ありふれた世界を救う為に来た最強のカードバトラー 作:異界見聞録
〜第15話「迷宮の罠」〜
恵里の爆弾発言に全員が驚愕していた。
「エリリンが大人の階段登った!?」
「え、恵里ちゃんが大人に……///」(あわわわ///!!)
「香織!?しっかり!!!」
「中村さんおめでとう〜〜!!!」
「幸せにねぇ〜〜!」
女子生徒たちはきゃーきゃーっと盛り上がりながら祝福のエールを送ったり混乱などしていた。
「クソ!?やっぱ顔かよ!?」
「イケメン死ね!!」
「ウゾダドンドコドーン!!!」
「真っ白に……燃え尽きたぜ……」
「さ〜〜すがっ馬神!!!俺たちの出来ない事を平然とやってやってのけるッ!!」
「そこにシビレる 憧れるゥ!!!」
「止まるんじゃ……ねぇぞ…………!」
男子生徒たちはもはやカオスと化していた
「いや、違うからな!?」
ダンは慌てて否定していく
「ひ、酷い……!あんなに強く抱きしめてくれたのに!!」
そう言いながら恵里はポロポロと泣いていくと冷たい視線(主に女子生徒)がダンを集中的に睨んでいく
「い、いや!抱きしめたのは事実だけど……!?愛し合ったって……」
『あ、抱きしめたのは本当なんだ……』
ダンがオロオロとそう発言すると全員が認めるんだとダンを見つめていく
「ボクの事嫌い……?」
上目遣いで涙目の恵里はダンを見つめながら聴いていく
「…………」(ぎゅっ)
するとダンは恵里を抱きしめていく
『きゃ〜〜〜〜///!!!』
女子生徒たちはダンの大胆な行動に黄色い奇声を上げていき
『見せつけやがって!!!!』
男子生徒(ハジメと光輝と檜山以外)は嫉妬をダンに向けていく
「ダン……?」
ダンを上目遣いで見つめていき
「とりあえず……これで勘弁してくれないか?」
ダンは抱きしめながら恵里の頭を優しく撫でて慰めていく
「うん♪えへへ///」
ふにゃってした顔でダンに笑っていく恵里
「あーごほん……!!お楽しみ中すまんが…………もういいか?」
すると咳をしながらメルドはダンと恵里にそう言っていき
「あ、嗚呼……///」
「は、はい……大丈夫です……///」
メルドに言われて顔を真っ赤にするダンと恵里…………
「それでは説明するがその前に……ダン……帰ったら式を挙げるか?」
「いや!しなくていいからなっ!?」
メルドがそう提案するが速攻断っていく
「むぅ〜〜」
恵里は式を挙げられなくって頰を膨らませてダンをジト目で睨む
「(勘弁してくれ……恵里……)」
ダンは心の中で恵里にそう言いながら目を逸らしていく
オルクス大迷宮にメルドを先頭に他の騎士…参加したクラスも次々と入っていく
するとしばらくして魔物……ラットマンが現れる
「よし!まずは光輝達8名前に出ろ!!他は下がって待機だ!!」
メルドの呼びかけですぐに動いていく。ちなみにチーム分けでは、前衛に光輝、龍太郎、雫……中衛にダン、ハジメ……後衛に香織、鈴、恵里といった感じになっており……
「ラットマンマンはすばしっこいが大した敵じゃないが冷静に動け!!」
そうメルドが言うと光輝達は『はい!!』といいラットマンと戦闘開始をしていく
ラットマン…灰色の体毛に赤黒い目が不気味に光っており、名称に相応しく外見は鼠っぽいが……二足歩行で上半身がムキムキの姿をしている。
対戦する女性陣はラットマンの姿に顔を引き攣っているが、男性陣は武器を構えていく。まずは前衛の三人がラットマンに攻撃を繰り出していく。
光輝の手には純白に光り輝くバスターソードこと聖剣を振り上げながらラットマンを一刀両断していく。龍太郎は拳士な為、己の肉体を活かした格闘戦術でラットマンを圧倒していく。まるでその姿は盾役の重戦士を思わせる闘いっぷりである。最後の雫は剣士な為、刀とシャムールの中間の剣を使って迫ってくるラットマンを抜刀術で倒していく。そして中衛のダンとハジメは後衛の香織と鈴と恵里が詠唱を唱える為の時間稼ぎとラットマンが後衛の三人に向かわせないように足止めをしていく。ダンは片手剣とダガーを駆使してラットマンの注意を向けさせて攻撃(手加減)しながらハジメの錬成武器やトラップで足止めをしていきそして…………
「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ──“螺炎”」」」
3人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎がラットマン達を吸い上げるように巻き込み燃やし尽くしていく。ラットマン達は断末魔の悲鳴を上げる前にパラパラと降り注ぐ灰へと変わり果て絶命する。
容赦ないオーバーキルをラットマンに行っていく。しかし慈悲はない!
「あー……もうそのへんでいいぞー」
そうメルド団長がダン達に指示を出して灰と変わり果てたラットマンの亡骸を調べる。
「勇者組に一階層の雑魚は弱過ぎるな。まぁ今回は訓練だからいいが……やり過ぎ感はあるが……」
そう言いながら苦笑すると後衛の三人は顔真っ赤になっていく
「…………」
「ダン君どうかしたの?」
「んっ?いや、別になんでもないぞ?ハジメの錬成した武器が使い心地良かったからつい握っていた」
「…………満足してないって顔しているよ?」
小声でハジメはダンに言うと驚くようにハジメを見つめていく
「何故……」
「やっぱり……ダン君の動きもそうだけど顔に凄く書いてあったからわかっちゃったんだ♪」
そう言いながらニコニコしながらダンを見るハジメ
「参ったなぁ……俺ってそんなに分かりやすいか?」
「というより不満なオーラが出てるもんわかっちゃうよ?」
「…………」
やらかしたなぁ……と後悔するダン……
「ダンってもしかして戦闘狂?」
すると背後にいる恵里がダンとハジメの話に割って入ってきながらダンに聞いていく
「あ、中村さん……」
「あ、ボクの事は恵里でいいよ?南雲君……あ、ハジメ君って呼んだ方がいいかな?」
恵里に名前を呼ばれてハジメは顔を赤らめていく
「え、えっと……いいけど……じゃあ、ボクも恵里さんって呼ぶね?」
「うん♪よろしくハジメ君♪」
ニコニコしながらダンに背後からぎゅ〜〜って抱きつきながら恵里はハジメに挨拶していく
「それでさっきの話だけど〜〜どうなのダン?」
「…………ノーコメントで」
「「(あ、バトルジャッキーなんだね)」」
ダンが黙秘するも恵里とハジメはダンが戦闘狂だとわかったのだった。
迷宮での実戦訓練を始めてからダンたちは既に二十階層に到達していた。その道中にロックマウントという魔物が現れ、ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”で魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。それを食らってしまった天之河達前衛組が一瞬硬直してしまった。この状況を見てマズいと思ったダンは天之河達前衛組の前に立ち、ロックマウントの攻撃に備える。ロックマウントはそんなのお構いなしに突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた。見事な砲丸投げのフォームで咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が香織達へと迫る。香織達も動けず顔を青くして震えていく
「させるか!」
するとダンはデッキケースから一枚のカードを出して高らかに叫んでいく
「フラッシュタイミング!!マジック!リミテッドバリア!!」
そう言うと見えないバリアが香織達を守るように展開していくが投げられた岩自体ロックマウントとなり香織達に襲いかかるように某三代目大泥棒の飛び込みダイブをしていくとバリアが阻むのだがその気色悪さに香織や鈴と恵里はお互いに抱き合ってひぃっ!と悲鳴をあげていく
「これ以上やらせないぞ……!フラッシュタイミング!!マジック!サジッタフレイム!!」
そう言いながら無数の火の矢が香織達を襲おうとするロックマウントに容赦なく当たり続けて爆破して絶命するのだった。
「何とかなったか……後はもう一体………」
そう言って前を向くと……
「よくも香織達を!!万翔羽ばたき、天へと至れ──“天翔閃”!」
「なっ!?…馬鹿、ここで大技を使うな!」
天之河がここで大技を使って曲線を描く極太の輝く斬撃を放つ。その斬撃はもう一体のロックマウントを縦に両断して葬り、更に奥の壁を破壊し尽くしてようやく止まった。本人はみんなに襲いかかって来た魔物を倒したと思い込んでいる様だが、メルド騎士団長やダンは違った。天之河は皆に“もう大丈夫だ!”と声を掛けようとした時にメルドの鉄拳よりも先にダンの拳が入った。
「ぶっ!!?ば、馬神!?」
「何を考えているんだ!?ここでは大技や強力な魔法は危険だと言う事は分からないのか!?」
「で、でも!香織達が危険な目にあったのは事実だろう?!俺は彼女達を助けようと……」
「馬神の言う通りだこの馬鹿者が…!あんな大技を使って洞窟が崩壊したらどうするんだ」
「うっ。す…すいません……」
ダンに反発するもメルド騎士団長には頭が上がらない天之河。こればかりはいくら何でも天之河の視野の狭さには流石のダンも本当に苛立ちを隠せないでいた。とりあえず気分を落ち着かせようと天之河が放った場所を見て見るとそこにはパラパラと部屋の壁から破片が落ちる光景だけが残されていた。すると香織がその場所にこの洞窟の光に反射するかの様に輝く鉱石を発見した。
「…あれ?何だろう…宝石?スゴくキラキラしてる」
「ん?…本当だ。メルド団長、アレは一体?」
「ほぉ、あれは“グランツ鉱石”だな。大きさも中々だ。あれ程大きいのがここで見つかるのも珍しいな。あの鉱石は言わば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気の代物だ」
「キレイ……」
確かにあの鉱石の純度は中々のものだ。その時に勝手に行動する者が現れる。
「へぇ?香織、お前アレほしいのか?じゃあオレが取って来てやるよ」
「え?檜山くん…?」
そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに気付いて慌てたのはメルドとダンだった。
「だ…駄目だよ檜山くん!」
「大丈夫だぜ。こーゆーの得意だからな!」
「違う!!いいから早く降りてこい!!」
「…っ!!檜山…!触れるな!!」
メルド騎士団長が怒鳴っている声を聞いて嫌な予感をしたダンは止めるように檜山に言うが…………
「オラッ楽勝楽勝……うおっ!?」
しかし一歩遅く、檜山がグランツ鉱石を掴むと既に魔法陣が展開していた。
「いかん、トラップだ!」
部屋の中に光が満ち、ダン達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。
場所は変わって、ダン達は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に皆は地面に叩きつけられた。ダンは体勢を崩すことなく着地し、辺りを見渡す。クラスメイトのほとんどは尻餅をついていたが、メルドや騎士団員達、そして光輝達など一部の前衛職の生徒は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。
「どこだここは…石橋の上…?」
「いや……今は場所を把握するより厄介な事になった様だ。見ろ、あの黒い魔法陣だ」
ダンが指を指した正面の通路側には黒い魔法陣があり、その魔法陣からは一体の巨大な黒い魔物が出現する。その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルドの呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。
「まさか、ベヒモス……なのか」
メルドのその言葉にダンは思わず耳を疑った。どうやら嫌な予感はこの様な形で当たってしまったと……しかし、これはほんの序曲でしかないという事を今のダンには知る由もなかった。
次回!ダンが本格的に動く