黄金樹の名の下に   作:黒プー

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投稿遅れてごめんなさい


第6話

中国異聞帯は、カルデアの空想樹切除によって崩壊の道をたどることとなった。

しかし異聞帯の主人である始皇帝は、決して後悔などしていなかった。

それ故、カルデアに責を負わさずに送り出したのだ。

 

「フ……只敵を排することにさえも後悔の念を抱くか。実に非効率的だが…その感情を拝したことが、朕の民とあれらの違いだったのかもしれんな。」

 

去っていくカルデアの背を見ながら、そんなことを呟く。

だが彼は決して民を蔑んでいるわけではない。彼は自らの民に誇りを持っているのだから。

そして、彼にしか認識できないであろう、後ろの人物もまたそうであろう。

 

「貴様の民はどうなのだ? 私でさえ至らなかった頂にいる者よ。」

「気づくか。さすが始皇帝といったところだ。」

 

始皇帝が目を向けていた虚空から、黄金の光と共にその人物……エルデが降りてくる。

 

「貴様、カルデアが来た時からずっと虞を見ておったであろう? なまじ朕しか気付けぬ視線だったゆえに気持ち悪くて仕方なかったぞ。」

「それは……すまなかったな。」

 

始皇帝の文句に素直に謝るエルデ。どうやら罪の意識はあったようだ。

ははは、とその反応を笑った始皇帝は、玉座から立ち上がり、見通しが良くなったおかげで見えるようになった田畑を見やる。

 

「朕の世は貴様の治世を目指した者だった。黄金の田畑に決して死なぬ民たち、そしてそれを永遠に見守る朕、というようにな。 しかし……やはり辿り着けなかったな。」

「……」

「なあ、聞かせてくれ、エルデの王よ。貴様はなぜ、汎人類史などに歴史を渡したのだ? 世界なぞ狭間の地だけで良かったのではないか?」

 

その問いかけにエルデは、首を振り否と答えた。

そして言葉を続ける。

 

「人の身でありながら神へ至らんとした王よ。 ……確かに永遠とは素晴らしい。黄金の果実のようなもので、誰しもが欲する。

しかしな、それは決して良い物ではないのだよ。」

 

エルデは何かを思い出すように目を瞑る。

 

「私が治めていたかつての狭間の地は、永遠を……神の座を求めた子供達によって荒れ果てていた。民たちはすでに人ではない何かに成り果て、それでも子供達は争いを止めなかった。永遠を求めたあまりな。」

「……」

「故に私は一度目は狂い火を受け取り、エルデンリングを破壊した。」

「……ほう? だがそのような記録は耳にしたことはないが?」

 

始皇帝がエルデの言葉に興味を示す。

そう、後世に伝わる物語、『黄金樹物語』では、決してそのようなことは書かれていなかったのだ。

狂い火に関してあるのは、『王は狂いの火をも力とし、自らの配下に加えた』とだけなのだ。

故に彼の言っている言葉はおかしい、と始皇帝は気がついたのである。

 

「ああ。一度目は、だ。」

「どういうことだ?」

「戻ったのだよ、時が。」

「……はぁ?」

 

エルデの言葉に始皇帝は思わず声を上げる。

時が戻る。そのようなことあり得ないのだ。始皇帝でさえ時間を操ることは不可能だったというのに。

 

「私の考えでは世界の強制力というやつが働いたのだろう。私が狂い火で破壊し尽くした世界は元に戻っていた。殺した人々も全て。」

「……なんと。」

「だが私はそれでも永遠を捨て去りたかった。決してあってはいけない物だったから。」

 

故に、とエルデは、始皇帝がいつの間にか持ってきていた『黄金樹物語』を指差しながら言う。

 

「私は人の世……正確には汎人類史に歴史を明け渡した。人々を永遠から解放した。

だから今、貴公を含めた人々は、素晴らしい歴史を歩んでいるのだ。」

「永遠などあってはならぬ、か。この物語は貴様の思想について書かれていたわけではないからな、それでは貴様に追いつけぬわけだ……」

 

始皇帝は自らの手にあった、原本でもあるその本を焼き捨て、改めてエルデを見る。

 

「だが、朕は貴様の話を聞いて疑問が残った。」

「? なんだ?」

「エルデンリングを消さねば黄金樹、そして狭間の地は消えぬはずだ。だが狭間の地は伝説のみとなっており、現代までは残っていなかった。そして貴様の言、あれは破壊できぬと。」

 

では、歳皇帝は言葉を切り、エルデに再び問いかける。

 

「貴様、どのようにして狭間の地を閉じたのだ?」

「……」

 

その問いを聞いたエルデは、少し寂しそうな笑顔を浮かべながら、しかし何も答えなかった。

だが始皇帝はそれだけで察したのか、呆れたように言った。

 

「……貴様、そこまでして民を優先するか。見上げた王だな、全く。……いや、そこまでいくと馬鹿なのか? 貴様には欲がないのか?」

「……はは、よく言われたものだ。」

「はあ……全く。」

 

始皇帝は呆れながら再び玉座に座る。

 

「では貴様、此度はどうするつもりだ? 貴様の持つそれに反応し、また異聞帯は蘇ってしまったらしいが。」

 

その始皇帝の問いに、エルデは今度こそはっきりとした答えを言う。

 

「試練を課す。彼らカルデアが、汎人類史にはこの世界を支配する価値があるのか。それを見極める。」

「ほう?」

 

面白そうだ、と言う顔をした始皇帝は、さらに問いかける。

 

「ではそれに足りえなかったら?」

「わかるだろう? ……踏み潰し、再び黄金樹の名の下に支配するだけのこと。」

「ほう! 全く! やはり貴様は面白いな! 剪定された異聞でありながら、決して歴史に返り咲けぬ身でありながら! 貴様は返り咲くと言うのか! 朕でさえ成し得なかったと言うのに!」

「ああ。……だが、貴公ら人類史が到達できない地点など、我らには容易く超えることができるのだよ。」

 

その言葉を聞いた始皇帝は、声を上げながら笑った。

そして始皇帝は、獰猛に笑いながら彼を見て言った。

 

「それでは、朕はカルデアに召喚されてやるとしよう。売られたケンカは買うのが朕の趣味なのでな?」

「……そうか。」

 

エルデは少し笑いながら言うと、再び虚空に黄金の光を発生させ、そして振り返って言った。

 

「では、私は君とカルデアを待ち受けるとしよう。……精々足掻いてみせろよ? 汎人類史。」

「ああ。貴様こそ待っておれ、いずれその座から引き摺り下ろしてやろう、神よ。」

 

その始皇帝の言葉を聞いたエルデは、どこか嬉しそうな表情をし、そして去っていった。

 

始皇帝は黄金に輝くその光が虚空に飲まれるまで見送ったのち言った。

 

「……ああ。そうとも。必ず引き摺り下ろしてやるとも。その肩に背負った荷ごとな。」

 

そう人知れず呟いた始皇帝は、やがて玉座から立ち上がり、下の田畑にいるであろう民たちの様子を見にいった。




おかしいな、ぐっさまとラブラブちゅっちゅ(語弊)させるつもりだったのになんで始皇帝が横から入ってきたんやろ… まいっか。(思考停止)


にしてもDLC発売しましたね! マジで嬉しいわ!まさかあんなことやこんなことが起こるなんて!
…え? 発売してないって? 啓蒙あれば見えるんだよ、貴公もこの頭蓋を砕くといい。
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