黄金樹の名の下に   作:黒プー

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七つの異聞帯は落ちた。
人類史最後の砦、カルデアは最後の異聞帯へ向かう。

黄金樹の主人が待つ、狭間の地へ。
しかしその地で待つのは黄金だけではない。


狂宴黄金記 エルデンリング


狂宴黄金記 エルデンリング
プロローグ


『…そうか。 星を食い尽くす怪物でさえも敗れたか。』

「はい。 …すでに南米異聞体は崩壊を始めました。 そして攻略を終えたカルデアは…」

『こちらに向かってきているか。 当然だろう。彼らが私との約束を破るとはとても思えない。』

 

黄金樹の麓にて、一人の魔術師が樹の中にいる王と話している。

かの王は今、反旗を翻した者どもへの対抗策を呼び出すために再び樹の中へ潜っていた。

 

『それはもう良い、彼らがここにくるのは定めだ。…それより奴らは。』

「古き地下都市に勢力を結集しつつあると。」

『…そうか。 黄金の彼に伝えておけ、黄金樹の根の底は必ず守り抜けと。』

「御意。」

『……すまない、これ以上は限界だ。……まさか神を下ろすのがここまで苦痛だとはな、貴公の夫はどのようにこの苦痛に耐えたのか…。』

 

王の呟きに、魔術師はかつての夫である赤髪の彼を思い出す。

妻である魔術師にさえも言葉少なく、彼女を守るために彼女のそばさえも離れていってしまった彼。

一つ二つと彼との思い出が湧き上がるが、魔術師はそれは今は関係ないと頭の片隅にその記憶を追いやる。

 

『……すまない、貴公にいうべき言葉ではなかったか。』

「…いえ、構いません。どうせ遥か昔のことなのですから。」

『……そうか。…では、私は休む。あとは任せる。』

「はい、お任せを。」

 

黄金樹の内側の人影が消える。

それと同時に魔術師は立ち上がり、彼女のなすべきことをなすべく、動き始める。

 

「…我らが王の夢、決して邪魔はさせません。…私はもう、守られるだけの女ではないのですから。」

 

 

 

 

 

カルデア、ストームボーダー内にて

七つの異聞帯を攻略した彼らは、最後の異聞帯を攻略するためのブリーフィングに入ろうとしていた。

 

 

「…さて諸君。特に藤丸だが____改めて、南米異聞体の攻略、ご苦労だった。 しかしだ。我々にはまだ最後に攻略するべき場所が残っている。」

「…エルデさんの異聞帯…太平洋異聞帯、ですね。」

 

カルデア所長、ゴルドルフとマシュのその言葉と同時に、ブリーフィングルーム中央に場所が示され、地図を表示したシオンが話し始める。

 

「ええ。残る最後の異聞帯です。しかし他の異聞帯と違って全く拡大する動きがなく、そして戦力もあの竜種と騎乗していたサーヴァント、ゴッドフレイを名乗っていたサーヴァント、そして____」

あの竜種と騎乗していたサーヴァント、ゴッドフレイを名乗っていたサーヴァント、そして____」

「エルデさん…だよね。」

「ええ。」

 

藤丸の言葉にシオンは頷き、新たな資料を表示する。

それはギリシャ異聞帯で彼が見せた魔術であった。

 

「この魔術、調べてみたのですが現代の技術では少なくとも再現不可能なほど精巧に作られていました。 おそらく彼の異聞帯固有のものでしょう。」

「ま、まさかこんな魔術使ってるやつしかいない…ってことかね!?」

 

シオンの言葉を聞いたゴルドルフが叫ぶ。

 

「ええ、おそらくは。…ですから、私の見解としてはここの攻略はしなくても問題ないです。」

「…どういうこと、ですか?」

「…この異聞帯の場所は太平洋、そして拡大もする気はない。立地的にもいくらでも隠す方法はありますし、人類史を侵食する気がないならば手を出す必要はないと思います。」

「...なるほど。無駄に危険な行為をする必要はないと言いたいわけか。」

 

シオンの言葉にゴルドルフが納得したように頷く。

彼女の言いたいことはわかる。ただでさえカルデア基地のある南極に侵入する術を探さなければならないというのに、こんな危険で死ぬ可能性しかない場所を攻略するのは少々リスキーだ。

ならば攻略をそもそもしないという手もアリなのだろう。

だが、藤丸はエルデの言っていた言葉を思い出す。

 

『…待っている。』

 

あの言葉を聞いた時、なぜだか約束を破るべきではないと直感が訴えていた。

それに、彼自身約束を破るという行為はしたくないのだ。

ならば。

 

「……いいえ、あそこの攻略は行くべきです。」

 

直感がそう訴える。あそこを放っておけばORT以上の脅威になってしまうと。

一人でもあそこを攻略するべきだと。

彼は、たとえ彼らが協力してくれなくとも、あそこに行く気だった。

 

「…ま、そういうだろうと思ってました。なのでもうサーヴァントは選定済みです。」

「フッ、さすがはシオン、仕事が早いな。」

 

しかし、反対するだろうと思っていた藤丸の予想とは違い、彼らはすんなりと藤丸の意見を受け入れたのだ。

 

「…いいんですか?」

 

思わず藤丸は所長に聞いてしまう。

これは自分のただのわがままなのだ、許されるわけがないと思っていたのに。

しかし所長は、そんな藤丸を見ながら言う。

 

「良いも何も、貴様が反対しないのであれば攻略はするべきだろう。 何せあれは異聞帯なのだ。

むしろあんな危険すぎる異聞帯に自分から行きたがるとは思わなかったがな。…少しは自分の身も大切にしたまえ。」

 

所長は、ただ単に藤丸を心配していただけだった。

その温かい言葉に、藤丸の目から涙が出てくる。

 

「えっ、な、なんで泣いてるの!? ちょっ、なんだ! 何かあったのか!?」

「す、すみま、せん…言葉があったかすぎて…」

 

藤丸を見てワタワタしている所長に、思わず彼は笑ってしまう。

 

「それだけかよ!? …全く、それならいいわ。」

 

呆れたように言った所長に、また藤丸は笑ってしまう。

そんな二人を眺めつつ、シオンは今回の作戦に加わるメンバーを呼び出す。

 

「…さて、藤丸くん。実は今回のマスターは君だけではないのですよ。」

「? カドック?」

「いえいえ、もうお一人います。」

 

シオンのその言葉と共に、ブリーフィングルームの扉が開く。

そこにいたのは、大規模特異点「トラオム」の時から共にマスターとして作戦に加わっているカドックと…

 

「オフェリアさん!」

「…久しぶりね、二人とも。」

 

北欧異聞帯の元クリプター、オフェリア・ファムルソローネその人だった。

 

「もう動いて大丈夫だったの!?」

「ええ。あの時は世話になったわね、藤丸。…やっと治療が終わったから出歩けるようになったのよ。」

 

彼女は北欧異聞帯攻略後以降、その右目の治療をしていた。

エルデのおかげで一命を取り留めたとはいえ、その右目の負荷は凄まじく、ストームボーダーでの集中治療によってようやく動けるようになったのだ。

 

「…エルデの異聞帯を攻略するんですってね。」

「! もしかしてオフェリアさんも!」

「…彼には借りがあるから。無事な姿くらい見せに行ってやらないとね。」

 

オフェリアは嬉しそうなマシュを見ながらそう言って微笑む。

そしてそんな彼ら彼女らを見ながら、シオンが改めて作戦説明に入る。

 

「…では、作戦ですが。地形を確認したところ、五つの逸話の「黄金樹物語」に由来する地形で間違いなさそうです。 ですから、最終目標は…ここ。「王都ローデイル」になるでしょう。」

 

シオンが、巨大な黄金の木の麓を指差す。

 

「そしておそらく、ここにエルデさんもいるでしょう。目標は彼の捕縛とおそらく空想樹になっているであろう黄金樹の伐採です。

…ではみなさん、それぞれ準備に入ってください。」

 

「「「「了解!」」」」




あんまり関係ない設定小話ですが、このシリーズではラダゴンはレナラママを守る(とかそれに近い感情)ために黄金樹に出頭した説を採用してます。 

1週間近く投稿開けちゃってすみません、この先の展開にクソほど悩んでたのですが、ようやく思いついたのでまたいい感じの頻度で書いていこうと思います。みんなは何か書く時は必ずプロットとか書いておこうね! お兄さんとの約束だよ!
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