姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
「……これで、撮影できているか?」
「さぁね? 僕らはキリギリス関係のところには踏み込めていないし」
「しかし、配信とはな……圧力鍋を見るに、料理でもするのか?」
「うむ!」
三脚(誰が置いたか分からない)にスマホをつけて、ライブ配信を行う。
一応、顔バレ? は不味いらしいので、顔は
まぁ、最前線でガチンコをしている少年というだけで己を特定されてしまうだろうけれど、まぁそれはそれだ。伝手が欲しい今回はそこそこに顔を売りたいのだから。
「さて! 今回、己はコレを調理していこうと思うぞ!」
そう言って、カメラに今回料理するものを見せつける。
「この、ピカピカ*1だ!」
瞬間、世界が凍った。
別段おかしなことは言っていない筈だが、何故だろうか?
すると、ガントレットで表示していた配信画面にコメントが付いていた。
●配信開幕からトチ狂ってて草
●明らかに石とかMAG結晶とかその辺のものに見えるんですが?
●つーか、野生児くんじゃん。
●え、野生児くんって石とか食える人なの⁉︎
「うむ! 己の勘は食えるものだとコレを見たぞ! 故に料理するのだ!」
「……うん、その直感は間違っているよ。パトラは必要かい?」
「その結晶体からなんらかの悪影響が出ているものと考える。破壊を優先するぞ」
「いや、己は正常であるぞ。それに、この結晶はそう簡単には壊れん」
そう言って、キラキラを噛んでみる。己の鉄くらいなら余裕で噛みちぎれる顎のパワーを持ってしても、キラキラには歯形すらつかなかった。
「待たないか! 拾った岩を噛むんじゃあない!」
「お前は拾ったものをなんでも食べる赤子かなにかか!」
「安心してくれ! きちんと洗った後だ!」
●洗えばいいって問題じゃないんだよなぁ……
●つか、今配信越しに見てもやばい力がかかってたように見えたんだけど、何?
●知ってるか? この野生児くんは戦闘中に敵悪魔の肉を食いちぎって食べたりするタイプの野生児なんだ。
●なんでそんなことするんですか?
●知らん、そんな事は俺の管轄外だ
「あ、戦闘中に悪魔を喰うのは体力回復のためだぞ。トドメのタイミングで使えば、数を減らしながら回復とMAG補給ができるので、お勧めだ!」
●人外の蛮行をお勧めするな
●両手両足吹き飛んでたらワンチャン賭けるけど、積極的に試したくはないです。
そんなことを言いながら、鍋の中に水とめんつゆと塩を入れる。分量は適当だ。
技研でたまに行われる『手抜き料理』なる、どう見ても手を抜いていないように思える凄まじい技巧の料理の際の分量を参考にしたものだ。
●めんつゆは全てを解決するッ!
●いや、めんつゆ入れて煮込んでも御厳は食い物にはならねぇよ⁉︎
と、コメントを見ていると、気になるものがある。
「この……おんげん? というのがピカピカの名前なのか?」
「……僕は日本語を勉強したんだけれど、流石にこれの読み方は分からないね」
「御霊の御が読み方の基本に思える。みげん、だろうか?」
●あ、みいつで御厳です。神の威光とかの意味の単語で
●へー、みいつ……何故か変換できない
●何ッ⁉︎最近のふいんきですら雰囲気と変換できるお利口さん変換が敗北したのかッ⁉︎
「ふむ? ならば問うのだが、御威を料理する際に注意するべきことはあるか?」
「断言するけど、コレは絶対に料理するものじゃない」
「ああ、注意も何も料理をするなと言われるに決まって……」
●熱エネルギーを与えると、悪魔が寄り付く匂いみたいなのが出てくるから注意なー
●知らん……何それ……怖……
「「いるのか⁉︎」
「なるほど!」
この世界の奥深さに戦慄している二人を見る。フフフ、キリギリスに参加すればこれ以上の戦慄と高揚を得られるのだぞ……と訳知り顔で思ってみる。
こんな馬鹿に付き合ってくれる二人であるが、それはあくまで今が異界への侵入者警戒のシフト時間であり、フジワラ達が来るまでの休憩時間でもあるからだ。
占拠している異界に信用のない者を踏み込ませはしない、という基本が守られているので、ボランティア的なものであっても仕事はしなくてはならない。
マナーを守れる不調法者であれば、力があろうとトラブルの種となり総合的な異界探索効率が低下するのだから。当然と言えば当然なのだ。
けれど、そのようにマナーを守れる彼らであるならば、『マザー』相手にやらかすまでの間でもキリギリスを利用できると思うのだ。
変事が起きて立場が代わり、必要ならば裏切るというのは別におかしな事ではないのだし。
「……ところで、圧力鍋はどこから?」
「その辺に転がっていたのを借りているぞ。この前線基地には、異界から拾ったものがコロコロと転がされているからな」
「……使用前にちゃんと洗っただろうな?」
「当然だ、食中毒は恐ろしいからな」
「ならば良いが……」
「……これは、もしかしたら僕とブレイドにはこの茶番劇は利があるかも知れないね」
「茶番劇というには破天荒が過ぎないか?」
「なんと、匂いに釣られたか」
そうしていると、異界内部から幾らかの悪魔が現れてくる。カシマレイコが3体とかなり優しめな編成だった。
「照らせ、
食いしばり、不屈は無し。隠密タイプのカシマレイコだったらしい。戦闘終わりや休憩中に『暗殺者の歩法*5』でトドメを狙ってくるド外道だ。コイツの死体汚染のせいで数人のバスターが霊的治療に回され戦線を離脱させられている。
ただ、治療法が確立したというのは朗報ではある。指示を理解する程度の知性も残るので、後方への搬送も不可能ではないのだから、最悪なんとかなると思えるのだった。
いや、コイツの死体汚染に注意して蘇生をしないのが1番ではあるのだけれどな? 不思議と事故は起きるのだ。死体は喋れないが故に。
「……さぁジエン、料理を続けるんだ。その間に僕らはレベル上げをするからさ」
「うむ! 安心だな!」
●御厳がゴキブリホイホイみたく使われてるのか……
●割と天才の発想になってて草。ゴミカス悪魔を絶滅させてやれー!
●カシマレイコにやられた仲魔はロストするの真面目にドブカスゴミクズクソったれ。レベル1の怪異とかストックを圧迫するだけなんよ
●けど、仲魔の記憶のサルベージしたいから捨てるわけにもいかないのよなぁ。
と、そうしているとカタカタと鍋からの音がする。なにやら、聞き慣れない音がし始めている。
「む?」
「なんだ?」
「……嫌な予感がするね」
そして、鍋は爆発した!
「あづっァア⁉︎」
「これが、爆発落ちってヤツなんだね」
「御厳というのは、加熱すると爆発するのか?」
●あ、これ圧力鍋の蒸気穴になんか詰まってたヤツだ。
●逃げ場なく高まる圧力と、ミイツのなんかすごいパワーが合わさって、めんつゆの香り漂う大爆発となったのだ!
●なんかすごいパワー!
「し、しかし! コレだけの圧力がかかったのならピカピカとて柔らかくなったはずだ! お魚の骨のように!」
熱々に熱されているそれを、ガントレットで掴んでガブリと噛み付く。
「……
●分かる……
●てか、今の爆発で匂いが散らばったの不味くない? 悪魔誘き寄せるんでしょ?
「「「あ……」」」
その日、己達はリオとフジワラと『新しい仲間』があと数分遅い到着だったなら割とどうなったか分からないギリギリの戦いをする事となった。アールキング複数が戦域ギリギリでガン逃げは卑怯であろう! 己が敵なら間違いなくやるが!
「はい、そこの3馬鹿正座」
「流石に今回は言い返せないね……」
「罰は、甘んじて受けよう」
「……正座を、しなくてはダメか?」
「ダメです」
「……ダメかぁ」
尚、今回食べられなかった『御厳』であるが、チームDATというところの新人隊員が使えるという事なので、幾らかのアイテムと交換で提供する事となった。
めんつゆの香り漂う御厳結晶だが、まぁちゃんと洗ったし大丈夫だろう、多分。
さて、奥多摩アビス探索である。
前回までの探索で第一フロアは粗方の探索をし終えたので、階段を下って第二フロアへの挑戦をする事となった。探索できていないエリアは存在するが、おそらく下のフロアから上に登って入る小部屋的な所だろう。
今回はマッピング100%を求めていないので、そこら辺は雑に行く。
現状、アビスにて最も深いところを探索しているのは己達だ。それは己達の実力……というのではなく、正直運の要素が大きいと思われる。
通常沸きする悪魔が軒並み怪物であるから戦えば色々吹き飛び死人が出るのはいつものことであるのだけれど、そこからの立て直しの最中にカシマレイコ他エグい奴らに絡まれたら確定で撤退となるからだ。
あ、確定ではないな。全滅したら撤退できん。
「ジエンくん、チャクラドロップいる?」
「不要だ。周辺MAGからの補給で間に合っている」
「じゃあ、こっちの飴ちゃんは?」
「もちろん貰うとも!」
ハッカというのだったか? 食べた飴ちゃんからはスースーするような不思議な甘さがある。さらに、のど飴という喉に良い成分のものらしく、バインドボイスやらで酷使した喉が癒やされている気分になる。まぁ、プラシーボ効果とかいう奴だろうけれども。
「それで、そこのマシンドッグの調子はどうだ? 電撃の誤射は避けておいたが」
「ありがとうございます、ブレイド。ですが、彼は電撃弱点のそこらの機械とは違います。気遣いは不要かと」
「しかし、大した技術のない機械犬だね。頑丈そうだけど、これならスメラギ製のモノの方が強そうだ。可愛さはこっちが上だろうけどね」
おそらく、もっと良いマシンドッグはあったんじゃないか? という話なのだろう。
「失礼な、彼は私が選んだカスタムメイドです。強く、頑丈で、回復魔法に対応して、そして可愛い。無敵ではないですか?」
「最後の可愛いは必要だったか?」
「というかそんだけ可愛がってるならはやく名前つけてやりなよ」
己とリオの指摘に、目を背けるフジワラ。
自覚はあったらしい。
「Bow!」
しかし、マシンドッグは誇らしげに立っていた。「どうだ、我が主は私の名前一つに対してもここまで真剣になってくれる方なのだぞ!」というのは己が勝手に想像したイメージであるが、まぁまぁ合っているとは思う。
というわけで、彼は名前のまだないマシンドッグ。『最後の大隊』改め『ミスリル』の一員である、日系人の桐島*6殿から提供された素体をフジワラがあっちこっちに赴いてカスタムした機械の犬だ。
駆動はおもちゃのような電気モーターを使うのではなく、魔界由来の特殊伸縮素材を筋肉のように張り巡らせてのものだ。なのでMAG消費はそこそこあるが、回復魔法による治療に対応するボディであり、運動性はハイレベルだ。
元々フジワラは逆襲の霊的国防兵器『ヤソマガツヒ』のパートナーとして肉体を最適化した改造人間であり、自分自身での攻撃的MAG操作に適正がないという弱点を持っていた。
ヤソマガツヒに依存しない、本体技術によるアナライズやらは使えていたのだが、しかし攻撃スキルを使えないというのはもったいない。
ならば、ヤソマガツヒへのMAG経路をそのまま別のモノにすげ替えればローコストではないか? という結論から、病院襲撃の際に仲良くなった桐島殿より素体を譲り受けたのだとか。
「しかし、何故に犬型なのだ?」
「二足歩行より四足歩行にした方が、人工筋肉の総合的なパワーが大きくなるからです。彼の基本的な運用は、私の所まで踏み込もうとしてくる敵を
「なるほど」
「武器は体当たりしかないのかい?」
「背面に
「なるほど、それならば4脚である理屈は通る。属性弾対応もしているのだろう?」
「もちろん。ただ、撃ちまくるという事なので……」
「全体的に金欠気味なこのチームの間は、撃つことはないでしょうね」
フジワラが、地味にキツい事を言ってしまう。
実は己達、戦力としては高く纏っているのだが、稼ぎの面ではかなりギリギリなパーティなのだ。
まず、己。言わずと知れた、MAGを使いまくる悪魔召喚士だ。基本運用は自身の生産分で補えると言っても、そもそも基本運用だけで勝てる戦闘が一つもないのでMAG消費は基本赤字だ。そのせいでレベル上昇も穏やかになってしまっているという追加の弊害もあったりする。
続いて
故に、生体エナジー協会にMAGを売り、利益を得るというやり方が使えない。
そして、リオとフジワラ。
二人は武装COMPや情報支援ベルトといった高価な装備を身につけている。故にそこにダメージが入ってしまえば発生する修理費には結構なマッカが必要となる。強いのだけれど、その強さには運用コストという理由があるわけだ。
総合すると、手持ちのMAGはガツガツ使うし、拾えるMAGは少なくなるし、落ちるマッカの使い道は割と決まっている、という事だ。
いや、赤字が出ているわけではないのだよ? ただ、苦労に対して利益がしょっぱいというだけでな?
「……それで、そんな僕らの一党にそこのワンコくんを加えたのはどんな理由なんだい?」
「彼の素体は回復魔法で治療でき、外装は魔鉄鉱*7などの拾えるアイテムで賄えます。つまり……」
「私に直撃が通るより、圧倒的に安く済むのです」
己の中では、ズドーンと雷が落ちるような話だった。節約のために、これまで使っているアイテムを切り詰めるのではなく、新たな要素を加える事で被害を減らし利益を高める。言われてみれば納得なのだけれど、己には思いつかなかった発想だ。素晴らしい。
己には、頑張って倒しまくるとか、
「机上の空論とならない事を祈るよ」
「なりません、彼は強いので」
凛々しく立つマシンドッグ。確かに彼は強そうだ。
問題は、多少の強さが意味をなさない程度には、敵悪魔が異常だという話なのだけれど……
などと思った己は、やはり先入観に囚われていたらしい。
| マリンカリオン | 魔法スキル | 敵単体を基礎確率50%で魅了状態にする(スキルレベル最大により、付与確率20%強化 |
「ワンッ!」
BLOCK!
「「おぉ」」
| ジュオン | 魔法スキル | 敵単体に基礎確率80%の呪い*8状態を付与(スキルレベル最大により付与確率20%強化 |
BLOCK!
「「「おぉ!」」」
| ムドダイン | 魔法スキル | 敵単体に呪殺属性威力160の魔法ダメージ |
BLOCK!
「「「「おぉ!!」」」」
| 属性相性 | ロボット*9 | 物理に強く、電撃に弱い | |||||||||||||
| 剣 | ガン | 火炎 | 氷結 | 電撃 | 衝撃 | 神経 | 破魔 | 呪殺 | 魔力 | 緊縛 | 突撃 | 手技 | 足技 | 飛技 | |
| 50 | 100 | 75 | 12,5 | 無効 | 50 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 75 | 37,5 | 37,5 | 25 | |
「どうですか? 私のマシンドッグの実力は?」
「すごい! すごいぞこのワン公は!」
「弱点である電撃はアンズーのデビルソースより抽出した『電撃無効』をセットしてカバー! 根本的な耐久力は『三分の活泉*10』をセットして補強! 元々のステータスの『速』はジエン並! そして『道具の知恵・攻*11』『道具の知恵・癒*12』の二つをセットする事であらゆる状況に対しての即応性を確保! ……完璧です」
などと言っているが、このマシンドッグワン太郎(仮)の無力化方法は結構簡単である。
こいつ、『魔』のステータスが低いので、等倍の魔法攻撃2〜3発で沈むのだ。三分の活泉があったとしても、元の体力が低ければ上昇量など知れたものなのだから。
等倍属性としては、地変水撃重力核熱念動呪怨祝福に万能と多岐に渡る。メジャー属性に強いのは強みではあるが、思考停止で頼り切って良い理由にはならないだろう。
「それで、この子の名前なんか浮かばない?」
「一応いくつか浮かびはしました」
「|モデル3ジェネレイティブドッグタイプアンドロイド《Model 3 Generative dog type ANdroid》、で
「……ダンスがバズった映画だね」
「なんでも、主人を守るために暴走すると聞いたぞ?」
「というかこのワンコ、メスなのかい?」
「……英美の話によると、オスとの事なので没となりました」
あ、性別あったのね。と皆がマシンドッグを見る。毅然としているその姿は騎士を思わせる立ち振る舞いだ。確かにどちらかというと雄なのだろうな。
「次に、世界を股にかけたツギハギの合作という事で、パッチワークよりパッチと名づけました」
「……急に裏切りそうになったね」
「知っているぞ! プレイヤーを騙すNPCの方だな!」
「……現実には誠実なパッチも居るだろうに」
「風評被害って奴だね。僕への『成金』みたいに」
ブレイド殿の呟きに
あ、睨まれた。気取られたな。反省反省。
「悪くはなかったのですが、まぁ没となりました。まぁ継ぎ接ぎというのは悪い意味もありますので、その辺が性に合わなかったのでしょう」
「……Bow!」
そんなフジワラの会話中に吠えるワンコ殿。敵接近警報だ。戦闘態勢に即時移行する。フジワラの知覚情報は視界には入るのだけれど、やはり音があると気合いの入り方が違う。しゃんとする。
さぁ、やるとしよう!
対処パターンの取れていたグループたったので、瞬殺して奥に進む。新しいフロアであるが、敵出現パターンが全て変化する、という事ではないらしい。
安定パターンで1ターンキルできると、消耗全てが 『パーティMPリカバリ』にて回復できるので楽で良い。丸儲けだ。
「そういや、その英美? って人のマシンドッグはなんて名前なの?」
「『ニュートン』と。万有引力のアイザック・ニュートンから名付けたのだと思われます」
「由来は聞いてないんだ」
「はい。忘れていました」
「……ばんゆういんりょく?」
ふらっと出てきた知らない単語に? マークが浮かぶ。いや、聞いたことがある気はするのだが、浮かんでこない。
チラッとブレイド殿を見る、何故か目線が合った。何故か心が理解できた。
我々は、未だ勉強の最中であるのだなー
尚、そのアイコンタクトによる傷の舐め合いに気づいた
「なら、ニュートンを少し捻って『ダイン』なんてどうだい?」
「ダイン……ギリシャ文字における『力』を意味する言葉ですね」
「1kgの物体に$1m/s^{2}$の加速度を生じさせる力がニュートンで、1gの物体に$1cm/s^{2}$の加速度を与える力がダインだ。ちょうど勇敢な雄犬なんだし、悪くないだろう?」
「ダイン……ダイン…………ダイン。悪くないですが、少し違う気が」
「ならば、ディーン、ディン、ディナ、ダイナ、この辺りの読み換えはどうだ?」
「……ダイナ、ダイアン……もう少しな気がするのですが」
そう話していると、フジワラが何かを思い出そうとしているように見えた気がした。
誰かの名前にあやかりたいのだろうか?
「ダニー?」
「……ダニー、それです。それです! ダニーです!」
珍しく笑顔を見せたフジワラが、ダニーという名前に頷いてくる。
ダニーとは、己が夢でたまに見る勇敢な悪魔戦闘犬の名前だ。そういえば、己達は同じ処理をされて、同じ技術を刷り込まれていたのだった。ならば同じ夢を見ることもあるだろう。
「……ジョジョかな?」
「ジョジョ?」
「おおかた何かのアニメだろう」
「決めました。貴方の名前はダニーです。勇敢なダニーの遺志を継ぎ、私と共に世界を守る誇り高きマシンドッグ。それが貴方です、『ダニー』!」
「ワン! ……Bow! Bow!」
「ほう! ダニーは名付けを喜んでくれたな! 悪魔達も空気を読んでご祝儀を差し出しにやってきたぞ!」
「……そこは、『間の悪い奴らめ』ではないか?」
「ないみたいだねぇ。まぁ、楽しくて良いじゃないか。敵が来るのは、僕らからしても歓迎なんだから」
「というか、悪魔の襲撃をご祝儀とか言ってるよこの子。本当、倫理教育どうしよう……」
尚、この襲撃によって己達は探索を切り上げる事となった。まぁ、うん。反魂香二つくらいでカバーできたから、うん。
この日の収入は、トータルで幾らかの赤字となるのだった。
せっかくのダニーの初戦闘を! ダニーは頑張ったのだぞ! 己とフジワラはダニーのガードを抜けた魔法で吹き飛んだが!
雑談が多かったが、決して警戒を緩めたわけではない。ないと思いたい。
きっと、この異界内部では人も悪魔も敵も味方も全ての命がちり紙のように簡単に吹き飛ぶだけなのだ。
尚、異界から帰還して前線拠点に戻ると、そこには未だめんつゆの香りが漂っていた。だれか消臭スプレーをやってくれ、腹が減って仕方ない。
……何ッ!?今日はキッチンカーはかけそばなのか!? 大盛1つ頼むぞ!
あとがき
一瞬の小ネタでやるためだけにtex変換ツールタグを!?
まぁ、s^2で分かるだろうけど、ね? 気分の問題です。
tex変換はプレビューだと反映されないので投稿後に微調整します。
ジエンくん
秘密を掲示板で暴露した二人と何食わぬ顔で遊んでる面の皮の厚いショタ。クソガキともいう。
おしゃれなマスクでYoutuberデビュー!をしたかったのではないので、今回動画配信したアカウントで活発に稼ぐつもりはない。というかDDS対応版ディスコードの画面共有みたいなものなので、投げ銭やら広告収入で稼げるわけがない。
万有引力とは何か?それを知るためにインターネットの奥地へと旅立った
復讐者ではあるが、そこそこ理性はあるタイプ
仮面越しでも見えまくるイケメン金持ち王様オーラによって大量のファンや追っかけを獲得した。4人ほど熱心なのがいるそうな?
ブレイドお姉ちゃん
理由がなければ世界を乱すことはしないタイプ
貧民窟育ちなので学校には行ったことがない。軍での経験と本人の強さから何とかなっているが、案外ころっと騙されそうな人間だと知り合い全員に思われている。
仮面があるからいいか、とメイン装備の仮面で配信に出たので、実質素顔を晒したのと同じである。そのことには今のところ誰も気づいていない。
バンユーインリョク……一体どのようなものなんだ?
マシンオペレーターフジワラ
そこそこに繋いだ顔を使って装備、というか仲間を更新したガール。小規模とはいえ集団の長だった経験は、ミスリルなどへの交渉事にプラスに働いたのだ。
ペットに対して親バカになりそうな気配を漂わせているが、これはあくまでも信頼できて有用な兵器に対してのふるまいである。きっとそうだ。