トリスタから蹴り出されてリーヴスに着いたんだが……   作:全自動髭剃り

18 / 27
今回は短めです!


4月30日 自由行動日 エリンの里

 地下墓地で男たちを見逃すことになり、百貨店でエリゼさんが教えてくれたスイーツを買ったのちに、俺たちはそのままリーヴスへ帰還することになった。

 

 ついてきてくれたリィン教官に別れを告げ、ナインヴァリでジンゴに例のスイーツを渡すと、珍しく大いに喜んでくれていた。そしてその足のまま部室に戻ると、いい汗をかいてるユウナがテニスウェアを着替えていて、下着姿になっていた。

 

「きゃっ!」

 

 珍しく束ねた桃色の髪をほどいており、風に吹かれてきめ細やかな髪一本一本が流れるように宙を舞っていた。たなびく髪の毛は太陽の光を受けて透明感のある薄赤色のセピスのように輝き、風に乗って薫ってくる花のような香りが鼻腔をくすぐり、まるで花畑のど真ん中にいるような気分になる。

 

「……」

 

 絹のような艶やかな輝きを放つユウナの肌は健康的な血色が見え、純真さと美しさが同時に秘められた無邪気な閃きが眩しい。

 

「…………、いつまで……!」

 

 椅子の上に置かれた布の形から察するに、運動用に使っていたスポーツブラから通常のブラジャーへと着替えていたようで、制服の上からも見えていたたわわな果実がこれでもかとその存在を主張している。ライカのものと見比べると「は?」……修羅の顔で凄まれたので詳しくは言わないが、民家とオルキスタワーを比べるようなものである。

 

「いつまで見てるのよ!!!」

 

 ちなみに部室から叩き出されたのちに、鬼の形相で特殊警棒を振り回しながら迫ってくるユウナにきつい一発をくらい、「ありがとうございました!!」と叫んだところ、洒落にならないレベルにブチ切れたユウナと、負けず劣らずに猛り狂うライカによって小一時間学院内追いかけられることとなった。

 うん、あんたらその勢いのまま分校長に戦いを挑んでみよう。いい勝負どころか、圧倒できるかも。

 で、なんでそんなしばかれると分かりきった行動をとったかと言うと、当然選択肢のせいである。

 

   <選べ>

 

【自分の欲望に素直になる】

【自分の性欲に素直になる】

 

 どっちを選んだって同じ結果になっただろ?

 

 とまあ、最終的に寮に戻ったのは日が暮れてしまった時間であり、ロゼたんとの約束の時間も迫っていたのだった。

 約束が何かって? 実は地下墓地でロゼたんと会った後、用事があるってことで、夕飯後くらいの時間にエリンの里に一度転移してきて欲しいと言われていたのだ。

 なんでも至宝関連で何か言いたいことがあるらしい。

 

 実は特別実習後に一度焔の至宝と聖獣については少し調べてみたのだ。そもそもの文献の少なさと、半ば伝説や神話と化した御伽噺の中から読み取れる情報として、至宝が女神から人が授かったもので、その至宝を見守る女神の遣いが聖獣らしい。

 本当ならこれらの事実ですらほぼほぼ辿り着けないほどには情報が少なかったものだが、たまたま帝国学術院から学院に視察に来ていた教授がいろいろ詳しい話をしてくれたからこそ判明した事実でもあったりする。

 ……どことなく胡散臭い雰囲気ではあったが、なぜかやたらと生徒の俺に対して低姿勢だったんだよなぁ。

 

 で、焔の至宝の聖獣がロゼたんってことならマジもんの大物なので、これからは敬意を持って接していったほうがいいだろう。

 

   <選べ>

 

【ロゼたんが落ちるまで口説く】

【ロゼたんが飽きるまでひん剥く】

 

 あーはいはい。俺の明日がおーわった。

 おわったおわったー。

 もうダメですね。詰みました。打開の糸口もありませーん。

 なのでマシな口説く方をとりあえず選んでおきますね。ついでに寮の引き出しに遺書も置いておこう。

 

 さて、したため終わった遺書を置いておき、手にこの前もらった転位のブレスレットを握る。確か、エリンの景色を思い浮かべながら目を閉じれば使えるはず。――っと、目を開くとそこはすでにエリンの里の、ロゼたんの工房の中であった。

 

「やあ、先ぶりロゼたん。今日もかわいいね」

「うむ。妾はいつだって可愛くてプリチーだぞ」

 

 すでに出会い頭にナンパを始めているが、チンチクリンなのに尊大なロゼたんはさして気にしていないようだ。

 

「先ほど、門の前でヌシらが共和国の密偵と戦っておるところを観察させてもらったが、どうやら面倒な事情になってきておるらしいの」

「まあ、そうだね……」

 

 どうやら彼らを見逃したことを咎めるつもりはないらしい。

 

「そういえば、ロゼたんはなんでその場にいたの? もしかして、俺のことを気にかけてくれてたのかい?」

「うむ。ある筋からコンタクトがあって、ヘイルダムへと足を運んだのじゃが、途中で妙な気配に気づいてのう。どうせヌシのことじゃろうと思って顔を出してみれば、これまた妙な場所にいたから、念のために観察させてもらったのじゃ」

「妙な場所、ねぇ……」

 

 さすがは聖獣。俺のナンパなんて気にもしてないようだ。俺としてはそっちの方が助かるが。

 

「で、今日、ヌシをここに呼んだ理由じゃが――」

 

 と、早速だが、ロゼたんが話の本題に入ろうとする。

 その大きく見開いた赤い瞳を真っ直ぐこちらに向け、異様とも言えるほどに厳しい顔で睨みつけてきた。……これまでに無理やりひん剥きに行ったり、今現在も進行形でナンパするハメになっているからあまり気にしないようにしていたのだが、じっくりと見られてしまうと、やはりロゼたんは絶世の美少女であり、その事実によって少し顔が赤くなってしまう。

 その全てを吸い込んでしまいそうな()()()を覗いていると、ロゼたんが問いかけてきた。

 

「ヌシは今、何者じゃ?」

「……? えと、ノクス・ハーカナ、()()歳です、でいいのかな? それとも、ロゼたんの魅力に取り憑かれてしまっている者、と言った方がいいのかな?」

「魅力に……? ええい! こちらの集中力を散らせるようなことを言うでない!」

 

 ごめんね……。俺の意志やないんや。

 って、なんでまた俺が何者か聞き出したんだろうか……?

 

「次の質問じゃ。つい数日前にも聞いたが、ヌシ、最近幻覚や幻聴が起きたり、戦っている時に何かに目覚めたり、はたまた他人にはない力を行使できたり、そう言ったことはあるのか?」

「……?」

 

 幻覚や幻聴……? 戦っている時に目覚める……? 他人にはない力……?

 こないだは即座に厨二病は卒業したと答えたのだが、よくよく考えてみると……。

 

 虚の声は一応幻聴のカテゴリーに入らないこともないし。戦っている時に聞こえるようになったから、何かに目覚めたのだということにもなるし。他人にはない力ってのは流石に心当たりはないが。

 ……いや、と言うかそもそもだ。選択肢なんてのは幻覚幻聴の代表例じゃねえか。あまりに日常生活に馴染みすぎて気づかなかったわ。

 

「うん、あるよ。ロゼたんのあまりの美貌にまるで今自分が花園にいるような幻覚も起こしてるしね」

「……それ以外にもか?」

「うん」

 

 言いつつ、懐から虚を抜き出す。

 

「君と負けず劣らずに魅力的な彼女の声が聞こえるのさ。ああ、もちろん彼女は一生物のパートナーだが、君には一生のフィアンセになってほしいものだよ」

「フィ、アンセ……? ……って! 先ほどからも言っておるが、妾のちゅーちゅーりょく、じゃなくて、集中力を散らすでない!」

 

 わかりやすく噛んだな。

 ……これが本当に聖獣なのか? 威厳がないにも程があるだろ……。

 

「では、次の質問じゃ。ヌシ、出身地はどこじゃ?」

「ノルドさ。君が立っていれば綺麗な絵画になるほどに雄大で荘厳な大草原の土地だよ」

「確かに、綺麗な大地ではあるな。で、ヌシは今何歳じゃ?」

()()だったかな? 年齢の差なんて、俺たちには障壁になろうはずもないけどね」

「もう、無視するぞ。じゃが、ノルド育ちの17歳か……。それだけでも知ったことに意義はあるじゃろう……」

 

 と、ロゼたんは俺を睨みつけていた視線をやっと逸らしてくれた。

 ……なんか知らんけど、緊張したー。

 だが、再びロゼたんは赤い瞳で俺を刺すように睨みつけなおした。

 

「……?」

 

 そして彼女の手は俺の胸に――――――――。

 

 ・・・・・・

 

「やはりな」

 

 ローゼリアはそう言うと、ノクスの胸に突っ込ませた手を引き抜いた。

 その手は血で真っ赤に染まっており、ただならぬ雰囲気であった。

 

「ふむ。聖獣か?」

「そうじゃ。ヌシの聖獣ではないがな」

「ならば、焔か」

 

 胸の心臓の部分からだらだらと血を流しながらも、それを意に介さずにローゼリアを睨みつけるノクス。不思議なことにその傷は、外からではなく内側からつけられたようなものであった。

 

「して、眠りし我を起こしたその訳はなんだ?」

「第一は確認、じゃ。小僧から前と比べ物とならぬ至宝の気配がしたものじゃからな。して、その小僧を依代にしているようではあるが、何をなさんとしておる?」

 

 ノクスの瞳を覗く赤の瞳は、その色を金へと変化させた。

 

「ふん、真偽を識別する魔女の術か。忌々しくも、それに抗する術はない。故に、此度は嘘偽りなく語ってみせよう」

「ほう。随分と殊勝じゃな」

「語って見せたところで、貴様にはどうこうできぬ話だからな」

 

 小さく息を吐き出し、豪快な笑顔を見せながらノクスは続けた。

 

「まずは手始めに世界を滅ぼしてやろうかと、そう思っている」

「……そうか」

 

 しかし、その言葉に対して、ローゼリアは大した反応を見せなかった。まるで予知していたかのような雰囲気である。

 すでに太古に失われた大地の至宝そのものを表さんばかりの存在が口にするにはおかしな宣言ではあったのだが、「やはりな」と言わんばかりの態度のローゼリアは、まるで憐れんでいるかのような視線でため息をつきながらノクスを見つめていた。

 

「……何がおかしい?」

「言わんとわからぬか?」

「…………、我が贄にも、貴様と同じ反応をされたな」

 

 その豪快な笑顔を潜めて、まるで進路に悩んでいる少年のような顔になるノクス。

 

「ノクス、か」

「ああ。ただ見下してくる貴様と違って、まるで同類を不憫に思うかのようにな」

 

 ノクスの見ていた夢。

 それは、ここにいる彼との会話だったのだろう。

 

「なるほどのう。まさにその通りじゃな」

「……?」

「無邪気の邪気か。ヌシもその小僧と同じく、因果なものじゃな……」

「……先ほどから何を言わんとしている?」

「何、簡単なことじゃ」

 

 憐れむ顔で、ローゼリアは続けた。

 

「その破滅への意思は、ヌシのものか?」

 

 ・・・・・・

 

「おい、起きろ。起きろと言っておるのじゃ、Mr.パンティー&ストッキング」

「誰がMr.パンティー&ストッキングじゃ!?!? って! あれ、ロゼたん? 今日もかわいいね」

 

 目が覚めると、どうやら俺はロゼたんの工房の机で突っ伏して寝ていたようだった。……ナンパ口調まだ治ってないのね。

 

「ようやく起きたか」

「あれ? 俺寝落ちてた?」

「急に、のう。帝都でのこともあったし、疲れておったのじゃろ」

「あー、なんか話してる途中だったのに、ごめん。俺、人生で一番楽しみなの、ロゼたんとのおしゃべりだってのに……」

 

 そこまでじゃねえよ。まあ、楽しい時間ではあるけどさ。

 まあ、それは置いておいて、だ。

 ちょっとした違和感があるので、遠慮なく聞かせてもらうことにしよう。

 

「えと、俺の制服は?」

「ああ、汚れていたのでな。里の者に頼んで洗ってもらっておる」

「そう言うことね」

 

 寝ていてよだれでもついたのだろうか。まあ、代わりに洗ってもらえるってなら、それはありがたいことなのだが……。

 

「でも、なんで俺いま本校の女子制服着てるの?」

「あー、それはじゃなぁ……」

 

 大きさで言えばちょっと窮屈なのだが、胸の部分だけはやたらとスペースがある。本来の所持者は相当豊かなものをお持ちであろうことが容易に窺い知れるものだったが。

 少しばかりロゼたんの胸を見てみる。うん、流石にないか。と言うか服自体のサイズからして無理だろう。

 では、この前言っていたリィン教官の知り合いの方なのだろうか。それならばわかりやすい。教官は確か本校出身だったし、その知り合いの人が同級生とかだったとしてもおかしくないだろう。

 

「男用の服もなかったわけじゃないが、ヌシ、帝都では女装をしておったし、それに配慮をして、じゃなー」

「なんだそのいらない配慮!? あれは事情があってだな!」

「なんじゃ、自ら進んでやっていたわけではないのか」

「するか!? 男用の服をくれない? ロゼたんがこの制服を綺麗に着こなしてる姿を見たい」

「なかなか似合ってるとは思うがのう……」

 

 似合ってはいないだろ……。胸の方もおかしなことになってるし。

 

「胸に詰め物でもするべきかの?」

「いらねえよ! 自分のためにとっておけ!」

「なんじゃと!?」

 

 自分で怒るなら言うなよ……。

 

「あ、そういえば。ロゼたんの言う用事はもう終わった? 俺としては君との会話はいつまでも楽しみたいけどね」

「用の方はもう終わったぞ?」

「ああ、それはよかった。俺としてはこれからも君との逢瀬を楽しみたいが」

「……ヌシ、今日ずーっと話し方がおかしいのじゃが、まさか妾を揶揄っておるのか?」

 

 ごめんね。俺はそんなつもりじゃないけど、そういう感じになってしまってるよね……?

 

   <選べ>

 

【俺はいつだって真剣なのだ】

【真剣を飲み込む芸をしてみせる】

 

 できないよ、俺!? 真剣飲み込みショーがただの殺戮ショーになっちまうよ!?

 

「俺はいつだって真剣なのだ」

「真、剣じゃと……?」

 

 大きくのけぞりながら驚くロゼたん。

 そりゃそうだ。俺だって驚くわ。

 

「ぬ、ヌシ、まさか本気で妾に恋をしておるのか……?」

 

   <選べ>

 

【帝国男児らしく愛の告白をする】

【顔を真っ赤にしながらしどろもどろしつつ「そ、そんなことないよ?」と小学校男子らしく誤魔化す】

 

 どっちも嫌じゃ!

 嫌だ嫌だ! 選びとうない!!

 

「すいたらしき御方と存候より胸の炎も休まらず何となう心苦しきまでにこがれて候」

 

 いつの時代の告白だよ!!! 自分で喋っておきながら、自分自身ですら何を言ってるのかわかんなかったぞおい!

 ほら、ロゼたんを見てみろ!

 

「……?」

 

 頭傾げて、何言ってんだこいつみたいな顔をしてやがる! うん、まじで気が合うね。俺もそっちだったら同じことやってるわ。

 

「そ、それより、ロゼたん!」

「な、なんじゃ!? って! ロゼたんやめい!」

「ロゼたんならもしかしたらと思って聞きたいんだけど、俺、ロゼたんみたいな転位とかそういう術を使いたいんだけど!」

 

 急いで話題を変える。これ以上掘り下げられたらたまったものじゃないのだ。俺の感情的な意味でも、選択肢がこれ以上猛威を振るわないためにも。

 

「……妾と同じ術、じゃと?」

「うん。ここって魔女の眷属の隠れ里ってことは、ロゼたんがその魔女ってことだろ?」

「そうじゃな」

「せっかくだし、ロゼたんの世界のことも知ってみたいなと思ってさ」

 

 少しばかりおさまってるナンパ口調のおかげで、問題なく話したいことが話せた。俺も馬鹿ではないのだ。こないだ、あの選択肢の焦り様を覚えていないわけもない。選択肢が止めた世界でロゼたんだけが動いていて、その結果ロゼたんをひん剥く羽目になったあれである。

 そこから導き出された結論として、魔女の術とやらで俺は選択肢に対する抵抗力を持てるのではなかろうか、そういうことである。

 

 ……という建前はさておき、正直な話、ロゼたんと仲良くなりたいだけだったりするのだが、そこを意識してしまうと俺のナンパ口調が何を言い出すかわかったものじゃないので、心の奥に押さえておくことにする。

 

「ほう、妾の世界、とな」

「うん。それに、もしかしたらロゼたんの術を使えば、俺が抱えてる問題をちょっとは解決できるかなって」

「……残念ながら魔女の秘術は門外不出ゆえ、教えてやることは叶わぬな」

「うーん、残念」

 

 断られてしまった。だがまあ、予想通りと言えば予想通りではあった。流石に隠れ里を作るくらいなのだ、簡単にポイポイと教えるわけにもいかないだろう。

 だが、こちらとしても簡単に諦めるわけにもいかない。

 

「じゃあさ、その魔女の術ってのを、たまにでいいから見せてもらってもいいかな?」

「見せる、か……。見せ物ではないのじゃが」

「そう言わずにさぁ、ロゼたんのかっこいいところを見せてよ」

「うーむ」

 

 煮え切らない態度のロゼたん。先ほどと違って、少し押してやればなんとかできるのかもしれない。

 どうすればいいんだろうかと、そう思い悩んでいると、いいアイデアがすぐに出てきた。

 

「見せてもらう代わりにさ、今度からお土産持ってくるよ!」

「土産とな?」

「実は最近、甘味にハマってて」

 

 とは言っても今日のことなのだが。

 実はあの後訪ねた百貨店で色とりどりなスイーツとの出会いがあって、食べる以上にどうやって作るかの方に興味が湧いてしまったのである。

 その成果を持って来れば、代償として釣り合うのではないかという魂胆だ。

 

「甘味……」

「そうそう。甘いもの、好きじゃなかった?」

「そんなことはないが……」

 

 甘いもの大好きそうな外見年齢である。というか、性格的にも好きそう。

 

「……ストロベリーキスティラミス」

「……!?」

 

 とりあえず、作ってみたいスイーツの名前をあげていくことにしよう。

 興味をひければいいのだが。

 

「カフェモカヘーゼルナッツパフェ」

「…………じゅるり……」

 

 わかりやすく舌なめずりをしたぞ。案外ちょろいのかもしれない。

 

「シナモンスウィートロール」

「……だ、だが王道にすぎぬではないか」

「ピスタチオヘブンケーキ」

「ピスタチオをケーキに、だと……!?」

「レモンシフォンパラダイス」

「パラダイス……!? なんじゃ、その魅力的な名前は!」

「チョコレートスウィートファンタジア!」

「おおおおおおお!!」

 

 なんだこの反応のいいロリっ娘。ちょれえええ。

 

「可愛いぞ、ロゼたん。抱きしめてやりたくなってくるじゃないか」

「は?」

 

 一瞬にして真顔に戻るロゼたん。そりゃそうだ。だってこっちにはひん剥きの前科があるのだから。

 

「じゃ、じゃあさ! 今度お土産持ってきた時に、気が向いたらでいいから見せてもらってもいい?」

「露骨に話を逸らしたな……。じゃが、気が向いたら、でいいのであれば、考えてやらんこともない」

「やったー!」

「ただし、先ほどの土産は必ず持ってくるのじゃぞ。特にシナモンスウィートロールをな」

 

 王道だとか言って反応が鈍かったやつじゃねえか! だけどまあ、

 

「ロゼたん大好き!!」

「……現金なやつじゃのう……」

 

 その後、ロゼたんの好きそうなものについて知るために他愛のない世間話を少しして、その場は解散となった。

 俺はそのまま学校の寮へと転位することになった。本来ならばロゼたんなしでブレスレット単体では半月に1回分程度の転位しかできない。つまり、今度ロゼたんと会えるのは来月半ばということになるのだ。それまでにある程度スイーツを作る腕を上げないといけない。

 だがしかし。女装をして1日の大半を過ごしていたせいもあって、すっかり失念していたことがあった。

 それは自分が赤色の女子制服のままであったことだ。

 ちなみに制服のスペアはないし、転位は使えない。

 あと、自由行動日は基本的に週に1日だけ。

 それに、念の為に校則を確認したところ、通学時の制服着用の規則はあったが、性別の指定はなかった。

 

 そこから安易に結論を導き出した俺が女子制服で登校してしまったのが悪かったのだろう。制服紛失の罰として、前の制服を取り戻すまで女子制服で登校するように言い渡されたのだが、この処罰に分校長の意思が大いに関わっていることは間違いないことだけははっきりしていた。




評価、感想及び誤字報告本当にありがとうございます!

ひん剥かれずに済んだロゼたん。しかし餌付けルートが解禁されてしまった……。

そういえば、意気揚々と受験をしたのに首席を取り逃しただけでなく、本当の首席が帝国批判して蹴り出された挙句に、無理やり首席にされ直した皇太子がいましたね。どんないじけ方をするのか、想像もつかないですなぁ……。しかも、今度の自由行動日に第二分校来るみたいだし、宿敵の女装姿に何を思うのでしょうかね……。

今の所ヒロインを数人想定しているのですが、誰のルートがいいでしょうか?

  • 王道のユウナ
  • 二次創作らしくライカ
  • 鬼道のシズナ
  • やっぱりロゼたん
  • まさかのミュゼ
  • 修羅のハーレムルート
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。