元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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社会人一年目の盆休み

 

 

 

季節は夏。学生達が夏季休暇を満喫する頃、ようやく大人達にも長期休暇がやってきた。

世間一般ではお盆休みと言われており、最長で一週間以上も働かなくていい特別な休暇である。

大人達に許された長期休暇は、ゴールデンウィーク、お盆休み、正月休みの三つ。学生の頃と比べて格段に少ないのがわかるだろう。その休暇期間も学生達と比べるまでもなく少ないのだから、そのありがたみがわかるというものだ。

 

「……はぁ。やっと休みだぁ〜」

 

社会人一年目の都は、初めての大人のお盆休みとあって非常に嬉しそうである。

その休みを満喫するため、彼女は家から大量の荷物を鞄に詰めて俺の自宅へと押し掛けていた。

そのままソファーにうつ伏せに倒れ込み、ゴロゴロする。

シャツは三つボタンを外し、形の良い乳房と下着がちらちらと覗いていた。

 

「……よく考えたら、学生ってずるいですよね。あんな長い休暇があって」

「そうだよね。学生ってずるいよね!」

 

大人の心理にたどり着いた都に、同調する片桐。その片桐はさっそく冷蔵庫からビールを取り出して、一人晩酌を始めていた。

そして、ニヤニヤとしながら言う。

 

「ようこそこちら側へ」

「あー、学生の頃に帰りたい……」

「慣れるよ。きっと」

「いやだなぁ。先輩、休暇増やしません?」

「まだ一年目だろ。休暇については社長に直接言って」

 

休暇を決める権利は副社長にはない。他の会社はどうか知らないが、副社長は社長の手足なのである。

 

「–––はっ!そうだ、先輩と結婚して専業主婦になれば実質毎日夏休み!先輩養って!」

「あ、こら、どさくさに紛れてなんてこと言ってんの!?」

「私と先輩が結婚した暁には家政婦(愛人)として雇ってあげますよ。片桐先輩」

「……ふふふ、私が藤宮君と結婚したら覚えておいてね」

 

何を思いついたかと思えば、二人はバッチバチに睨み合ってしまう。

 

「無理ですよ先輩には。料理下手なんですから」

「下手じゃないし。二人に比べて劣るだけだし」

 

既に言い争いは敗戦濃厚でも、片桐はなんとか食い下がろうとして……そのまま俺に泣きついてきた。

 

「うわーん、藤宮君!後輩ちゃんがいじめるようっ」

「おまえ言い争い弱いな。惨敗じゃねぇか」

 

泣きついて抱きついてくる片桐を抱き締めて、優しく頭を撫でてあやす。ちょっと酒臭い。

 

「藤宮君は私の手料理でも満足してくれるよねっ」

「……」

 

–––非常に残念なことながら、俺の胃袋は冬海と都の料理に掴まれている。

 

「……じゃあ、いいもん。こっちで勝負するから」

 

無言で口を噤む俺を見て、片桐は強硬手段に出る。シャツのボタンを全部外して下着を露わにした彼女は、そのままおっぱいを俺の顔面に押し付けてきた。

 

「ねぇ、外した方がいい?」

「あ、なにおっぱじめようとしてるんですか!だいたいヤるならご飯食べてからって約束でしたよね!」

「それを言った雪菜ちゃんはいないもーん。今日は来ないし」

「あ、先輩もなにちゃっかり片桐先輩のブラジャー外してるんですか!もう知りませんからね!」

 

そう言いつつも自分も参戦しようと身を起こした都が、シャツのボタンを外しながら迫ってくるのが、キスを求めてくる片桐の向こうに見えた。

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、私は先に行ってるから。明日ちゃんと来てよ。二人っきりだからって一日中ハメを外さないようにね?」

 

翌朝、早い時間に片桐は出掛けて行った。

夏に忙しくなる『アトランティス16』の方で、色々と経営状況について確認しに桜が出向いているためだ。

俺も遊びには誘われているのだが、一日目からピナを水族館に預けていると我が家のお姫様は拗ねてしまうので、一日目はプール掃除とピナに構ってやる日にしたのである。

 

玄関の扉が閉まり、見送りに出ていた俺と都、ピナは二人と一羽でしばらく扉を見つめていた。

 

「都は行かなくてよかったのか?翠ちゃんに誘われてるんだろ?」

 

翠ちゃんは常に海外でバカンスらしいが、今年は色々と忙しく『アトランティス16』で過ごすことにしたらしい。

当然お誘いを都も受けていたのだが、彼女は俺に身体を寄せてこう言った。

 

「京介と今頃ラブラブデート中ですからね。邪魔するのも野暮ですし、それに先輩と二人っきりになれるチャンスはそうそうありませんから」

 

はにかむ都は、照れ隠しに俺の腕に抱きついてくる。

玄関からリビングへ戻り、ソファーに腰を下ろしたいところだが、いかんせんやることがある。

腰を下ろしたら一度、立ち上がれなくなってしまうだろう。あとは堕落の一途だ。淫らな日常しか待っていない。

 

「さて、朝のうちにプール掃除やるかぁ」

「ピィッ!」

 

プールと聞いて、ピナが嬉しそうにパタパタ翼を動かす。

あまりのはしゃぎっぷりに、こちらのやる気も漲ってくる。

 

「それじゃあ先輩、私は準備してきますね」

「なんの?」

「プール掃除ですよ。私も手伝います」

「あー、いいんだぞ。朝食作ってもらったし、休んでても」

 

具体的には昼食にも期待しているわけで、俺のそんな気遣いも無用とばかりに都は拳を握る。

 

「いえ、せっかくですから。濡れてもいい格好に着替えてきます」

「わかった。じゃあ、俺は先に始めておくからあとでな」

 

リビングから出ていく都を見送って、俺も庭へと足を踏み出す。

サンダルを引っ掛けて、プールに浮かぶ葉っぱやらを伸縮自在の網で掬い取ってゴミとして纏めてから、プールの水を抜く。

そうして空になったプールに降り立ち、デッキブラシを肩に担ぐ。

 

「毎週掃除してるから大変じゃないのが救いだな」

 

まずは壁の汚れを落とそうと、壁をゴシゴシ擦る。

元からそれなりに綺麗だからか、綺麗にしているという実感はない。

それでも黙々と擦る。

 

「せ・ん・ぱ・い♡」

 

集中してゴシゴシしていると頭上で呼ぶ声がした。

見上げると、細い脚、肉付きのいい太腿、その先に逆三角形の黒い布地が見える。

思わず見上げると、極端に布地の少ないクロスデザインのマイクロビキニを纏った都が立っていた。

 

「ちょっ、おまっ、なんつー格好してんだよ」

「なにって水着ですよ」

「水着にしたって布面積少な過ぎるわ。誰かに見られたらどうするんだよ」

「そうならないように生垣があるんですよね?それに周りには家もないですし」

 

確かに否定はしない。が、物事には限度がある。誰がポロリしそうな水着を着ろと。

 

「大丈夫ですよ。先輩の前でしか着ないですから」

 

–––それはそれで心配かもしれない。

 

「それより先輩、日焼け止め塗ってくれませんか?」

「なんで塗ってこなかったんだよ」

「だって一人で塗ると塗り残しとか出ますし。先輩が日焼けした女体が好きなら別ですけど」

「残念ながら俺の性癖にそういうのはないな。勝手に増やすな」

「それじゃあ、先輩」

 

彼女は後ろ手に隠していた日焼け止めの容器を見せる。

用意周到というか、断るという前提はなかったのだろうか。

デッキブラシを立て掛けて、プールから上がる。

水道で軽く手を洗うと、既にウッドデッキにはマットが敷いてあり、そこに都が無防備に寝そべっていた。

 

「……本当に用意周到だな」

 

当然、断る理由などなかったのだが。

そういう男心を弄ぶところ、さすがは都だ。

 

「んじゃあ、紐解くぞ」

 

一声掛けてから紐を摘む。片方を引っ張るだけで蝶々結びは軽く解けて、綺麗な背中が剥き出しだ。元から紐だけだったが。

側にあった日焼け止めクリームを手に出し、塗り広げるべく都の背中へ手をつけた。

 

「ひゃっ、あ……」

「……エロい声出すなよ」

「だって仕方ないじゃないですか。冷たかったですし。それに……先輩に触られてると思うと、ちょっと興奮するというか」

「変なこと言うんじゃねぇよ」

 

こっちにはまったくその気はないと言ったら嘘になるが、変な気分にならないためにも黙々と作業を続ける。

肩甲骨の辺りから肩や首、脇の下、側胴、腰へと入念に塗りたくった。

 

「……ん、や、先輩。さっきから手つきやらしいですよ」

「おまえこそさっきから変な声出してんじゃねぇよ」

「そう言って、おっぱい横から突いたり、お尻触ってるの先輩じゃないですか」

 

確かに横乳は触った。側胴と横乳の境目がわからないので。触ってしまうのは仕方ないことだと思う。

 

「それに先輩、のしかかる方が塗りやすいのはわかるんですけど……その、当たってるというか……」

 

むくむくと湧いた欲望が、身体の一部で自己主張を始める。

それをお尻に感じて、都はうつ伏せになったまま、俺の方を切なそうに見上げて–––、

 

「先輩、休憩しちゃいますか?」

 

その一言に、早めの休憩を取ることにした。

 

 

 

たっぷり一時間休憩して、心機一転プールの掃除を再開した。

普段は一人でやっている掃除も、二人でなら随分早く進み昼までにはなんとか終わらせることができた。

着ていたTシャツも既に脱ぎ捨て、ハーフパンツ一枚でプールの縁に腰を下ろす。

 

「ふぅ〜、やっと終わりましたね。水も七割溜まってますし、入っていいですか?」

「そりゃあ掃除したやつの特権だな」

「やった」

 

都はプールの中へと飛び込む。そして、俺がつけた脚の間に来るとそのまま膝に手を置き、こちらを見上げてきた。

 

「庭にプールがあるっていいですね。女性の水着姿を見ると大きくなっちゃう先輩のだらしないあれも公共の場で見られることはありませんし」

「公共の場ではそんなことにはならないっての」

「でも、絶対一人二人は大きくしてプールから上がらない人いると思うんですよ。時間になってプールから上がれって先生に指示されてるのに、上がらない男子生徒とか」

「……そこは知らないふりをしてやれ」

「まぁ、先輩の場合、そうならないように私がなんとかしてあげますけど」

「なんとかってなんだよ」

「そりゃあもう二度と立ち上がれないくらい搾り取るしかないでしょう」

 

俺を見上げる都の視線が、顔からゆっくりと下に落ちる。

 

「どこ見てんだよ」

「さっき私のことをいじめぬいてくれた棒ブラシさんです」

 

あまりに熱心に見つめてくるので気恥ずかしさを感じる。ちゃんとズボン穿いているのに。

 

「えい」

「おわっ!?」

 

しかし、すぐに飽きた都はそのまま俺の膝を掴むと引っ張ってくる。

 

–––ドボンッ。

 

プールの中へと引き摺り落とされた俺は、慌てて水面へと浮上した。

 

「おまえ、いきなり人を引き摺り落とすとか何考えてんだッ。小学生か」

「……なんだかやられっぱなしも癪だなと思いまして」

「性的にやられたことに対してのやり返しが小さい!」

「いえ、冷静に考えると頭ぶつけてたら大惨事ですよ」

「……ん、あぁ、そう、か?」

 

危機感の薄い俺としては、頭をぶつけるなんてそんな下手は打たないのだが、都は本当に反省してるようでさっきまでのテンションとは打って変わって、俯きがちに視線を逸らして反省した様子だ。

 

「……先輩は雪菜さんのこと好きなんですよね?」

「……突然なに言い出すんだよ」

「事実確認です」

 

不安そうな顔をして、何を言い出すかと思えば、都はそんなことを考えていたらしい。

 

「今更だろそんなの。……だけど、おまえのことだって俺は……」

 

–––同じくらい大切に思ってる。

 

その言葉を吐き出す前に、都が俺に抱きついてきた。

 

「どうした?」

「……いえ、先輩がちゃんと私のことも考えてくれているのが嬉しくって。つい」

 

そう告白した都の頰は緩み切っており、締まりのない顔をしている。

 

「あ……そういえば、プールに引き摺り落とした罰がまだでしたね」

 

しかし、突然彼女は思い出したかのように、プールの縁に手をついてお尻を突き出してきた。そのまま顔をこちらに向けて、蠱惑的な笑みを浮かべる。

 

「どうぞ、先輩の気の済むまでおしおきしてください」

 

–––このあとたくさんお仕置きした。

 

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