中川菜々と優木せつ菜、時々アクセントで俺   作:蒲鉾うどん

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5月です
(ハーレムでは)ないです


5月
①-1


「・・・完全に寝坊した」

 

 スマホを見ると各方面から電話やメッセージが届いていた。現在時刻はAM11:00。今から学校へ行っても完全に遅刻であった。

 

 今日はゴールデンウィーク前日。今年のGWは5連休と中々仕事をしてくれたのだが、野球部の日程は休みなし。3日間は試合、2日間は練習であった。しかも試合相手には都内の甲子園常連校の名前もあった。俺の場合、試合が始まったら割り切って集中できるのだが、試合前は基本的に憂鬱になっていることが多い。相手が強ければ強いほど早くから憂鬱になる傾向があり、今回は昨日の夜からそんな感じであった。

 

 普段なら午後からでも学校へ行こうと思うのだが、今日はGWの前日。明日からの5日間を考えると今から学校へ行く気力も湧かなかった。そこから学校をサボり、そして気分転換に趣味の釣りへ行こうと思い至るまではそうは時間がかからなかった。

 

 というわけで学校に休みの連絡をする。顧問の先生が授業を行う時間は把握しているため、悠々と電話をかけ休みの連絡を済ませる。こうして思いがけない形で休みを作ることが出来た俺は私服に着替え、近場の釣りスポットへ足を運んだ。

 

~~~~~

 

「お、誰もいない」

 

 GWは明日からであるため当然と言えば当然である。そして、インクを溶かしたような青く静かな海を独り占めできる、そんな優越感に心を躍らせる。早速釣り糸を垂らした。

 

「流石にあの時間に休みの連絡はあからさまで良くなかったかな」

 

 釣りというのは種類にもよるが基本的には待ち時間が多い。そのため物思いにふけるには最適である。今までのことを振り返り、これからのことを考える。自分を見つめなおすには絶好の機会である。俺は思考の海に身を委ねた。

 

 それから結構な時間が経過した。魚が釣れる気配は一向になく心の中で、『今日は釣りをしに来たんじゃなくて、考え事をしに来た』と言い訳をしていた頃、後ろから声を掛けられた。警察だったらどうしようかな、呑気にそんなことを考えながら振り返るとそこには同じ高校の制服を着た、青みのかかった黒髪の女性がいた。

 

「あのーすみません」

 

「どうしました?」

 

「道をお尋ねしたいのだけど」

 

「ええ、構いませんよ?」

 

「本当?それは助かるわ」

 

「どこまで行きたいんですか?」

 

「虹ヶ咲学園というところなんですけど。わかるかしら?」

 

 そう言われてビックリする。あんたが着ている制服は虹ヶ咲学園のものじゃないか。しかもリボンはエマさんが付けていたリボンの色と一緒だった。この人がもし学園の生徒だとしたら3年生ということになる。3年間通って場所が分からない、果たしてそんなことあるのだろうか?もしかしてコスプレ不審者か?様々な可能性を考えるが答えは見つからない。

 

 はいかいいえで答えれば良い質問に中々答えない俺に疑問を抱いたのか、それとも痺れを切らしたのか再度彼女が尋ねてきた。

 

「やっぱり分からないかしら?」

 

「いや、分かるには分かるんですけど・・・」

 

 濁すような返答をしつつ、思考を纏める。この明らかに怪しい女性をどうするか。交番に行ったら、俺も一緒に怒られるし、かといって不審者を学園に誘導して問題が起こったらそれはそれで案内した俺が怒られる。最終的にサボっていたのがバレるから。結局解決策が全く思いつかない俺は学園の前に守衛さんがいることを思い出し、その人たちに全部丸投げすることにした。つまり、案内をすることに決めたのであった。

 

「虹ヶ咲学園ですね。割と近いので多分すぐ着くと思いますよ。今から道順を教えますね」

 

「あら本当?助かるわ」

 

 そうして俺は地図を見せつつ、口頭で学園への道を教えた。おそらく歩いて20分くらいかかること、公共交通機関を使うと楽にいけること、などなど。必要な情報を説明した。

 

「わかったわ。ありがとうね」

 

「どういたしまして」

 

「ところであなた、どっかで見たことがある顔してるわね・・・TVとか出たことある?」

 

「さあ?身に覚えがないですけど。気のせいじゃないですかね?」

 

「そう?ま、いいわ。この恩はいつか返すわ。じゃ、バイバイ」

 

 そういって彼女を見送る。地図の説明をしていた時、途中で難しい顔をしていたが果たしてちゃんとわかっているのか。しかし顔バレ危なかったな。今度からサボるときはマスクをしておこう。そういえば俺もあの人なんかで見たことあるような気がするけど・・・

 

「ま、どうでもいいか」

 

 もうあの人に会うことはないだろう。不審者だったら学校で捕まるし、例えちゃんと学校の生徒であっても、あれだけ生徒数がいる学園でバッタリ会うことなんてまず無いはず。ちゃんと学校まで行けたのかは気になるところだが、知らない他人を学園まで連れていく義理はない。わからないならわからないでまた他の人に聞くだろう。

 

「・・・もうちょっとだけ粘ってみて、ダメだったら帰ろう」

 

 そう思いつつ海を眺める。今はあの変人が頭から離れないけど、そのうち忘れるだろう。そして脳みそを空っぽにしつつ、魚がヒットするのを待った。

 

 しかしまあ、数十分後にまた再会するとは全く思わなかったよね

 

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