ありふれた世界を救う為に来た最強のカードバトラー 作:異界見聞録
〜第30話「奈落に封印されし美しき吸血姫」〜
「俺のステータスもだいぶ変化したな…」
ハジメは自分のステータスプレートを見てそう呟いていく
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17
天職:錬成師/光主(???/???)
筋力:350
体力:450
耐性:300
敏捷:450
魔力:400
魔耐:400
技能:錬成錬成[+電子機器錬成][+電子機器組立て錬成][+複製錬成][+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・肉体強化・スピリット使役(ナイト・ブレイドラ)言語理解
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「私のステータスも上がっているよ?」
そう言って香織は自分のステータスプレートを見せていき
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白崎香織 17歳 女 レベル:20
天職:治癒師/光主(???/???)
筋力:150
体力:200
耐性:300
敏捷:200
魔力:600
魔耐:600
技能:回復魔法[+回復効果上昇][+回復速度上昇] [+複数同時発動]・光属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇]・高速魔力回復[+瞑想] ・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解
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「ボクもだよ?」
そう言って恵里も自分のステータスプレートを見せていく
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恵里 17歳 女 レベル20
天職:降霊術師/光主(???/???)
筋力:150
体力:150
耐性:400
敏捷:200
魔力:650
魔耐:600
技能:降霊術適性[+発動速度上昇]・闇/炎属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇]・全属性耐性・気配感知・魔力感知・高速魔力回復[+瞑想] ・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解
「んっ?お前たちの天職に俺と同じ光主ってのが追加されているぞ」
「あれ?本当だ……」
「なんだろう?この光主って……」
「分かんねェ……」
三人が自分の追加されている天職に疑問に思っているとダンが探索から帰ってきた
「どうかしたのか?」
ダンは不思議そうに三人が悩んでる姿を見て声をかけていく
「んっ……いや、俺たちの天職に新しく追加されてな……」
「そうなのか?」
「うんうん!同じ天職みたいだよ?」
「へぇ〜〜……どんな天職なんだ?」
興味深そうにダンは三人に聞いてみた。
「えっと……“光主”だって……「なんだって!?」ダン?」
恵里がそう言うとダンが驚愕するように三人を見ていくと恵里は不思議そうに見つめていく
「三人ともすまないがステータスプレートを見せてくれ……」
「何か心当たりあるのか?」
「…………」
「だんまりか……まあいい……ほらよ……」
ハジメは黙るダンに溜息をしながら自分のステータスプレートを投げてはダンは受け取り香織と恵里も自分のステータスプレートを渡していく
「…………(本当に光主とあるな……どう言う事だ?もしかしてこの三人は…この世界の光主?もしそうならば……後最低三人いる事になるな……)」
ダンは三人のステータスプレートを見て更に黙り込んでいく
「ありがとう……見せてくれて……」
「ううん…大丈夫だよ?」
「ところでなんなんだ光主と言うのは……」
「…………正直…混乱しているから落ち着いた時に話す」
「そうかよ……絶対話せよ?もちろんお前自身のこともな?」
「ああ……分かっている……」
「(ダン……)」
ハジメとダンのやり取りを見て恵里は心配そうにダンを見ていくのだった。
あれからしばらくしてダン達は更に下の層に行きながら襲ってくる魔物を次々と倒してく。
そして、脇道の突き当りにある空けた場所に高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇にはそれぞれの一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。
「明らかに何か仕掛けがありそうな扉だよな?」
ハジメはそう呟く。
「この石像って動き出しそうだね? 多分、扉を開けようとすると動き出すんじゃない? 門番みたいにさ」
「さながら中ボスの『門番……ゲートキーパー』ってか?」
恵里の言葉の後にハジメがそう言うと、そのまま扉に向かって歩いていく。ダン達は何が起きてもいい様に身構える。そしてハジメが扉に触れるがまだ何も起こらない。
しかし、ハジメが押しても引いても扉はビクともせず、仕方なく錬成を行使しようとした瞬間、バチバチッという音と共にハジメが弾かれた。
「うおっ!?」
「ハジメ君!?」
吹き飛ばされたハジメが後ろに倒れ、香織が駆け寄る。扉に触れていたハジメの手が煙を上げている。
香織は慌てて回復魔法を行使した。
すると、
「「オォオオオオオオオオオオオオオオッ!!」」
野太い雄叫びが部屋中に響き渡った。
ハジメと香織は咄嗟に飛び退き、警戒する。
「ハッ! 予想通りか!」
そう言うハジメの視線の先で、扉の両隣りに掘られていた2体の一つ目巨人が表面の鉱石辺を撒き散らしながら動き出そうとしていた。
その姿はまんまサイクロプスと呼ぶべき風貌だ。
埋まっている下半身を抜き出し、侵入者を排除しようと動き出す。
その瞬間、
――ドパンッ!
――ドシュッ!
2種類の音が鳴り響いた。
ドパンッの方はハジメがドンナーで右のサイクロプスの一つ目を撃ち抜き、頭を爆ぜさせた音。
ドシュッの方はダンが投げたダガーに魔力を込めて投擲し、左のサイクロプスの目を貫いて後ろの壁に磔にした音だ。
「容赦ないなぁ………」
「あはは………」
いつから設置されていたのかは知らないが、少なくとも百年単位の年月が経っているだろう。
漸く役目を果たす時が来たと張り切っていたのだろうが、両者とも登場から僅か数秒で退場することになったのだ。
哀愁が漂わないでもない。
「悪いが、空気を読んで待っていてやれるほど出来た敵役じゃあないんだ」
「俺は偶々だがな…………」
ハジメとダンはそう言う。
そしてハジメは扉にある二つの窪みを見て、『風爪』でサイクロプスの体内から魔石を取り出す。それを扉の窪みにはめ込むとピッタリとはまり込んだ。
直後、魔石から赤黒い魔力光が迸ほとばしり魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。
そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。
「思った通り………!」
ハジメはそう言うと扉に手を掛ける。
すると、ゆっくりと扉が開いた。
扉の奥は真っ暗で何も見えない。
ハジメ達は『夜目』の技能があるので見えているかもしれないが。
すると、ハジメは扉を大きく開けた。
その時、
「………だれ?」
女の子の声が聞こえた。
すると、ハジメが目を見開き、
「人………なのか?」
呆然と呟いた。
「うん………女の子………だよね?」
「………でも、こんな所に人? 怪しくない?」
「何故か封印されているな……」
四人がそれぞれ言うと女の子はかすれた声で……
「……お願い! ……助けて……」
助けを求めていく
その声からは必死さが伝わってくる。
「……なんでもする……だから……」
「どうする? こんな奈落の底の更に底で、明らかに封印されているような奴だぞ。絶対ヤバイって。見たところ封印以外何もないみたいだし……脱出には役立ちそうもないし、スルーするに一票」
そう言ったハジメの声が聞こえたのか、
「ちがう! ケホッ……私、悪くない! ……待って! 私……」
掠れた声で咳き込みながら、更に必死な懇願を続けるその声。
そして、
「裏切られただけ!」
「ッ…………」
その言葉にハジメは僅かに反応した。
ハジメとしてもクラスメイトに裏切られたようなモノなので、その言葉に反応したのだろう。
ハジメは頭を掻きながら部屋に足を踏み入れ、そのまま部屋の奥へと進んでいく。
その後に香織が続き、ダンや恵里も続くように中に入っていく。
そして部屋の奥に行くと……立方体の何かに金髪の女の子が埋め込まれている。
「裏切られたと言ったな? だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印したんだ?」
ハジメがそう問いかけると、
「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」
「お前、どっかの国の王族だったのか?」
「……(コクコク)」
「殺せないってなんだ?」
「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」
「……そ、そいつは凄まじいな。……すごい力ってそれか?」
「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」
ハジメは「なるほどな~」と納得している。
今聞いた話が本当なら、勇者である天之河すら凌ぐチートである。それよりバグ的存在が此処にいるが……
すると、
「……たすけて……」
その言葉を聞いてハジメが俺達に振り返る。
「なあ………?」
ハジメが何か言おうとした時、
「ハジメ君のしたい様にすればいいよ」
香織が笑みを浮かべながら言った。
「ハジメ君には、ハジメ君らしい選択をして欲しい」
「それに、ここまで必死になってる女の子を放っておくのも、何か後味悪いしね………」
香織の言葉に恵里が続き、
「俺も反対はしない……罠の可能性も無い訳じゃないが、この子の様子を見る限りその可能性は低いと思う……。」
全員がそう答える。
ハジメが軽く笑みを浮かべ、女の子が封印されている立方体に手を付けた。
「ぐっ、抵抗が強い! ……だが、今の俺なら!」
ハジメは更に魔力をつぎ込む。
そこまでやってようやく魔力が立方体に浸透し始める。
ハジメは更に魔力を上乗せすると女の子を封じる周りの石が徐々に震え出す。
「まだまだぁ!」
少女はハジメの迸る紅い魔力を目を見開きながら見ている。
直後、女の子の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、やがて体の全てが解き放たれ、女の子は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。
どうやら立ち上がる力が無い様だ。
ハジメも座り込み息を荒くしている。
どうやら全魔力を使い切ったらしい。
ハジメが神水の入った容器を取り出し、口に含もうとした所で、その手が金髪の少女に掴まれた。
その女の子は真っ直ぐにハジメを見つめ、
「………ありがとう」
震える声で小さく、しかしハッキリとそう告げた。
ハジメは照れ臭くなったのか顔を背ける。
すると、
「……名前、なに?」
そう言えば自己紹介もしてなかったな。
「ハジメだ。南雲 ハジメ。お前は?」
ハジメがそう言うと、女の子は何度も「ハジメ、ハジメ」とその名を心に刻みつけるように何度も繰り返した後名前を答えようとして、少し押し黙った後に口を開いた。
「……名前、付けて」
「は? 付けるってなんだ。まさか忘れたとか?」
その問いかけに女の子はふるふると首を振ると、
「もう、前の名前はいらない。……ハジメの付けた名前がいい」
過去との決別を意味する様にそう言った。
「……はぁ、そうは言ってもなぁ」
ハジメはそう言いながら意見を求めようと俺達に視線を向けようとして、
「全部ハジメが決めて………ハジメだけの名前が良い………」
その意見を却下された。
ハジメは少し悩むように頭を掻き、そして口を開いた。
「『ユエ』なんてどうだ? ネーミングセンスないから気に入らないなら別のを考えるが……」
「ユエ? ……ユエ……ユエ……」
「ああ、ユエって言うのはな、俺の故郷で〝月〟を表すんだよ。最初、この部屋に入ったとき、お前のその金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな……どうだ?」
ハジメはユエに聴きながらジッと見つめていき…少女はユエ…ユエ…と繰り返し言いながら頷いていき
「……んっ。今日からユエ。ありがとう」
「おう、取り敢えずだ……」
「?」
礼を言う女の子改めユエの握っていた手を解き、着ていた外套を脱ぎ出すハジメ。
そしてそれをユエに差し出す。
「これ着とけ。いつまでも素っ裸じゃあなぁ」
「……」
言い忘れたがユエは何も着ていない。
元々裸で封印されたのか、それとも服が風化してしまったのか……そこは謎である
「ハジメのエッチ」
「……」
ユエは自分の身体を隠すようにジト目でハジメにそう言った。
何を言っても墓穴を掘るだろうと予想出来ているのか押し黙って神水を飲むハジメ。
すると、まるでユエとハジメの間を遮るように香織が割って入った。
「初めまして、ユエちゃん! 私は白崎 香織! ハジメ君の“恋人”だよ!!」
明らかに『恋人』を強調して言う香織。
その言葉にユエが青天の霹靂の如き衝撃を受けて目を見開いている。
「………………そう、私はユエ。“ハジメに”付けてもらった名を持つ『女』」
しかし、すぐに真っ直ぐに見つめ返すとそう言い返した。
その言葉に香織はムッとすると、
「そうなんだ。名前を付けてもらったって事は、ハジメ君にとってユエちゃんは『娘』みたいな存在って事だね………!」
ニコニコと笑いながらも二人の間に火花が散っているように見えるのは決して気の所為では無いだろう。
「………………修羅場?」
恵里が二人の様子を見てそう零す。
「だな………」
ダンはその言葉に同意する。
その瞬間、
「「ッ!?」」
ハジメとダンが同時に何かに反応した。
ハジメは距離が近かった香織とユエを片腕で強引に抱え、ダンは思わず恵里を抱えてその場を全力で飛び退いた。
その直後、天井から巨大なものが落下してきて目の前に着地する。
砂煙を巻き上げて現れたそれは、一言で言うなら巨大な蠍。
ただし尾が2本あり、鋏も四本だ。
そしてその蠍擬きは、侵入4人及び封印されていたユエに威嚇をするように鋏をジョッキン!ジョッキン!と動かしていくのだった。
〜〜ありふれ劇場〜〜
香織)むむむっ……
ユエ)……
ハジメを巡ってユエと香織が睨み合ってる中……
恵里)ねぇねぇダン……
ダン)なんだ恵里……
恵里)そういえばダンは、ユエちゃんの裸見たの?
ジト目でダンを見る恵里
ダン)何故そうなる……生憎そう言う常識はあるから封印から解ける前に後ろを向いていたさ……
恵里)そうなんだ……
それを聞いて安心する恵里だった。
〜〜つづく〜〜