インド異聞帯。インドの神々全てを飲み込んだ唯一神、神たるアルジュナによって統治されていた異聞帯。
しかしカルデアは、神の試練とさえ呼べる代物である攻撃をかわし、空想樹の切除、そしてこの異聞帯のクリプターであるスカンジナビア・ペペロンチーノとそのサーヴァント、アシュヴァッターマンの撃破も成し遂げた。
もはやペペロンチーノに打つ手はなく、カルデアの勝利は揺るぎないものとなった。
「……やっぱり連携不足だったかしら」
そういったペペロンチーノに、退去寸前になっているアシュヴァッターマンは言葉を返す。
「そうかぁ? ムカつくが思ったより気分良く暴れられたぜ? 相性は良かったんじゃねえのか?
……勝たせてやれなかったのは悪いけどよ」
「私はまだ生きてる。それだけで十分よ」
そのペペロンチーノの言葉に、アシュヴァッターマンは呆れたように笑う。
「ハッ、勝ちも負けも決めるのは自分か。やっぱり器用なマスターだぜ」
そして再びペペロンチーノに顔を向け、そして言った。
「あばよ」
「……ええ。さよなら、私の不器用なサーヴァント」
そのペペロンチーノの言葉を聞いたアシュヴァッターマンは、少し笑いつつ、そのまま光になって消えていった。
そして彼が消えていったと同時に、ペペロンチーノの後ろの空間が光る。
その中から現れたのは、クリプターの一人、エルデだった。
「……あら。あなた来てたの?」
「まあな。私は誓いだけは破らない。貴公を迎えに来た」
「まっ、豪勢なお迎えだこと! あなたが護衛なら間違いなく安全でしょうね」
そう笑いながらいったペペロンチーノは、表情をふっと消し、エルデの後ろの空間を冷たい目で見る。
「エルデもそうだけど…あなたが加勢してくれたらもっとどうにかなったんじゃないかしら?」
「私はクリプターだからな。キリシュタリアに強い干渉は避けろと言われている」
「あらそう、残念」
ペペロンチーノの言葉と同時に、エルデの空間から異星の神の使徒、アルターエゴのリンボが現れる。
「ッかはっ…ふう…ふう…ええ、もちろんそうするつもりだったのですがねぇ、少々邪魔が入ってしまいまして」
リンボが事の顛末を話す。どうやら彼は、援護を入れようとしたその時に鈍く光る大曲刀を持った巨大な男に襲撃され、援護は失敗に終わってしまったらしい。
「…そしてですねぇ、エルデ殿。拙僧、襲撃者に少し心当たりがあるのですよ。…あなたのところのサーヴァントの獲物と、その襲撃者の持つ獲物。かなーり似ておりましてですね? 襲撃者、あなたのサーヴァントですよねぇ?」
ニヤリと笑いながらリンボが言う。しかしエルデは、取り乱す様子もなくリンボに言った。
「ああ。そこまで気づくか、陰陽師」
「ええ! 拙僧、使徒ですのでね。 しかし困りましたな、クリプターとあろうものが異星の神の使徒に弓を引くとは! これはよろしくないですねぇ? どうするおつもりですかなぁ?」
「……決まっている」
エルデは懐から獲物を取り出しながら言う。
「貴様の崇める神に伝えろ。私は私の好きなようにやる。邪魔をするならまずはお前を殺す、とな」
「ほう! これは随分と大きく出ましたな! まさか人ごとき……が……」
エルデは自らの言葉を言うと同時に、目の前にいるリンボの頭を懐の武器…黒き刃によって切り飛ばす。
「……まさか、私がこれを本来の用途で使うとはな」
「……あなた、なかなか怖い人なのね?」
後ろでことの流れを見ていたペペロンチーノが言った。
その言葉を聞いたエルデは、ペペロンチーノの方に向き直りつつ言う。
「何、私としては自分の星に満足できない外星人如きにかつて治めていた地を奪われると言うのがあまり好ましくないだけだ」
エルデはそれに、と言葉をきり、再び話し始める。
「カルデア……彼らの旅は非常に面白い。私の旅は終わってしまったが、他人の道のりを眺めると言うのも、なかなか悪くないだろう?」
そのエルデの言葉に、ペペロンチーノは呆れながら言った。
「……はあ、全く。……あなた、その相手を見下ろしながら話す癖やめた方がいいんじゃないの? だからカドックとかに嫌われるのよ?」
「む、嫌われているつもりはないが」
「はぁ……まああれは嫌われると言うより怖がられるかしらねぇ…」
ペペロンチーノの言葉をよくわからないなと言う表情で聞いていたエルデは、まあいいかと思い直し、ペペロンチーノに向かって手を差し出す。
「では、行くとしよう」
「……ええ」
エルデの手を取ったペペロンチーノは、少し名残惜しそうに異聞帯を見やり、エルデが現れた黄金の光の中へと入っていった。
Lost beltのストーリーって全部良いからなるべく壊さないように…って考えながら書いてるとどうしてもエルデンリング組の出番が少なくなってしまう。すまないみんな…っ!