中川菜々と優木せつ菜、時々アクセントで俺   作:蒲鉾うどん

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特になし!


6月
①-1


 優木せつ菜引退宣言から一週間が経過した。今日は菜々とのデートの日だ。

 この一週間でエマさんであったり彼方さんであったり、それから菜々と衝突したという1年生の子に話を聞くことが出来た。そのため問題の経緯はおおよそ掴めた、のだが・・・

 

うん、菜々が悪い

 

 この一言に尽きる。だって今のままだと誰も納得していないのだから。正直方向性の違いで衝突はしょうがないと思う。それだけ必死でスクールアイドルに取り組んでいる証拠だ。菜々は自分が悪いって言ってたけど、これに関しては誰が悪いとかではない。なんならしっかり本気でやってるんだなって伝わって、元から上限だった菜々への好感度がさらに上がった。

 問題はここからだ。あいつ、全く部員と全く話し合いをしないで勝手に廃部にして、勝手に解散ライブをやってそのまま勝手にフェードアウトした。とんでもないだろ。もし俺が同じ部活の部員だったら間違いなく噴飯ものだ。同性だったらぶん殴ってたかもしれない。それだけ身勝手な行動だと思う。

 ただ、だからと言って頭ごなしに怒ることは出来なかった。彼女の境遇や考え方、対人関係など、長い付き合いで色々知ってる幼馴染という立場だからこそ、一方的に咎めるのは違うと思った。

 

 一週間前の段階では、原因を突き止めて、可能なら解決まで持っていけばいいなと考えていたが、それは甘かった。事の発端は目指すべきスクールアイドル像の違い。解釈違いのすれ違いなのだから、俺がどうこう出来る問題ではない。出来るとしたら、精々菜々を話し合いの場に着かせることくらいだ。・・・本当にできる?それに、流石に当事者ではない俺が、よその部活の方針まで口は出せない。

 

 そしていよいよ迫ったデート前日。どこ行くかも決めていないから流石に焦っている。色々考えて頭もぐちゃぐちゃで、いっそのことどこかですっきりしたい気分であった。スクールアイドル同好会のことやデートコースのこと、普通に野球のこと、などなど。悩みのタネは俺を開放してくれない。さて、どうするか。

 色々悩んでいたが、天啓はいきなり降りてきた。そうだ、思いっきり体を動かせばすっきりするじゃないか、と。一回すっきりして、そこから考えればいい案は浮かぶのではないか、とも天啓は言っていた。だがこれではまさに脳金の考えだ。しかし、今の精神状態でこれ以上の案は出ないのは間違いないし、菜々もどうせこの一週間塞ぎこんでいるだろうからむしろこの案はいいかもしれない。そう言い訳も付け加えておいた。

 覚悟が決まった俺のそこからの行動は早かった。菜々に『動きやすい服装で着て』とメッセージを送り、明日の準備をし、そのまま寝た。

 

 そうしてデート当日。向かいの菜々の家に迎えに行った。

 

「・・・おはようございます」

 

「おう、おはよう」

 

 玄関から出てきた菜々は浮かない顔をしていた。まあ、それもそうか。そこには触れずに話を続ける。

 

「動きやすい服装って言われたので着てきましたけど・・・どこへ行くのですか?」

 

「ラウンドワン」

 

「ラウンドワン、ですか?」

 

「行ったことある?」

 

「ないですけど」

 

「俺も行ったことないんだ。なんか、カラオケとかボーリングとか、バスケとか色々あるらしい。今日は声帯潰して、腕と脚が千切れるまで遊ぶからそのつもりでよろしく」

 

「えぇ・・・」

 

「ほら行くぞ。今まで運動していたやつが急に運動辞めると体に良くないんだから」

 

「あ、ちょっと!急に腕を引っ張って走らないでください!ねえ!ちょっと!?」

 

 こうしてラウンドワンで一日中遊びつくす俺たち。最終的には体がくたくたになるまで遊んだが、菜々の顔を見たら疲れが吹っ飛んだ。今朝の浮かない表情はもうなく、いつも以上にスッキリしている、そう感じたからだ。

 

「(今日体動かして正解だったな)」

 

 そう思うほど、彼女の笑顔は眩しかったし、スクールアイドルを辞めるには惜しいとも思った。そして、近くのお店で夕飯を済ませ、帰路に就く途中、彼女が切り出した。

 

「ちょっとお話できませんか?」

 

 そう言う彼女に俺は頷き、近くの公園へ一緒に向かった。

 

 

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