ルーデウス→ルディ子
シルフィ→フィッツ先輩♂
図書館でルデがフィッツ先輩にアレを押し付けた後の期間(曖昧)をTS時空で。
ルディ子がフィッツ先輩にアレを押し付けられたと脳内変換よろしくです。
ご都合設定でフィッツ先輩は男子寮に住んでいて、アリエル様の護衛は数日おきにしに行く感じです。
いつものように転移事件の調査を進めようと図書館に来てみたが、捗らない。
最近どうにも寝不足気味なせいだろうか。
というのも、先日の事故でフィッツ先輩にアレを押し付けられて以来、落ち着かない日々が続いているのだ。
まず、エロい夢を見るようになって眠りが浅くなった。寝起きに処理する気にはなれないので、日課のトレーニングで発散させているからそちらはあまり問題ではないのだが……深刻なのは、フィッツ先輩との関係だ。
最近のフィッツ先輩は、校内で挨拶をしても会話をすぐに切り上げてしまうようになったのだ。昨日なんかは、目が合ったはずなのに足早にどこかへ行ってしまって声をかけることすら出来なかった。
ある種、無視をされた形だ。
なにか嫌われるようなことでもしてしまっただろうか……。
そう考えると夜も眠れなくて、今日は一段と注意散漫な感じだ。
ルーチンワークと化しているはずの調べ物をしていても、文字を追う目が滑ってしまう。
フィッツ先輩とはなんとか仲直りしたい。
何か気に障ることをしてしまったなら謝りたい。
でもそれが何か分からないから、思考は泥沼だ。
いったいどうしたら良いんだろうか。
思い悩むうちに、気付けば睡魔に呑み込まれて、私は眠ってしまっていた。
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居眠りから覚めて身体を起こすと、何か布のようなものが肩に掛かっているのに気が付いた。手に取ってみると、それはどこかで見たようなローブだった。
いや、どこかで見たなんてものじゃない。
「フィッツ先輩の……」
咄嗟に周りを見渡すが、この場に持ち主は居ないようだった。おそらく、眠りこけているところを見かねて置いていってくれたのだろう。
やはりフィッツ先輩は優しい。
嫌われたとばかり思っていたが、そんなことはないのだろうか。
そう考えると、居眠りする前の鬱屈とした思考が少しはマシになっていくのを感じた。
ふと、手に持ったローブを顔に押し当てる。
静かに、そして大きく深呼吸をしてみると、鼻腔にフィッツ先輩の優しい匂いが広がっていく。
最近は長く一緒にいることが減ってしまったから、この匂いを嗅ぐのも久しぶりだ。つい、夢中になって何度か深呼吸を繰り返す。
「ん……」
と、無意識に右手が下腹部に伸びているのに気が付いて、ハッと我に帰った。
いけない、図書室でなんてどうかしている。
いくら最近エロい夢を見るからって、こんな……。
浅ましいことをしかけた自分に嫌気が差す。
ともあれ、借りたものは返さなければならない。
毎日身に付けているものだから、すぐの方が良いだろう。
そう考えて、私はフィッツ先輩の部屋に赴くことにした。
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部屋を訪ねると、フィッツ先輩は留守のようだった。
また出直すかと考えるが、時間的にはもうすぐ陽が落ちるところだし、夜に訪問したのでは却って迷惑になってしまうかもしれない。となると、部屋の前で待つのが良いだろうか。
しかしここは男子寮、あまり長居をしたい場所でもない。
いっそ部屋にお邪魔して待たせてもらえたら気が楽なのだが……と何気なくドアに手を掛けると、予想に反して部屋の鍵は開いていた。
「……あ」
と、その時、廊下の先から数名の足音が近づいて来たので、咄嗟に部屋の中に身体を滑り込ませる。聞き耳を立てるとその数人は立ち話に興じているようで、中々立ち去る様子がない。今出ていけば、確実に鉢合わせてしまうだろう。
……どうしよう。
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やがて出て行くタイミングを窺うのにも疲れて、私はベッドに腰掛けていた。
デスクチェアでもあれば良かったのだが、フィッツ先輩の部屋は必要最低限のものしか置かれていない。印象としては、まさに「無言のフィッツ」の異名に似つかわしい無機質さだ。
しかし、部屋の匂いは私のよく知るものだった。
隣にいるとふわりと漂ってくる、優しくて、どこか安心する匂い。
手に持ったローブからも、同じ匂いがする。
目線を落とすと、腰掛けたベッドには掛け布団と枕が鎮座していた。
そりゃあそうだ、ベッドとは寝るためにある物なのだから。
このベッドで、フィッツ先輩が毎日寝起きしているのだ。
実際にはアリエルの護衛のために数日おきに部屋を空けるらしいが、それでも、フィッツ先輩の匂いが一番染み付いているのに違いはない。
って、そうか。
もしかして今日のフィッツ先輩は護衛担当の日なのだろうか。
それならこんな時間に留守なのも頷ける話だ。
てことは、今日はもうここには戻ってこない?
そう考えると、私の中の悪い子ちゃんが顔を出して、欲望の充足を速やかに行うようにと囁いてきた。
今なら一番濃いフィッツ先輩の匂いを嗅ぐことができるぞ、と。
いやいや、ここはフィッツ先輩のところまで行って、ローブを届けるべきだ。
部屋の鍵のことだって、教えてあげた方が良いに決まっている。
そんな考えが頭の中を巡る一方で、身体は自然とベッドの上へと倒れていった。
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掛け布団で身体を覆い、枕に顔を埋めて、何度も深呼吸をした。
もう、色々とダメだった。
胸いっぱいのフィッツ先輩になって、まるで優しく抱きしめられているかのような錯覚に陥った。
そうなったら、ダメだった。
ローブの残り香でさえ危なかったのに、こんな自殺行為をして耐えられるはずがなかった。
「ん、ふぅっ……んっ」
ゴソゴソという衣擦れの音と乱れた呼吸音が、無機質な部屋に小さく響く。
何をしてるんだ、何を考えているんだ、すぐにやめないと。
そう思うのとは裏腹に、久方ぶりに昂ったものの抑えは全くもって利かなかった。
「あっ、ん、フィッツ先輩っ……!」
下腹部からの魅惑的な刺激が脳天を揺さぶる。
もっと、もっと。
フィッツ先輩を感じたくて、より強く枕に顔を押し付ける。
欲しい、気持ちよくなりたい。
その一心で、左手は下着を潜って胸の頂点をこねくり回し、右手は小刻みに動かし続けた。
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どれくらいの時間が経ったのか、もはや分からなくなっていた。
しかしその時は近づいていた。
もう少し、もう少しで────ガチャリ。
「あれ、鍵開いて……えっ」
無機質な部屋に響いた無情な音。
「る、ルーディア、さん……? な、何してるの……?」
今一番会いたくて、一番会いたくなかった人の声が聞こえて。
「!!? ぁ、ふぃ、フィッツせんぱい。
これは、っあ、んんっ、やっ、あぁっ」
サングラス越しでもハッキリとわかる驚いた顔と目が合って。
「〜〜っっ!」
私は達した。
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フィッツ先輩は慌てて扉を閉めると、そのまま外に出てしまった。
……最悪だ。
ただでさえ避けられていたのに、善意でローブを貸した相手がこんなことをしていたのだ。確実に嫌われた。
何より度し難いのは、こんな状況だというのに気持ち良くなっている自分がいたことだ。それも、今までで一番の快楽だ。腰がガクガクと言うことを聞かなくなり、フィッツ先輩のベッドを盛大に汚してしまう程の絶頂だった。
気持ち良いのと、自己嫌悪、絶望。
何も考えられなくなっていた。
コンコン、と控えめにノックする音が聞こえた。
……せめて、誠心誠意お詫びしよう。
土下座して、慰謝料を払って、今後一切視界に入らないようにしよう。
いっそ、退学くらいはするべきかもしれない。
そんな考えが一瞬で巡って、私は小さく返事をした。