元メスガキさんをお持ち帰りした件   作:黒樹

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遊園地最後短め


観覧車『運命の歯車』

 

 

 

全ての撮影が終わり、衣装を着替えた。

再び制服に戻って、何とも言えない安心感に包まれた。

 

「……なんていうか、落ち着くな」

「ふふ、そうね。……まぁ、高校の制服なんだけど」

 

二人して奇妙な気分を味わいつつ笑い合う。

 

城の正門へと移動する。

見送りのために、桜と冬海も同伴していた。

 

「それではまた、来週」

 

少しだけ名残惜しそうに見送ろうとする桜が、物憂げな顔をして言う。

 

「出来上がった写真は来週、クリスマスパーティーの時にお渡ししますので。その時に」

 

そんな主人の心の機微を察したのか、冬海が念を押すように続けた。つまり、来なかったらどうなるかわかっているのだろうな。という脅迫である。

 

「わかってるよ。また来週な」

「……お嬢様も楽しみにしていますので」

 

ゆっくりと近づき、こっそりと耳打つ。

 

「ドレスコードとか大丈夫かしら……?」

「身内だけのパーティーだし、あれがあるだろ」

「……そうね。あれがあったわね」

 

サンタコスの存在を思い出し、愛理が諦めたような表情になる。

 

「それじゃあ、また」

「はい、残りの時間目一杯楽しんでくださいね!」

 

来週の楽しい予定を思い出したのか、桜は大きく手を振りながら俺達を見送った。

城を後にした俺達は、再びパーク内へと繰り出す。

時刻は午後四時半を過ぎており、もう日が傾き始めていた。

 

「移動に時間かかるし、最後に乗っておきたいアトラクションとかあるか?」

「そうね〜。ひとつだけあるんだけど、いい?」

 

今度は彼女自ら手を引いて、歩き出す。

「何?」「秘密」というやりとりをして、向かった先は観覧車だった。

三十分待ちの列が出来ており、最後尾に並ぶ。

客層を見てみると、随分とカップルが多かった。それもそのはず、ここの観覧車は大変カップルに人気らしく、なんでも二人で乗ると永遠に結ばれるのだとか。

他のカップルの雰囲気に当てられたのか、愛理はより強く俺とくっつきながら待機時間を過ごした。

 

「それでは行ってらっしゃいませ」

 

係員に見送られて、二人乗り込む。

腕を組み、そのまま隣り合うように座った。

そして、早くも愛理は身を寄せてくる。

太腿がくっつくくらいに身を寄せ、さらに肩に頭を乗せてきた。

 

密室で二人きり。そのような状況になって存分に甘えてくる彼女は、それでも足りないとばかりに俺の手をむんずと掴むと自ら太股の間に挟んだ。

ほのかに温かいすべすべの肌と、ニーソの感触に包まれる右手に少しもどかしさを感じつつ、俺もまた存分に与えられた幸福を享受する。

 

「ちょっと、もう……どこ触ってるのよ」

 

しばらく挟まれる感触を堪能すると、あくなき欲求は暴走して穿いているニーソと太股の間に指を潜り込ませた。

すると彼女は少しだけくすぐったそうに身を捩り、嫌そうな様子もなく挟む力を強くするように脚を閉じた。

 

「普段穿いてくれないからな。今のうちに存分に堪能しておこうと思って」

「もう、バカ。……直人がどうしてもって言うなら考えなくもないけど」

「何卒よろしくお願いします」

 

性癖のためならばプライドも全て捨てる所存である。

基本的に愛理は俺の願いならなんでも聞いてくれるので、頼んで損はない。

ただ今日は愛理のためのデートなので、セクハラは程々に名残惜しくもニーソから指を引き抜いた。依然として太股には挟まれたままだが。

 

「〜〜〜♪」

 

機嫌が良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす様は、まるで猫のようで可愛らしい。

右腕が柔らかくも温かい感触に包まれながら、目を閉じてただひたすら今の時間を楽しむ彼女を眺めていた。

 

「……なに?」

 

ずっと見続けていれば、やがて視線に気づくわけで。

ふと目蓋を開いた愛理に上目遣いに見つめられてしまう。

至近距離に揺れる、真紅の瞳に。

吐息の漏れる、薄く開いた唇に。

魅せられた俺は、吸い寄せられるように彼女の唇へと唇を重ねる。

 

「んっ!?……っ」

 

最初は驚いた愛理だったが、強請るように自分から唇を強く押しつけてきた。

 

「ちゅ…ん…っ……」

 

次第に要求はエスカレートして唇だけの接触では飽き足らず、お互いを貪るようなキスに変わった。

求め合い始めるとやめ時を失い、息が苦しくなってもむしろやめるどころかお互いの興奮を高める結果となっていた。

 

「っ……はぁ、……はぁ」

 

愛理に限界がきたところで唇が離れた。

力の抜けた身体が、凭れ掛かってきた。

唇からは銀の橋が垂れて、俺の肩に掛かる。

頬を赤くして荒く呼吸を繰り返す彼女が、俺の目には酷く扇情的に映った。

 

「っ……」

「ん……」

 

今すぐにでも押し倒したい欲求を、彼女を強く抱きしめることで抑える。

 

観覧車は既に頂点を過ぎて、ゆっくりと地上へと向かっていた。

 

「……綺麗ね」

 

夕焼けの時間も終わり、薄暗い観覧車の中で外を見て愛理が言う。

デスティニーパークは夜間の営業へと切り替わり、夜の光を灯していた。

 

「……そうだな。すごく綺麗だ」

 

外を見下ろす彼女の横顔を見て、俺はそう返した。

 

 




サブタイは最初から観覧車の名前決めてたのに出すところがなかったという理由であれです
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