姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
「こちらにて、事情聴取が行われるのですか?」
「ええ。けれど、そんなに固くならなくていいわ。貴女とお話ししたいだけだもの」
眼前の白衣の女性を見る、名札には殺生院と書かれている。
清潔にされている施設であるここの存在理由は、まだ分からない。対話によって私が重要と思っていなかった情報を抜き出す場だと考えていたが、それが100の正解ではないように思える。
「まずは、確認させてね」
「はい」
「貴女の名前は?」
「フジワラと言います」
「苗字だけなの?」
「……苗字とは?」
「貴女の家族を示す呼び名ね。私は殺生院キアラという名前なんだけど、殺生院という家族の一員であるって苗字で表されているの」
「だとすると、私は霞ヶ関フジワラになるのですか?」
「そうかもね。なら、貴女の両親のお名前は?」
「父はアキュラ。母はロロと言います」
「ありがとう」
手元のメモに何かを書き込んでいるようだ。視点を軽く俯瞰に上げて見てみれば、そこには『フジワラは名前としてつけられたモノで、強制はない』と書いてある。
おそらくは、苗字というシステムの関係だろう。フジワラという名前が先生の『殺生院』のように家を示す名前として使われていたのかもしれない。
「それじゃあ、これから貴女に質問をしていくわね。けれど、答えたくない事を無理して話す必要はないわ。気楽にお願いね」
「はい」
「貴女は、どんな食事が好きだった?」
「シェルターにいた頃は、アミノ酸を好んでいました。今は、ジエンに食べさせられたあの食事が気になっています」
「へぇ、どんな食事なのかしら?」
「白いコップのような容器で、スープの中に麺が入っているモノでした」
「それはもしかしたら、カップラーメンかもね」
タブレットにて画像を見せられる。
カップの模様は酷似している。若干違うところもあるが、概ね似たものに思える。
「はい。ありがとうございます先生」
「じゃあ、次の質問。ジエンくんのいる技研は良いところ?」
「はい。皆様よくしてくれています」
「それは良かった。じゃあ、次の質問ね」
「今でも、死にたいと思っている?」
「はい」
「それは、どうして?」
「……仲間達の死に様が、目を閉じれば浮かんで来るのです。断末魔の叫び声が、耳に焼き付いて離れないのです。一人だけ生き残っている私を、皆も私も許せてはいないのです」
「それは、貴女の仲間が言葉しにて言ったの?」
「言葉ではなく思念でですが、伝えられました」
「……そう」
「頑張っているのね、そうして死にたい気持ちを、死んでくれっていう願いを引きずってでもここまでまきて。フジワラさんは、とても偉いわ」
「……ありがとうございます。ですが、私は戦うと決めたのです。生きて、戦うと」
それから、会話は続いていく。
一度メモ書きを覗いてからは、メモに書き残すことをしなくなった。見られた事を気付かれてしまったかもしれない。悪い事をしてしまった。
そうして会話が終わる。
いくらかの薬を飲めと言われることとなった。睡眠を安定させる薬や、心を落ち着かせる薬だと言っていた。
「……あぁ、これは診察だったのですか」
「わかってなかったのね。なんだと思っていたの?」
「事情聴取の続きかと。先日異界にて話せる情報は話しましたが、情報の取捨選択には私の主観が入っていたので」
「少しだけ、そういう面もあるわ。けれどそれは貴女が気付いていない所の心の傷を確かめるためのものなの。貴女を利用して使い捨てるつもりなんかないから安心してね」
「はい。ありがとうございます」
そうして、施設を出る。
するとそこには、黒い移動用車両に乗っているリオさんが居た。
「やっ、お勤めご苦労様」
「……お勤め?」
「ヤタガラスに言われて通えって言われてるんでしょ? ならお勤めみたいなものよ」
「……そう、なのでしょうか?」
「そうそう」
ドアを開いて助手席に乗る。前面にはカーナビという情報端末があり、その前にはものを保持できるホルダーがあり、そこにはペットボトルが入れてある。
私のシェルターで使っていた戦闘車両と似た運転席周辺で、すこし不思議に思う。まぁ、天蓋ができる前までは同様の歴史を辿っていたというのだから、その辺りにこの配置のルーツがあるのかもしれない。
私としては、覚えることが少なく楽であるのだから。
「あ、運転はダメだよ。18歳になるまでは責任能力の関係で免許が取れない仕組みだから」
「……責任能力?」
「車で人を轢いちゃったとかの事故を起こした時、ちゃんと責任をとれるのか? って奴」
「すみません、車両に轢かれる程度で人が死ぬのですか?」
「死んじゃうんだよねぇ、ほら、覚醒してないレベル0ばっかじゃない、窓の外」
言われるがままに見る。
様々な、人がいた。
スマホを見たまま自分の歩く番が来るのを待つ者、耳につけたイヤホンで音楽を聞いている者、キョロキョロと誰かを探している者、友と話し合いながら飲食物を楽しんでいる者、本当に様々だ。
今の日本に生きているのは、1億2千万人
シェルターの人員の何倍かを考えるのも面倒になる。大きすぎて、どれだけの力で統率をすれば効率的な運用になるのか想像もできない。
野放図に思えるこんな社会は、クズリュウの発生と二度のセプテントリオンの襲撃という私の世界では絶対に不可能だった災害を打ち払い、自由と生活を存続させ続けている結果だ。
まだ、理解が追いついていない。
「そういえば、ジエンはどうしたのですか?」
「あー、ジエンくん? ……いまちょっと警察行ってる」
「警察、治安維持組織でしたね」
「うん」
「ジエンくんのガントレット、あれ技適通ってなかったんだってさ」
「……ルール違反、という事ですか?」
「そ。この国のルールでね、強い電波とかを使ってる機械ってのは人とか他の機械とかに有害なものを使っちゃダメだ! ってルールになってるの。その検査を受けてOKですって印が技適こと技術基準適合証明」
「私のコレは、大丈夫でしょうか?」
腰につけている機械の事を、不安に思う。
アナライズで確認した情報をCOMPに適合するデータに変換する装置だ。姫巫女に紹介されたモノを私用にチューンしたものである
「ヤタガラスに紹介してもらった所のでしょ? 桐条とかその辺にサポートマシンを下ろしてるってトコの奴。流石にその辺の機械なら大丈夫じゃない? 不安なら探してみれば良いだけだし、このマーク」
見せられたマークを確認する。見覚えがある。ベルトの充電端子口近くに存在していた表示の一つだった。
「大丈夫みたいだね。良かった良かった」
「……その、技適というルールを破ってしまうとどうなるのですか?」
「基本的に怒られるだけなんだけどね。ジエンくんはほら、サマナーだから。電波と一緒に悪魔関係のやばいモノ出しているんじゃないか? って疑われたわけだからしょっ引かれちゃったのさ」
「……なんと」
「罰金払って検査してって形にするか、データ通信の部分だけちゃちゃっと改造するのかはナサの奴に聞いてみるかな? って所」
私の目ではこの世界に完璧に適合していたように見えたジエン。彼にもダメなところがあったらしい。
「……というか、気にしてなかったけどジエンくん普段からガントレット付けっぱなしで生活してるんだよね。ウルトラマンとかのメンタルだよ本当に」
「ガントレットを装備しているのは一般的なものではないのですね」
見れば、皆スマホ程度のマシンしか身につけていない。その上銃器だとか刀剣だとかの武装を見せている者もいない。
武装を禁止するルールがあると聞いている。銃刀法だったか? 仲間殺しが起きないように武器そのものを規制するというのは、スケールの大きい発想に思えてしかたない。日本という『国』の単位、一億二千万がそれに縛られているのだから、やはり想像が追いつかないモノだ。
「今日は、これからどうするのですか?」
「フジワラちゃんを連れて異界の見回りしようかなって思ってたんだけど、ジエンくんいないしねぇ……」
「サボっちゃおっか?」
「……サボタージュには賛同できません。
「んー、じゃあ質問。私とフジワラちゃんの二人だけの場合、どの程度の悪魔なら問題なく対処できるか言える?」
「リオの力量は知っています。レベル50以下は問題なく、レベル60以上ならば先手でアナライズを仕掛けて相性次第と言うところかと」
「人間に襲われた場合を想定できてないかなー」
「……というと?」
「バステ耐性防具は、連打で数を重ねれば貫けるの。だから私たち二人だと、十数回バステ成功すれば一人無力化される。失敗の確率も合わせると、30人規模の集団だったらレベル問わず事故りかねないのさ」
「バッドステータスの、貫通ですか」
「そそ。超集団戦にならなきゃまぁ無視して良い話なんだけど、それで死者が出るもんだからねぇ……」
「……しかし、そもそも30人もの相手と同時に戦う事がレアケースでは?」
「だと良いんだけどさ。ジエンくんやフジワラちゃんみたいな
「私もリオも、レベルは高い女性です。使い方次第では自身の強化に使いやすいという事ですか」
「まぁ、無駄に警戒しすぎてるって言われたら否定できないんだけどさ。フジワラちゃんの初陣にはしたくないかなーって」
リオの語り口は柔らかい。
本心から、私の命を慮ってくれている言葉の選び方だった。
おそらくであるが、リオ個人なら問題はないのだろう。速度による回避ではなく、呼吸を読んでの回避をするのが絶妙に上手い戦士だ。回避不能の全体攻撃に対しても最小限の被弾で済ませていく割り切りの良さもある。
状態異常の連打程度なら余裕で対応できるのだろう。けれど、私のカバーをしながらでは難しいから二人では無理だという話にしている。
その心遣いが、すこし重苦しい。
「……でさ、このまま帰るのアレだからちょーっと付き合ってくれない?」
「構いません」
「じゃあ、映画行こ映画。ネットで話してたらまーた見たくなっちゃってさ。どうよ?」
「映画というのは、映像ソフトの事ですね。ですが、それならば拠点で見れば良いのでは?」
「映画館の音響って凄いのよ。見てみれば分かるからさ」
「……まぁ、構いません」
リオ連れられて、巨大な商業施設の中に入っていく。
服や雑貨、本などが並べられている多くのスペースがある。仕切られていることからそれぞれが別の人物の管轄になるのだろう。従業員も含めれば、どれだけ多くの人が関わっているのか想像もつかない。
そんな店を無視してずんずんと進んでいく。
入り口近くに立てられているコンソールにてチケットの発券を行う。一万円札という現金をコンソールに入れると、複数の千円札、五千円札、そして小銭というコイン型の現金が出てきた。
さらっとやっているが、とても奇妙な光景に見える。金を認識して余剰金を返却するというのを自動化するのは、明らかに資材の無駄に思えてしまうからだ。
「チケット取れたよー」
「……これは?」
「R.R.R.っていう、インドの映画だよ。史実をベースにして激しいアクションやダンスシーンをこれでもか! と詰め込んだやっばい映画なの」
「アクションシーン……戦闘描写ですか?」
「戦闘ってより、舞踏として見る方が近いかも。ガチガチの戦闘じゃなくて、エンタメ方向に振ってるから」
そうして、連れられてシアターに入る。
リオが手元で何かして、術をかけていた。認識阻害の系統の術だろう。何故か? と考えるが、おそらく年齢制限という奴だ。
リオの外見年齢は私と同程度に見える。チケットは年齢別で金額が分かれていたから、当然年齢を確認されるのだろう。
リオならば小児用の金額でも問題なく入れるのだろうに、何故だろうか?
「あのねぇ。映画に払うお金ってのは製作者の方々へのお布施なの。映画を見る場を提供してくれる映画館への奉納金なの。なんで推しに貢ぐ金をケチらなきゃならないのさ」
「……こちらの、ポップコーンとコーラというのも、もしかして?」
「うん。映画館の利益ってこういうので出してるって噂で聞いたからね。この映画館良いところだから、潰れて欲しくないのよ。まぁ盛況だし大丈夫だろうけどさ」
そうして、中に入る。
平日の昼間という時間帯にと関わらず、シアターには数人の客がいた。
軽く観る所によると、いずれもレベル40はある熟練だ。ハンター……デビルバスターの方なのだろう。
「フジワラちゃん、無断でのアナライズはやめてねー。それってこの世界のマナー的には『お前を殺す……』って感じのニュアンスになっちゃうから」
「なるほど」
「……あれ、姫さんが野生児くんじゃない子連れてる」
そう話していると、何者かが背後から声をかけてくる。斜め後ろの席に座っている若い男性だった。
「あー……誰だっけ?」
「いや、まぁ一方的に知ってるだけです。姫さん微妙に有名なんで」
「微妙とか言うなし。いや、キリギリスのネームド連中と比較すると地味だけどさ」
「……こちらの方も、キリギリスの?」
「うん、知らない人」
「まぁ、俺もぶっちゃけ知らねーけどさぁ、言い方考えて? 不審者を見る目で見られてんぜ俺」
「いや、ガチで声掛け事案じゃない? 女子中学生2名に声をかける事案がありましたーって」
「生きにくい世の中だねぇ……」
しみじみと男が言う。赤い髪のチャラチャラとした男で、さほど強くはなさそうだ。
「まぁ、思わず声かけて悪かったよ」
「じゃあ詫びついでにそこのポップコーンちょうだい、塩バター味」
「なら、そこのキャラメルちょいくれや」
「良いわよー」
ポップコーンという菓子を席越しに交換する。私たちは塩とキャラメルの二つの味を買い、男は塩バター味を買っていたようだ。
渡されて、食べてみる。
少ししょっぱいが、手が進む。
美味しい、のだろうか?
「この映画長いからね、飲み物が尿にならないように水分を吸収するポップコーンを食べると良かったりするのよ」
「……なるほど?」
「まぁ、適当につまんで」
そうして、私は初めて映画というものを見た。
音が身体の芯に響き、光が激しく目に入る。
躍動する肉体が美しく描かれて、固く強い友情があって、美麗な映像加工があって、心躍る歌がある。
瞬き程度の間に、3時間は過ぎていた。
「……やっぱ良い映画だわ」
「マジで100回見れるわ。最っ高……」
ぽかんと開いた口が閉じられない。思考が現実に戻ってこない。激情が胸の内から消え去らない。
「これが、映画なのですか?」
「沢山ある映画の中の一つだよ。これ以外にも、面白いもの、熱くなれるもの、感動できるもの、いろんなものがあるわけだからさ」
「守りたくなるよね、世界をさ」
「……はい」
そうして、私は戦線に加わった。
十全の力が発揮でいているわけでは無い。レベルにしたってもう安定する時にはもう少し下がるだろう。
けれど、戦う理由が一つ増えた。
生きて、戦い勝利する理由が。
「さて、警察行ってジエンくん拾っていくよー」
「……すいません、あれはジエンでは?」
「ん?」
窓の外を見る。そこには何者かのトラックに乗り込もうとするジエンがいた。
リオが即座に電話をかけると、技研のスマホで応答する。別段捕らえられているだとかではないらしい。
「ジエンくん? 今何をしてんのかなぁ? 知らない人の車に乗るとか誘拐されたいの? そのまま自我なし改造人間になっちゃいたいの⁉︎」
『む? リオはどこかで見ているのか? ……お、見つけたぞ!』
『あー、あっちですか! 鬼みたいな顔で見てますねぇ!』
「ちょっと⁉︎そこの女は誰よ⁉︎何をしようとしてんの⁉︎」
『ちょーっとジエンくんには実験体やって欲しいと思ったんですよねえ! アーマードトルーパータイプのデモニカスーツの!』
「人の家の子供を勝手に
『いや危険じゃなかったら実験体とか頼みませんって』
『安心してくれ、多分大丈夫だ!」
「その楽観はどこから来たのさ⁉︎」
路肩に駐車してリオが飛び出していく。
駐禁が取られるということで私は車内に残されることとなったが、はたして駐禁とはなんなのだろう?
指示をしてくれた警察の方に従い、ガントレットのデータを記入していく。データ自体はナサ殿の所で貰っていたので漏れはない。
実際に害が出た人がいないので注意で終わらせてくれるらしいけれど、万が一誰かに知らないうちの悪魔汚染でも叩き込んでしまっていたら大変だ。注意しよう。
そんなことをしていると、隣のブースでブー垂れている声が響く、なんでも車検という検査を受けていないもので公道を爆走していたらしい。検査を満たしていなかったマシンを使っていたものが自分以外にもいて、ちょっとした仲間意識が芽生えたりしたかもしれない。一緒に悪さをして怒られている気分だ。
ただし、彼女はそんな自分の非が10割の所でもぐちぐちグダグダと文句ばかりを言ってているなかなかに我の強い者だった。
「はい。次からは気をつけて下さいね」
「うむ。直したあとは後日に仕様書や技術だとかのデータを渡せば良いのだな?」
「はい。まぁその辺りはCOMP技師の方に相談してください」
という事でやり取りは終わり、礼をする。冷たいように思えるが、情報を丁寧に、かつ必要十分に与えてくれた良い対応だった。
ちょうど隣のブースの方もやり取りが終わったようだった。ぶー垂れていながらも、罰金を現金払いで支払っているようだ。
しかし、異能関係者用の限られた窓口というのでもこう面倒そうな事になっているのだから、一般窓口の方ではどれほどの混雑と混乱があるのだろうか? 少々気になるので見てみようかと野次馬根性がふつふつと湧いてくる。
「あ、野生児くんじゃん」
「む? 知り合いであったか? すまんが覚えてはいない」
「ほら、この前ホテルでアームターミナル見せびらかしてたじゃん。そん時に」
「……改めて名乗らせてもらおう! 己はジエンと言う」
「思い出せなかったかー。私はコーロ。コロたんでいいよ!」
「うむ! コロたん殿! よろしくな!」
「よろしくー」
若い女性である彼女は、何故か自身の名前にたんをつけていた。しかし、COMPスミスの最先端を走っている技師がタタラたんと呼ばれていたのだから、案外メジャーな呼称なのかもしれない。己もジエンくんと良く呼ばれているし。
「して、何故に警察のご厄介になったのだ?」
「いやー、公道でAT動かしてたら警察に見つかっちゃったのよね。深夜だからと油断したわー」
「AT?」
「アーマードトルーパー。要はロボットね。ストレス発散に走ってたら白バイとの追いかけっこになってさー」
そう語る彼女は、とても愉快な口ぶりだった。さては、白バイクの警察官との追いかけっこが相当に楽しかったのだな?
「ジエンくんの方は? なにやらかしちゃったの?」
「己はコイツだ。スマホ……じゃなかった、COMPの通信に使うパーツが非認可のものであったらしくてな。電波法というのに引っかかってしまったようなのだ。どこかの通信を邪魔してしまった事で発覚したそうでな、大事がない時に発覚して良かったぞ」
「技適かー。ただのスマホとかのならどうでもいいっちゃ良いんですけど、COMPは不味いよねー。
そんな話をしながら、技研の備品のスマートフォンを触って連絡をする。己一人でも多分問題はないのだけれど、襲撃があるのなら手数は多い方がいいのだ。
すると、リオ達が昼からずっと外に出ていたらしく近くに居るということで、拾いに来てくれるそうだった。
「んー、せっかくですし、遊びに行きません?」
「遊びに? 何をしようと言うのだ?」
「このへんにレベル上げ用に解放されてる異界あるじゃないですか。そこでAT走らせようかなーと」
「先ほど言っていたロボットであるな」
「悪魔にマシンガンぶっ放しながらギュインギュイン動かすの、楽しいですよー?」
「面白そうだな! 共に行こう!」
「話がわかるー!」
そんな軽いノリで、警察署近くにやってきたトレーラーに乗り込む。自動運転だそうだ。
「便利な機能もあるのだな!」
「未認可なんでバレたら不味いんすけど都内の駐車場って高いんすよ」
「……む?」
「あ、今のは聞かなかった事で」
そんな言葉に、あからさまになにかやってる感じがある。けれどまぁ別に己が捕まるわけでもなし、誰かが困る訳でもないし良いだろうと見なかった事にする。
そうしていると、リオからの電話がかかってきた。何事だろうか?
「それで、私まで」
「うむ! せっかくなのだからな!」
「なーにーがせっかくなの? ちょっと遊ぼうって言われて
「デモニカスーツだとは聞いていなかったし、爆発すると言うのも知らなかったが、ロボットで遊ぶとは聞いていた。誤差ではないか?」
「ですです、誤差ですよ」
「黙れコーロ。そんなんだからタタラたんに技術でも若さでも負けてるのよ」
「言い方酷くないです?」
なんやかんや、すったもんだの応酬があった後、元々の予定において見回る予定だった異界の方に遊び場を変更。
アーマードトルーパータイプのデモニカスーツを己が着用? 搭乗? して見回りをしている。
脚部のローラーダッシュ機能、取り回しの良い腕周り、高威力のヘビィマシンガンを武装として持ち、切り札にアームパンチなる近接武装も存在する。
防御力は微妙であり、なんなら素の己の方が頑強な気がするほどだが装甲に包まれているのは雨に強いと言えるだろう。濡れないし
「しかし、何故コロたん殿が乗らなかったのだ?」
「爆発に耐えられるステータスしてないんですよ私。技術屋なので」
「自分が耐えられない爆発の中に子供を放り込んでるのかよこの女」
ここは、レルム近くの異界であり、ネットにて利用報告をする事でワンチャン助けてくれるかも? というシステムのある場所だ。
その利用申請を見て元
まぁ、合法レルム近くのものなので善良なバスター達が自主的に見回りをしたり、合体素材集めに来ていたりするので治安は悪くない。ただ、誰も見回りをしない日というのが定期的に存在しては不味いので、ランダムに見回りの依頼は投げられているらしい。
「エネミーソナー 感知ありです。情報を転送します」
「おっけー……おぉ、
「ふむ、奇妙なモノだな。視界内に情報が見えるが、それが視界を邪魔していない」
「あれですよ、イデアの方にタグつけした情報を表示させてる奴です。視界内に文字があるように見えてますけど、これ個人個人が『
「ふむ?」
「まぁ、視界の邪魔にはならないのね。了解了解」
「先日の戦いではテレパスによる音声サポートであったから、情報伝達にラグがあった。しかしこれならば瞬き程度の時があればアナライズを確認できるな!」
理屈はまぁまぁわからないが、『使える』と言うことは一瞬で理解できている。何せ、壁越しに敵悪魔の姿が見えているのだから。
「せっかくだ、奇襲を仕掛けてみよう。先行する」
「いつものノリで動かないようにねー」
ローラーダッシュにて接近、足のピックを打ち込んで急速ターン、ヘビィマシンガンを打ち込もうと狙いを定めて……マシンガンのトリガーを離し、アームパンチに移行。
敵悪魔への奇襲は失敗気味になり、先手を取れただけになったが、
「む、物理も反射の奴だったか」
『ギボ・アイズの表示、追いつきませんでしたか?』
「銃撃からの切り替えに集中しすぎた。まぁ、壊れたのはスーツの腕だ。問題はない」
このデモニカスーツは、武装COMPとしての性質も備えている。ナタタイシの素材を組み込んであるらしく、物理耐性程度なら貫けるレベルの貫通を保持しているのだった。
コロたん殿は、こちらの技術を研究している有志のチームの一員であり、そこに協力しているリオとは顔見知りだったらしい。広いようで、意外と狭い世界である。まぁ、反射を抜けるほどの貫通はまだまだ研究中らしいけれども。無効までなら貫通の付与をそこそこの値段と素材でいけるとのことだ。もう少し安くなったら買おう。
「機体ダメージは軽微です。敵の攻撃に注意を」
「この機体の防御性能を見るとしよう」
敵カマソッソはレベル差を見て逃げ出そうとしたが、しかしローラーダッシュの速度を覚えていたらしい。毒ガスブレスを放ってきた。
ダメージのないタイプのブレスだ。しかしデモニカの機密性を抜いてきており、コックピットに毒ガスが入っている感じがする。素の耐性でレジストできる程度だったが。
「カマソッソのアナライズ完了、視界に出します」
| 凶鳥 | カマソッソ | LV31 |
| 物理弱点→反射 銃撃反射 電撃弱点 破魔弱点 | ||
| 毒ガスブレス 乱れ狂い*1 丸かじり 物理反射 コロシの愉悦 | ||
「ほう! スキルで物理反射を持っているのか!」
「え、カマソッソってこんなのだったっけ?」
「乱れ狂いってのも見ないスキルですね。自動効果でバステ付与率向上ですか」
「予定変更だ。バステからの交渉に入る」
ペルセポネーを召喚し、『バインドボイス*2』で緊縛に。そこからスカウト*3で仲魔へと引き込んだ。
ゴネていたものの、コウモクテンを召喚しジオダインを見せたら交渉に乗り気になってくれたので良かった良かった。魔石とマッカ程度の出費ならないも同然だ。
「へぇ、ジエンくんダーク悪魔も勧誘できるんですね」
「というか、己はダーク悪魔が勧誘できないと言うことを知らなかったぞ。プログラムの違いだな」
「
「合体の軸をずらしたりと工夫こそ必要であるか、意外となんとかなるものだぞ」
「へぇ、そうなんすね」
「話振った癖に適当かよ」
手元のカマソッソを見る。乱れ狂いは是非とも習得したいので召喚しておく。ウィスパースキルのスロットに自動効果スキルを入れるのは不可能なのだが、スキルの使い方とかをじっくり観察すれば案外自力で習得できることもあるのだ。という事で、召喚しておく。
また、デモニカスーツなのか武装COMPなのかわからないAT、アーマードトルーパーには回復魔法が通じなかった。装備なので当たり前ではある。
アームパンチは交換パーツがあったのであと2回までなら壊していいらしい。壊れないのが1番だけれども、どうせ壊れるのだから誤差だろう。
「しかし、よくもそんな綺麗に動かせますねぇ。元々デモニカとか使ってたんですか?」
「いいや、初めてだ。だが竹馬やマジックハンドなら使ったことがあるからな! 似たようなものでないか」
「パワードスーツをそう解釈するんだねー。夢がない」
「……竹馬?」
会話をしながら進んでいくと、戦闘音が響いてきた。見れば、レベル30かそこらのチームが悪魔と必死に戦闘している。負傷者は多かれど、手助けの必要はなさそうだ。順当に戦っていけば勝てるだろう。
だが、不思議と腰が引けている。
「んー……なんだろ?」
「最近多いんですよねー、なんか逃げ腰の人」
「アリとかがせっつかれて出てきたとか? 30そこらだし」
「……アナライズしますか?」
「やめとこ。それがきっかけで崩れでもしたら目も当てられないし」
そうして戦いを見物していく。
想定より5
「よっしゃあ!全員生存!」
「いける、いけるぞ俺たちだって!」
だが、気を抜くのが些か早かったらしい。
| ムドオン | 魔法スキル | 敵単体に呪殺属性の即死攻撃 |
「ガハッ⁉︎」
「ハマダ⁉︎畜生、畜生ッ! 悪魔め、殺してやる!」
ムドオンを放った悪魔は女性型の悪魔だ。
「……アレ、不味い奴だ」
「注意悪魔のリストにあったな。この異界に出現していたとは」
「彼らの蘇生を行わないのですか?」
「あの女をアナライズしてみて、スキル見ればわかる」
| 怪異 | カシマレイコ | LV46 |
| 火炎弱点 破魔弱点 呪殺吸収 | ||
| マハムドオン ムドオン 突撃 バウンスクロー 次はお前だ | ||
| 次はお前だ | 自動効果スキル |
| このスキルを持つ者が単体攻撃で敵を死亡させた場合、 敵が復活した時LV1のカシマレイコに変化して復活するようになる | |
「死体の蘇生情報へのハッキングですか」
「そう。死亡してから復活するタイプの食いしばりでも発生するらしいから、まぁまぁヤバイよ」
「……では、もう助ける方法はないのですか?」
「時間が経てば大丈夫だった筈だ。奴のMAG影響範囲から外れてから数分程度か? 戦闘終了後の調息ができる程度の時間で治る筈よ」
「ああ! だから皆及び腰になってたんですね! ダメージを受けて一撃圏内に入ってたら襲われてしまうから!」
なるほど。厄介だ。
たが、厄介なだけで恐ろしくはない。単体攻撃で死ななければ問題はないし、死んだとしても仲間が破魔なりでコイツを始末すれば戻って来れるのだから。
「食らえ、ハマストーン!」
「アァァァァ……」
破魔弱点とは、それだけ致命的な弱点なのだから。
「……畜生、蘇生できるか? できるよなぁ!」
「あと30秒ほど待てば蘇生しても問題はないぞ!」
「は? ……うぉ⁉︎なんかスコタコが居るゥ⁉︎」
「見回りをしていた見物人だ。蘇生アイテムはあるか?」
「ああ。地返しの玉がある」
「よし、準備のできているきちんとしたバスターだな!何かの縁だから、蘇生は己がやろう。ソロネ、『サマリカーム*4』
蘇生する直前にカシマレイコのMAGが消えるのを確認している。故に問題はないのだろうが初めての事なので若干の不安はあった。
「……うぉ、生きてるー」
「アホかお前、不意打ちは警戒しろっての!」
「すまんすまん」
「うむ、無事なようでなによりだ!」
「おうありがとぉおおおお⁉︎スコープドック⁉︎コスプレっすか?」
「デモニカスーツです! 素材の味を生かした火炎弱点もありますよ!」
「そこは消しとけよ。人乗っけてるんだから」
「それは思うぞ」
「ええー」
キラキラした眼で見せてくれーと請われるから、この機体のアクションを指示されるままに見せていく。
普通に戦闘をする時に行うポーズばかりであり、難しくはなかった。気恥ずかしくはあったけれども。
「と言うことは、カシマレイコの死体ハッキングだとか、その他の特殊な悪魔が現れ始めたのは最近だと?」
「ああ。物理吸収の『アブラクサス』だったり、妙にバステ付与率の高い『かみおとこ』が現れるようになったな。どいつもこいつもレベル以上のヤバさを感じるんでちと及び腰になっちまってるんだ」
「確か最初にそういう悪魔が出てきたのは……先週だったか?」
先週といえば、思い出の深い日である。シェルターを引っ掛けてドンパチと戦っていた日だ。
あの爆発によって魔界のコミューン? に何かしらの影響があったとしてもおかしくはない筈だ。異界の穴が空いたし、悪魔がわんさかと出てきていたし。
「なるほど。留意しよう!」
「所で坊主、ボトムズは好きなのか?」
「これを付けてみて興味が湧いたな! 帰りにでも見てみようと思うぞ!」
やったー! 布教成功だー! と喜ぶデビルバスターとコロたん殿。
ただ、言わせて欲しい事はある。
「しかし、こんなに弱い機体で大丈夫だったのか? 言っては悪いが、この機体に乗った己10人より降りた己一人の方が強いぞ?」
「……ほ、ほら。スコープドックは使い捨てだから。肩を紅くも塗ってないし、カスタムも簡単だし」
「げ、原作でも強さの理由はキリコが乗ってたからだからな! うん!」
うん。
そんなこんなで自主的な異界の見回りをして、その日は終わった。
フジワラは鼻歌を口ずさむ程に良い映画を見れたらしいので、良かったと思う半分、己も見たかったと思うのが半分だ。
バックアップの技術にも問題はなく、高精度のアナライズはそのままに、戦闘中に邪魔にならない情報支援を可能にしたフジワラは凄まじく頼りになる支援員となってくれてありがたい限りだ。
あとは自衛の懐刀を何処かで見つけて欲しくあるくらいか? ヤソマガツヒがやっていたソレの代替となるモノを探すのは難しいだろうが、頑張って欲しいものだ。
尚、己のガントレットはめでたく小改造となった。
通信用パーツを交換するだけであったが、見たことの無いパーツだったそうなので調べて貰うついでにナサ殿に譲っておく事にした。
なんかの技術の足しになってくれるとガントレットも誇らしく思う事だろう。うん。
(異能)生存体ジエンくん
本スレで出てきた異名ついでにスコープドックモドキに乗せてみた。使いこなしはするんだろうけど、ズタボロになっての戦闘がし辛くなるので多分今回限り。ジエンくんにはマシンを振り回せるマネーパワーがないのだ。
コーロたん
名前の由来は高炉製鉄より。タタラたんに勝てない一般オタク職人C
ストレス発散に夜道をスコタコで走って白バイ隊員に怒られた。
レルム周辺はこういう馬鹿が多いので警察も困っている。けど異能対応警察官は急には増えないので困りもの。さすがに
モブのバスター色々
D2悪魔が蔓延り始めた異界でも関係なくせっせとレベリングする未来の戦士たち。こんな世界でモブをやっているのだから当然一芸は持っているし、基礎スペックもそれなりにある。
カシマレイコを上手く使えばTSできるのでは? と考えたが、LV1になってしまう点と他にもTSする手段がわんさかある世界なので凶行を実際に行う者はいなかった。行おうとした者はいた。
フジワラちゃん
ナートゥをご存知になった。