元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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ダイヤちゃんがウェディングドレスのジンクス壊すイベント(幻想)を見た気がする……。


花火大会のその後で

 

 

 

「……あっ」

 

突然、都がそんな声を漏らした。

 

何事かと思ったのも束の間、夜空に一輪の花が咲く。

それとほぼ同時に“ドンッ”という大きな音が響き渡り、身体の芯に響くような衝撃が走った。

誰もが夜空を見上げて、散っていく大きな火花を目にした。

その儚さが、人々の心を鷲掴みにして、視線を夜空に釘付けにさせる。

 

「綺麗……」

 

次々と空に打ち上げられた花火は、花を咲かせ、またすぐに散っていった。

それを見上げて愛理は、小さく感想を漏らす。

「君の方が綺麗だよ」なんて気の利いた一言でも言えればよかったのだが、あいにく俺にそんな臭いセリフを言う度胸はない。ただ花火よりも綺麗な愛理の横顔を見るのが精一杯だった。

 

「本当に綺麗ね」

 

娘の漏らした感想に同意して、志穂さんもただ空を見上げていた。

 

「ね、ね、藤宮君もそう思わない?」

「あぁ、そうだな」

 

今更綺麗とかそういう感想はないのだが、俺は適当にそう口にして、ふと視線を感じてそちらの方を見てしまう。すると都がニヤニヤしながら俺の方を見ていた。

 

「とか言ってお姉ちゃんの方ばかり見て、花火なんて全然見てないじゃないですか」

 

都が速攻でバラしてくれたおかげで、全員の視線が俺に向く。

唯一の救いは、愛理が目を逸らしてくれたことだろうか。

花火の光だけでもわかるくらい頰を赤くしているあたり、恥ずかしくて逸らしたのだろうが。

 

「もう、何しに来たんですかお兄さん」

「おまえたち姉妹の浴衣姿を見に来たんだよ」

「そうでしたね」

 

開き直って事実を認めれば、ジト目で都に呆れられる。ベビーカステラを口に放り込んで、「うぇっ、あまっ」と追撃までしてきた。

 

「–––ってか、俺のことはいいんだよ。おまえも花火見ろよ」

「私はお姉ちゃんの浴衣姿を見る、お兄さんを見に来ましたから」

 

見る覚悟があるなら、見られる覚悟もあるよな–––と、言わんばかりの主張に俺はさらに反撃することにした。

 

「じゃあ、俺は都でも見るか」

「えっ」

 

じーっと、頭の先から下駄を脱いだ脚の爪先まで見る。そして、緩やかに描かれたお尻や胸の曲線に戻ってきて、それはもう存分に舐め回すように見てやった。

 

「な、なんかとてつもなくいやらしい視線を感じるんですけど」

 

恥ずかしげに胸を腕で隠し、都は精一杯の抵抗を見せるが、むしろそれがいいとは気づかない様子だ。

 

「こーら、妹のことを変な目で見ない」

 

腕を引っ張られて、隣にいる愛理に視線を戻す。

浴衣でも隠し切れない彼女の胸の膨らみを見て、やっぱり大きい方がいいなと再確認した。

すると愛理も視線に耐えかねたのか、太ももを擦り合わせるように僅かに身動ぐ。

 

「……すけべ」

 

何か悟ったような表情をした彼女は、花火の光にも負けない真っ赤な顔をしていた。

 

 

 

 

 

 

花火大会が終わり、俺達は現地で解散した。

車で帰宅する鹿島家と別れて、祭の興奮冷めやらぬ夜の街を、二人の美女を連れて歩く。

付かず離れずの距離を保ちながら数十分。片桐が住むマンションへついた。

 

「それじゃあ、また明日。藤宮君。愛理ちゃんもまたね」

「おう、また明日な」

「ええ、また機会があったら」

 

片桐が立ち去る寸前で、くるりと踵を返す。身体がくっつくくらい身を寄せて、耳に唇がつきそうなほど近くに顔を寄せる。というか実際、おっぱいが当たっていた

 

「あんまり夜更かししちゃダメだよ。遅刻しないでね」

「余計なお世話だ」

「あはは、じゃあまた」

 

今から俺が愛理に何をするか片桐は勘づいているようである。それだけ忠告をして、片桐は今度こそ自分の家へと帰っていった。

 

「俺達も帰るか」

「そうね」

 

片桐がマンションへ消えたのを確認すると、愛理は肩がぶつかるほどの距離へ詰めてくると、そのまま腕を絡めてきた。

 

「えへへ」

 

ずっとその隙を狙っていたのか、あまりにも早く捕獲された。

二人きりになった途端、甘えるように身を寄せてきた愛理と腕を組みながら帰路を歩く。

一歩踏み出すと肘に柔らかな感触が歪むのだが、歩き難いとかそういったことはなく歩行することができた。

 

幸せな時間はあまりにも早く過ぎるもので、しばらく歩くともう家の前だった。

 

マンションの階段を上がって、家の鍵を取り出す時も腕を絡めたままで鍵を取り出し難かったのだが、それを差し引いても今の状況は甘美で終わらせるには惜しい。

 

ただ鍵を開けて、閉じてしまえばもっといいことが待っている。

それがわかっていても、腕を解く選択肢はなかった。

 

–––カチャッ。

 

鍵を施錠した音が鳴る。

それは二人きりになったという意味を持つと同時に、人目を気にしなくて良くなった合図でもある。

下駄を脱いだ愛理は、足早にリビングへ逃げた。

 

「そ、それじゃあ、私お風呂入ってくるから」

 

手早くバスタオルや下着を用意して、お風呂に逃げ込むつもりだった愛理の行手を遮るように立ち塞がると、彼女は明らかに動揺したように視線を床に落とした。

 

「え、えっと、なに?」

「いや、脱ぐの大変だろう。手伝ってやろうと思って」

「絶対嘘よ!私のこと食べるつもりでしょ!?」

「むしろこんな美味しそうに飾り付けされてるのに、手を出さない男がいるか?」

 

着替えを強引に奪ってテーブルの上に置く。

そのまま押し倒すと、脚の部分がはだけて膝が露出した。

当然被害はそれだけにとどまるはずがなく、少し身動ぐと段々と太ももまで露わになっていく。

帯はまだしっかりとしているが、少し解けばミニスカートもかくやという露出になるだろう。

 

「嫌なら何もしないけど」

「べ、別に嫌とかじゃ……」

「じゃあ、なんで逃げるんだよ?」

「だ、だって汗かいてるし……それに……」

 

何かを言おうと口を開いた愛理が、そっと抵抗するように俺を押し退けようとする。その手は胸板をついており、つっかえるだけで本格的に嫌がっているような力加減ではない。

そのまましばらく言葉を待つと、愛理は絞り出すように小さな声でこう告げた。

 

「……絶対激しくする気でしょ。制服や、水着の時みたいに……」

 

期待するような眼差しが一瞬だけ向けられる。その瞳には、恐怖と歓喜が綯交ぜになった複雑な心境が写し出されていた。

お互いに歯止めが利かなくなって、快楽に溺れてしまう。そうなってしまえば俺は愛理を激しく求めるだろう。それも壊してしまうくらい激しく。

 

「それはすまん」

「……別に嫌じゃないわよ。好きな人に求められるのは嬉しいし。私も期待しているところはあるから」

「じゃあ、何が不満なんだ?」

「ただちょっと怖いっていうか。その……なんかいつも以上に目がギラギラしてるし」

 

例えるなら飢えた肉食動物–––狼だろうか。

飢えていると言っても、性的な意味でだが。

 

「大丈夫だ。安心しろ。最初は優しくするから」

 

そう言って、浴衣の帯を緩める。すると浴衣がはだけて下着の肩紐が顔を出した。

 

「そういえば浴衣を着る時は、下着はつけないって聞いたんだが」

 

しっかりとブラジャーをしていることから、それはすぐにデマだとわかる。

昔から囁かれていた噂の真相を再確認していると、愛理が呆れたような目を向けてきた。

 

「そんなわけないでしょ。……それにそれが嘘だって前にも言ったわよね」

「あれだろ。高校の時、浴衣がはだけておまえが半泣きになっていた時だろ」

 

–––あの時、確かに愛理は下着をつけていた。おかげで俺の浴衣に対する幻想は打ち砕かれた。

 

「それであんたに人目のつかないところに連れてかれたのよね」

「語弊のある言い方をするな」

「しかも何故か浴衣の着付け方を知ってた直人が、私の浴衣を直してくれたのよね」

 

懐かしそうに語る愛理。

俺はそんな彼女の背中に手を伸ばして、ホックを外した。

 

「……ねぇ、なにしてるの?」

「何って俺の積年の夢を叶えようと思って」

「夢?」

「浴衣の下は下着を着ないってやつ」

「……直人のえっち」

 

ジト目でそんなことを言いながらも、愛理はブラジャーを外した。また浴衣に袖を通すと、胸元が襟に隠れて素晴らしい光景が出来上がってしまった。

今度はごそごそと浴衣の中に手を伸ばして、一枚の布を落とす。しかもよく見ると紐同然で布面積が少ない。

 

「……なにあれ?」

「し、仕方ないでしょ。浴衣用の下着とか持ってないんだから」

 

下着を脱ぐ間に浴衣がはだけて、とても際どい格好になっている。襟を引っ張ると逆に着崩れてしまい愛理は頰を赤くしていた。

 

「じゃあ、取り敢えず座れよ」

 

ソファーの上に座り、ポンポンと膝を叩く。すると愛理は素直に俺の膝の上に跨って抱きついてくる。

 

「手加減できなかったらごめん」

 

一言謝ってから、彼女の唇にキスをした。

 

 

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