ」

「え?」

「座れと言っておるのじゃ。まさか婦女子をひん剥いたにも関わらず、お咎めなしに許されると思っておるのか?」

 

 あのあと急によくわからない場所に飛ばされ――転移ってやつ? で、連れてこられたのが、木造と思われる家屋だった。

 ちなみになぜか裸で現れた幼女に連れられての到着であり、彼女はあのあとすぐさまに何やらアーツのようなものを行使して、即座に服を再生させていた。

 

「は、はい……。その節はご迷惑をおかけしまして、大変申し訳なく……」

「なんじゃ、その手紙の書き出しの世辞のような謝罪は……」

「えと……」

 

  <選べ>

 

【謝罪を求めるなら謝ってもらえるくらいのプロポーションになってから言え】

【ここは帝国男児らしく覚悟を決め、気が済むまで殴らせる】

 

「……」

 上選ぶわけないじゃん。

 ……正直に言えって? 上選んでみたいよね。選ばないけど。

 つか、所詮幼女。殴られても大したことないだろうし。

 

「これでも帝国男児。いかなることも我慢するゆえ、どうか気が済むまで――」

「……ババアの裸見られたところであまり気にはしなかったが、そこまでいうのなら遠慮なくさせてもらおうかのう」

 

 そう言うと、彼女は大きく振りかぶった。

 

「歯を食い縛れよ、小僧? ……何がラッキースケベ・透け透けビームじゃ、この阿呆!!」

 

 刹那、

 

「ぐほ――ッ!!」

 

 胃の中のものが全部飛び出す勢いの凄まじいパンチが飛んできた。

 な、なにもんだこの幼女……

 

「で、灰の小僧はまだいいとして、お主をここに連れてきた理由――」

 

 いてえ、いてえよおおお。

 

「って、いつまでうずくまっておる。帝国男児ならさっさと起き上がらんか」

「シグムントって知ってる……?」

「誰じゃ、それは?」

「多分君の前世だった人」

「何を言っとるのかはわからんが、馬鹿にされてることだけはわかる。もう一度喰らいたいのか?」

「勘弁してください……」

 

 今くらったら多分撒き散らす。何を、とは言わないけど。

 

「で、話を戻させてもらうぞ。お主をここに連れてきた理由、お主自身自覚はあるかの?」

「へ?」

 

 あんたが勝手に連れてきただけじゃん。

 

「その様子ではないらしいのう。じゃあ、次にこの言葉に聞き覚えはあるかの?」

 

 ――大地の至宝《ロストゼウム》

 

「え……? ……何それ?」

「ふむ、これとも違うのか……。じゃが……」

「えと、1人で悩んでるところ申し訳ないけど、お名前をうかがっても……?」

「ああ、そうじゃったな。自己紹介をし忘れとった。妾は魔女の(へクセン)…………大仰に名乗るのは今はやめておこう。だが名がないと呼びづらいのもあろう。ロゼと呼ぶがよい」

「ロゼちゃん……」

「“ちゃん”はいらん!」

 

  <選べ>

 

【絶対ちゃん付けで呼ぶ】

【なんならロゼたんと呼ぶ】

 

「……?」

 …………。正直に言っていいか? 好奇心のあまり下を選びそう。いや、でも本人が“ちゃん”付けが嫌と言ってるくらいだし……。

 

「じゃあ、ロゼたん」

「ロ、ロゼたんだと!? ええい、ロゼでよいと言っておろう!」

 

 ごめんねロゼたん。もう変えられないんだ。

 

「話を戻すぞ。お主、何か他の人と違うところとかないのかのう?」

「え、なんで急に無個性だって言われてんの、俺!?」

「いや、そうじゃない。なぜか時折幻覚が見えたり、戦っている時に何かに目覚めたり、はたまた他人にはない力を行使できたりと、まあそういうことじゃ」

「中二病は結構前に卒業してるんですが……」

「そうじゃないわ! ……その様子じゃと、そう言うわけでもないのか……。お主一体何者じゃ……?」

 

 と、急に自己紹介を迫られた。いや、名乗られたのに、名乗ってないからか。

 

「トールズ士官学院・第二分校VII組所属のノクス・ハーカナだけど……」

「いや、社会的地位とかじゃなくてじゃな……。たまには勘違いすることもあるかのう。すまん、時間をかけさせてしまったの。元の場所に戻してやるゆえ、目を閉じるとよい」

 

  <選べ>

 

【記憶を消して無かったことにするなんて、焔の至宝の聖獣は胸が小さいだけじゃなく度量も狭いんですね】

【強引にロゼたんをひん剥く】

 

 下の方を選べるわけねえだろうが!!! 世の中じゃそいつを、強◯と呼ぶんだぞおい!!

 とは言うものの上の選択肢、なんだこれ……。記憶を消すとか聖獣とか……。俺なんも事情わかってないんだけど、この子ってばなんか結構曰く付きな幼女だったりするの??

 などと、俺が選択肢の文字列の意味を考察しようとし始めた時――

 

「どうした、小僧? はよう目を閉じぬか」

「え!?」

 

 選択肢で止まった世界で、ロゼが動いていた。

 

「なんで動い――」

 

 そして再び世界は止まった。ロゼを含め、俺ですら全く動けない。

 

  <10秒以内に選べ>

 

【ローゼリアをひん剥く】

【帝都が死の都と化す】

 

 その日、緋のローゼリアは人生で初めての絶叫を上げ、俺は人生で初めて星が舞うのが見えるほどぶん殴られた。

 

 ・・・・・・

 

 あー、うん。実験が終わるまでね。

 

 わかった、契約は以上ね。

 

 はいはいー。

 

 月並みだけど、頑張ってねー。

 

 それじゃ。

 

 

 

 久々(?)に再会すると言うのに、こうなっちゃうのも私たちらしいっちゃあ、らしいわね。

 

 ……いや、らしいのかなぁ?

 

 でも、まあ……、張り切って行こうか。




有識者の前で小出ししていかないと、設定だけが溜まってしまう

やっぱりセリスさんですか……みんな好きなんすね〜

後書きでもしも別の選択肢を選んだ場合のコーナーをやってみましょうか。

(1)クレア少佐の胸に注視する
クレア(思春期、というものでしょうか……)
後日
ライカ「なんだ、ノクスは胸が好きなのか。クレア少佐ほどじゃねぇがオレのを見てくれてもいいんだぞ」

(2)リィンに直接愛の告白をする
ノクス「先生好きっす!」
ユウナ(ドキドキ)
アルティナ(なんでしょうか、このモヤモヤは……)
ミュゼ「あらあら、まあまあ(キラキラ)」

(3)“ときめきハートを射抜いちゃえ! ファンタスティック・ミラクル・ラブラブビーム”をリィンに発射する
ロゼ(なんじゃこの感覚は……! あの小僧を見ただけで心がざわめいてしまう……!)←強制

(4)謝罪を求めるなら謝ってもらえるくらいのプロポーションになってから言え
ロゼ(パンチは2発じゃ)

(5)帝都が死の都と化す
割とガチで

実は主人公の件でどなたか守護騎士の方に登場していただかないといけないんですが,誰にしましょう……?

  • セリス
  • ワジ
  • リオン
  • ベルガルド
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