元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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サンドイッチの刑に処す

 

 

 

脱衣所に到着すると、都はさっそく服を脱ぎ始めた。

パーカーを放り投げ、ショートパンツを落とし、シャツを脱ぎ捨てる。

下着とニーハイだけになった都は、見られていることに最初から気づいていたと言わんばかりにニヤニヤとした笑みをこちらに向けてくる。

 

「お兄さんのえっち」

 

揶揄っているつもりなのかもしれないが、開き直った大人には効きはしない。

 

「悪かったな。えっちな大人で」

 

今日は水色か、と都の下着の色を確認する。

全然目を逸らさない俺に、次第に彼女の方から視線を斜め下に逸らす。

 

「……ちょっと見過ぎじゃないですかね」

「都が中学生なのもあと数日と思うとな。脳裏に焼き付けておこうと思って」

「なんか今日のお兄さん強い!」

 

恐れ慄いた都は、「これが賢者タイムですか……」と呟く。しかし、すぐに一転して愛らしい表情を向けてくる。

 

「それじゃあ中学生もあと少しの義妹とえっちなことができるのもあと数日ですね」

 

いったいどういう意味で言っているのかはわからない。

挑戦的な笑みを浮かべる都は、挑発的にブラ紐を引っ張ったりしている。

勿体ぶるような仕草を見せているが、これから脱ぐのをお忘れではないだろうか。

 

「ほう、今日は随分と挑戦的だな」

 

せっかくなので挑発に乗らせてもらうことにする。

下着姿の都に近づいて、ブラジャーの肩紐を掴むと引っ張って弄んでみた。

 

「ちょっ、お兄さん……!?」

「あ、見えた」

「っ!?!?!?」

 

試行錯誤を繰り返していると、不意にピンク色の何かがちらりと見えた。

都は顔を真っ赤にして、胸を隠すように身体を抱いて逃げるように一歩下がる。

 

「なにしてるんですか!?」

「今更照れるなよ。何度も見てるだろうが」

「それはそれ、これはこれです!」

 

無防備な状態からの胸チラではないのが残念だが、これはこれで趣がある。

 

「まったくもうお兄さんってば……」

 

呆れた様子で都は背中に手を回し、ブラジャーのホックを外すと、するすると脱ぎ捨てた。

最後の砦であったパンツもあっさりと脱ぎ、ニーハイもクルクルと巻いてポイっと捨ててしまう。

 

「さっきまでの恥じらいはどうした?」

「……一応、恥ずかしくないわけではないんですよ。それよりほら早くお兄さんも脱いでください」

 

都の手によってシャツを脱がされる。他の衣服も剥ぎ取られ、お互いに裸になると都はくるりと背中を向けて浴室へと足を向けてしまう。

追いかけるように浴室へ向かうと、端の方に立っていた都がシャワーヘッドの位置を調整していた。

 

「そこに座ってください」

 

都が示したのは、いつも通りに敷かれたマットの上。そこに胡座をかいて座ると、彼女がすぐに距離を詰めてくる。

 

「それじゃあ失礼しますね」

 

都の下半身が目前まで迫ってきたかと思えば、そのまま跨るように腰を下ろした。

何やら見てはいけないものを見た気もしたが、そんな衝撃も忘れるくらいの衝撃が遅れてやってくる。

 

「んっ。……裸で抱き合うって、凄く気持ちいいですね」

 

しっかりとしがみつくように首に腕を回されて、おっぱいが胸板に押し付けられる。ふにゃり、と胸の形が変わるその瞬間を注視しようとしたが、他の感触に気を取られてしまった。

 

「……ひゃっ、もう……お兄さんってば元気なんですから」

「不可抗力だ」

「そんな硬いの当てられると困るんですが。ついうっかり挿入っちゃったらどうするんですか?」

 

それも悪くないな、と思ってしまう。

肌の柔らかさと、体温が伝わって。全身でもっと味わおうと抱きしめれば、鼻先が触れ合うくらいの距離に都の顔があった。

唇が触れ合ったのは、事故だったのだろうか。

たった一瞬。……その一瞬を惜しむかのように、都は再度唇を重ねてくる。

 

「んっ。……好きです、お兄さん」

 

そう言って、三度目のキスをしてきた。直後–––。

 

「–––あぁ!ちょっとなにしてるのよ!?」

 

浴室の扉を開けて、愛理が顔を出した。

すっぽんぽんの姉を横目に確認すると、都は見せつけるように舌を入れてくる。

激しく求めてくるキスに俺は受け身でいることしかできない。

拒絶すれば都を傷つけるし、都を優先すれば、愛理にどう思われるか……浮気者の心情だ。

 

「ぷはっ。–––なにってキスですけど?」

「そういうこと聞いてるんじゃないわよ。また抜け駆けして!」

 

怒り気味に浴室に足を踏み入れる愛理のおっぱいが、ぶるんぶるん揺れる。素晴らしい躍動感に感動していると、俺の頭を抱えてひったくるように奪おうとする。

 

右側頭部が幸せな感触に包まれて、俺は身を委ねる。

 

「いいじゃないですか少しくらい!どうせこのあとお兄さんとお姉ちゃんはイチャラブえっちするんですから!」

 

俺にしがみついた都が左側頭部に襲い掛かり、図らずも二人のおっぱいに挟まれる結果となった。

 

「おぉ……」

 

思わず感嘆の息が漏れて、しばらく左右から与えられる至福のひとときを楽しむ。

 

美人な姉妹に取り合いをされるのは嬉しいが、喧嘩に発展しそうなところで仲裁に入ることにした。

 

「はい、ストップ」

「ひゃん!?」

「きゃっ!?」

 

右手に愛理のおっぱい、左手に都のおっぱい。

美人女性二人の違うおっぱいを同時に堪能する、という偉業を成し遂げて俺はそのまま二人を抱き寄せる。すると二人は喧嘩を忘れて、困ったような笑みを浮かべた。

 

「もう、直人ったら……」

「もう、お兄さんってば……」

 

機嫌が直るのがあまりにも早い。チョロすぎて心配になるレベルである。

 

「–––仕方ありませんね。ここは一旦休戦にしましょう」

「そうね。敵は他にいるもの」

 

一体誰のことを言っているのかは聞かないことにする。俺は苦笑いを浮かべて顔を逸らした。

 

「しらばっくれるつもりね。……これはお仕置きが必要かしら」

 

妖艶な笑みを浮かべて、愛理はぺろりと唇を舐めた。

自信満々に張られた胸が、躍動する。

思わず視線を奪われた瞬間、女性の柔らかな体が左右から押し付けられる。

 

「それじゃあ二人掛かりで綺麗にしてあげますからね。お兄さん♪」

 

両頬に左右からキスをされたその直後、二人は俺を押し潰すように前後から襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

サンドイッチの刑にされた翌日。

とても素晴らしい気分で目を覚ました。

悩みとか、色々なものが空っぽになった気がする。

開放的な気分に清々しい朝の空気を感じていると、右隣でもぞもぞと布団が動いた。

 

「……うぅ、キノコが……おなかいっぱい……もう、ムリ……や、白い汁が……」

 

どんな夢を見ているのか、愛理は眉間に皺を寄せて呻く。

悪夢を見る原因といえば、昨日のことだろうか……心当たりがありすぎる。

 

「……やりすぎたかな」

 

後悔はしていない。反省もしない。ただもう少し手加減するべきだったかと思う。

 

うんうん唸っている愛理の胸部に手を伸ばし、無防備なおっぱいに触れる。二、三度感触を確かめるように指を埋没させ、しっかりと堪能してから手を離した。

 

左隣を見れば、ネグリジェと下着が転がっている。

愛理と比べて、少しだけ小さい下着。

部屋の外の方へ意識を向けてみれば、パチパチジュージューと何かを焼く音が響いている。微かにソーセージの匂いを感じて、俺は適当な衣服を身につけて寝室から出た。

 

「都、おは–––おぉ?」

 

–––おはよう。そう続けようとして、言葉が詰まる。

 

キッチンにいたのは天使だった。ただし“裸エプロンの”と注釈がつく、露出狂の変態天使である。

その天使さんはキッチンを占拠して、朝食を作っていたのである。しかも、裸エプロンで。大事なことだから二回言った。

 

「あ、おはようございますお兄さん」

 

いつも通りに挨拶してくるから、俺の目がおかしいのかと疑う。しかし、目を擦ってみても目前の光景は変わらなかった。

 

「……なにしてんの、おまえ?」

「なにって朝食を作っているんですが」

「いや、そうじゃねぇよ」

 

素っ裸の都がつけているのは、白いフリルがフリフリとした短めのエプロンだ。通称新妻エプロンである。前にそういうプレイの一環として買ったそこそこ高めのものだ。

エプロンの裾は股下数cm。その下から伸びる脚には、黒のニーハイを穿いている。

 

「もう、お兄さんってば最初に見るのが脚ですか。ニーハイ好きですねぇ」

 

見たのは否定しない。ニーハイが好きなのも否定しない。だが、一言物申したい。

 

「俺は生足もストッキングもタイツも大好きだ」

「お兄さんの脚フェチ」

「おっぱいも好きだ」

「お尻は?」

「時と場合による」

 

そこだけははっきりしておく。

 

「いや、俺の性癖はどうでもいいんだよ。それよりなんでそんな格好してるんだ?」

「お兄さんがこういう格好好きだと思って!」

「聞いた俺がバカだった……」

 

趣味で裸エプロンをしている女性なんていないだろう。–––否、コスプレと考えればいるのだろうか。

 

「まぁ、他に理由があるとすれば、お兄さんを独占できるチャンスだからっていうのもあるんですけどね」

「独占ってそのうち愛理が起きてくるだろ」

「起きてくるにしてもお昼くらいじゃないですかね。昨日お兄さんが、お姉ちゃんがメス顔で泣いて懇願するまでぐちゃぐちゃに犯しまくったので疲れて起きてこないと思いますけど」

 

俺はそう言われて、スッと顔を逸らした。

 

火を消して、フライパンからソーセージを皿に載せる。

卵焼き、レタス、ソーセージ。よくある朝食のメニューに白米と味噌汁。

ただ一人分にしては多い量。箸も一膳。

都はそれだけ用意すると、ダイニングテーブルに戻ってきた。

 

「さぁ、座ってくださいお兄さん」

 

都に従って席に着くと、その膝の上に都がお尻を乗せた。丸出しのお尻を。

 

「……都?」

「なんですか?」

「……食べづらいんですが?」

「だから、私が食べさせてあげるんじゃないですか」

「その工程いる?」

「美少女が食べさせてあげるという行為は、どんな調味料よりも美味しくなるんですよ」

「自分で美少女って言うのかよ」

「自他共に認める美少女ですから」

「まぁ、否定はせんがな……」

「それじゃあお兄さん、落ちないように支えておいてくださいね」

 

都は一膳しかない箸を手にして、卵焼きを摘むと俺の口元に差し出してくる。

 

「はい、お兄さん。あーん」

「あー」

 

親鳥に餌を運んでもらう雛鳥の如く、俺は都に卵焼きを食べさせてもらう。咀嚼すると染み出す出汁の旨味。だし巻き卵だ。

 

「やっぱりおまえの作る飯は美味いな」

「それはよかったです」

 

次に白米が口に運ばれる。そして、味噌汁が–––。

 

「……こぼすなよ」

 

特に裸同然の都は、こぼせば大惨事である。火傷をするほど高温ではないと思うが、熱いのは間違いない。

 

「わかってますよ。早く飲んでください」

「……というか、味噌汁は無理じゃね?」

 

そう思ったのだが、具の大根とにんじんを口に放り込まれて、器を口につければそのまま流し込まれる。意外にいけた。

 

「さぁ、どんどんいきましょう」

 

ソーセージとレタスを口に突っ込まれ、白米を突っ込まれる。味噌汁のループは俺がよく食べる順番だった。

途中で挟むように都もソーセージや卵焼きを口にする。その箸を今度は俺に向けてくる。

 

朝食を食べ終えて、都は食器を洗い始める。

俺はリビングのソファーへと移動して、その姿を眺めていた。

キュッという音と共に、水道を止める。

都はマグカップを二つ持って、リビングへとやってきた。

 

「はい、お兄さん。食後の珈琲」

「ありがとう」

 

コースターの上にマグカップを二つ置くと、都は俺の膝に再び飛び乗ってくる。

柔らかなお尻の感触が太ももに伝わり、むず痒く思っていられるのも一瞬のことだった。

彼女の胸の先が、エプロンの隙間からちらりと覗いてしまったのである。俺の視線はそこに釘付けになった。

 

「……お兄さんの変態」

 

俺の視線に気づいた都が、隠すように胸を押さえる。

エプロンを引き上げれば、隠れていた部分が見えてしまう。

 

「今度は下見えてる」

「きゃっ。……もう、お兄さんのすけべ」

「さっきのは俺のせいじゃないだろ」

 

膨れっ面で抗議の視線を向けてくる都に対して、俺はそっと目を逸らすことで対抗する。

 

「–––っと、そうだ」

 

俺が声を上げると、都が首を傾げる。

 

「どうしたんですか?」

「ホワイトデーのお返し、当日か今かどっちがいい?」

「なにか買ったんですか?」

「そう。ブレスレットなんだけど」

「今欲しいです!」

 

なんとも現金なことに都は食い気味にそう返す。

俺はわくわくとした都の熱意に負けて、彼女を膝の上から下ろすと寝室へと紙袋を取りに行った。

リビングに戻ると紙袋の中から、小さな箱を取り出す。

 

「ほら」

「開けていいですか?」

「おう」

 

都が薄いラッピングを解いて、中身を取り出す。

箱を開けると、中から紫色の宝石が嵌ったブレスレットが出てきた。

 

「わぁ〜、綺麗なガラスですね」

「アメジストだな」

「……」

 

都の表情が彫像のように固まる。

 

「えっと……宝石ですよね」

「紫水晶と呼ばれてるらしいな」

「あの、これいくらしたんですか……?」

「だいたい五万から–––」

「あ、やっぱいいです。聞きたくないです」

 

流石に原価百円そこらのチョコレートが化けるとは思っていなかったのか、箱を開けたまま手にも取らず都は外側からブレスレットを眺めていた。

 

「つけないのか?」

「……女子中学生がつけるには、分不相応じゃないですかね」

 

触れるのも戸惑っているのか、未だ触ろうとしない。

 

「他の宝石がよかったか?」

「いや、嬉しいですよ。嬉しいですけど限度ってものがあるんですよ!」

「つけてやろうか?」

「うぐっ。……お願いします」

 

それでも贈られたことは嬉しいのか、都はおとなしく腕を差し出す。その腕につけてあげると都は腕を翳すように頭の上へ。

 

「おぉ……綺麗ですね」

「気に入ったか?」

「それはもう。デートのひとつでもできればいいな、と思ってチョコレートを贈ったので嬉しい誤算です」

「それはよかった」

 

普段と比べると二割り増しの笑みで、嬉しさを隠せない様子でブレスレットを眺める。

それから数分ほどじーっと見つめていたかと思うと、また俺の膝の上に跨るように飛び乗ってきた。今度は向かい合うように座った都が、そのまま抱きつくと唇を重ねてきた。

 

「大好きです。お兄さん」

 

何度も、何度も、お礼のキスを繰り返した都は満足すると肩に顎を乗せてくる。ぎゅっと強く抱擁して絡み合ったまま、またブレスレットを眺めた。

 

「にへー。複数ありますけど、他の人も似たようなものなんですか?」

「あぁ、ただ問題があってな……」

「問題ですか?」

「ほら、他の人全員に贈るとなると一人だけ違うものってわけにもいかないだろ。志穂さんもその……」

「人妻に装飾品ですか……それもブレスレット」

 

いや、俺も志穂さんにブレスレットを贈るのはどうかと思ったのだ。

 

「ホワイトデーのお返しで格差とかつけると裏でどんな話が共有されるか怖いだろ。だからつい……」

「それでお母さんにもブレスレット。お兄さんってそういうところ融通が利かないというか、素で時々バカになりますよね。相応の値段のワインでよかったのに」

「うぐっ」

「でもまぁ、いいんじゃないですか。……お父さんの困った性癖からすれば、他の男から貰った装飾品をつけてるなんて需要ありそうですし。お兄さんはネックレスやブレスレットを女性に贈る意味とか知ってます?」

「え、そういうのにもあるの?」

 

都は口を噤んだ。

 

「いや、お菓子に意味があるのは知ってるんだよ。たとえばマシュマロとか」

「お姉ちゃんガチ泣きしますよ。そんなの渡されたら」

「一回やってみてもいいかな?」

「あとが面倒なのでやめといた方がいいと思います」

 

迫真の表情で言われると、そういう気も起きなくなる。一回ガチ泣きした愛理を見たいとも思ったが、都の忠告に従ってやめておくことにする。

 

「まぁ、いいや……悪いけど、志穂さんのはおまえから渡しといてくれないか?」

 

おまけにそこそこ高めのワインもある。

いや、むしろワインがメインかもしれない。

 

「いいでしょう。デート一回で承りますよ」

「わかった」

「それと隠しているマシュマロは没収します」

 

–––没収された。

 

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