黄金樹の名の下に   作:黒プー

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ちょっと…雑かも。


第8話

大西洋異聞帯。最も異聞深度が深く、最も汎人類史を否定している異聞帯。

キリシュタリア・ヴォータイムが率いるこの異聞帯の正体は、ギリシア神話12神が生存したことにある。

故にこの異聞帯を攻略するためには、本来の力がないとはいえ神そのものと戦う必要があった。

しかしカルデアは、立ち塞がる神々をことごとく撃破。キリシュタリアとの最終決戦にも勝利した。

だが、カルデアにとっての脅威はそれだけでは終わらなかった。

 

『あーっはっはっは! ようやく私の出番か! 待たせたな使徒たちよ!』

 

クラス・ビーストセブン、異星の神が顕現してしまったのだ。

そしてその器は、カルデア元所長であったオルガマリー・アニムスフィア。カルデアに因縁のある相手でもあった。

 

『……現状を報告せよ、使徒。キリシュタリアの件と言い、多少の手違いがあったようだが?』

 

キリシュタリアの裏切り、そして自らの体の違和感に疑問を覚えた異星の神が、傍に控えていた使徒の一人、ラスプーチンに問いかける。

 

「は。 御身の玉体となるべきだった空想樹マゼランは、空想樹セイファートの炎上に巻き込まれました。…御身の霊基そのものに支障はありませんが、権能の範囲が低下しているものと思われます。」

『…ふむ、羽化前といったところか。______それはそれでいい、楽しみができただけだ。』

 

そう言いながら異星の神はカルデア一行を見下げつつ言った。

 

『足りぬものはここで補えば良い、ちょうど良い食事が目の前にあるのだからな。』

「…っ」

『しかし貴様ら、なぜ私を敬わないのだ? 神に傅くことはこの惑星の原則ではなかったのか?』

 

彼女が藤丸らに問いかける。

藤丸は困惑しつつも彼女の問いに答える。

 

「だって……あなたが、オルガマリー所長だから…!」

『…はぁ?』

 

藤丸の答えに対し、異星の神はよくわからないと言う表情をした。

 

『何言ってるのよ地球人。私が…何? えー…所長? 所長って何よ?

……ま、いいわ。恐怖で狂ってるようだから、最後に教えてあげましょう。』

 

そして彼女は自らの名を名乗る。

 

『私は虚空より降りたる神。この惑星の邪悪を廃し、正すために顕れたもの。

地球を一つの国家として手中収め、人類を一人残らず管理する究極の支配者。すなわち…

 

 

地球国家元首、U-オルガマリーである! 』

 

その言葉に、カルデアはさらに困惑する。

オルガマリーの顔をしオルガマリーであると名乗りながらオルガマリーではないということに。

しかし彼らにそのような余裕はない。

 

『ふん、いい精神波だ。…だが、もろとも消え去る時だ。この星に存在していたもの全てを私は漂白する。』

 

そう言いながら彼女は、黒い重力波を呼び出す。

 

『現人類も。異聞帯も。貴様らも。英霊などという器を使っている使徒たちも、こうして我が実行体が顕現した以上皆用済みだ。…助けを乞い、悔い改めながら惨めに失せるがいい。』

 

その言葉と共に、重力波はさらに強まっていく。

その強さに、カルデアの協力者として共に戦っていた兄妹、マカリオスとアデーレが叫ぶ。

 

「クソッ、空想樹よりもでかいじゃないか! これじゃ人間も建物も何一つ残らないぞ!」

「あの黒い光なら!...ああ、でも、体も砲身も…」

 

確かに黒い光...ブラックバレルがあれば、あのパワーと拮抗できた可能性はある。

しかし拮抗するだけではいつかは飲まれてしまう。故にあの重力波を破壊することは難しいだろう。

そして、この場に逆転作がないことは、名探偵でさえも理解できてしまうことであった。

 

「…すまない、立香君。我々に逆転の可能性は…ない。 これはもう…」

 

しかし、彼の推理は外れていた。たった一つの要点を見つけられていなかったから。

 

「…貴公ら、助けは必要か?」

 

「! ……エルデ。君もこの異聞帯にいたとは。」

 

ホームズが彼の突然の出現に驚きながら言った。。

エルデは彼の反応に少し笑いながら言う。

 

「貴公の先ほどの推理、残念ながら大外れにしてしまうと言うことをここで謝罪させてもらおう。…あれは貴公らにはまだ過ぎた試練。身の丈に合わぬ試練など決して行ってはいけない。…故に。」

 

エルデは、自らの鎧を消し、胸に刻まれた紋章…エルデンリングを呼び起こす。

 

「っ、その紋章は…! なぜ君が!」

「ああ、これか。…まあ、貴公らならばすぐに辿り着けるさ。…少し下がっていたまえ、巻き込みかねない。」

 

藤丸たちを後ろに下がらせ、エルデは祈るようにして一つの祈祷を発動させる。

 

『…呼び起こすはかつての獣の力。

我がうちに宿る一つの祈祷。我が声に答えよ、黄金の獣よ…。』

 

そしていつの間にか手に宿っていたエルデンリングの紋章を一度高くかかげ、空に高く跳躍する。

 

『これこそは黄金の獣の切り札。…我が黄金の光輪、受けてみせよ……!』

 

そして舞い上がり、そのまま空に止まっているエルデの周りに大きなエルデンリングの紋章が一瞬現れ、それと入れ替わるようにして彼の周囲に光輪が現れる。

この祈祷は本来獲得することさえままならない神の祈祷を、エルデなりに見出し、そして自分のものとした技。

本来ならば相手の周囲を光輪で囲み、収束させ爆発させると言うものだったが、彼は自分の周囲に複数の光輪を出現させ、広範囲を攻撃することのできる技にしたのだ。

 

「だが、ただの攻撃では結果的にあの重力波に吸収されてしまう…!」

 

ホームズが述べたように、確かにこの黄金の輪だけでは吸収されてしまう。

では重力波を破壊するにはどうするべきか。簡単だ、重力波以上の力をぶつけてやればいいのだ。

 

『…呼び起こすは異端の魔術師の到達点。

我が声に答えよ、禁忌の探究者よ…』

 

いつの間にかエルデは王家の紋章が刻まれた魔術杖を持ち、それを重力波に向けていた。

 

これこそは禁忌の魔術師が探求し到達した輝石魔術の最終点! 暗黒の源流よ、力を…!

 

そしてその詠唱と共に、杖からブラックバレルに匹敵…否、それ以上の砲撃が放たれる。

かつて禁忌呼ばれるほどに危険で強大な魔術。それが重力波に向けて放たれたのだ。

そしてその彗星は見事に重力波を破壊した。

 

『なっ……!?  貴様、ただの人間ではないな!?』

 

自らが放った重力波を破壊された異星の神が、驚いたようにエルデに問いかける。

 

「ようやく気がついたか、異星の使徒。…こうして名乗るのは初めてだったか。改めて名乗らせていただこう。」

 

魔術を収束させながら、エルデは地面に着地し、片手に持った王家の杖を地面につけたのちに言う。

 

「我が名はエルデ。かつて繁栄した狭間の地の王にしてそれを閉じた者。そして今は、エルデンリングをこの体に宿すものだ。…故に、今の私は神と言っても過言ではないだろう。」

「な…っ!? …しかし、それならば狭間の地の術を使えたことにも…」

 

彼の名乗りを聞いたホームズが驚きつつも考察するように呟く。

そして異星の神も、その名乗りを聞き驚く。

 

『神だと!? …使徒! 汎人類史の神がまだ残っているなど聞いていないぞ!』

「…私も、想定外でした。 まさかただ狭間の地にゆかりある人物などではなくそのものだったとは。……神よ、御身はまだ羽化前の身。現状の我々ではあれに敵いません。 ここは撤退を。」

『っ_______!』

 

そして悔しそうな表情と共に、異星の神らは去っていった。

 

「…助かった…?」

「そう…みたいです。」

 

静かになったあたりを見回しながら、藤丸とマシュがそう呟く。

異星の神は去っていき、脅威は完全になくなったのだ。

藤丸はその安心感と疲労が原因か、その場に座り込んでしまう。

 

そんなカルデアらを横目に、エルデは倒れているキリシュタリアに近づく。

 

「…貴公。問題ないか。」

「……問題なかったら、私はとっくに立ち上がって彼らを助けていたさ。」

「貴公のことだ、私がいなくてもその身を投げ打って彼らを助けていただろう。」

 

はははとキリシュタリアはそのエルデの言葉を笑いながら受け流す。

 

「…まあ、貴公が問題あると素直に言うほどだ、かなりの深傷と言ったところか。」

「ああ、そんなところだ。…ところでカイニス、エルデを警戒しているようだが…何かお気に召さなかったか?」

 

キリシュタリアの言葉で、エルデはカイニスの方を見る。

彼女はきせきを挟んで反対側にいたが、エルデをを警戒するように置いていた槍を片手に持っていた。

 

「…てめえ、神なんだろ。 クソッタレなあいつらと同じ。」

「……ああ、なるほど。そう言うことか。」

 

カイニス…カイネウスの逸話には、彼女が女性体で召喚された原因となるものがある。

それはポセイドンとの神話である。彼女はポセイドンが原因で、望まないまま女性になってしまっていた。

故に彼女の神嫌いは心の底からのものだ。

 

「…安心しろ、少なくともキリシュタリアと貴公に危害を加えるつもりはない。それに私は性転換する魔術など知らぬ。ソレはレナラの分野だからな。」

「んなもん安心できるわけねえだろ…!」

「…ふむ。では貴公も私の異聞帯にきたまえ。彼を治療するついでにな。」

「…は?」

 

良い案が思うかんだと言うようにエルデが言葉を続ける。

 

「貴公は異聞帯を自由に移動できるのだろう? 私は良いがキリシュタリアは移動手段が必要だ。 そうだろう?」

「私としては君がきてくれると助かるね、カイニス。」

 

キリシュタリアもエルデの言葉に賛成すると、カイニスは呆れたように槍を下げた。

 

「…はあ、武器向けられてるのにそんな能天気にできるとか……わかった、お前らについてくさ。」

「そうか。では転送する。転送先に私の妻がいるが、彼女が治療してくれる手筈になっているので攻撃しないように。 では。」

「ほう、君の奥さんか。興味ぶk」

 

キリシュタリアの言葉を無理やり切るようにしてエルデは魔術を発動させる。

そして未だ放心していた藤丸に声をかける。

 

「藤丸立香。…まさか、弱体化しているとはいえ神を倒すとはな。」

「え、私、何にも...」

「? ゼウスらは倒したのだろう?」

 

エルデの言葉にああ、と思い出す藤丸。

どうやら異星の神が濃すぎて忘れていたらしい。

 

「その分ならきっと私の元に辿り着くまですぐだろうさ。 …では、次こそは私の異聞帯…黄金樹の麓にて会おう。…待っているぞ。」

 

そう言い残すと、エルデは藤丸の返事を聞くこともなくそのまま去っていった。

藤丸はそんな消えた背中を、じっと眺めることしかできなかった。




新たな王の聖印

新たな王が生み出した黄金律の聖印。
全ての祈祷を強化する。


新たな王が数多の時間をかけて生み出した律は、全ての民の律を混ぜ合わせたものだったという。
その律は全ての民に永遠の繁栄を告げるものだったが、しかし王は永遠を望まなかった。



新たな王の杖

新たな王が生み出した杖。
全ての魔術を強化する。


彼は秘密に引き寄せられぬものを作らないために、禁忌の魔術をも学べるようにした。この杖は禁忌の魔術を制御するために作られたものだ。
かつての王の師ような者を増やさぬために。





次回からはエルデの異聞帯…黄金樹異聞帯(名称適当)の攻略になると思います。
藤丸目線メインになるかも。多分。
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