姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
「こちら、階段前。以上ありません」
『それは良かった。しかしフジワラさんは会議よりも警戒を優先してくれませんこと? 貴女がヘマでもしたら、一緒にいる
『システィナ、言い方に気をつけた方がいい。恋や愛は、誰かに迷惑をかけていい免罪符じゃあないよ。本人に袖にされているのなら、特にね』
『まぁまぁ司ちゃん、そのあたりで』
『……ここはナサくんに免じて許してあげよう。感謝するんだよ?」
ヴリトラ戦車との激戦から1時間弱が経った。
現在、己たち『午後シフト組(仮)』は、第一フロアと第二フロアをつなぐ階段の前で張り込んでいる。ヴリトラ戦車が登り、攻めてくる場合の備えだ。帰って休みたいけれど、現在ここを抑えられる戦力が己達しかいないという事実は変わらないのだ。いや、己達でもなんとかなるか微妙だけどね?
他の悪魔の脅威も相当であるのだが、しかしここを抜かれたらこれ以降の第一フロアでの生存確率が本当に絶望的な数値になってしまう。ヴリトラ戦車の『雑に貫通高火力』という分かりやすいスペックが不意打ちで飛んでくるとかは、考えたくもない地獄だからだ。
「先の戦闘報告ファイルの通り、LV82の『ヴリトラ型戦車』という悪魔降霊戦車とサポートボット戦闘しました。より正確に言うなら、『X式悪魔降霊戦車•龍王ヴリトラ型マインド装填タイプ』となります」
どうにも、長ったるい名前では情報共有にズレが起こりそうだから、しれっと表示する名前を省略していたらしい。別に構わないといえば構わないのだけど、情報がフジワラの気分次第で操作されてしまうというのはぞっとする話だ。いや、己達を騙す理由なんてないのだけれどね。
『相当にイカれているな。真っ当な組織の切り札になりそうなマシンが、少数とは言え量産されているとは』
『ハッ、耐性は掴んだのだろう? 弱点属性で瞬殺すれば問題はない』
緊急のリモート会議であるから、音声だけの参加の人もいる。シフトが違いのバスター達だったり、仮面を付けていない検証勢だったりだ。流石に検証勢の皆の識別は完璧でないので、アカウント名を見ても誰かをパッと思い浮べられない。そのための装備統一なので、効果は正しく出ているのだけれども。
「アナライズによると、戦闘したヴリトラ戦車には、『異能』というラベリングがされていました。『防魔』、『加護』、『荒神』などこの深層異界悪魔に貼られているものと同じです。『加護』は補助系統、『荒神』は攻撃系統のスキルが装備されている、というような傾向が同じであるならば、『防魔』ならば弱点を無効にする耐性スキルを所持している可能性もあります」
『……このレベルの悪魔が弱点埋めんなよ畜生。ワンチャン取れねぇじゃねぇか』
『バッドステータス耐性はどうだ? 悪魔を降魔しているのならば、そちらに耐性が引っ張られそうだが』
「バステは試せていない。敵の素体が『マシン』属であるからな。無効にされる可能性が高かった」
「ジエン、周辺警戒を」
「すまん、つい」
フジワラのジトっとした目が己を見る。心なしかダニーも己を責めているように見えたりする。……うん、気のせいだな。
『だが、そうなるとどうする? 衝撃弱点を迂闊に突けず、バッドステータスも無効な80レベルの超兵器だ。対象不可能とまでは言わないが、かなり厳しいぞ』
『カシマレイコとかの横槍を考慮する必要もあるからね。パーティの最低人数を増やして、警戒と戦闘の役割分担で対処する?』
『タダでさえ遅れ気味の探索がさらに遅れるぞ。世界を犯す異界は、ここだけじゃない。今でさえ、人員は過剰だ』
「ちゃっちゃかぶっ壊して他所行きたいよねぇ……マッカの入りは良くないし」
リオがぼやく。己達のパーティが内心頷いているのが分かる。ブレイド殿や
……本当に稼げてないのだよ、己達。
『司さんの旦那さん、あんさん機械に強いんやろ? なんかないん?』
『そうだね……』
そう議論が煮詰まっていると、技術屋として会議に参加してくれた『由崎ナサ』殿に無茶振りが入る。この流れで情報が出るわけが……
『これ、多分マシンの外装には特別な構造はないよ。関節部の駆動域とか、ローラー移動の速度とかはこの世界にもある多脚戦車と同レベルだ。頑丈な素材は使ってるかもだけど、旋回速度や瞬発力はそんなに高くない』
情報出るのか。本当に凄いなナサ殿、結婚している人は人間としての格が違う。
『……理由は?』
『戦闘データだと、攻撃を一回も回避してないよね? 戦った皆の狙いが正確だってのはそうなんだけど、攻撃への反応が回避じゃなくて防御だったんだ。全部ね』
「うむ、スピードは高かったが、不思議と攻撃を避ける事がなかったぞ。偏差をきちんと取っていれば、動いている最中でも問題なく当てられる」
『だが、こいつに先手を取られたのだろう? あの、すばしっこいジエンがだ』
『そのあたりは検証勢の報告待ちかな。
ボス悪魔などの、
『とすると、背後を取り続けていればいけるかしら』
『……その対策としての、『会心の眼力*2』か』
『そういえば、『会心の眼力』って魔法も必中になるのでしたね?』
『ああ。あのスキルは敵の急所を見抜くため、目に力を入れるスキルと、急所を突くために身体に力を込めるスキルの複合だ。急所を見抜く目があれば、魔法とて当てられるさ』
「で、身体の力みが離れるのと一緒に目への力も外に流れちゃうから、物理攻撃を放ったら必中の目もなくなるってワケか。バグっぽい挙動だねぇ」
『しかし、有効だ。スキルスロットに余裕のある仲魔には、仕込んでおくことにしよう。必中は正義だ』
とても、よく、わかる。
クソ外しからの地獄が開幕することは稀によくあるので、必中状態が付与できるというのであれば、バシバシ使いたいものだ。
『あの、
『今回ジエン達がやったように、上回る力で攻撃すれば破壊できる。耐久力はそこそこ高くはあるが、ヴリトラ戦車本体に存在するのは『食いしばり』だけだ。連打で仕留められる』
『あの、空飛ぶ丸いサポートボットの歌がなければね。自動効果みたいだから、先に破壊するのが無難かな?』
「あのサポートボットのレベルは50ほど、それなりの速さと高い耐久を持っていますが、集中攻撃すれば破壊は容易です」
『……ただ、数がいそうだぞ? 増援に来た戦車2台にそれぞれ1体の丸いのが付いている。こっちも戦車と同数か、それ以上の量産はできていそうだ』
「はい。ですので先んじてボットと戦車を分断して、ボットを瞬殺するといつのが、基本になりますね。ただし、迂闊な戦力分散は危険です。先の戦闘では問題はありませんでしたが、敵撃破からの
『食いしばり無効、厄介だよね』
『こいつ、即死は通るか?」
「マシンですので、破魔、呪殺による即死は難しいと思われます。生きてませんから」
『確認は?』
「いえ、していません」
『……耐性は、龍王ヴリトラのものだったのだな?』
「wikiのものと少し異なりましたが、おそらくそうです」
『次回の交戦の際、バッドステータス攻撃を試してくれ。おそらく通用する』
おや? と思われる意見が聞こえる。アカウント名はデフォルトで作られるランダムのもの。『捨て垢』という奴だろう。
だが、その言葉には経験に裏付けられた重みがある。強そうな人だ。
「……理由を聞いても?」
『以前、メシア教関連施設にて今回の多脚戦車に似たマシンと交戦した事がある。そいつは戦車が悪魔をダウンロードする形で異形の力を発揮していた。それはある種、戦車を骨組みにして悪魔の肉体が作られていたようなものだった。一部とはいえ状態異常が通用したからな』
「……今回のヴリトラ戦車でも、悪魔の肉体は見えないだけで実体化していたと?」
『そうだ』
ガントレットを操作して、龍王ヴリトラのアナライズデータを見る。緑色の肌をして、白い髪をした大男のような装いであり、とても四脚の足で実体化できるような肉体ではない。
「スライム化でもしていなければ、あの戦車の形になるのは不可能ではないか?」
「ならば合点がつきます。しているのでしょうね、スライム化を」
「というと?」
『どんなに凄い技術力があっても、レベル82のマシンを自由自在に操る
「はい。戦闘時以外ではスライムとして格納し、必要ならばMAGを叩き込んで力を取り戻させて、引き出していく。これは、ヴリトラの叛逆防止に奴に立ちますね」
『ついでに、悪魔全書からの召喚の時にも、必要とするマッカを低く抑える事ができる』
若干の希望的観測が入った気がした。方針は間違っていないだろうが、都合よく見ているような雰囲気だ。皆もそれを感じ取ったのか、これまで上げた資料を見直し始めている。
『データが足りんな。深夜シフト組で俺以外に現地に向かっているのはいるか?』
『シフト外だが、現在現地に向かっている。70台の魔法系サマナーだ』
『心強い。一人でやるよりは成功率が高そうだ』
そんな静寂を破った声におお! と喜びたくなる声を抑える。先程のマスクオフ検証勢の誘いに乗った人物は、ムラカミ殿だった。衝撃魔法使いのダークサマナーという奴だ。キリギリス首魁の『漫画好き』殿もダークサマナーという話だし、ダークサマナーには悪逆を行うサマナーと、邪悪すら用いて信念を通す気高きサマナーの二つの意味がある*3ようなのだが、ムラカミ殿は後者の意味である。
「して、目的は?」
『狙撃か、電撃戦か、敵の準備が整う前に仕掛けてみたい。スライムとして戦車内部に格納されているなら、低レベルマシンのままに仕留められるはずだからな』
「……『電撃サバイバ*4』は、その為ですか」
「あー……食いしばるのだな」
『言わせてもらうが、畜生がすぎないか?』
『ここの悪魔は基本的に皆畜生のようなスキル構成ですわ。だからこそ、外に漏らしてはなりませんの』
準備される前に暗殺すればいい! という作戦が電撃サバイバの存在によって否定される。マジでどうしろと? まぁ、2手使えば暗殺はできなくはない、か……?
そんなとき、ピりついた感覚が先に来る。電気交じりのMAGだろう。フジワラが示す情報では、敵接近が警告されていた。
「失礼、敵襲です。第二フロアからの進行。数は2と4。ヴリトラ戦車とサポートボットです」
「サポートボットの配置は?」
「ヴリトラ戦車の後方10メートルに、2体ずつで。広域系の範囲外ですね」
「バステになったら浮遊ボールに回復されるであろうが、一応やるか?」
「状態異常をかけつつ、後退を。西側にグラツィエさん達がいます。適当にあしらいつつ、背後のボットを始末してもらいましょう」
「了解。召喚、ファフニール、ペルセポネー」
周辺警戒は、
ファフニールの『邪念流動*5』にて射程を拡張。ペルセポネーの『パンデミアブーム*6』、己の『バインドボイス*7』、ファフニールの『毒ガスブレス*8』とただひたすらなハラスメントをかけてみる。
ヴリトラ戦車に対しての状態異常は、なんと有効。あいつら種族『マシン』のくせして耐性がヴリトラのものだけらしい。つまり、前回は警戒しすぎたのだ。身近にマシンがいる弊害なのだな。敵を過大に評価するのは、過小評価と同じくらいに間違いなので気を付けよう。
要は、ペルソナ使いのようなものだろう。降魔しているペルソナによっては破魔弱点の人間になるという話だし。
「ダイレクトに当てたが、怯まないか」
「緊縛が片方に通っただけだね。毒、風邪は無効?」
「いや、耐性の感覚ではなかった。レベル差と運の下振れだな」
眼前に迫っているマシンは一体。片方は緊縛により足が止まったようで、サポートボットにディスパライズ*9を使われている。
「直線速度速いね。狙撃2手目いけそう?」
「無理だろう。追いつかれるぞ」
邪龍での狙撃を使ったあとは、結構動きが重くなる。2連射とはいかないのだ。
「西への第一ルートにアンズーを発見、野良悪魔の斥候に捕捉されているぞ!」
そんなとき、ブレイド殿が警告を発する。フジワラが見落としていたらしい。
「……西三番に迂回します。南ルート経由で」
「いや、そのままでいい! 三つ巴にするぞ!」
「……そうか、戦車達は異界産じゃないんだ!」
アンズーという事は、異界における斥候部隊。であれば、己のストックにいる『凶鳥アンズー』(LV49)を使っての会話でいけそうだ。全書で引き出したほとんどすっぴんみたいな悪魔だけども。
「方針を変更します。ジエンは指定ポイントまで下がって迎撃、ブレイドはアンズーの誘導に」
「了解した」
そうして方針が定まり数歩下がったタイミングで、敵が階段を乗り越えてくる。マハーマユリを召喚して迎撃! ……と行きたいところではあるが、あいつの電撃弱点をまだ埋めていないので召喚はしない。代わりにロキを召喚して、遅延戦闘を開始する。
まずは、仲間の統率を取ることより最速で動くことを優先する。『マハジオダイン』からの『雷刃吼龍掌』の間に回復を差し込みたいからだ。いや、己はどうせ特大ダメージ当たると死ぬのだけれど、ロキとかの耐久ラインだとどっちも一発耐えるのだよ。
だから、気合いで回避した己が回復を差し込めば、犠牲はゼロになるわけである。無理筋?言うな。
そう構えている己に対して、
これを使ってくる敵からは、敵を絶対に逃さないという強い意志を感じて嫌になる。逃走はフジワラのトラフーリがあるからどうにでもなるのだけれども。
| マハジオダイン | 魔法スキル | 敵全体に電撃属性大ダメージ |
| はったれバッチ | アクセサリー | 電撃属性攻撃に対する攻撃を高確率で回避する(極・電撃見切りを付与するアクセサリー) |
「必中でなければ、どうとでも!」
マハジオダインを見切りによって回避する。電子ゲームにおけるギャンブルとは、内部の電気を見切るのと等しい。はったれ五右衛門*11クリアするよりはマハジオダインの回避は簡単だ。
そして、その回避に『ニヤリ』と笑えた己は、続けての『雷刃吼龍掌』の前に『メディアラハン』を差し込む事ができ、ファフニールのカバーで攻撃を回避することができたわけだ。
そして、『雷刃吼龍掌』の追加効果の防御弱体化効果はなんか知らぬが一段階限界で20%*12のもの。それが原因で確定数がズレることはない。一撃で瀕死であり、二発は絶対耐えられないギリギリラインではあるが、耐えるのだから耐えるのだ。己以外は。
「……スピードでなく、動作が速いな」
ペルセポネーが『バインドボイス』を発動、命中して敵の動きが止まったタイミングで逃走準備。フジワラの『トラフーリ』で逃走だ。
下がるのは2メートルほど。龍胴固めの影響で距離が取れなかったのと、アンズーとぶつけるための誘導の両方だ。
「誘導は完了した! アンズーは
「数は4体です! 受けないでください!」
「一切承知! ファフニール!」
| マカラカーン | 魔法スキル | 敵の魔法攻撃を反射する障壁を張る。1ターン継続、反射先の相性無視(真1仕様) |
ヴリトラ戦車へのアクションを起こさせなかったファフニールに、マカラカーンを展開させる。アンズーの『
また、4体のアンズーは電撃の反射を相性無視で受け止めたことでほぼ瀕死。死んでいないのは被弾した己達の耐久力が高く、反射ダメージが少なかったからだろう。ダメージ量は%耐性越しのダメージ量になるという説が検証班から流れてきていたし*14。
「そこのアンズー達! 協力して奴を仕留めよう!」
「オマエカラハ、ナカマノニオイヲ感ジル! イイダロウ!」
そして、己達一党は『会話対処*15』によりしれっと敵対を解除。ついでにファフニールの回復ついでに『メディアラハン』にてアンズーたちの体力を回復する。敵の敵、いずれ敵だが今味方。575のリズムである。
まぁ、あのアンズーは電撃スキルしかないのでヴリトラ戦車に与える攻撃はスキルなしの『ATTACK』しかないので、時間稼ぎにしかならないのだけれども。
そうして、アンズー4体を前面に押し出して戦闘再開。後方からヴリトラ戦車が追いついてきて、敵は3体1チームが二つになった。
そこに、アンズーが2と2に分かれて急襲していく。己達はそれを尻目に遠方から適当に攻撃をして、注意を引くくらいはする。
警戒するべきは自動効果による撃破後の連動電撃だが、あれは食いしばりからの
そうして、己達はアンズーとヴリトラ戦車が戦っている所を適当に援護して、貫通『マハジオダイン』薙ぎ払われるのを見る。なんかそこそこ耐えてた*16な。
「よし、邪魔は無くなったな。最短経路だ」
「異論はないんだけど、少年に人の心が残っているかが結構不安だよ」
「……リオ、ジエンをちゃんと教育してやってくれ」
「当然やってやるわよ! この世界に不可能なんてあんまりないんだから!」
「それは、暗に無理難題だと認めているのでは?」
……人間って、自分がやってる外道働きを棚に上げて他人にするなとよく言うよな? 己が知る限りにおいて、皆どっこいどっこいな鬼畜であるのだぞ?
という、若干の恨み言を水に流し、逃走経路をひた走る。
ヴリトラ戦車の直線における最高速度はアナライズで見た速度相応なのだけど、小回りとか、悪路での減速とかがそれなりにある。
しかしその減速込みでもサポートボット達を置いていくレベルでの速度であるから、後衛との距離はぐんぐんと離れていく感じだ。
「グラツィエチーム、配置に着きました」
「待ってました!」
「
「……わかっているさ」
己達が足を止め、2体のヴリトラ戦車を迎撃するのと同じタイミングで砂でできた壁が生み出され、サポートボットが分断される。グラツィエ殿の
「これで、貴様らを助ける歌は届かない! 素直に砕けて塵になれ!」
「まぁ、答えは聞いてないんだけどさ!」
逃走中に入れ替えた仲魔を再確認。『ゴグマゴグ』、『ロキ』、『マハーマユリ』という攻撃的編成だ。
敵の初手、『マハジオダイン』を素直に受ける。己はロキの、マハーマユリはゴグマゴグのカバー越しでだけれど。
そこにブレイド殿が差し込んで『マカの葉*17これで、耐久の高い面子の確定数がズレる。
二体目がそれを見て『マハジオダイン』。壊滅的ダメージになるが、その後の己の『メディアラハン』により全回復。確定数はまた戻る。
すると、どうにも敵のヴリトラ戦車からのダメージ量が若干計算と合わない事に気づく。これまで戦闘した3体それぞれでマハジオダインのダメージ量が異なっていた。
なので、フジワラにアイコンタクト。アナライズ情報を詳細表示にしてもらう。ラベルの違いがあるのか?とみればその通りだった。よくよく見ないと見れないのだよ、『異能』とかは。
| マシン | 多脚戦車ヴリトラ型 | LV82 | 加護 |
| 氷結耐性 電撃反射 衝撃弱点 破魔耐性 | |||
| 電撃サバイバ 天地を塞ぐ者 雷刃吼龍掌 電撃アクセラ マハジオダイン 陽光の衰退 アクセラレート 会心の眼力 オルギアモード | |||
『加護』のヴリトラがトータルで55%ブースタ。
| マシン | 多脚戦車ヴリトラ型 | LV82 | 荒神 |
| 氷結耐性 電撃反射 衝撃弱点 破魔耐性 | |||
| 電撃サバイバ 天地を塞ぐ者 雷刃吼龍掌 電撃アクセラ マハジオダイン 電撃ハイブースタ アクセラレート 会心の眼力 オルギアモード | |||
『荒神』のヴリトラが80%……ギガプレロマ二つ分ッ⁉︎馬鹿なんじゃないのか⁉︎
三発目、『加護』の奴の『マハジオダイン』。多くが被弾する。三発目被弾のタイミングで
そうして、耐久を見て一撃で倒せる敵が(あんまり)いなかった『荒神』は、『マハジオダイン』でこちらを焼き払う。うん。ギリギリだ。そして、『はったれバッジ』の加護があってもいい加減当たる時は当たるのだ。
「こんな、ついでのように死んでたまるかぁ!」
「……割と雑に死ぬの、気にしてたんだ」
| 食いしばり | 自動効果スキル | 戦闘中一度だけ、致命ダメージからHP1で食いしばる |
薄々分かっていたが、敵の攻撃は一撃で倒せる相手になるまでマハジオダインにより削って、仕留めれるなら『雷刃龍吼掌』を使用する、というルーチンで固められている。電撃弱点のマハーマユリはゴグマゴグ、ブレイド殿、ロキと手厚くカバーしまくって守れば、確定1発で落ちる状況にはあんまり陥らないから大丈夫、と思っていたので、『荒神』での火力上昇は知らないぞ。マジで死ぬ。
メディアラハンとかで全回復していれば、他の皆は乱数で耐えるダメージ量なのは救いだろう。いや、己とマハーマユリが全体攻撃で雑に落ちるのは絶対に救いではない。どうかしている。
しかしそんな化け物相手でも、まだ生きている!
「さぁ、反撃だ!」
| 慈愛の旋風 | 魔法スキル敵単体に衝撃属性威力170の攻撃。貫通効果。攻撃成功時、味方全体を回復力80で回復する |
マハーマユリがしょっぱい方の『衝撃ハイブースタ*18』の乗った特大威力衝撃を使用。戦車1体に大ダメージを与える。続けてのロキの『ザンダイン』と大きなダメージを与えるがトドメには遠いので、ゴグマゴグが『ラクカジャ』にて『ラクカオート』を上書きして防御を二段階上昇にする。今のところ『雷刃吼龍掌』の弱体を被弾していないので正確なダメージ感覚は分からないが、『加護』の方の一撃ならば己でも耐えられそうだ。デカジャデクンダを使うサポートボットは砂壁の向こうであるのだし。
続いて、リオは全体回復の『宝玉輪』。マハーマユリの攻撃時に発生する回復波動によりダメージは癒やされた所で、ギリギリ耐えられるラインが全回復のところなので意味がない。なんとかなれ!
『Bow!』
そして、ダニーとフジワラの行動。ダニーの背中に『90Pマシンガン*19』が展開させられ、弾丸には衝撃属性弾丸の『シルフショット*20が装填された。射撃準備は完了したようだ。心強い。
そうしてダニーの銃口を向けられながらだった敵は、ダメージから立ち直り再び動き出す。パターン通りの、強い攻撃だ。
| マハジオダイン | 魔法スキル | 敵全体に電撃属性大ダメージ |
「加護の方なら、耐えられる!」
| メディアラハン | 魔法スキル | 味方全体を全回復 |
| マハジオダイン | 魔法スキル | 敵全体に電撃属性大ダメージ |
「私が差し込む、というのもありますよ?」
「差し込んだところでどうにかできる回復量で無いだろうが!大物ぶってるな!」
| 慈愛の旋風 | 魔法スキル敵単体に衝撃属性威力170の攻撃。貫通効果。攻撃成功時、味方全体を回復力80で回復する |
『荒神』の方のマハジオダインに被弾する。マハーマユリを庇っての被弾でありワンチャン死んだか?と思ったがなんか生きていた。ギリッギリである。なんで5体満足なのかが自分でも信じられない。ありがとう『ゴグマゴグ』!ありがとう『ヤクトヘルム*21』!
「不味いってジエンくん! 気合いで避けて!」
メディラマより弱い程度の回復力*22でなにが変わると言うことはなく、敵が弱った獲物を仕留めるパターンへと変貌した。機械の外装越しなのに、殺意がマシマシで特盛だ。
| アクセラレート | 特殊スキル | 以降の行動回数を1回増加させる |
| アクセラレート | 特殊スキル | 以降の行動回数を1回増加させる |
| オルギアモード | 特殊行動 | 指示を受け付けない代わりに、スキルに使うコストが0になり、攻撃力も上昇する。ただし、3ターン後にオーバーヒートし、防御力大幅低下で動けなくなる。*23 |
| オルギアモード | 特殊行動 | 指示を受け付けない代わりに、スキルに使うコストが0になり、攻撃力も上昇する。ただし、3ターン後にオーバーヒートし、防御力大幅低下で動けなくなる。*24 |
「ガチ切れしやがったぞ⁉︎」
「戦車の内部からヴリトラが露出し出した! 漏れ出した赤いオーラはヴリトラそのものだ!」
「
「その上、『電撃サバイバ』が残っている! 一手余分に必要になるッ!」
機体の各部を高速回転させ、大きな排熱と共に赤いオーラを撒き散らすヴリトラ戦車。戦車上部には龍王ヴリトラの姿が映し出されるように変化した。おそらく戦車内のプログラム領域での霊的な排熱も必要だからだろう。弱点にも情報にもなりうる悪魔のヴィジョンを表に出す理由はそれ以外にはあんまりないのだから。
『オルギアモード』という見慣れない技は、フジワラの解析によれば3ターン後にオーバーヒートするらしい。しかし、1、2ターンで己達が全滅するのが先だろう。どうかしている!
「ジエンくん!」
| 雷刃吼龍掌 | 魔法スキル | 敵単体に電撃属性威力240のダメージ。命中時敵全体の防御力を20%減少させる。このダメージは死亡時に食いしばるスキルを無視する。 |
| 雷刃吼龍掌 | 魔法スキル | 敵単体に電撃属性威力240のダメージ。命中時敵全体の防御力を20%減少させる。このダメージは死亡時に食いしばるスキルを無視する。 |
同時に放たれた2本の雷撃刃。正直この威力であれば誰が狙われようと
さて、電撃が己の頭を焼き払うルートと己の腹を掻っ捌くルートの2本で放たれている。
電撃の範囲は刃状に横に広く広がっており、左右への回避は不可能だろう。ならばと下に屈めば腹への雷光が己の頭に直撃するし、上へと跳べば頭への雷光が胸を貫くだろう。
ガードして蘇生を待つか? と思いかけるが、ガード越しだろうがこんな電撃を喰らったら死体なんぞ残るまい。汚染能力によって食いしばりで死体を残すことも不可能なのであれば、待つのは永遠の死だ。
故に、逃げる方向は『前』。
腹と頭を貫く電撃の隙間。そこに身体を捩じ込んで直撃だけは回避する。
『はったれバッジ』の加護により、電撃の軌道は完全に見切れている。あとは、ちょっとの勇気があれば良い。己にはできる! 己にはできる! 己にはできる! 己にはできる! 己にはできる!
「お、りゃぁあああ!」
電撃の隙間にガードした頭を捩じ込んで、そのまま身体が電撃に触れる前に手をついて、そこを支点に体を動かして回転し、受け身を取る。
ヴリトラの放った電撃が刃状でなかったら、サーカスのような潜り技もできずに死んでいただろう。
しかし! 生きて、抜けたぞ!己は!
その達成感が己の魂を励起させ、『ニヤリ』と笑みを浮かべさせる。
「やれぇ、ロキ!」
あまりの事に呼吸をすら止まっていた皆を動かすついでに、ロキに攻撃の指示を出す。『ザンダイン』対象は『マハーマユリ』が攻撃した方とは別の方。これで、二体は共に大ダメージになっている。
「ブレイド!」
「合わせろ、
| マハラギダイン | 魔法スキル | 敵全体に火炎属性大ダメージ |
| デスバウンド | 物理スキル | 敵全体に物理属性大ダメージ(P4G) |
連打によって、ヴリトラ戦車のうち一体は『食いしばり』を発動した。機械的にインストールされたものとは思えない、ヴリトラ達の命への渇望が見えるようだ。
だが、こっちの手数は足りている。
| アースクエイク | 物理スキル | 敵全体に物理属性威力150の打撃型ダメージ このスキルによるダメージは物理防御力に依存する。 |
ゴグマゴグが、ぶっ放した貫通物理の地震は、ヴリトラ戦車の地面で炸裂し、一方の命を奪い去った。もう一体も食いしばって耐えたのだが、そこでリオが『暗殺拳*25』で意識の隙間から仕留めたので立ち直っての行動はできなかった。
「ぃよし!」
「グラツィエちゃんたち、マジでナイス! 加速状態のコイツらとデカジャ込みでやり合うのは、流石に無理だった!」
「……まだ終わっていません! 先のアンズー達の本隊がグラツィエさん達の方から迫っています!」
「ッ!……グラツィエ! サンドストームを解除しろ!」
「わがったっす! ずえど様!」
ヴリトラ戦車の背後にあった砂の城壁が解除され、ボロボロのグラツィエ殿たちが姿を見せる。あの球体、即殺しなければなかなか面倒な手札を持っていたらしい。
「ダニー、やってしまいましょう」
「ワンッ!」
しかし、そんな手札も有効属性でのマシンガン乱射には敵わない。財布へのダメージ量はあるが、それ以上リターンもある。それが、銃火器なのだ。
『シルフショット』にて丸コロたちは穴あきチーズやポップコーンになってたので、完勝だ。綱渡り所の騒ぎではなかったが全員生きているので結果オーライである。
「敵部隊が到着する前に、残骸を回収して離脱しまます。みなさん、敵の残骸を持てるだけ持ったら私の近くに」
そうして、『アンズー』達の本隊であったらしい『アールキング』や『ゴグマゴグ』が襲ってくるその前に、『トラエスト』によりダンジョンから脱出する。物理貫通を獲得している野良ゴグマゴグの足がもう少し早ければ耐性越しに『アースクエイク』で全滅しかねなかったが、どうにか転送は間に合った。
地獄絵図となりかけた己達であったが、誰一人ロストすることなくなんとかなったわけだ。やったぜ。
前線基地に戻ると、そこでは見慣れない車がいくつか止まっていた。
何者か? と見てみれば、人員は見えなかった。どうにももう既に異界内部に入ったらしい。
「
システィナ殿が
『助けてくれ』と目で懇願してくるが、己が
あとは、巻き込まれたくない、というのも若干ありはする。
「持って帰れたパーツは、これだけですか」
「ギリギリ一機の半分、といった所か?」
「おそらく。……コアパーツになっているのは、人間の脳髄を結晶化させたものですね。イデアオーブ同様に特殊光線を浴びせることでタンパク質を変異させて、高性能計算素子にしているのでしょう」
「人間の体って、便利な材料なのだなぁ」
「ええ。ヤクザという方々がこぞって集めたがる理由もよくわかります」
「……これが、マザーの手駒か」
「ああ。『バタフライエフェクト』のリソースを割くのに不十分だと思われた敵兵は、こうして『加工』されマシンになっている。まあ、加工自体のコストとの兼ね合いもあるらしく、さほど多く生産はされていなかったと記憶していたがな」
「人を数字としてしか見ない、邪悪な機械とは思わなかったのかい?」
「……マザーの前に統治していた者達よりは、マシだったさ。少なくとも私にはな」
なんかブレイド殿と、
「しかし、会議によって弱点を見出して、楽勝ムードにする流れではなかったか?」
「楽勝するにはあんまりにも敵が強すぎただけです。対策自体は有効でした」
「そういや、会議で思い出した。ムラカミ来るんだっけ。ていうか、来たんだっけ?」
「あの車達のどれかが、ムラカミ殿ならば、そうなのではないか?」
「私たちの第一フロアにての戦闘中に、第二フロアに侵入していました。『ドロンパ*26』を使っての隠密潜入でしたので、語る必要はありませんでした」
「んー、マップとかは渡せてる?」
「はい。問題なく」
そうしたのなら、幾らか休んでから己達は再び前線を作りに行くべきだろう。破壊工作からの撤退の際、『トラエスト』を妨害される可能性も考えなくてはならないのだし。
「はーい、ラーメン、ラーメンはいかがっすかー!」
「貰おう! 効果は要らぬ、豚骨をくれ!」
「はい、そんならチャーシューサービスするっスよー。美味い美味いって幸せオーラで客呼びに貢献して下さいっス」
とりあえずは、食事から。慣れない回避方法をして、そこそこに腹が減っているのだから。
ジエンくん。
キャラロストまったなしのタイミングで前転を閃くタイプの天才。無敵時間とかのない普通の前転であるけど、お手本と十分な訓練環境あれば? な感じ。
今回と前回で大活躍した『はったれバッジ』であるが、これは秋葉原のゲーム屋で試遊機を占領して『はったれ五右衛門』クリアまで漕ぎつけた際にもらったもの。裏技なしで完全クリアーまで辿り着いたその姿に感動した某屋根ゴミは、その夜ゲーム機を引っ張り出して挑戦したらしい。
愉快な仲間達
『電刃吼龍掌』を前転ですり抜けたジエンくんを見て、『ついに人間を辞めたか……』と思った。
ヴリトラ戦車
D2のマシンなので、タチコマ同様バステが通用します! なのでオルギアモードなって無効付けますねーという地獄仕様。バステかけて安全に即死運ゲーしよう! となったら暴走モードで焼き払われる。
そして、執筆中にこいつの『異能』での火力(電撃威力70%上昇)でジエンくんが確定一発というのをすっかり忘れていたという大ポカを誘発した邪悪モンスター(冤罪)
その結果、『荒神』『異能』『加護』『防魔』『素体』の5体のヴリトラだったんだ!という後付け設定を思いついたので、まぁ結果オーライ。
対策マシマシにして『勝ったなガハハ!』をしようとしたのにこの始末。この小説は割とライブ感で描いてます。