姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
一人、また一人とビデオ会談の場に上がっていく。発言は許可制であり、己含めて皆音声を発せない。だがコメントはできるようで少しずつ
『何で皆さん集められたんです?』『第三次世界大戦(があったから)だ』『なんだってそれは本当かい?』『乾匠って奴の仕業なんだ……』『何者なのだ? その者は』『ネタにマジレス返すのやめて』
と各々自由に発言をしていた。
そうしているとメイン画面に一人の女性姿が現れる。
年若く、銀の美しい髪を靡かせる彼女は、その目だけが死人のように腐っていた。人外ハンターランク4であった呉キリカのノートにその姿があった覚えがある。人外ハンター商会の礎を築き死んだ功労者だと。
『
そんな巫女殿は、顔面のパーツが精神の狂乱っぷりを表してるかのようにぐちゃぐちゃになっていた。
漂流者掲示板の『鍵』、およびキリギリス掲示板の暫定的な閲覧権限を授かった己は貸してもらった個人ブースの椅子にもたれて情報を整理する。
わかっていたが、己の過ごしたトウキョウは滅んだようだ。
世界は数多の滅びの中にあり、己のいたトウキョウやコメント欄にいた漂流者たちの世界は、様々な理由で崩壊したらしい。
己の過ごしたトウキョウが何時崩壊したかは分からない。なので、世界の崩壊から逃げ出した『次元シェルター』が今どうなっているのかは誰にも分からない。
もしかしたら、滅びた別の世界に辿り着いて、世界の崩壊に巻き込まれてしまったのかもしれない。もしかしたらシェルターそのものが崩壊して、時空の狭間で藻屑と消えたかもしれない。
もしかしたら、『この世界』ではなく別の世界に向けて漂流しているのかもしれない。
なんにせよ、己と同じ世界で育った人間と出会える事はもう無いのだろう。
「……戦わねば」
巫女殿は言った。ここが滅びゆく世界の最前線であると。ならばと黙って滅びてなるものかと。
自らの世界を守れなかった者たちは皆、戦う事を決意していたように見える。
己も、少しの間過ごしただけでこの世界の、この日常のある社会を守りたいと心から思っている。
使者の方が渡してくれた『ハンバーガー』は美味しかったし、『エヴァンゲリオン』などの映像作品も心が躍る素晴らしいモノだった。そんな作品が生まれたこの世界が間違いだとは言わせたくない。
戦う力は、己には十分備わっている。
己はかつてのハンター商会のトップ戦力であった。己の世界の最精鋭がこの世界の足切りラインの少し上というのは忸怩たるものがありはする。しかし他の漂流者の皆と違い、己は戦えるラインを超えている人間なのだ。
弱さが故にすぐに戦えないという辛さを味わっている者たちが鍛えるまでの間、己は戦うべきであるだろう。
「うむ。やるべき事とやりたい事が一致している。迷う事はないな!」
あとの問題といえば、『世界が幾度も崩壊した事』などは話すべきでないという指示をどのように守れば良いのか? という難題だけだ。
リオ達に多少喋ってしまったが、まぁなんとかなるだろう。
「ジエンくん、ケーキ切ったよー」
「けぇき? ……思い出した。柔らかく甘いパンのようなものだな! 御相伴に預かろう!」
「良いところのチョコケーキだから、美味しすぎてほっぺた落ちるかもよ?」
「なんと⁉︎過剰なる美味しさは頬を落とす物理ダメージになってしまうのか⁉︎」
「あ、ごめん慣用句。すっごく美味しいって事」
技研の皆と食べたチョコケーキ、それは重厚な甘さが脳を侵食する未知の感覚だった。確かにこれほどの感動であれば、己の頬が落ちて消えると錯覚しても無理はない。
飲み物として出された少し変わった深みのある味のコーヒー*1も美味であり、良いリフレッシュになった。
「さて……やってみようか『スレ立て』を!」
そうして、就業時間を終えた己は技研の仮眠室の一角を間借りさせて貰いながら仲間たちの情報を探してみる。まずないだろうけれど、一縷の望みを懸けて。
1:人外ハンターランク8@仲魔集め中@LV上げ中
こういった掲示板には不慣れであるので無作法にはお目溢し願いたい。
己は人外ハンター商会所属、ランク8のハンターだった。
だがトウキョウからの脱出戦の際にシェルターの仲間と逸れてしまった。
このスレッドを見ている中に仲間がいるのなら、連絡を願いたい。
2:名無しの漂流者@LV上げ中
立て乙、ランク8とか強そう
あと名前変な事になってて草
3:名無しの漂流者@LV上げ中
どーせこの狂った世界では雑魚でしょ。レベル100と戦うとかイカれてる
4:名無しの漂流者@LV上げ中
疑問なんだけど、シェルターの連中は普通に死んだとは想わなかったの?
なんか生きてるって思えるきっかけとかあるん?
5:人外ハンターランク8@LV上げ中
コレで名前は治ったか?
巫女殿の説明を全て理解できたとは言わないが、世界の崩壊から異界に逃れた者なら生きている可能性があるという説明に思えた。
己が最後にシェルターを見たのは次元ジャンプにてトウキョウから消えた時なので、崩壊に巻き込まれて死んでるとは思えないのだ。
6:名無しの漂流者@LV上げ中
あれ、シェルターから置いてかれてる? 乗り遅れたの?
7:人外ハンターランク8@LV上げ中
シェルター防衛のため殿をしていた。正直何故生きているのかは己にも分からぬ。
8:名無しの漂流者@LV上げ中
ここは任せて先に行け! は死亡フラグではなかったのか⁉︎
9:名無しの漂流者@LV上げ中
集まってくる悪魔が雑魚だったとか?
10:人外ハンターランク8@仲魔集め中
段々と強くなっていたが、最終的にはLV50台後半の軍勢が沢山だったな
メインは堕天使で、魔王も紛れていた化け物軍隊だったぞ
11:名無しの漂流者@LV上げ中
……この世界基準でもヤバくね?
12:名無しの漂流者@LV上げ中
MPもたないでしょ。嘘松乙
13:名無しの漂流者@LV上げ中
……何時間くらい戦ってたん?
14:人外ハンターランク8@仲魔集め中
シェルターがジャンプするまでは二日は経っていなかったはずだ。詳しい時間は記録にないので言えぬ。すまぬな。
>>12 仲魔のMPは合体で回復させ、己は周囲からのMAG吸い上げ*2でなんとか使う分を節約していた。手持ちのMP回復アイテムは使い切ったが、意外となんとかなったぞ
15:名無しの漂流者@LV上げ中
ガチもんのやべー奴な匂いがする。現在のレベルはおいくつで?
16:人外ハンターランク8@仲魔集め中
先日60になった。記録にある己の世界のランク1のレベルと数字だけなら同格になったぞ。この世界の大物のレベルが100を超えると聞いて、まだまだ先は長いと感じる所だな。
17:名無しの漂流者@LV上げ中
バケモンすぎて草枯れる。ウチの世界最強よりも10レベル高い。
18:名無しの漂流者@LV上げ中
何ッ⁉︎漂流者はレベル20程度でひーこら言うだけの連中ではないのか⁉︎
19:名無しの漂流者@LV上げ中
>>18 レベル10台後半の奴もいるぞ
20:名無しの漂流者@LV上げ中
流石にアナライズレベルのズレとかあるだろ。この世界の機械式アナライズってレベル結構高く出るし
……いや、それでも60はやべーわ
21:名無しの漂流者@LV上げ中
シェルターにいなかったのに世界の崩壊に巻き込まれなかったの?
22:人外ハンターランク8@仲魔集め中
シェルター近隣には『中庸の森』という異界があってな。ジャンプが成功した後はそちらで籠城をしていた。
そこが崩壊したと思ったらこの世界の異界に流れ着いていた! という流れなのだ。『山に登っていたら世界が変わっていた』という漂流者のパターンとほぼ同じだと思うぞ
23:名無しの漂流者@LV上げ中
……コレ、>>1だけがこの世界に流れ着いたってパターンでは?
24:人外ハンターランク8@仲魔集め中
己もそう思ったが、確かめなくては何も分からぬではないか。
と言う訳で改めて、何か知っている事があれば教えて欲しい。
25:名無しの漂流者@LV上げ中
あ、それならシェルターが無事か分かる方法があるかも
26:名無しの漂流者@LV上げ中
え、なんか知ってんの?
27:人外ハンターランク8@仲魔集め中
是非ともその方法を教えてくれ!
28:名無しの漂流者@LV上げ中
巫女さんが言うには、俺たちみたいな漂流者の同位体がいないらしいじゃん。
だから、シェルターに居る人と同じ顔の人が見つからなければシェルター内部で生きてる! って事にならね?
29:名無しの漂流者@LV上げ中
あー、言ってたなそんな事
30:名無しの漂流者@LV上げ中
自分の性別違いはいるぞ。実家覗いたら俺ポジがメスガキヒキニートだった。
31:名無しの漂流者@LV上げ中
>>30 涙拭けよ
32:人外ハンターランク8@仲魔集め中
なるほど、性別違いについては留意しよう。『男の娘』というのに注意すれば良いのだな!
33:名無しの漂流者@LV上げ中
その通りではあるけど草
34:名無しの漂流者@LV上げ中
ただ、悪魔の証明だよコレ。居ないことを知るためには世界全部を見なきゃ行けないんだし
35:人外ハンターランク8@仲魔集め中@LV上げ中
この世界を守り続ければそのうち分かるではないか
36:名無しの漂流者@LV上げ中
覚悟ガンギマリで笑うわ。レベル60とかこんなのじゃないと無理なのか……
37:名無しの漂流者@LV上げ中
そういや森での籠城ってどんくらいだったの?
38:名無しの漂流者@LV上げ中
40日くらいだな。一月半には少し足りなかった。
39:名無しの漂流者@LV上げ中
ヒエッ
40:名無しの漂流者@LV上げ中
漂流者だからとかこの世界のデビバスだからとかでなく、やべー奴はやべー奴なんだな
「やべー奴とは、少し酷くないだろうか?」
己は確かに最精鋭の一員であった。だが精神性については日常生活を送れる程度には人間であると言うのに、何故ヤバイ奴として見られなければならないのだろうか?
と怒りを覚えているとペルセポネーの忠言が届いた。
「召喚主様、この世界の一般的な精神とのズレが問題であると思われます。合わせるべき所を知らねば、適応はできません」
「なるほど! で、あるならば他のスレッドだとかの閲覧が有効だな! 多くの者を知れば、ヘイキンテキも分かるだろう!」
そうして、色々見てみる事にする。
人格を調べるのであれば『雑談』カテゴリの方が良いだろう。
その中に、少し目を引いたスレッドがあった。
【ママ活の】光のママ活勢として生きるために必要な事とは? 【闇に堕ちそう】
150:名無しさん@LV上げ中
纏めると、可愛すぎて子宮がキュンキュンするショタの生殺与奪の権利握れる所まで来てるってコト?
151:ママ活戦士見習い@LV上げ中
大体合ってる。いい子過ぎて幸せになれ! っていつも思ってるわ。
152:名無しさん@LV上げ中
それでやることがママ活なのか? というかママ活で良いのか? もっと人間としてやるべき事はないのか⁉︎
153:名無しさん@LV上げ中
新入りショタの未来は暗い。こんな女に関わってしまったばっかりに
154:名無しさん@LV上げ中
けどよぉ、高レベルの保護者がいるってのは子供にとっても悪かねぇんじゃねぇか? いや性的に喰いそうだってんなら出張ってぶっ殺してやるけどよ
155:ママ活戦士見習い@LV上げ中
いや、性欲はないわ。求められたら間違いなく股開くけど。涙目上目遣いとかされたら一晩コースじゃ終わらないと思うけども
156:名無しさん@LV上げ中
コイツは今仕留めておくべきだと私の勘が言っている!
157:名無しさん@LV上げ中
奇遇だな、俺もだ。子供の笑顔を汚す奴に拝ませる明日はねぇ
158:名無しさん@LV上げ中
話戻すけど、異界育ちの世間知らずショタってのが問題なのよな。
普通に学校行かせるとかじゃダメなん? 聖華学園とかの
159:名無しさん@LV上げ中
せやで。自分の所に監禁して逆光源氏プロジェクト! ってんじゃないなら、外には出しとけ。
160:名無しさん@LV上げ中
逆光源氏とかやってたらその首を切り落として解放するのでヨシ! (ショタの未来だけは)安心だ!
161:ママ活戦士見習い@LV上げ中
ちゃんとショタくんに見えないところでやってよね! 守れなかったトラウマとか抱かせたらぶっ殺してやるんだからね!
162:名無しさん@LV上げ中
どっちもトチ狂ってて草
163:名無しさん@LV上げ中
死んだ奴が殺すのかとか言うけど>>1は最前線レベルだものな。食いしばりくらいあるわな。
ショタ君が頑張って一回撃退しても復活するとかホラゲーのラスボスかな?
164:名無しさん@LV上げ中
というか、異界育ちのショタくんって勉強とかは大丈夫なん? 大学くらい出させてないと将来の選択肢狭いよ?
165 :ママ活戦士見習い@LV上げ中
あ、元々そのへん聞こうとしてスレ立てたんだった。
小学校教育すら受けてない子ってどんな感じに勉強させたら良いの? ちなみに年齢も不詳です。
166:名無しさん@LV上げ中
未開のジャングルからの野生児か何かで?
167:漫画好き*3@LV上げ中
聖華学園ではそのあたり慣れてる先生がいるから割と丸投げで大丈夫。京都みたいな異常環境から引き取られた子とかもいるから、そのあたりと進み具合合わせれば一人になることもないと思う。
ただ、自宅での勉強とかは勉強するやり方がわかったないと苦痛になるから、時間作って面倒見てあげないと駄目かな
168:漫画好き@LV上げ中
あと、その子の未来全部背中に背負うんだから自分が死んだ後誰に託すとかその辺りは遺書に残しておくこと。
当然だけど唯一頼れる母親役が死ぬのはとんでもなくショックだろうから味合わせないのが一番。一人じゃないんだから、仕事はちゃんと選びなよ。
169:ママ活戦士見習い@LV上げ中
ありがと漫画ニキ参考になった。まずは学校ってどうかな? って勧める所から始めてみるわ
170:名無しさん@LV上げ中
で、イッチの肉欲関係はどうするよ。賭けてもいいが絶対襲うぞ。
171:名無しさん@LV上げ中
自分より強い女に押し倒されて喰われるのってガチのトラウマもんだからな。今の嫁さんに10年かけて落ち着かせて貰ったけども、今でも騎乗位取られると立たんし出せん。
172:名無しさん@LV上げ中
強く生き……って言おうとしたら嫁さん持ちのガチ勝ち組じゃねぇか。羨ましけしからん。
173:ママ活戦士見習い@LV上げ中
やっぱ避妊手術受けるかなぁ?
174:名無しさん@LV上げ中
それはガチで止めろ。沼から引き戻れた時に本当に後悔するから
175:名無しさん@LV上げ中
子供作れない人がいるのに、それは流石にねぇ……
176:ママ活戦士見習い@LV上げ中
となると薬かね? コオロギむしゃむしゃするとか。
177:名無しさん@LV上げ中
コオロギは流産させる用の薬にはなるけど性欲減衰効果はねぇよ
178:名無しさん@LV上げ中
夜戦に突入する体力を残さなければ良いのでは?
179:ママ活戦士見習い@LV上げ中
それだ!
180:名無しさん@LV上げ中
レベル60台が疲れ果てるとか毎日どんだけ動くんだよ
181:名無しさん@LV上げ中
魔法型ならワンチャン
182:ママ活戦士見習い@LV上げ中
ガチガチの前衛戦士なので無呼吸状態での形稽古3周くらいなら余裕でいける。体力削り切るにはもうちょいハードなの考えないと
183:名無しさん@LV上げ中
死ぬわ
「ふむ、どの名無しさんが普通なのだろうか?」
「全員普通ではないと思われます(真顔)」
《hr」
明くる日、己は秀英戦国技術研究所の仕事を手伝わさせて頂く事になった。
それが許された故は、情報価値の暴落にある。
秘伝書に記された『封じられし悪魔』の類は伝承による弱点を突かなくても普通に殴り倒される。
術法書に記された『悪魔召喚陣』はデジタル化されてない上出せる悪魔のレベルも低い。
合体魔法などは使える情報であったが、何者かによって流出した情報によって秘伝以上のものが広く知らしめられた。
であればこの技研の資料は無価値なものか? と誰もが問うだろう。少なくとも己は問うた。
そして、それがどれだけ浅はかであったかは記された一つ一つの
「驚いた。熱量、情熱、文字に秘められた
「やはり魔を見る感覚の強いタイプか」
「多少目がいい程度だ。目でアナライズのできるほどの凄まじさはない」
「十分だ。本格的に見鬼を必要とはいないからな。今は」
「それで、この資料はなんなのだ? ゴワゴワした紙に記されているが」
「俺のオヤジが方々から押し付けられたもんだ」
「本来文字に残さず口伝で伝える事だとか、そういう資料もあるみたいなんだよね。GHQの焚書で消えそうになったから死ぬ気で残した情報だから」
「……ここにあるのは技ではなくその根本。理念なのか」
「まぁ世界に喧嘩を売れるほど洗練された技は少ないよ。そういう家のものはメシアンに見つかってるから」
「それならば、先日の『おんみょーじ』の異界の事は大変だったのでは?」
「あそこに残しているのは修行場の注意書きだとか、誰とも知らん修行者のぼやきしかない。一応データには残してるから問題はないだろう」
そういった断片データの中にこそ秘伝は隠されている気はするが、しかしその秘伝が有用ある可能性もないか。
残すべきは技そのものでなく、技を導き出した精神の方なのだから。
「で、今回お前にここを見せた理由がコレだ」
「……む? 強力な悪魔の召喚陣か何かであるのか?」
「この召喚陣で呼び出せる悪魔は堕天使ベリス。レベルは24で使うスキルは会心剣とアギラオ程度。昔じゃそれなりだったが、今では雑魚だ」
「伝承自体はそれなりの有力な悪魔よ。ソロモン72柱の悪魔ベリトの一種として見られていて、東京封鎖では『ベル・ベリト』として暴れ回ったって話があるわ」
「……だが、それは主題ではないのだろう? 召喚陣の方からは、
素直に、感じたままの言葉を言う。
こういった超常的な事の言語化というのは言葉の定義や尺度の違いとかで己の言語能力では難しい。己の学が偏っているのはあるが、それ以上に言葉が超常を捉えられるように出来ていないように感じている。
「そうだ。俺もリオも、そうだと見た」
「ジエン君がちょっと溢してたじゃん。魔導書を『力のあるテキスト』だって。ちょっと気になって文字の残留MAG濃度を数値化してみたんだよ。そしたら結構な数字が出てね」
「ではこの書物は何かとんでもないものなのか?」
「オヤジも私も、ジエン君も呼んでも体に異変はないでしょ? 書物自体はそんなにヤバいものではないと思う」
なるほど、と頷く。文字を記した時、そこには情報が生まれる。その時に熱量だとか必死さがあると情報の中に感情が紛れ込むらしい。バイト単位にすら届かない、微弱なMAGの広がりが。
そんな事を、命がけでマンガを描いていた一人の男を看取った時に教えられた。大切な思い出だ。
「だが、杏奈はコイツを見て何かの影響を受けた。誰とも知らない男の種で孕む程にな」
「杏奈……察するに、リオの相棒だった者か?」
「そう。……まぁ、杏奈が変になった理由として色々調べて最後に残ったのがこの資料室ってだけで、実際は見知らぬ悪魔だとかの影響を受けていた! ってんだったら笑い話にもならないけどね」
「杏奈は馴染みの癒術師の所に預けて検査だとかをさせている。なんの異常も見つからない以上どうにもな」
二人の言葉には諦めの色が混ざっている。この資料室の事を思いつくまでに多くの事を調べたのだろう。それでも理解できない『原因』を探していた。
「ジエン君、なにか思いついたことはないかな? 杏奈が大丈夫だって確信が欲しいの」
「……藁をも縋る思いだとは理解している。だが、己には心当たりがない」
「そっかー。ま、そうだよね。そう都合良くはいかない訳だ」
その日は資料室の簡単な掃除だとかで終わる。
資料に記されていた文字達はハンターメモに残されたような『力のあるテキスト』の一種であったが、特別なところはない。本気で記された文章であるだけだ。
特別な文字ではあるが異常な文字ではない、そう思えていた。
────今はまだ
一話取るほどじゃないけど縦のストーリーラインのチラ見せ程度はしようとした結果が最後の蛇足です。
文字にMAGが残るというのは独自設定です。悪魔が情報生命体ならば、情報そのものにも悪魔の種は宿るのでは?というこじつけです。
微弱なMAGだって事で許して
-追記-
2023/11/17 ループ周りの情報について微修正しました。さも全体説明でループ発言がされた!というのはありません。並行世界的な話として言われました。という『信用できない漂流者』についての説明になるようにしました。
今回のジエンくん。
まな板の上の鯉を捌く相談をされていたのに自分のことだと気付かないガバ。
『スレ立て』を習得したが口調を適用できてない。
主にMAGを感じ取る感性が高い。見つける時はだいたい視覚情報がきっかけなので目がいいと言っている。
ママ活戦士見習いのリオさん
スレ立てて適当に話してたら頭が茹だったママ活女であるという正体が明らかとなった。
下半身だけで物事を考えている訳ではないが、下半身も含めて物事を考えてるので頭ピンクな方向にもかっ飛ぶ。
ただし、ジエンくんを目の前にした時は母性強めなので、何も問題はない(大本営発表)
キリギリスでは、『あまり発言は多くないが貫通物理持ちのイかれた女』として見られていた。これから発言は増えていく。
ママ活って人生なのではないだろうか?と考え始めた。