元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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延長戦

 

 

 

「–––撮影終了です。お疲れ様でした」

 

およそ三時間にも及ぶ夜伽が終わった。

 

「はぁ……はぁ……はぁ…っ…」

 

私は一糸纏わぬあられもない姿でベッドに倒れたままだ。快楽を刻み込まれた体は自分でも制御ができず、今でも軽い痙攣と、荒い呼吸によって胸が上下するばかりで、取り繕う余裕もない。

 

「……直人君」

 

娘の夫としたことの罪悪感は、背徳感へ。

母としての矜持も全部引っ剥がされて、女どころかメスにされてしまった。

そんな私の関心は直人君のことばかり。

私をこんな風にした直人君は、カメラの電源を切って鞄に機材を放り込んでいた。

 

終わった直後は抱きしめたりしてくれたのに、淡白な反応にすごくもやもやとした感情が生まれる。

 

そんな私の心情が伝わったのか、彼は三脚を部屋の隅に放って戻ってきた。

 

「なにしてたの?」

「邪魔なもの片付けに。撮影は終わりですから。大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ。むしろ物足りないくらい」

 

私が不満を込めて言うと、直人君は苦笑して私の唇にキスをしてくれる。優しく髪を撫でて体を労ってくれる。それだけで私の心は弾むように軽くなった。

 

まだ少し裸を見せるのは恥ずかしいけど、それ以上の多幸感が私を狂わせる。長年の悩みが一気に解消されて、私は少しだけ浮かれているのかもしれない。でも、この夜だけは私は直人君のものだ。

 

「さて、色々と体液でお互いにべとべとですしお風呂に入って綺麗にしましょうか」

「一緒に?」

「はい。一緒に」

「ん」

 

私が手を伸ばして抱擁を求めるとハグをしてくれる。そのまま上半身を起こされて、私は彼に抱きついたまま首筋にキスをした。

 

「立てないから連れてって」

「わかりました」

 

腰に腕を回し、膝裏を持ち上げられる。俗に言うお姫様抱っこされた私はバスルームへと連れ去られてしまう。

予め準備していたのか、浴室にはシングルベッドサイズのマットが敷かれていた。そこに優しく下ろされた私に、直人君は一声掛けてからシャワーを浴びせる。

 

「あ〜、気持ちいい〜。こんなに運動したのは久しぶりね」

 

仕事の疲れを癒す時とは違う。どこか懐かしい感じに目を細めて、私はされるがまま汗を流していく。

 

「はぁ……」

 

全身濡れ鼠になった私に代わり、今度は直人君がシャワーを浴びる。汗と体液だけを軽く流した彼は、まだまだ元気そうな逸物をぶら下げていた。

 

「「……」」

 

直人君の視線は濡れた私の体に向いている。

そうなった原因を理解して、私の頰は再び熱を帯びた。

 

「あれだけやっても元気なのね……」

 

–––夫は一時間どころか、二回戦が関の山なのに。おまけに短小で早漏のせいで私は一度だって満足できなかった。

 

単純に若い男に欲情されて嫌なはずもなく、それと同時に性的に見られているという羞恥が襲ってきて奇妙な気分だった。

 

「まだ動けなさそうですし、俺が洗うんでマットの上に寝そべってください」

「ありがとう。直人君」

 

本当はもう立てるくらいには回復していたけど、純粋な厚意と悪戯な気配を感じて身を委ねることにする。

マットに仰向けに寝て、少し挑発的に肩幅に脚を開いた。

舐め回すような視線を感じたけれど、彼はすぐに気を取り直してボディーソープのボトルのキャップを外した。そして、容器を傾ける。

 

「きゃっ、つめたっ!?」

 

私の胸の谷間には、白濁色の液体が落ちてきた。

それはお臍へと流れ込み、川を作る。

お臍ダムが決壊したあとは、川の氾濫のように横へ下への流れができた。

 

「もう、かけすぎよ。そんなに私って汚いかしら?……汚したのは直人君なのに」

「そんなことないですよ。許可さえあれば動物のように全身舐め回して綺麗にしますけど」

 

揶揄うはずが揶揄われて私は赤面する。

そんなことされたら、私は恥ずかしさで死んでしまう。

 

「冗談だからやめて。さっきだってあんな–––」

 

思い出すと火を吹き出しそうなほど恥ずかしくなり、私は口を噤んで恨みがましい視線を彼に投げた。

 

「もういいから、洗って」

「はいはい」

 

ボディーソープのボトルを閉め直した彼は、マットの上に寝そべる私の上に跨ってくる。

私の体に塗りたくられたボディーソープを塗り広げるため、その指をしっかりと胸の谷間から広がるように伸ばしていった。

 

「んっ……」

 

思わず色っぽい声が漏れてしまう。

谷間からがっつり胸を揉みしだくように指を這わせ、横乳も下乳も余すところなく撫で回された。

鎖骨をなぞるように指先が蠢き、その指が首を優しく絞めるように纏わりつく。

 

「っ……!」

 

どうやら私は攻められるのが好きなようで、首を絞められると思った時、少しだけ興奮してしまった。

優しい夫との交わりでは知ることのなかった自分の性癖に、どうしようもない興奮が襲ってくる。本当に直人君には教えてもらってばかりだ。

 

「あ、ちょっ……や、あ」

 

今度は脇の下を擽るように洗われて変な声が出た。

 

「あんっ、それ、ダメ……!」

 

そのまま側胴を撫でられて身動ぐけど、彼は嗜虐心を刺激されたみたいで興奮したように笑みを浮かべていた。

 

嗜虐心を満たされた彼は、擽ってきた時とは違って次は腕を優しく揉み洗う。

二の腕、肘、上腕、手首、そして指先。恋人繋ぎのように指を絡めて握り合うと、指の間までしっかりと洗浄してくれた。

 

そして、またおっぱいを鷲掴みにされる。

 

「……ねぇ、直人君。何かおっぱいに挟まってるんだけど」

「ブラシですよ。それとボディーソープ追加した方がいいと思うんですよ。背中も下もまだですし」

 

直人君の手が下腹部に伸びる。

どうやら彼は私を徹底的に洗うつもりみたいだ。隅から隅まで、私の全部を。それこそ夫という存在を私から抹消するみたいに。

 

–––そして、それを望む私が心のどこかにいた。

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜、気持ちいい〜……」

 

念入りにしっかりと体の奥、隅々まで洗体された。

そのあとで今度は私が、直人君の体を洗った。

交互に体を洗ったあとは、泡を流して一緒に湯船に浸かる。まるで恋人のような時間を私は彼と過ごしていた。

 

「そうですね。すごく気持ちいいです」

 

私を背後から抱きしめるように湯船に浸かっていた直人君は、私のおっぱいをたぷたぷと湯船の中で弄んでいる。

 

「もう、さっきもいっぱい触ったのに」

「男の子は仕事の時間も女の子のおっぱいに触ってたいんですよ」

「……それは初耳だわ」

 

個人的主観が多分に含まれる主張だったけど、私は何も言わず彼に体を委ねた。

 

「……」

「どうしたんですか?」

 

無言で天井を見つめていると、直人君が心配そうに声を掛けてくれる。胸を弄ぶのをやめた彼はバックハグをして私を引き寄せた。

 

「……撮影も終わったし、もう終わりなのかなって。名残惜しい気がしてね」

「なるほど。夜通しやりたいと?」

 

私の遠回しのおねだりに気づいた直人君は、私の首筋にそっとキスを落とす。

 

「心配しなくても、朝まで付き合いますよ。というか付き合ってもらわなきゃ困ります。俺もまだまだ志穂さんとしたりないので」

「あれだけやってもまだ元気なのね……」

 

ただ純粋に求められるのが嬉しい。私はただ抱きしめられているだけというのが寂しくなって、体を反転させて彼の膝に跨るように密着した。

首に手を回して、胸を押し付けて体を固定する。直人君の手が腰に添えられて、しっかりと抱き合った。

 

「二回戦……は、さっきやったので三回戦ですね」

「そうね」

「次は志穂さんのやりたいことしましょう」

「なんで私?」

「一回戦は旦那さんの要望に沿ったプレイにしたじゃないですか。だから、今度は志穂さんのやりたいことにしようかなと」

 

私がやりたいこと、と言われても思い浮かばない。

性的な知識が、夫と一緒で深いというわけじゃないから。

 

「……激しいのがいいわ。直人君が娘達にいつもしているようなやつ」

 

夫の独り善がりの優しい交尾はもう飽いていて、そうリクエストすると直人君は遠い目をする。

 

「……結構激しいですよ。気絶するくらい」

「むしろ私は気絶するくらい愛してほしいのよ」

 

唇に軽くキスをして、甘えるように彼の肩に顎を載せる。

 

「……それともうひとつ気になってることがあるんだけど」

「なんですか?志穂さん」

「それよ」

 

私の主語を省いた主張に直人君は首を傾げる。

 

「志穂って呼んでほしいの。今は恋人でしょう。敬語もいらないわ。シてる時みたいに呼び捨てで、愛理達と話す時みたいにしてほしいなって……ダメ?」

「善処します」

「そう。じゃあ、ちゃんと呼んでくれる?志穂って、名前で」

「…………志穂」

 

随分と長い葛藤のあと名前を呼ばれる。

彼に名前を呼ばれた瞬間、きゅんとした。

 

「じゃあ、ご褒美あげるわね」

 

嬉しくなって彼の唇に今日何度目かわからないキスをする。

ただし今度は、舌を絡め合う濃厚なやつだ。

唇を舐めると私の意図を理解したのか、直人君から私の口内を蹂躙しようとキスを求めてくる。

 

「んっ……ふぅ……っ」

 

唾液を交換するような激しいキスをたっぷりとして、息が乱れて苦しくなったところで私は唇を離した。

 

「ん、はぁ」

 

銀橋が掛かり、湯船に溶けて消えていく。

あぁ、本当にそれだけでも愛おしさが込み上げる。

 

「……そろそろ上がるか」

「そうね。それじゃあ早くベッドに行きましょうか」

 

もう一時も離れたくないと私から彼に抱きつきながら、私達はお風呂を上がった。

 

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