姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝   作:気力♪

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ホームレスと幽霊

『アリヅカ』

 

 元々は高等学校を中退してカジュアルサマナーになった人物だ。半グレだとか、ちんぴらとかの類らしい。

 

 良くも悪くもカジュアルサマナーの範疇を超えておらず、アプリを使って略奪やレベル上げを行い、アプリを維持するために人を辱めていた。

 

 ひと昔前にならどこにでもいた普通の悪人。それがアリヅカだった。

 

 だが、一度目のセプテントリオン襲来の際に仲間の大半を失った事で、状況が変わる。

 

 邪悪な行いを続けるだけの力もなく、かと言って新たなチームに参加して悪行を行うこともしない。浮駒になっていた。

 

 そして、そのままなぁなぁと時が経ち、第二のセプテントリオンが来襲。

 

 その時に起こった『ナニカ』によって大きな力に覚醒し、一線級のデビルバスターに変貌したらしい。

 

 

 しかし、現在は行方知れず。

 やくざ者からの仕事を受けていたらしいから、キリギリスの戦力とカチ合って倒されたのでは無いか? と思われる。

 

「というのが、ざっと調べて出てきたことよ」

「なるほど! 概要は分かったぞ! 感謝するぞタナカ殿! サトー殿!」

 

 黒いスーツに角刈りヘアー、いかついサングラスをかけた黒服の2人は感謝の言葉に素直に照れているようだった。正直顔も服装もMAGも全てがそっくりでどちらがタナカ殿でサトー殿か微妙であるのは秘密だ。杏奈によると、結構性格に差があるらしい。

 

「で、このアリヅカって男。その覚醒のタイミングがジエン君のシェルターから出た毒電波のせいなのか? って話だよね」

「うむ。潜在能力の覚醒というだけならば別段不思議な事ではないからな。戦いに身を投じていればそのうち勝手に強くなるし、コツを掴むこともあるだろう。だが、この者は戦線から離れていたのに覚醒したという話だ。シェルターからの干渉である可能性はあるだろう」

 

 もちろん、見知らぬ別の理由によって覚醒を果たした可能性は十分にある。しかし、現在が暗中模索の最中である以上、ここを追求するのは間違いでは無いはず。

 

「で、どういう方針にするの?」

「ひとまず手探りだな。バックアッパーの受信をオンにしながら周辺への聞き込みを行おうと思っている」

「おけ、じゃあ早速行こっか。仕事に差し支えたら怒られるし」

「支援、感謝するぞ!」

「良いの良いの。私が好きでやってるんだからね」

 

 ということで、早速車に乗っての遠出をする。

 

『アリヅカ』の活動していたエリアは都心近くにあるベッドタウン。

 都心部程の活気はないが、都心へのアクセスが良く商業施設も多くある良い街だ。

 

 だが、住む者の高年齢化は進んでいるとか、公園で『ボール遊び』なる遊戯を行うことを禁じるようになったとかの負の面は当然ある。

 

 

 廃工場区域が、カジュアルサマナー達の根城になっていた事とかも、その負の面の一つだ。

 

 

「とはいえ、こうも無惨であるとな……」

「あ、これは一体目の時のだ。連中ボーボー燃えてたし」

「情報にあった万能含めた主な属性を無効化するセプテントリオン『ドゥベ』だな。火炎属性の範囲攻撃を放っていたと聞く」

「サイズの大小でそこそこ強さにブレがあってね。全員何気に物理反射はだるかったわ。呪殺は通ったから良かったけど」

「ふむ。セプテントリオンには破魔呪殺が等倍で入りやすいのだったな」

「連中に神聖も邪悪もないんじゃないかな? って説があったりするわね」

 

 そこそこに脱線しつつ痕跡を探す。

 まぁ、ぱっと見つかることはないとは思っていると……そこにはダンボールや毛布などを用いた簡易的な寝床が存在した。

 

 住処となる場所の公的な権利を持っていない人物たち、ホームレスという奴だろう。土地や家の公的権利という制度はなかなかに馴染まない。

 その時住んでる奴が家主ではダメなのだろうか? ……ダメなのだろうなぁ、キチンとした社会の仕組みの為には。

 

「んー、レベル16くらい?」

「MAG残量的にはそのくらいだな。決して強くはない」

「けど、このレベル帯だとやーさん達に食い物にされてないのはちょっと不思議だね。生きてるMAG発生装置としての生き物って需要あるんだけど」

「……あまり認めたくはないが、人の業とは変わらぬな」

「まぁ、どんな場所でも追い詰められた人間のやる事なんて大体同じだから」

 

 こういう追い詰められて切り捨てられる弱者の気持ちというのは、己達には決して理解できないだろう。共感しようとすることはできたとしても、己達はまだ死に方を選べる程度には自由なのだから。

 

「しかし、何者だろうか?」

「探してるけど人喰いの気配はないね。まぁ人喰いだったらとっくにデビバスに狩られてるだろうけどもさ」

 

 まぁ、この暮らしぶりを見るに敵ではないだう。

 

「ば、ばけもの……ッ⁉︎」

 

 すると、小さな姿が目に入る。

 警戒網を抜けられた事にまず驚く。彼女との距離は銃撃戦を行える距離、奇襲されていればかなりの不利を取られていただろう。

 

「はじめましてだな! 己はジエンという」

「人語⁉︎え、喋れるの⁉︎」

「己程度のレベルで人外扱いというのは、流石に世間知らずではないだろうか?」

「れ、レベル70の連中が何言ってんですか⁉︎世界だって滅ぼせるでしょうに!」

 

 レベル70? という言葉を不審に思い、リオに目配せをする。と、リオは彼女の持っているCOMPを示していた。

 

 あれだ。機械式アナライズという奴か。

 

 内臓MAGに注目して強さの指標とするアナライズであり、最も広まっている方式なのでデータ参照は基本的にこの機械式アナライズによるモノを用いる。

 己のスマホのアナライズは己自身の魂の強さを測りの基準にしているので結構ズレるのが悩みどころであったりする。誤差はだいたい5レベル程度だ。

 

 今回の、レベル70と見られたのもその感じだろう。自己認識ではレベルは63である。まだ先は長い。

 

「な、なんすか? 食べるんすか?」

「肉ならば最近はアグー豚という沖縄県の豚を好んでいるな」

「ちょっと良い肉ってリピーターになりがちだよねえ」

「あ、分かるっすそれ」

 

 突如として出てきた美味なる豚肉の話に警戒が揺らいで思わず四方山話に花を咲かせ始めた目の前の女性。

 そこそこに小汚く使い込まれた衣服だ。肉は太めであり、美意識を持って整えられた肉体ではない。色事を武器にする女性ではないからだろう。

 

 野暮ったい、という最近学んだ表現が当てはまるように思う。おそらく磨けば光ると女性達は言うだろう。美を磨ける穏やかな環境まで成り上がって欲しい限りである。

 

「……あの、我が家を引っぺがす悪い人じゃないのは分かりましたけど」

「わかっちゃったかー」

「その通りだ! 己達は少し尋ねたいことがあってここに来たのだ」

「そうなんすか! 何でも聞いてください!」

 

「アレ、この子も大概だぞコレ」というリオの声を聞き流しつつ話をする事にする。

 

「知りたいのは、『アリヅカ』という男についてだ」

「アントさん? 知り合いなんですか?」

「否、知り合いではないぞ。そのアントさんという者が己の故郷の手がかりを持っているかもしれないとの情報が入ってな。確認に来たのだ」

「へぇ〜、それじゃあ聞いてみましょうか?」

「む? 連絡が取れるのか?」

「はい。あの人ちょっと身体が粉微塵にされたらしくて幽霊やってるんですよ」

「ほう?」

「幽霊、ねぇ」

「なんか三途の川で追い返されたらしいです。満杯だからって」

「冥府というのは何処も大変だな。賽の河原という己が良く流れ着いた所も人が多くて大変だった記憶がある」

「え、何それ超気になる」

「賽の河原ってアレっすよね? 石を積んでは蹴り飛ばされてって」

「うむ。3人に1人くらいの感覚で自分の仕事に疑問を覚えている鬼が当たったな。石を崩しすぎて鬼の方も参っていた」

「地獄も働き方改革が必要な時代だったりするのかな?」

 

「いやいや何仲良しこよししてんだバカトンボ!」

 

 と、話が広がっていた時に横から男性の声がした。見れば、そこにいるのは半透明の霊体だ。人魂程度の大きさであるが顔は存在し、デフォルメされた人型のような形になっている。

 

「俺をこそしてくれやがったのはこいつ等だよ!」

「む? 己達が仕留めた?」

「あー……どれだろ?」

「ナッジアント様だ! 合体魔法でお前達を追い詰めた、ペルソナ使いの!」

 

 その発言によってようやく思い出す。そういえば、そんな男もいたなぁ、と。

 

「すまぬ! その姿とあの襲撃者が結び付かなかった!」

「……乾坤一擲の奇襲が……印象に残りすらしないのかよ」

「いや、実際私たち適当にぶらついてたら知らない人に襲われただけだから」

 

 その言葉にガッツリと落ち込むアント殿。まぁ、殺し合ったのに記憶に残らないというのはそこそこに応える事だとは思う。

 互いの命を奪い合う事は極限のコミュニケーションである、なんてことを言っていた者がいたことを思い出す。知らぬうちに何処かで死んでいたハンターであったが、その感性は己にも合っていると思う。

 

 当然、ダンダリアンのペルソナ使い、合体魔法使いのナッジアントの事はしっかりと覚えていた。強敵であったから。

 

 だが……

 

「しかし、その霊体と先の襲撃者を一目で合致させるのは無理があると思うぞ。『いめちぇん』にしたってやりすぎだ」

「そりゃ殺されてるからなぁ! イメージも身体もでっかく変わるわ!」

 

「なんか……仲良いっすね!」

「目ぇ腐ってんのか⁉︎」

「うむ! 本気で命を奪い合ったのだ! その者がどんな人間なのかは良く知れた! 敵対していなければ、信を置けるとは思っているぞ」

「敵対してたら容赦なくぶっ殺すけどねー」

 

「……なんだコイツら」

 

 と、話がひと段落したところで袖の下、所謂賄賂を送っておく。

 

 今回の賄賂は、MAGが少しと柏餅だ。冷凍食品として購入した柏餅を適当にスマホの中に入れていただけであるが、他の交渉用の食品を切らしていたが故である。

 

「ん〜、美味しい!」

「バカ、俺の分を神棚に乗っけろ! そのままじゃ食えないんだよ俺は!」

 

「なんというグッドコミュニケーション」

「やはり美味いモノの力は強いな!」

 

 と、空気が緩んだところで改めてアント殿を観察する。

 肉体がない故に近接格闘系スキルは撃てないだろう。しかし呪術の類は怨霊である方が撃ちやすいという話だ、ムド系、弱体系は撃てると仮定している。

 また、幽霊のペルソナ使いがどういう理屈かは分からないので、案外自分自身の悪魔化、ペルソナ化などで肉体を偽造するかも知れない。警戒距離は近接から半歩外で。

 

 しかし、見た目上のレベルは低いためこちらに攻撃をするにはMAGの強化や魂の励起といった溜めが必要になるだろう。抜き打ちの即死技には警戒が必要だが、それくらい。

 

「あ、そういえば名乗ってなかったです。私はトンボと言いますね」

「うむ! よろしくだトンボ殿」

「トンボってハンドルネーム?」

「いえ、名前はなかったのでアントさんに付けてもらいました!」

「ほぅ! それは素晴らしいことだな! 名前を呼ばれるというのは心地いいだろう?」

「はい! とても!」

 

「なぁ、トンボとそっちのガキを話させたらまともに進まねぇと思うんだが」

「うん、私もそう思う」

 

 そんなこんなの雑談がひと段落し、ようやく本題入ろうとした時だ。強者のMAGの感覚がある。

 

 レベルのほどは60から70ほど。リオレベルの強者だ。

 

「……随分と賑やかになっているな、ナッジアント」

「……テメェか、ムラカミ」

「む? こちらの方は何者か?」

「元ファントムのサマナーだね。眼光からの一気呵成を手口にしていた奴だったなか?」

「有名税、という奴か」

「うん、掲示板に晒されてたよ」

 

 その言葉に「掲示板……」と若干落ち込んだムラカミだが、しかしすぐに戦闘体制を整える。掲示板に晒されるのは良くないことだと聞いているが、何が問題なのだろうか? と未だに理解しきれていない己である。

 

「……何度来ても答えは同じだぜ。ダンダリアンの紙片の使い方は分からん」

「いいや、それはもう問題ない。悪魔合体による知覚範囲の変化により、紙片からの情報受信は可能となった」

「へぇ、そういや悪魔人間だったなお前さん。見えねぇがな」

「なに、己もここまでコツが分かるとは驚きでな。何でも試してみるモノだ」

「……それで、紙片が関係していないなら何だってここに来たんだよ」

「決まっているだろう?」

 

「紙片の力を独占するために、貴様の存在が邪魔だからだ。消えろ雑魚幽霊」

「あ、やはり敵で良かったのか」

 

麻痺針銃撃スキル敵単体に銃撃属性小ダメージ 緊縛状態を付与

 

「銃撃など効くものか!」

 

スプリガンベスト胴装備物理攻撃を反射する*1

 

「んー、あれスプリガンベストだ。技属性反射されるから気をつけてー」

 

会心の眼力補助スキル次の物理攻撃に必中と確定クリティカルを付与する

 

「え、シームレスに戦いに繋がらないで下さいよ⁉︎私弱いんですからぁ⁉︎」

 

居飛車穴熊補助スキル防御、命中回避を3ターンの間一段階上昇*2

 

「ハン! たかがレベルが高くなった程度でなぁ!」

 

タルンダ補助スキル敵の攻撃力を1段階弱体化

 

 こちらの手番が終わる、スプリガンベストの技反射というのは確か通常攻撃で抜けた筈。掲示板などで良く話題になっていた。

 

 そして、単騎で攻めてきたということは恐らくバステ耐性も十分にあるだろう。神経属性でなく緊縛属性の術だ! とかの抜け道はあるが、そこを試すタイミングではない。

 

「俺のスピードについて来れるか、雑魚共!」

 

獣の眼光補助スキル自身の行動回数を1回増加させる状態を付与*3

アクセラレート補助スキル自身の行動回数を1回増加させる状態を付与*4

スマイルチャージ補助スキル自身にニヤリ状態を付与

 

「眼光系スキル?」

「気をつけろお前ら! 加算タイプだ! 次から3手動かれる!」

「それに、あんなに動きが良かったら致命打なんて当たりませんよ!」

 

ニヤリ状態ニヤリ状態のとき、弱点、クリティカルを受け付けなくなる

 

「いや、行ける!」

 

会心の眼力次の物理攻撃を確定で必中クリティカルに。

ニヤリ状態の相手に対してもこのクリティカルは発生する

 

 リオの物理通常攻撃が致命打として入る。物理貫通を習得しているが故にか、苛ついた感覚をしていた。おそらく耐性はあるだろう。物理通常攻撃をダメージソースにするのは避けるべき。

 

「その調子、崩させて貰う!」

 

マガオン補助スキル敵単体のニヤリ状態を解除

 

「チィッ! 味な真似を!」

「……やっぱ無理ぃ! 誰か助けてぇえええ!」

 

バッドカンパニー特殊スキルストックからレベルが高い順に限界まで召喚

 

LV62龍王ゲンブLV58夜魔クイーンメイブ
LV61邪龍ファフニールLV50妖精ティターニア
LV61死神ペルセポネーLV49夜魔サキュバス
LV50鬼神コウモクテン

 

「感謝するぞトンボ殿!」

 

 トンボ殿の連鎖召喚によってファフニール、ゲンブ、ペルセポネーが呼び出される。これは間違いなく己の尻ぬぐいだ。先手を取ったときに召喚をするべきであったのをサポートしてくれたわけである。

 

「ふん、動け悪魔」『パス』

「オオ! 『マカラカーン』ダ!」

 

 こうして出揃った段階で手番を一つ分使って陣形を調整。

 

 前衛を張るのは己、ゲンブ、ペルセポネー、リオの4人。後衛のメインサポートにファフニール、トンボ殿とアント殿はサポートのサブ、必要に応じて入れ替わったりして貰う。

 

「くたばれ、雑魚悪魔!」

 

デカジャ補助スキル敵全体の強化状態を解除

スマイルチャージ補助スキル自身にニヤリ状態を付与

殺風撃魔法スキル敵単体に衝撃属性特大ダメージ、ニヤリ時に貫通効果付与

 

「グハァッ⁉︎」

「ファフニールを一撃かッ!」

「マカラ持ちを狙った! 全体への貫通技はないよ!」

「ならば追加だ! クイーンメイブ!」

 

 先日の戦いでレベルが上がったクイーンメイブを召喚し、『マカラカーン*5』を放つ。

 

「ガァアアアア!」

「凍てつきなさい」

 

 ゲンブが『雄叫び*6』にて攻防一段弱体をかけ、ペルセポネーがブフダインを叩き込む

 

 氷結のダメージは等倍、通じるらしい。

 

 ダメージ感覚から言えばダイン級3発のダメージを同時に叩き込めれば仕留められる。ボス耐性のような異常なHPは持ち合わせていないようだ。元に宝玉を手元に取り出している。次の初手に使うつもりらしい。

 

 また、裏ではトンボ殿がファフニールに対して地返しの球にて蘇生させてくれていた。指示を出したのはアント殿だろう。これで毎ターンマカラカーンのループがMP切れまで行える。

 

『囮になれ、俺が局面を変える』

 

 アント殿が思念波によって己に要請を送る、どうにも仕留める算段を思いついたらしい。

 

『了解した。どのみち次からは己狙いしか飛んで来ぬ。好きに動いてくれ』

 

 そうして、敵の手番がやってくる。

 

スマイルチャージ補助スキル自身にニヤリ状態を付与

殺風撃魔法スキル敵単体に衝撃属性特大ダメージ、ニヤリ時に貫通効果付与

 

「お望み通り、貴様の命が最初だ!」

「ゲンブ!」

「オウ、サマナー!」

 

 ゲンブを殺風撃の盾にする。当然のように一撃で吹き飛んだ上に己にも余波が届いたが、想定内。敵の戦い方では2枚マカラカーンの動きを崩すのはできなさそうだ。

 

 そう思ったのはムラカミも同じようで、腹を括った様子だった。何かが来る

 

「だったら限界を越えれば良い! 『獣の眼光』!」

「三段階目の加速だと⁉︎」

「人間の精神で耐えられるんスか⁉︎」

「なんとでもする! 『カルメット*7』!」

 

 手元に取り出していた宝玉をしまい、攻撃アイテムを代わりに使用してきたムラカミ。

 

 万能属性のドレイン系のアイテム攻撃により己は傷を負い、ムラカミは傷を回復させた。

 

「味な真似を!」

「お互い様だろうが!」

 

 次の手番から、敵は4手動く、そうなればマカラカーンを貫通するための大技を連発できてしまう。食いしばりを使って生存しても追撃が飛んでくるだろう。

 

「ならば、こうだ!」

 

 ショウキを召喚。『威圧の構え*8』によって敵の動きの一足目を鈍らせる。

 

 4手動くのが強みならば、3手に抑えてしまえば良いだけだ。3手なら、敵は回復か追撃のどちらかしか選べない。

 

「貴様ッ!」

「よそ見は、厳禁!」

 

 リオの物理攻撃がクリティカルで入る。先程のクリティカルの一発できっちりと魂を震わせて(ニヤリして)いたらしい。確実ではないというのに、上手くやるものだ! 心強い! 

 

「チッ!」

「あと二発!」

「続けて行きます。『マカラカーン』」

「……このタイミングなら、『ブフダイン』」

 

 ペルセポネーがブフダインで追撃することで、敵の体力はイエローゾーンだ。

 

「ここだ、沈めぇ!」

 

ディアジャマ補助スキル敵単体に回復不能状態を付与 万能相性

 

「魔力、神経無効を抜けただとッ⁉︎」

「どうだムラカミィ!」

「つまらない霊体の分際でぇ!」

 

 と、ここまで追い詰めはしたがまだ崩し切れてはいない。敵はアムリタ*9から宝玉*10を使えば体力を全回復できる。そうすれば振り出しだ。

 

 MP切れを狙うような戦法に切り替えれば戦いになるだろうが、そうなれば敵の方も適宜チャクラポット*11を使えば消耗戦だ。

 

 ここいらが潮時だろう。

 

「……貴様ら、強いな」

「そちらもな。……それで、そちらの要求はアント殿の命、というより『ダンダリアンの紙片』というアーティファクトの情報の独占だな?」

「そうだ。50周辺で燻っていた私がここまで練り上げられたのは紙片の力だ。我がペルソナ『マッハ』の覚醒によってな」

「俺の『ダンダリアン』の覚醒もその影響だ。紙片は莫大な経験の集合体だからな」

 

「む、今のを言っても良かったのか? ムラカミ殿」

「元々、コレはナッジアントより伝わる事だ」

「んーと、ダンダリアンの紙片ってのはとてつもない魔導書ってコト?」

「なるほど、己達の探している球体と同様だな」

 

「……貴様らも、狙いは力か」

「否、その紙片だとかの出所が己の地元なのだ。故に情報を集めている」

「ほう?」

「己達の目的とそちらの目的は相反しない、また、己達と結んで情報を得られるようにすれば、また別の紙片を手に入れられるかもしれんぞ?」

「……証拠は?」

「ここに」

 

 スマホを操作して、先日影異界にて撮影した次元の隙間を見せる。シェルターが映るそれには、傍に転がっている球体などが写っている。

 

「……なるほどな。ダンダリアンの紙片はナッジアントが手に取るまではこのような球体だった。それにこの機械にも見覚えがある」

「……発見者はアント殿だけではなかったのか?」

「コイツと俺とで訓練していたの時に見つけたんだよ」

「日時は?」

「3月の中頃、セプテントリオンが襲来する2、3日前だ」

 

 そう答えると、己に対して、というより己の身につけているスマホを目にして何かを考え込む。確かに己のスマホはモノ珍しい。

 

「なるほど、漂流者(ドリフター)か」

「その通りだムラカミ殿」

「そちらのシェルターにはどれほどの余裕がある?」

「ほとんどないだろうな。映像で見せた通りに死にかけだ」

「……ならば遺物でなく製法の方を確保するべきだろう。了解した、そちらに協力しよう」

「うむ! よろしく頼むぞムラカミ殿!」

 

 そう結ぼうとした所にリオが待ったをかけてくる。

 

「待って、アンタのスタンスを聞いてない」

「ふん」

「アンタは球体を使ってどうするつもり? レベル90とかまでなりたいの? それとも子飼いを強くして軍団でも作るつもり?」

「後者だ。借り物の経験では本人の才覚を目覚めさせるまでにしか伸びん。だがこの球体がもたらす戦闘記録は弱卒を兵に変える。たとえそこに転がっている雑魚女だとしても、モノの役に立てるだろうよ」

「ひぃっ⁉︎私に振られたぁ⁉︎」

 

 その視線を見て、なんとなくこの人のスタンスが理解できた。先日戦ったナッジアントの生前のスタンスを考慮すると、見えてくるものがある。

 

「なるほど! 弱き者達を立ち上がらせる為に球体を使おうと言うのだな!」

「……いやそのような「分かるとも! これによって最低限のレベルと戦闘経験を積ませることができれば、あとは戦闘の才覚がモノを言う! そうなれば前線の者達も助かろうな!」」

「……違う!」

「結果としてそうなるのだから、言の葉を悪く飾った所で大差あるまい! 得心がいった! 貴公が目的を果たせるように微力を尽くそう!」

「だから、違うと「いや、コレ勘違いさせといたままの方がいいだろどう考えても」……むぅ」

「……実際、私兵組織作ったあとどうするの?」

「これほどの悪魔が蔓延る情勢だ。悪魔狩りをしているだけで英雄として見られようて」

「……あれ? これもしかしてドンピシャなの?」

「結構なアレな人ですけど、良い人なんですねこの人。アレな人ですけど」

 

 この日、二人と一体の協力者を得た。そして影異界にて球体を獲得した正確な場所時間まで確認できた以上、情報は完全に出そろった。

 

 もうすぐ、己のかつての故郷へと赴くことができるだろう。そこにどんな真実が待っていたとしても……

 

 


 

「あ、これ周期的に遠ざかっている所だ。再接近まで結構な時間かかるね」

「まことか」

「うん、まぁ今すぐすぎて引っかける異界の準備が間に合わないってよりはいいんじゃないかな?」

「まことか……」

 

 ナサ殿の導いた真実は、結構に無慈悲であった。

 うん、悪魔合体とかして過ごそう。

 

 


 

 ジエンくん

 アドリブで何とかしてるけど今回結構ガバってた。異界じゃないからと油断して仲魔を召喚しなかったのは問題だったなぁ、とかけど消費MAG馬鹿にならないよなぁとかちょっと悩みぎみ。

 新技の牙折りが早速相性で使えなかったことも地味に響き、お風呂に入るまで若干ダウナーだった。

 

 賽の河原にて確実に石を積み上げる実力者。鬼の目がない時に積み上げまくる速攻チャート、監視網を抜けられない場合にやるピラミッド工法チャートなど様々な手がある。河原の鬼はジエンくんを見ると割と恐怖に慄く。

 

 トンボさん

 死亡でのレベルダウンが重なりすぎてレベル16にまで落ち込み、稼ぎもなくなった結果思い出の場所でホームレス生活を始めた一般異能女性。ホームレス生活を始めたその日にデフォルメ幽霊を見つけて超びっくり。それがカジュアル時代につるんでいたアントさんだと知ってさらにびっくり。柏餅は美味しく食べた。

 

 アントさん

 デフォルメ幽霊になったペルソナ使い。ジエンくんリオさんについてはぶっちゃけ隙あらば殺したいと思っているが隙が無さ過ぎて実行に移せなかった。奇襲しようと思った瞬間に起きる反射的な動きの起こりを見て幾度も死を予感した。柏餅は美味しく食べた。

 

 ムラカミさん

 行動回数加算式の眼光、アクセラレートを毒電波から習得した青年。

 邪悪さが極まっているので回収した子供たちを思想教育したり少年兵にするべく訓練している。話の流れで聞いた柏餅というワードのせいで、子供たちに支給する食料に柏餅が追加した。

 子供たちにはどんな状況でも生きられるようなサバイバル能力、悪魔を相手にしたときの逃走能力などを重点的に教えている。

 

 ちなみにアライメントはLight-Neutral 邪悪は己の心を震わせるためのロールプレイ。

 

 平然としていたがジエンくんが銃撃吹っ掛けてきたときには相当驚いていて、カラダが勝手に戦闘体勢へと移ってしまった。戦闘自体がジエンくんのガバという珍しいケース

*1
デビルサマナー出典 反射するか否かはデビルサマナーでの耐性準拠。なぜか通常攻撃を反射できない

*2
ソウルハッカーズ2出典 最大1段階20% 魔晶によりターン、上昇量強化可能

*3
行動回数増加はこのターンからなので、このターンはあと1回動ける ソウルハッカーズ出典

*4
ソウルハッカーズ2出典 敵ボスサマナーが用いる

*5
味方全体を魔法反射にする 真3のクイーンメイブがLV58にて習得

*6
敵全体の攻撃力、防御力を1段階弱体化 真4仕様

*7
敵単体に万能属性中ダメージ ダメージ分HPを吸収する

*8
自身に敵ターン開始時に敵プレスターンアイコンを一つ削る状態を付与

*9
全ステータス異常を回復

*10
味方単体のHPを完全に回復

*11
味方単体のMPを全回復 たまに全回復じゃなく大きく回復のシリーズもある

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