ありふれた世界を救う為に来た最強のカードバトラー 作:異界見聞録
〜第32話「新たな仲間…寄生する魔物の脅威」〜
〜〜ダンside〜〜
俺達は戦いが終わった後、ユエから話を聞いていた。
「なるほど……そうすると、ユエって少なくとも三百歳以上なわけか?」
「「「……マナー違反」」」
「流石にそれはどうかと思うぞハジメ?」
ハジメの言葉に女性3人がジト目で同時に突っ込み、俺はハジメに注意をしていく。
内心ハジメと同じ事を思ったのは秘密だが、流石に言葉に出して言う事じゃないと俺は思ったのだ。
ハジメは苦笑いしながら巨大蠍の一部から肉をはぎ取っている。
「吸血鬼って、皆そんなに長生きするのか?」
「……私が特別。〝再生〟で歳もとらない……」
ハジメの問いにそう答えていくユエに恵里も手を挙げて……
「それって…不死身の固有魔法かな………?」
「……うん」
更に恵里の問いに頷いていくユエ……不死身の固有魔法……独りぼっちか……
「ところで、ユエちゃんはここがどの辺りか分るかな?地上への脱出の道とかあったり……」
「……分からない。でも、この迷宮は【反逆者】の1人が作ったと言われている」
香織の問いにユエが首を振りつつそう答えていく反逆者か……
「反逆者?」
「神が治めていた時代に、神に挑んだ、神の眷属の事………」
「神に逆らった奴がいたのか?」
「世界を滅ぼそうとしたと伝わってる………目論見外れて反逆者達が逃走した場所が【大迷宮】………」
「じゃあここ、【オルクス大迷宮】も………」
「うん………大迷宮の一番深い所に、反逆者の住処があるみたい………」
「奈落の底の最深部………か………」
「そこなら、地上への道があるかも…………」
「なるほど、神代の魔法使いなら転移系の魔法で地上とのルートを作っていても不思議じゃない」
ハジメ達の会話を聴いて少なくとも地上への道筋が見えたことは間違いない。そしてこの世界の仕組み……俺が思っていた事にも色々説明がつくわけか……
ハジメは先程から何か錬成でカチャカチャとやっているが、明らかに今までとは大きさの違うそれは、スナイパーライフルだ。
どうやら巨大蠍との戦いで攻撃力不足を実感したらしい。
すると、ユエが口を開いた。
「…………ハジメ達は、どうしてここにいる?」
「………そうだな、あまり面白くは無いが………聞くか?」
「………んっ!」
ハジメの言葉にユエは頷く。
ハジメは今までの事を掻い摘んで話し、俺達もちょくちょく補正を入れる。
大体話し終わった時、ユエはグスッと泣いていた。
「いきなりどうした?」
「……ぐす……ハジメ……つらい……私もつらい……」
「気にするなよ」
「…………それにカオリ達もすごい…………生きてるか分からないハジメの為にこんな所まで来るなんて、普通できない………」
それを聞くと、香織は俯く。
「全然すごく無いよ…………ハジメ君と再会する時まで、私…ダンお兄ちゃんと恵理ちゃんに頼りっぱなしだった………2人が居なかったら、ハジメ君とは再会できなかった…………」
俯きながらそう言う香織…
だが、
「そんなことはない………カオリはハジメの事を大切に思ってる………だから力が無くてもハジメを探すことを決めて………こんな場所までダン達についてきた………だからカオリは間違いなくすごい………」
「ユエちゃん…………」
「ユエの言う通りだ。少なくとも俺は探しに来てくれて嬉しかったし、お前がいなかったら、俺は今以上に荒んでいたのかもしれない。それに、俺が生きると決心したのもお前に会いたかったからだ。だから、そんな事言うな……」
「ハジメ君……!」
なにやらピンク色の空間を撒き散らす二人が見えたが敢えてスルーする事にした……
〜〜ダンside out〜〜
そしてダンが再びハジメ達の方に向くと元の世界に帰る時にユエも連れて行くみたいな話に進んでいた。
ダンはユエのハジメを見る目がもう恋する乙女だと感じてハジメは苦労するなぁ……と他人事のように見つめていた。
「…………そう言えば、ユエは魔物肉って食べれるのか? そうでなければ俺らの食料を分けるしかないわけだが………」
ふと思い出したようにハジメはユエにそう言っていく
「そういやそうだな………吸血鬼だから大丈夫なのか?」
ダンがユエに聞くと、ユエはフルフルと首を横に振り……
「食事は要らない」
とそうダンに言った。
「まぁ、三百年も封印されて生きてるんだから食わなくても大丈夫だろうが……飢餓感とか感じたりしないのか?」
「感じる。……でも、もう大丈夫」
「大丈夫? 何か食ったのか?」
ハジメが聞き返すと、ユエは何故かハジメを指差し、
「ハジメの血」
「ああ、俺の血。ってことは、吸血鬼は血が飲めれば特に食事は不要ってことか?」
「……食事でも栄養はとれる。……でも血の方が効率的」
すると、ユエがハジメににじり寄りながら舌なめずりをした。
「……何故、舌舐りする」
「……ハジメ……美味……」
「…………は?」
「……熟成の味……」
「な、何言ってんだ?」
「ハジメの血………何種類もの野菜や肉をじっくりコトコト煮込んだスープ………」
「俺魔物の肉を食べ過ぎて不味そうだが……」
「………濃厚で深い味わい………!」
そう言いながらハジメに圧し掛かって押し倒す。
「おわっ!?」
「………いただきます」
そのままユエがハジメの首筋に噛みつこうとして、
「ちょーーーーっと待とうかユエちゃん!」
香織に首根っこを掴まれて引っ張られた。
「わざわざハジメ君から直接吸う必要は無いでしょ!? 血が必要だったら私達からも分けてあげるし、ハジメ君ばっかりから吸わないで!」
「………でも………ハジメ、美味しい…………」
「なら私達の血も味見してみればいいでしょ!」
「香織? それ、私達も入ってる?」
香織の言葉に恵里はジト目になりダンははぁ……と溜息をついたのだった。
ちなみに香織と仕方なくと言った顔の恵里も血をユエから吸われて感想が……ハジメの二番目に美味しいと言われたのだった。最後にダンも吸おうとするが、さっさと次いくぞと急がせた為、吸われる事は阻止したのだった。ただユエから不満の眼差しと恵里から助けてくれなかったと頰を膨らませながらジト目でダンの背後を睨むのだった。
「だぁー、ちくしょぉおおー!」
「……ハジメ、ファイト……」
「お前は気楽だな!」
「「「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」」」
「イヤァァァァァァッ!!ハジメ君!もっと早く〜〜!!」
「あれは絶対ホラーだよ……」
「恵里……余裕あるんじゃないか?」
ダンたちは二百体近くの魔物から逃げていた。
時を遡ると数分前……
ダン達は更に降りた層に魔物が居た為思わず隠れたのだった。そしてチラリと様子を窺うと魔物の酷似した生物を理解したのだった。それは恐竜だ……そして恐竜型の魔物がダン達に気づいて襲い掛かって来たのだ。ただ気になるとすれば……その魔物の頭に花が咲いている事だ。ユエは自身の実力を見せるべくその恐竜の魔物に“緋槍”と呼ばれる魔法でその魔物を倒す。これにはハジメも満足だった。彼女は攻撃魔法に特化しており、回復魔法とかは持ち合わせていなかった。回復はハジメが持つ神水で何とか補う事でダンたちは更に奥に進む。
奥にはまた頭に花が咲かせている恐竜型の魔物がいた。ハジメは一応検証の為に花だけを狙い撃つ。花が消し飛んだ途端その魔物は倒れ、数十秒後には目を覚まして辺りを見渡し始めた。そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。……一体花に何の恨みがあるのかハジメたち自身分かりたくもなかった。そしてようやくなのかその魔物はダンたちの存在に気付いた。もはや“何時の間にっ!?”と言わんばかりの表情であった。ハジメは容赦なくその魔物をドンナーで倒す。因みにユエはハジメにしがみつくことにした為、一体は取り残されたのは内緒である。
そして今現在に至り、ダンたちは恐竜型の魔物達から全力で逃げていたのであった。
「…本当に何なんだよ彼奴等は!?殺しても殺しても、次々に現れやがって!」
「まるでジュラシックp「香織…!それ以上はいけない!!」
香織が何やらメタ発言をしようとしたところを恵里が慌てて止めた。
「だが本当にそれな!おかしいだろ!?…それになんだ、あの頭の花は!?」
「……ちょっと可愛い」
「可愛くねぇよ!さっきだって彼奴等の一匹が……!」
「どうやら気づいたみたいだなハジメ……」
途中でハジメは途中で言葉を止め、何かの謎が解けた様だった。先程まで無言だったダンもハジメと同じ様に魔物達の頭に生えている花について至ったのだ。
「ハジメ、あの魔物の頭に生えている花は恐らく……」
「……寄生」
「あぁ…ユエとダンもそう思ったか?となると、本体がいる筈だ!あの花を取り付けている奴を殺さない限り、俺たちはこの階層の全ての魔物と相手することになる!」
「ええ〜〜とっ!つまりどうするのかな?」
「っ!ダン!あれ!!」
混乱している香織に恵里が何かを見つけて前方に指を差すと縦割れの洞窟があるのを発見する。その縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだった。彼所ならあの魔物達もそう簡単に入って来ないだろう。その時に追ってくる魔物達の動きが激しさを増した。
「……どうやら、彼所が本体がいる場所の様だな」
「だったら、好都合だな……突っ込むぞ!」
そうハジメの言葉にダン達はその縦割れに入り込み、その奥へと進む。その時にダンは先にハジメ達を入らせた後に迫り来る魔物の群れに対してデルタバリアを張って迫ってくる魔物の群れを防いでいく。そして安全を確保した所でダンは負ぶっている恵里と共に縦割れの洞窟に入り込む。その後ろではデルタバリアの効力が切れて魔物の群れが再びダンたちに襲いかかろうとするが、縦割れの幅が狭すぎた為に入りきれず、魔物の群れが次々と壁に激突するばかりであった。そして全員が洞窟内に入った際にハジメは錬成でその縦割れの入り口を塞ぐ。
「……全員無事か?」
「うん無事だよ?」
「これで、とりあえず大丈夫だね……」
「お疲れ様、ハジメ」
「嗚呼、さて……早く本体を倒すぞ?」
そう言ってハジメの言葉に全員頷いてはそれぞれ辺りの捜索を始めるのであった。
「今のところ、気配感知には何も反応がないが……」
「……?ハジメ、何か緑の玉が飛んで来ているぞ」
「何っ?……!」
ダンはこの場所にて緑の玉が浮遊しているのを発見し、当たらない様に避ける。そしてハジメは錬成で壁を作り、緑の玉がこれ以上入って来ない様にする。
「ユエ、恐らく本体の攻撃だ。何処にいるか分かるか?」
ハジメはユエにそう聞き出すが、ユエは一向に言葉を返して来なかった。
「…ユエ?」
「ユエ?どうした……!?」
「ユエちゃん……?」
「っ!三人共!ユエから離れろ!!」
ダンがユエの異変に逸早く気づいてそう叫ぶが……
「逃げて…4人とも!」
するとユエはまるで自分の意志とは無関係にユエの手に風が集束する。そしてそれをダンたちに向けて風の刃を放つがダンが知らせるのが早かった為、ダンたちは回避することが出来たのでダメージを受ける事は無かった。するとユエの頭からさっきの魔物と同じ花が咲いた。どうやらここに逃げる前に緑の玉が彼女の身体の何処かに当たってしまい、今は操られている状況になったのだった。
次回はヒュドラ戦に行きたいな〜〜