元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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その服の下は

 

 

 

都達を家へと送り、帰宅したのは午後九時を過ぎた頃。

マンションの駐車場。月明かりと街灯の光しかない車内で、俺は助手席に座る愛理へと視線を向けた。

 

「ついたぞ」

「……うん」

 

いつもとは違う覇気のない声。スパリゾートを出てからずっとこの調子だ。

帰りの車内で会話ひとつなく、ようやくした会話といえばこれだけで、明らかに様子がおかしいことがわかる。

原因といえば、心当たりがないわけではない。

片桐から何かを吹き込まれてからだ。

その何かというのも女性関係に関する話ではあると思うのだが、彼女がこんな風に思い詰めるとは思っていなかったので予想外ではある。

 

秘密にしていたつもりはないのだが、なんとなく後ろめたい感情が湧いて出てくる。

 

シートベルトを外して、愛理が先に車を降りた。

忘れ物がないかを確認してから、俺もすぐに後を追う。

会話もないまま自宅のある階へと上がり、自宅の鍵を開けた。

先に愛理を入らせて、鍵をロックした。

玄関のドアの方を向いていた俺の背中に、こつんと額がぶつけられる。

抱きつくようにお腹に腕を回して、愛理がくっついてきた。

 

「おぉ……。どうした?」

「……」

 

愛理は答えない。ただ額を押し付けて、甘えるようにくっついてくる。おかげで彼女の柔らかな胸が背中に当たっていた。

 

「……別に。ただこうしたかっただけ」

 

それは嘘だと思った。

何か言いたいことがあって、言えないのだろう。

なんとなく直感的にそう感じた。

 

「そうか。疲れたからせめて座りたいんだが」

 

お願いするように言うと背中から愛理が離れる。

リビングへと足早に駆けて、早く来い、と言うかのようにちらりと振り返った。

その後を追って、リビングへ行くと彼女はソファーに座っていた。隣に腰を下ろすと、またさっきと同じように抱きついてくる。

 

しばらくそのままで彼女の髪に手を伸ばし、ゆっくりと梳くように撫でる。手持ち無沙汰に始めたが中々に手触りが良く、気がついたら十数分ほど撫でていた。

 

「何か言いたいことがあるならはっきりと言えよ」

「……」

 

いつまでも何も言い出さない愛理に痺れを切らして、俺からそう切り出す。

すると彼女はぴくりと反応して、捨てられた子犬のように不安そうな目で見上げてきた。

「怒らない?」と、まるで悪戯をした子犬のような反応に、ちょっとした嗜虐心が湧くも今は引っ込んでいてもらう。

 

「いまさら遠慮なんてするなよ。聞きたいことがあるんだろ?」

 

俺がそう確認すると、愛理は小さく頷く。

それからしばらくして、彼女が口を開く。

 

「……怒らない?」

「あぁ」

「幻滅しない?」

「あぁ」

「嫌いにならない?」

「あぁ」

「元カノとのこと根掘り葉掘り聞いても?」

 

いったいどこまで聞くつもりなのかわからないが、首を縦に振っておいた。少し手加減して欲しいが、この様子ではダメそうであると俺は覚悟を決める。

そうして身構えているも、愛理は悩んだ様子だ。

何か聞きたいことがあるはずなのに、言葉がうまく出てこないようで口をぱくぱくと金魚のように開閉している。

それから何度も言葉にしようとしたが、そのどれもが声にならない声だった。

 

深呼吸をひとつ。愛理は落ち着いた様子で、ようやく最初の質問を口にする。

 

「私と元カノどっちが好き?」

「……は?」

 

最初からアクセル全開の質問に、思わず間の抜けた声が出た。

 

「パスは?」

「一回まで」

 

パスはありらしい。

 

「黙秘権は?」

「ありません」

「プライバシーは?」

「ありません」

 

……俺の人権どこ?

 

「別にそう難しい質問はしないわよ」

「……」

「なによその目。疑ってる?」

 

胡乱な目で見ると、不服そうに見返される。

取り敢えず、今日一日触りたくても触れなかった胸を揉んでおいた。

 

「……ちょっと。私いま大事な話してるんだけど」

「何を深刻そうな顔して聞いてくるかと思えば、くだらないこと聞いてくるからだ」

「触りたいだけでしょ。今日ずっとおっぱいばかり見てたじゃない」

「それは仕方ないだろ」

「ふーん。よりどりみどりで随分と楽しんでたみたいだけど?」

「な、ナンノコトデスカネ……」

 

一部事実を否定する。胡乱な眼差しを向けられたが、俺はそっとおっぱいの方に視線を逸らした。

 

「あれ?いつもと感触が違うんだけど……?」

 

いつもより妙に柔らかい気がするおっぱいをぐにぐにと弄ぶと、愛理がくぐもった声を漏らした。

 

「ん。ちょっと……」

「さっきの答えを知りたいんだろ?」

「もう、ばか……」

 

頰を赤くして逸らす愛理。抵抗もなく、ただされるがままに受け入れる。

服を脱がそうとボタンを外すと、はだけた服の隙間から今日一日目にしていた緋色の水着が姿を現した。

 

「……水着?」

「その、こうしたら喜ぶかなぁ……と思って」

 

恥ずかしそうに顔を赤くしている姿が扇情的に映る。

残るスカートに手を伸ばして脱がすと、上と同じく緋色の水着が姿を現した。

もじもじとふとももを擦り合わせて、最後の抵抗をみせる彼女だったが押し倒せば簡単にソファーの上に転がる。

期待するように見つめてくる瞳は濡れていて、最後に残った理性がぶちぶちと音を立てて切れる。

 

「ん。や、あ……っ」

 

激しいキスをして、欲望のままに彼女に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

翌朝。パチパチと油の跳ねるような音で目を覚ました。

隣を見るとぐっすりと眠る愛理がいて、音の正体を疑問に思うも嗅覚がベーコンの焼けるいい匂いを捉えて、それが朝食を作る料理の音ということに思い至った。

その頃にはすっかり目が覚めて、適当なシャツと半ズボンを引っ張り出すと着て寝室から出る。

キッチンには朝食を作っている都がいた。俺が起きてきたことに気がつくと、悪戯っぽい笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「おはようございます。お兄さん」

「おはよう。早いな」

「家を出るのは朝の早い時間のほうが暑くなくていいですから。それにしても随分とお寝坊さんですね」

 

時計を見ると午前九時になったところで、そんなに遅いというわけではないが平日なら出勤している時間帯だ。確かに遅いのかもしれないが、それは平日に限っての話である。

 

「最後の休みくらいゆっくり寝たっていいだろ」

「帰ってすぐ寝たんですか〜?夜更かししたのでは?」

 

確信があるのか都は悪戯っぽく笑う。

当然、寝室には昨日夜更かしした証拠がある。

中学生とはいえ、十五歳だ。性的な知識はそれなりにあるだろう。

寝室に踏み込まないのは、都なりの配慮だと思う。

それでも揶揄ってくるのは、興味津々だからだろうか。

 

「そんなに遅くまで起きてない。遠出するのに運転するのは久しぶりだったからな」

「でも、その分助手席の幸せな光景を見れたでしょう?」

 

–––シートベルト。あれは素晴らしい発明品だ。

 

「そんな面白い光景あったかな」

 

しらばっくれてみるが、都は確信していたようでニマニマとした笑みをやめない。

 

ベーコンと目玉焼きをレタスを広げた皿に載せて、買い置きしていたロールパンと一緒に出してくれる。朝から温かい珈琲もセットに、贅沢な朝食を三人分机に置いた。

 

食卓についたが、まだ愛理は起きてこない。

 

「お姉ちゃん呼んできましょうか?」

「いや、疲れているみたいだから寝かせておいてやれ」

「昨日、お姉ちゃん温泉にしか入ってないじゃないですか。どうして疲れてるんでしょうね〜?」

 

今日の都は実に楽しそうに俺を揶揄ってくる。プチトマトをフォークで刺して、そのまま口に運ぶともぐもぐ咀嚼する。

 

「教えてやろうか?」

「……へ?」

 

きょとんと間の抜けた顔をする都に近づき、その小さな身体を抱き寄せる。

愛理とはまた違った感触だ。肌はすべすべだし、小柄だし、柔らかな中に張りのある感じで。運動部だったからか肉付きもよく、抱いていて心地いいと感じた。

 

「な、ななななにしてるんですかぁっ!?」

 

必死に押し退けて転がり出た都は、床に膝をついたまま見上げてくる。顔を真っ赤にして狼狽える様子が可愛らしく、俺はつい笑いを抑え切れず小さく笑ってしまった。それで全てを察したようだ。

 

「か、揶揄いましたね!?」

「悪いお子様に大人の怖さを教えてやろうと思ってな」

「お兄さんのバカ!ロリコン!」

「俺はどっちかというと胸の大きくて、世話焼きな女性が好きだが」

「誰が貧乳ですか!今日のお兄さんの晩御飯。激辛麻婆豆腐にしますよ!ジョロキア入れてあげます」

「どこに売ってるんだよ。そんなの。あと貧乳なんて言ってないだろ」

「ふーんだ。もう許しませんよ。泣いて謝っても許してあげませんからね」

「そうか。ケーキ買ってやろうと思ったんだが、いらないか」

「……タピオカミルクティーも追加で考えなくもないですが」

「じゃあ、決まりな」

 

物で買収すればあっさり許してくれる。ちょろい。

 

朝食のロールパンを齧って、ベーコンと目玉焼きを食べる。珈琲を飲んでホッと一息。

 

「ねぇ、直人。どこー?」

 

そんなダイニングの朝食風景に愛理がやってくる。

寝室から出てきた愛理は下着姿で、少し寝惚けているようだ。

姉のあられもない姿を見て、妹は呆れた様子だ。

姉の方は、妹を見てぴしりと固まる。

すっと扉を閉めて、寝室の方へと引っ込んでいった。

 

「昨日はお楽しみでしたねって言ってきていいですか?」

「やめとけ」

 

その後、愛理は何事もなかったように服を着て出てきた。

 

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