元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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性への執着

 

 

 

残り三つの部屋も軽く探索をした。

その結果、特筆すべき点としては、内装の中でもベッドサイズがあげられるだろうか。

プリンスルームはダブルベッド。

クイーンズルームはクイーンサイズのベッド。

キングスルームはキングサイズのベッド。

特にキングサイズは、大人三人で寝ても大丈夫なような作りになっていた。さすがはキングである。

 

「あれくらいのサイズのベッドが直人君のうちにあれば、快適なんですけどね」

 

それを見て何を思ったのかキングスルームの内見を終わらせた陽菜先輩は、チラッチラッと視線を投げかけてくる。新しいベッドを買えと言わんばかりだ。

 

「その予定はないですよ。というかどうやって運び込むんですか?」

「えー、四人で寝るなら必要ですよ〜」

「っ!?」

 

四人。その言葉の真意を逸早く理解して反応したのは、他ならぬ四人目の彼女である。

 

「わ、私はせ、先輩とそういう気は……!」

「おやおや〜?別に雪菜が四人目とは言ってないんですけどね」

「–––ぅなっ!?」

 

陽菜先輩に揶揄われて顔色を僅かに赤くした冬海は、勢いよく顔を逸らしてそっぽを向く。そして、小さくぼそっと呟いた。

 

「先輩の色欲魔っ」

 

突然の八つ当たりに俺は苦笑い。しかし、ここには思い当たる先輩が三人もいた。

 

「聞き捨てならないね。そういうつもりでここに君も来たくせに」

「だ、だから違うと言ってるじゃないですか」

「はいはい。そういうことにしておいてあげるよ」

 

手のひらをひらひらと振りながら麗花先輩は相手にもしない。

 

「そうですよね〜、雪菜はそういうつもりはなかったんですよね〜。どういうつもりだったんだか」

「陽菜先輩っ」

「あっはっはっは〜」

 

四人で最上階から、一階への階段を下りていく。

そうして一階にたどり着くと、地下への階段を探して再びロビーを横切る。

地下への階段は、別の場所にあるのだ。

建物の奥、そこの突き当たりを左へ曲がると、また突き当たり。その横に地下への階段があった。

 

「おー、雰囲気ありますね〜」

「廃墟だからな」

「確かに、何かよくない気配が増えてきたね」

「……」

 

麗花先輩の不穏な一言に雪菜は押し黙る。彼女は不安そうな顔で俺の手を握った。

 

「ここが地下みたいですね」

 

階段を最後まで降りると細い通路が姿を現す。

その通路には、複数のドアが並んでいた。

なんとなく全員で奥まで歩くと、突き当たりの最後の部屋で立ち止まる。

まるで何かに導かれたようで、補足するように麗花先輩がこう呟いた。

 

「ここ一番ヤバイ気配がする」

 

それを一番に感じ取れる麗花先輩も、俺の手を不安そうに握って身を寄せてくる。

 

「さっさと入りましょう」

 

地下の拷問部屋を一番に楽しみにしていた陽菜先輩が、怖気付く二人を無視して扉を開けた。そしてそのままずんずんと中へ入っていく。

 

「これはすごいっ!」

 

ライトに照らされた部屋を見て、陽菜先輩は大興奮で中に進む。

奥まで行った陽菜先輩は壁の前まで行くと、楽しげに壁に取り付けられたそれを観察する。

壁に取り付けられていたのは、首輪や手錠だ。

当然使用法は語るまでもなく、人体を拘束して楽しむためにあるのだろう。

 

「うへへ、いいっすね。あたしも直人君にもっとこういう過激なの所望します」

 

大興奮(意味深)の陽菜先輩が、壁に付けられた首輪に触れる。愛おしそうに、優しく。

ただその様子を「うわぁ……」と、引き気味に麗花先輩が見ていた。

 

「……陽菜」

「麗花も見てくださいよこれ!」

「あ〜、うん、それはいいんだけどね。……その拘束具、裸の女の霊が繋がれてるよ」

「し、使用中でしたか。これはとんだお邪魔を」

 

陽菜先輩が首輪から手を離して、離れようとした瞬間、

 

「–––うぺっ!?」

 

彼女はガクンと首を引っ張られて壁の方へ倒れ込んだ。

壁に背中を強打して、そのままずるずると床に尻餅をつく。–––その前に空気椅子のような不自然な状態で停止した。

 

「いてて……あれ?」

 

おまけに両手は頭の横に、バンザイした状態で固定されている。よく見れば首には自前の首輪と一緒に壁に備え付けられていた装飾具が巻き付いており、手首には手枷が嵌められていた。

 

キィィィィィ–––バタンッ。

 

背後で扉が閉まる音がした。

その音に振り向いた冬海は、僅かに引き攣った顔で言う。

 

「……先輩、またくだらない悪戯やめてくださいよ」

「残念ながら、俺は何もしていない」

「私もだよ」

「じゃあ、いったい誰が……」

 

誰何を問う声に返答はなし。

そうしている間にも、状況は変化を続けていた。

 

「うえっ!?」

 

前方で悲鳴が聞こえたかと思うと、陽菜先輩が中腰のままピクンと膝を跳ねさせた。するとスカートの下から何かが床に落ちる。それを確認するためにスマホのライトを向けると、さっきも見た陽菜先輩お気に入りの紐パンだった。

 

「な、なんか、勝手に解けて……あれ?なんか太腿に違和感が……まるで、誰かに触られているような……」

 

体勢が辛いのか徐々に陽菜先輩の脚が開いていく。と、ラッキースケベもいいところなのに俺達は彼女の頭の上のあたりを見ていた。

壁にさっきまでなかった文字が浮かんでいたのだ。

 

「S」

「E」

「X」

 

三人で順番に読んでいくと、ある単語が思い浮かんだ。

さすがはラブホの幽霊さん、性への執着がすごい。

 

「いや!なんか生温かい風が股下に吹きつけてます!なんかすっごい気持ち悪いんですけど!」

「だ、そうですが麗花先輩」

「眼鏡のおじさんが……その、ね?」

「いやぁぁぁぁぁ!?!?!?は、早く助けてくださいぃぃ!!」

「陽菜先輩が!倉科先輩どうにかできないんですか!?」

「やだなぁ、私は幽霊が見えるだけで除霊はできないよ。素人が下手に手を出したら即落ち二コマで朝まで陵辱コースだよ」

 

よくあるエロ同人みたいな展開が待っている–––というか、陽菜先輩が既にその状態だった。

 

「まあ、そのための藤宮君なんだけどね」

「あたしは直人君専用っすよ幽霊はお断りです!」

 

陽菜先輩が必死に抵抗している間に、俺はポケットから数珠を取り出すとメリケンサックのように指に巻きつけ、陽菜先輩の前のあたりを殴りつける。するとバチっと静電気が弾けた。

 

「あ、消えた」

 

どうやら無事に成仏したらしい。たぶん。

 

「大丈夫ですか陽菜先輩?」

「早く外してください。こういうプレイは直人君だけで十分です」

「俺もやりたくないんすけど」

 

拘束具を外して、陽菜先輩を抱っこして支える。そのまま立つと陽菜先輩はえぐえぐと泣きながら俺の胸に顔を埋めた。

 

「そ、それより早くこんなところ出ましょう」

 

声のトーンがいつもより低い冬海が脱出を促すので、俺達はぞろぞろと出口へと向かう。

 

「あ、あれ……?」

 

そして一番に外に出ようとした冬海が、ドアノブをガチャガチャと捻る。押したり、引いたり、何をしても開かない。

 

「な、なんで……?」

「建て付けが悪いとか?」

「いえ、それが回りすらしなくて……」

 

壁の文字が脳裏に浮かぶ。

 

「……SEXしないと出られない部屋」

 

誰かがぼそっと呟いた。

 

「まあ、確かにエロとホラーって何かとセットにされますし」

「実に面白い展開になったね」

 

エロ同人大好きな麗花先輩が楽しそうに笑うが、衛生観念的には全然嬉しそうではなかった。

 

「どうしたら出れるんですか?」

「どうって……ヤるしかないんじゃないか?」

 

大雑把に言えば、幽霊が満足しなければ出られないのだ。それ以外に方法はない。

 

「で、麗花先輩はどう思います?」

「そうだねぇ……。さっきから男の幽霊が藤宮君の身体を乗っ取ろうとしていたけど、諦めてベッドに座ってるしね。本当は藤宮君の身体を乗っ取って私達を陵辱しようとしたんだろうけど、別の方法に切り替えたみたいだ」

「別の方法って?」

「いや、たぶん妊娠させて胎児に宿ろうとしてるんじゃないかな?」

「もうそれ妊娠しないと出られない部屋では?」

 

条件が判明したところで、麗花先輩と陽菜先輩の視線が冬海に向く。

 

「そうなると君しかいないね」

「そうっすよね」

「な、なんで私なんですか?」

「いや、私達米倉社製の避妊薬飲んでるから、妊娠する確率限りなく低いんだよね」

「なっ」

 

幸か不幸か遊んでいるツケがこんなところにまで。

それを聞いた冬海は、自らの身体を抱きながら一歩引く。

 

「……い、嫌ですよ。初めてがこんなところでなんて」

「相手が藤宮君なのはいいんだ?」

「そ、それは……その……」

「愛されてますね〜直人君」

 

先輩二人に揶揄われて、冬海は狼狽える。

 

「うぅ」

「じゃあ、そろそろ出ようか」

「はい」

「ベッドの上にいる幽霊倒せば出れるはずだから、藤宮君あとは頼んだ」

「わかりました」

 

–––バチンッ。

 

幽霊が消滅した瞬間、扉が開くようになった。

 




超かぐや姫二周目を映画館で見たいし特典も欲しいけど取れる気がしない
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