ありふれた世界を救う為に来た最強のカードバトラー 作:異界見聞録
〜第18話「恵里の決意と愚か者」〜
「ハジメ…………」
ギリッ!と歯を食いしばりながら力強く拳を握って悔しそうな表情をするダンの他……香織が飛び出そうとして雫や目が覚めた光輝に羽交い締めにされており、他のクラスメイトは青褪めたり、目や口元を手で覆ったりしている。メルド達騎士団の面々も悔しそうな表情をしていたのだった。
「香織っ、ダメよ!香織!」
「離して!南雲くんの所に行かないと!約束したのに!私がぁ、私が守るって!離してぇ!」
「だめだ香織!君まで死にに行く気か! 南雲は……もうダメだ!このままじゃ、君まで壊れてしまう!」
香織が酷く取り乱していると雫は取り乱している香織を羽交い締めで抑えた。無論、香織は必死にもがいていた。そこで天之河が香織の気に障ることを言ってしまい香織はキッと天之河を睨んで叫ぶ
「ダメって何!? 南雲くんはまだ死んでない!行かないと、きっと助けを求めてる!」
そこへダンが近づいていき
「すまない香織……」
そう言って手刀で香織を気絶させると、その香織を抱きしめるように雫が支えていく
「香織に何をする馬神!!」
そこに香織を傷つけたと錯覚した天之河がダンに掴みかかっていき
「あのままじゃ香織まで奈落へ飛び込もうとしていた気絶させるしか方法がなかった……」
弱々しくダンは天之河にそう言って目を香織に向けては気絶しても涙を流している香織を見て心を痛めていた
「っ!!……す、すまない……ありがとう……」
ダンの言葉を聴いて天之河は感謝の言葉をダンに言い掴む手を離していく
「…………」
しかしダンはその謝罪を聴かず雫に近づいていく
「すまない雫……香織を連れて行ってやれ……」
「う、うん……ダン君……その、ありがとう……」
「……礼を言われる筋合いは俺にはない……」
「ダン君……」
ダンはそのままメルドの方に向かうと天之河や香織を支えていく雫も一緒に向かっていく
「大丈夫か馬神……?」
メルドはダンに呼びかけていく
「…………早くここから出よう……まだやる事がある……」
「やる事……?」
ダンの言葉に首を傾げると……
「クソッ!?なんだよコレ!?全然外れねぇ!!」
ダンのサイレントロックで拘束しているハジメに攻撃した元凶が暴れていた。
「メルド…拘束されてる檜山を運んでくれないか?」
「あ、嗚呼……わかったが……なぜ彼を……」
「安全な場所に着いたら話す……」
「…………わかった」
ダンの言葉に頷くと騎士に檜山を運ぶように指示していく
「え、えっと……ダン……?」
隣を歩く恵里がダンに話し掛けていく
「…………なんだ?」
「その……えっと……」
ダンになんて声を掛けていいか迷う恵里は言葉を詰まらせていく
「俺なら大丈夫だ……心配してくれてありがとうな……」
そう言ってダンは恵里の頭を優しく撫でながら微笑んでいく
「…………うん」
それ以降恵里はダンに話さなかった。その代わり側にいながら着いて行く……
誰もが沈黙しながら階段を登るも上階への階段は長く、先が暗闇で見えない程にずっと上方へ続いている。
ただでさえ、薄暗く長い階段は気が滅入るものなのに、先の戦いでのダメージもある彼等は疲労を感じていた。
約三十階程登った所から、そろそろ小休止を挟むべきかとメルドが考え始めた時、ついに上方に魔法陣が描かれた大きな壁が現れた。
生徒達の顔に生気が戻り始め、安全とそれに刻まれた魔方陣が壁を動かす為のものだという事を確かめたメルドが魔方陣に魔力を流し込むと、扉がクルリと回転し、奥の部屋へと道を開いた。
その扉を潜ると、そこは元の二十階層の部屋だった。
次々と安堵の吐息を漏らす生徒達の中には、泣き出したり、へたり込んだりする者もいた。天之河ですら壁に凭れ、今にも座り込んでしまいそうだ。
しかし、ここはまだ迷宮の中。低レベルとは言え、いつどこから魔物が現れるか分からない。完全に緊張の糸が切れてしまう前に、迷宮からの脱出を果たさなければならない。
メルドは休ませてやりたいという気持ちを抑え、心を鬼にして生徒達を立ち上がらせた。
「お前達!座り込むな!! ここで気が抜けたら帰れなくなるぞ!魔物との戦闘はなるべく避けて最短距離で脱出する!ほら、もう少しだ、踏ん張れ!」
少しくらい休ませてくれよ、という生徒達の無言の訴えをギンッと目を吊り上げて封殺する。
「少し休憩を挟もう……」
意外にもダンがメルドにそう提案したのだった。
「だが、もし魔物が襲ってきたら……」
「今行っても疲労し続けている彼らじゃ魔物の餌食になる事にもなる……それにベヒモスとの戦闘でメルド達は休めていないだろ?少し休憩して回復した方がいい……みんなも色々あって疲れている……少しだけでいい休憩をさせてやってくれ……」
ダンはそう言ってメルドに頭を下げて頼んでいく……それを見た生徒達はもちろんメルド達も驚いていた…
「…………わかった……少し休憩を挟もう!お前たちも休憩していいぞ!!」
メルドはダンの言葉を了承すると休憩を許可して生徒達に言っていく。それを聴いてた生徒達は力が抜けるように一時の休憩を受けていた。
「……俺は少し探索して来る」
ダンはメルドにそう言ってそこから離れようとしていく
「ま、待て馬神!!一番戦闘していたお前が休まなくてどうする!?」
メルドはダンを呼び止めるようにそう言って腕を掴んでいく
「大丈夫だ……疲れていないよ……ただ……今動けそうなのは俺だけだから……先に言って安全かどうか確認するんだ……幸いここはまだ大丈夫だしな……」
「し、しかし……!」
「すまない……しばらく一人にしてくれ……」
そう言ってダンは自分の腕を掴むメルドの手をゆっくりと離して歩いて更に階段を登って進んで行った……ダンの後ろ姿を見てメルドや此処にいる(檜山を除く)者達は黙って見つめていた。
〜〜恵里said〜〜
ダンが探索をすると行って一人階段を登っていくの見てボクは心がはち切れんばかりでいた……ダンとハジメ君は此処に召喚されて友達になったと……ダンから聴いた……ちょっと怪しかったけど……でも、その友達が死んでしまったとなれば誰だって傷つく……ボクだって鈴が死んだらと思うと辛くなってしまう……前まではそうは思わなかったけど……ダンと出会ったおかげで今のボクがいると改めてダンに感謝しなきゃと思ってしまう……本気で好きな人が側にいるおかげでボクは変われた……でも、ボクはダンの支えになっているのかと改めて不安になってしまった…………ボクだけが幸せになっても意味がない……ダンも幸せになってくれなきゃ……死んだと聴いても……確かにダンは存在している……此処に居るんだと……ボクは心の中で思ってダンの為にダンの事を絶対に支えよう!っと改めて決意した。ボクが決意するとしばらくしてダンは戻ってきた……ボクはダンに近づいていく
「お帰り……大丈夫ダン?」
「嗚呼……なんとか落ち着いた……心配掛けたな……」
そう言ってボクに優しく笑いかけてくれた……でも、凄く悲しそうな表情は消えてない……ボクは思わずダンの服をぎゅって握るとダンは首を傾げていく
「どうした恵里……?」
「ダン……ボクをもっと頼っていいからね?ボクはダンの事支えるって決めたんだから……ね?」
「っ!?恵里……ありがとう……もしもの時はお願いするよ……」
一瞬驚いた表情をするダンだったけどすぐに微笑んでボクの頭を優しく撫でながらそう言ってくれた……ボクはそれを見て感じて顔が熱くなってしまうけど同時に嬉しくなって……
「うん!任せてよ……///♪」
笑顔でそう答えた……
〜〜恵里said out〜〜
ダンと恵里のやりとりが終えてメルドがダンに近づいていく
「もう……いいのか?」
「嗚呼……上を見たがある程度の魔物を倒してきたから無事に行けると思う……」
「わかった……何から何まで感謝するぞ……良し!お前たちそろそろ休憩は終わりだこのまま此処を脱出するぞ!!」
メルドは生徒達にそう言いながら移動するように指示していく生徒達も少しだけ元気が出たのか立ち上がりメルドに続くように移動していく。檜山は騎士達に運ばれながら移動する際にダンの方を睨んでいたが、もちろんダンはそんな睨みに動じず最後尾に着いていく。同じように恵里もダンの側に来て移動していくとそのまま一気に地上へ向けて突き進んだ。
そして遂に、一階の門付近になると迷宮に入って一日も経っていない筈なのに、ここを通ったのがもう随分昔のような気がしているのは、きっと少数ではないだろう。
今度こそ本当に安堵の表情で外に出て行く生徒達。正面門の広場で大の字になって倒れ込む生徒もいる。一様に生き残った事を喜び合っているようだ。
「とりあえず一安心だな……」
メルドはそういうが心の中で死者を一人……それも召喚された子供を見殺しにしてしまったと責任感があるメルドは悔しそうな顔をしていく
「さて……メルド……此処でハジメの事について話さないといけない事がある」
「何……?」
ダンがメルドに話している内容に生徒達はそれを聴き騒いでいたのが一瞬にして静まりかえった……約1名は顔を真っ青にしておりブルブルと震えていた。
「その前に…………」
ダンはドーム状の結界を展開していく。それを見て中にいる生徒達やメルド達は驚愕していた。
「す、すごい……鈴よりしっかりとした結界だ〜〜……」
「それに外にいる人達には見えてないのか?気にしてない感じで普通に歩いているぞ?」
鈴は自分の結界より凄い事が分かって唖然としており、メルドはダンの実力が底知れない事に驚き続けていた
「まず……ハジメの事についてみんなに伝えておく事がある……」
ダンはそう言って生徒達に話すと生徒たちもヒソヒソと話し声が聞こえたのだった。
「な、南雲の事について……?どういう事だ馬神……」
天之河はダンに聞き返していく
「簡単な事だ……ハジメは何者かの手によって攻撃されたって事だ」
ダンがはっきりとそういうとざわざわと生徒達が騒ぎ出した。
「そんな馬鹿な!? 何を根拠に!!」
ハジメのあれは事故ではなく意図的にしかもクラスメイトの仕業だと宣言したダンに対して天之河は叫ぶ
「あの時ハジメの近くにいたのが俺だったがその時魔法攻撃の中で不自然に軌道が変わった火の攻撃があった。しかもハジメを狙う攻撃だった……」
そう言うと天之河が大きく目を見開いて有り得ないと首を横に振っていく
「そ、そんな……馬鹿な……」
「その馬鹿な事をやった奴が居ると言っているんだ」
「それで……誰なんだそれは……っ!まさか……」
「そう……俺が拘束して俺の話を聴きそこで顔を真っ青にしている奴だ…………」
ダンが歩いて説明するとダンを見るように生徒達やメルド達も黙って聞く。そしてある生徒に辿り着くと目を見開いていく
「ハジメを攻撃した犯人……お前だよ檜山」
ダンは拘束されている檜山を冷めた目で見下ろしてそう告げたのだった。
次回!愚か者に裁きをダンが下します