リリッケ・カドカ・リパティはついつい食べすぎる。
昼食はとったがもう小腹が空いてしまった。購買で小さなスナック菓子を買って授業の合間に摘む。
好きな時に好きなだけ食事が出来るという幸福を、リリッケは実感している。
レネ・コスタはあまり食べない。
多くのキープ君を抱える彼女はその分自らの美貌に責任があると考えている。男たちに恥をかかせないために毎日の食事はバランスを考え、プロポーションを維持している。
それだけに好きな時に好きなだけ食べるリリッケのことが気に食わないのである。ましてキープ君に言い寄られ、その誘いを断ってまでいるとなるとなおさらだった。
「リリッケ・カドカ・リパティ!今度はキープ君8号に手出しやがって!」
「わ、私から誘ったわけじゃありませんよ〜!それにしっかり断りました〜!」
「だからなんで断るんだよ!私の男なんだから優良物件だって言ってんの!全く、みんなこのぷにぷにお腹のどこがいいのよ〜!!」
リリッケがお腹をつつかれているとチュチュがやってくる。地球寮生の危機にはどこからともなく聞きつけて飛んでくるのだ。
「おうおうおう!!ウチのリリッケに喧嘩売るとはいい度胸してんなぁクソスペ!!リリッケをいじめんからあーしが相手になんぞ!!」
「あぁ!?うるさいボンボン女!!決闘なら受けてやるけど?」
チュチュに遅れてマルタンとニカが歩いてくる。マルタンは主にチュチュのおかげで人を宥めることが随分上手くなった。
「2人とも落ち着いて?チュチュ、どうしていつも暴力を振るおうとするんだよぉ〜」
どうにかレネを追い返し、ニカと2人でチュチュを押さえる。
「リリッケ大丈夫?」
「ありがとうございます……うぅ、やっぱり私食べ過ぎでしょうか〜」
年頃の女の子として体型を気にしていないわけではない。普段はなんとも思わないが、いざ指摘されると存外傷つく。
「うーん、僕は全然そんなことないと思うけど……その自然な感じがリリッケの魅力なんじゃないかな?」
マルタン・アップモントには観察眼がある。
個性の強い地球寮をまとめる寮長としての生活はマルタンの人を見る才能を成長させた。彼の飾らない性格からくる言葉は、単純でありながら的を射ている。
「えへへ、ありがとうございますマルタン先輩」
地球寮は個性の強いメンバーばかりだ。多少の体型の違いぐらいで拒む人間はいない。リリッケはそのことを改めて理解した。
スナック菓子を分け合う。4人で食べると、さっきよりも美味しく感じた。