チュアチュリー・パンランチには家族がいる。
地球に残してきた肉親。加えてそれと同じくらい大事な推薦企業の従業員達。彼らと通話するのが何よりの楽しみだ。
「チュチュ!どうした、元気だったか!」
ガヤガヤと画面の向こうにみんなが集まり始める。騒がしくて荒っぽい連中だがチュチュは誰よりも彼らの優しさを知っている。
「学校はどうだ?楽しくやれてるか?」
他の生徒は会社や親のためと思って重いものを背負い込んでくる者が多い。チュチュも学園に入学する前はそうだったが、それを見かねた家族達は、存分に学校を楽しむよう言ってくれた。周りのスペーシアンが持っていないものを持っているような気がしてチュチュには誇らしかった。
「相変わらず懲りねぇスペーシアンどもはいるけど、地球寮のみんなは優しいよ。あっ、そういやさ……地球寮にスペーシアンの生徒が入ったんだ。スレッタってんだけど」
「チュチュにスペーシアンの友達!?ど、どうしたんだお前、熱でもあるんじゃないか…?」
「みんなあーしのこと何だと思ってんだよ!スレッタは他の連中とは違うんだ。年上のくせにいつもビビってっけど、決める時は決める奴なんだよ。あーしらのことを見下したりしないし……」
話していて、これでいいのだろうかとチュチュは思った。家族は地球でスペーシアンの搾取に苦しんでいるのに、自分だけが宇宙に出てスペーシアンと仲良くなろうとしている。家族はそれを許してくれるだろうか。
「……みんなはさ、あーしがスペーシアンと友達になったら、変だと思う?」
「ん?なんだチュアチュリー、突然?」
「今日もまたスペーシアンと知り合いになったんだ。話してるとアイツらの中にも話が分かる奴がいんだよね。
けど、みんなは地球にいてスペーシアンにいじめられてんじゃん?あーしはこれでいいのかなって……」
「なんだ、何を言い出すかと思えば!俺達のことは気にすんなよ!」
「え?」
「チュチュが宇宙に行く前、学校を楽しんでこいって言ったろ?スペーシアンとかアーシアンとか関係ねぇ。
お前が大切って思える友達を見つけて、無事に帰ってくれば俺達はそれでいいんだ。お前が選んだ友達なら悪い奴じゃねぇに決まってるしな」
「みんな……」
最初に言われたことのはずなのにうっかりしていた。苦しい懐事情のなか送り出してくれたのに、そんなちっぽけなことで文句を言う彼らではない。
チュチュは家族の優しさの深さに触れて目頭が熱くなった。これ以上話しているとダサいところを見せてしまう。
「えっと、みんなあんがと!今日はもう寝る!」
「おう、しっかりやれよチュチュ!おやすみ」
通話を切ると、頬に涙が流れるのを感じた。誰かに見られたら絶対からかわれる。笑いながら涙を拭うと、幸せを独り占めするために毛布をかぶった。