姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
「めんっっっどくさ!」
技研から南に5キロほど離れたアパートの一室にて、技研を偵察している少年が口を開く。
彼の名は
偵察時にガバってアラームトラップに引っかかってから2時間。敵が焦れて出張ってくるのを狙い、仲魔をわざとアラームに掛らせたり、偽装地点からの探査波を照射したりといくらかハラスメントを仕掛けるなどを試みている。
しかしその試みは全て失敗しており、使い捨て用とはいえ仲魔のアナライズデータも抜かれてしまっている。
多少の揺さぶりで崩れてくれるような、雑魚ではない。
そう考えた辞林は、だからこそ自身が偵察までもしている現状を嘆いた。
「ちくしょー、なんだってアイツら事故死してるんだよ。
研究者であるはずの彼が自ら偵察なぞしているのは、単純なる人手不足、あるいは人望不足からである。
漂流者組織『エデン』、そのフロント組織である『ガイア再生機構』には当然戦闘員はいる。しかし、研究者が自由に使えるほど人材があふれているというわけではない。
無論、懇意にしていた戦闘員たちはいた。辞林が自身の技術と有用性を示して協力関係を結んだ者たちが。
故にと彼らに偵察を任せようと連絡を取るも繋がらない。何故だ? と仲介屋の『ベアトリーチェ』に繋いでみれば、現地の
メシアン、ガイアーズなどなど思想の統一はできていないが、確かな実力を持っていたチームだった。故に何かしらの初見殺し事故*1にあったのだろうと推測をしているが、真相は闇の中だ。
ほぼ唯一の伝手がなくなってしまった以上、彼自身が偵察などの雑務を行う必要があるのだった。
「さて、もうちょいちょっかいはかけてみるけど、あの警戒網を手札を切らないで突破するのは無理っぽいね。『ドロンパ*2』での透明はそもそも通じてないし、索敵範囲は全方向だから背後から襲うとかはできそうにない。敵の要塞を正面突破で潰せるほどボクは強くないんだよねぇ……でも、他の雑兵だと高いんだよなぁ、ツケも効かないし」
辞林が警戒しているのは、『ゴドーの娘』の存在だ。技術の蒐集と継承を基本命令に仕込んでいるゴドーが彼の娘に技を仕込んでいない訳はない。才能の有無により大きく実力は変わるだろうが、ゴドーと同程度の手札の多さはあると想定しているために。
無論それだけではない。工作員からの情報にあった二人の
辞林の実力ならばビルごと消し飛ばして完封することは可能だ。しかし、彼の今回の目的はデータ収集。『琴葉リオ』に様々な行動を取らせ、その際に変化する魂の動き、精神兆候の変動、そういったものを観測することにある。
モルモットとして確保してからでは得ることのできない、魂が全力で稼働している際のデータ。それをもってこの周回で記録を残した方法を探ろうとしているのだった。
「……あれの記録の中に精神技術者訓練についてのレポートとか残ってたら嬉しいんだけど、流石にそれは高望みだよねー。5個前の世界で回収できなかったのをゴドーが記録してたりとかは……ないか」
辞林はあれこれとぼやきながらも
その姿を、周囲の人々はぼんやりと見ていた。殺すこともMAGの痕跡を残すこともしない、脳科学による催眠技術により呆けている状態のままに。
夜の街を、少年が歩いていく。ごく普通の容姿、ごく普通の服装、ごく普通の歩き方であった。
20には届いていなさそうな少年が深夜近くになったこの時間に歩いていることに疑問を持つ者はいない。『認識阻害』の術を仕込んでいる訳ではなく、
「まぁ、幸いなのはああいうのと直接殺し合う必要がないって事だよね。魂のの解析だけなら、いろいろとやりようはあるんだし」
そうして、辞林が事務所の東側の特定地点に到着する。
秀英戦国技術研究所にながれ込む、本流から枝分かれした細い龍脈上の一点だ。
「さぁ、やっててみようか……」
「秘術、『龍脈渡り*3』」
空気が変わった感覚がある。一見すると違和感はない。しかし直感が『戦場になった』と己に告げている。
「起きろフジワラ! 敵だ!」
「……結界のアラームトラップは鳴っていません、遠距離攻撃ですか?」
「分からない、けど私も同感! なんか仕掛けられてる!」
目覚めたフジワラが『マッパー』にて周辺を探知する。すると、視界へのオーバーレイにて敵性反応が召喚されたポイントが表示される。
「1階に敵です! しかし……これは……?」
フジワラの疑問を補足するように、視界に敵のアナライズデータが表示される。
現れたのは、こんなのだった。
| 造魔 | メダマノオヤジ | LV1 | 精神無効 魔力無効 |
「れ、レベル1ッ⁉︎」
「反射狙いに注意しろ! ダメージ量がそのまま返ってくる奴がある*4!」
「所持スキルが見えません! ジャミングが仕込まれています!」
とりあえず、現在状況の把握。
現在己達がいるのは、5階建ビルの4階フロア。実務などをするフロアである。空間を少し弄っているので、己達の居住スペースのこのフロアだ。
1階は受付や待合室などがあり、2階、3階には秘伝書、資料などを保管する資料室がある。5階はデビバスの仕事用の倉庫と、所長室がある。
「資料室を完全閉鎖! あそこには手を出させない!」
「防火シャッター、防魔シェルター術式、どちらも完了しました!」
「1階にはここから己が対処する! 召喚、ファフニール!」
邪龍の種族固有スキル、『邪念流動』にて射程を縦に伸ばし、1階の造魔に向けて攻撃を放つ。
遮蔽物に遮られても攻撃が当たる*5あたり、このスキルって攻撃をワープさせているのか? と若干気になったが今は放置だ。
初撃は、己の
| 真・物理見切り | 自動効果スキル | 物理属性に対する回避率を大きく向上させる |
だが、躱された。敵が小さいというのもあるが、攻撃の瞬間に
「ファフニール、殺せ!」
「無茶言ウナ!」
そして、ファフニールの攻撃だ。放ったのはこれまた通常の『ATTACK』。攻撃スキルとして『モータルジハード*6』を所持しているが、しかし命中不安技なので今回はナシだ。
すると、その攻撃はメダマノオヤジにヒットした。指示した己が言うのもあれだが、完全なるラッキーヒットである。
| 食いしばり | 自動効果スキル | 致死ダメージを受ける時、一度だけHP1で耐えることができる |
が、死なない。レベル1でも最低限の仕事ができるようにスキルを仕込まれているようだった。
| アナライズ | 特殊スキル | 敵単体の個体情報を調べる |
そうして、メダマノオヤジはアクティブスキルでの『アナライズ』を放ってくる。対象は己、魂が探られる不快感と共に、今のちゃんとしていない装備情報が抜かれてしまった。しんどい。
そして、『邪念流動』の後隙*7
に差し込まれる形でメダマノオヤジの『逃走』が発動。情報に分解され、敵のCOMPに戻ったようだ。
「アナライズをするためのドローン造魔?」
「聖華学園に来たドリフの一人に、索敵用の造魔を多数召喚する戦法の者*8がいた。おそらくその系統であろう」
「
続いて、2体ほどの存在が現れる感覚がある。おそらくメダマノオヤジだろう。レベル1というのは、間違いなく量産を目的としての低レベル化だ。少なくと10は居るだろう。
……いや、10は少なく見積り過ぎているな。30異常100未満あたりだと自分の考えを補正する。これは多すぎるか?
「現れたのは、1階と5階に1体ずつです。ジエン、リオ、別れて向かってください」
「承知した」
「速攻でやってくるわ」
己は5階に上がり、ゴグマゴグとマハーマユリを召喚し戦闘に入る。
敵の行動は『アナライズ』、対象は己でも仲魔でもないので、おそらくフジワラだろう。
情報を渡す義理などないので即座に破壊に移る。『フォッグブレス*9』にて回避を下げ、『鋭気の権化*10を持つゴグマゴグの『ATTACK』を直撃させる。そして、死亡し『食いしばり』を発動したタイミングでマハーマユリの『ATTACK』を叩き込み、トドメを刺す。問題はない。ここまでは
| ペトラアイ | 魔法スキル | 敵単体に呪殺属性でSTONEを付与 |
「ッ⁉︎」
しかし、突然に現れた2体目への対応には失敗しかけてしまう。己には『鳥人の腕輪』が、あるので『ペトラアイ』含む呪殺属性は無効なのだが、仲魔は違う。ファフニールが直撃して石化した。
「新手だとッ⁉︎」
「ジエン! リオ! 『黒子の歩法*11』です! 現れた一体の影に、もう一体が潜んでいます!」
LV1造魔であることの存在感の薄さを最大限に利用した作戦なのだろう。バックアップとしてレベル相応の実力者であるフジワラの目を欺いている。
レベルの高さだとかスキルの破壊力だとか、そういう次元とは全く違うタイプの実力者が敵サマナーのようだ。
そして、スキルを放った後には
「リオ、無事か⁉︎」
通信機越しにリオに声をかける。リオ自身は単体での突撃のため、事故った可能性を考えての事だった。
「問題なし、2体とも始末した!」
「こちらはアナライズ役は仕留めたが、『ペトラアイ』持ちは逃した! 呪殺相性に注意しろ!」
「知ってるわよその流れ、呪殺耐性仕込んだら魔力相性の『ペトラレイ*12』ぶっ放すやつでしょ!」
叫ぶリオ。全くもって同感である。こいつらのスキルからは罠の匂いしかしないのだ。
「敵が結界を超えて転移している方法が分かりません、技研に留まるのは悪手かと」
「向こうは徹底的に私たちをアナライズしようとしてる! 向こうの持つ必殺が通るかを確認してる段階! 突っ込むにしても敵が何を調べようとしてるのかにアタリを付けてからじゃないと、簡単に殺される!」
リオが叫ぶ。向こうの手札として使ったのは『極・物理見切り』『アナライズ』『ペトラアイ』のみ。
……直感から、マハーマユリを下げてロキを召喚する。そして、ロキに『ディストーン』を使わせてファフニールの石化を治療する。
敵の目に、アイテム係を召喚したと映ってくれれば御の字だ。
「サマナー、私は逃走を進言しますよ。この敵とは、戦うだけ無駄です」
「割と同感であるが、寝ぐらを焼かせる訳にもいくまい。ロキ、どういう考えからその結論に至ったか話してくれ」
「奴の撃つ手には殺気がありません。常に安全な位置をキープし、いざとなれば目的を捨て逃げることも迷わない、弱者のやり方です」
「……厄介だな」
「して、サマナーは勢い任せの大馬鹿者。敵の流れに乗ったまま戦い続ければ、いずれ悪手を撃ち順当に殺されるでしょう。故に、逃げるべきかと」
ロキの言うことは8割くらい正しい。間違っているといえば己の評価に『阿呆』が抜けていることくらいだろう。己は基本的に踊り散らかす阿呆である。
「よし、攻めるか!」
「でしょうね」
ロキの言うことは理解した。つまり、敵の流れを強制的にぶった斬れれば良いのである。
だとすれば、行うべきは攻撃だ。
「ロキ、フジワラはお前を見ている。裏切れるとは思うなよ?」
「さて、フジワラ様が貴方に偽りを告げるかもしれませぬが?」
「その時は己を笑え。とうの昔に、フジワラに騙されて死ぬならば構わないと決めている馬鹿者をな」
不敵に笑うロキ。コイツは己がフジワラを信じる! とかそういう甘いだけの言葉を言えば契約の縛りがあろうと反逆をする奴だ。
だからこそ、扱い易い仲魔なのだ。己が己を道を突き進み、コイツがそれを面白がる間ならばコイツは決して己を裏切らぬ。
己が己の生き方を変えることのできぬ大馬鹿者である限り、大丈夫なのだ。
「行け、ロキ!」
「ええ、サマナー」
5階の窓を開け、夜の空を飛んでいく悪魔ロキ。
ロキの速度が上がっていくにつれて、周囲の空気が変わっていく。邪魔をするものへの明確な殺意だ。
ビルの内側にいた己達は、よく動くおもちゃ程度にしか見られていなかったのだろう。それがよく伝わってくる。
「フジワラ! 敵は何処だ⁉︎」
「マッパーの索敵範囲外ですが、東方向! この気配、『メギドラオン』です!」
ロキの飛んでいる空域全体に万能属性の魔力が集まっていく。遠距離からの攻撃では精度を出せないのだろう。だから、空を丸ごと消し飛ばす。力技だ。
だが、その力技をLV90クラスの力量で放たれてしまえば洒落にならない。ビルを守る結界程度で防げるものでなく、アレを初手で撃たれていれば己達はなす術なく死ぬ事になっていただろう。
そして、空が消失する。
上空の雲には魔法の余波で丸く切り取られた空間ができる。ロキが高く飛んでいたから、街を巻き込んだ破壊とはならなかったのだろう。
細かいところに気が効く奴め
「……ッ⁉︎ジエン、リオ! 技研の結界に異常が発生しました! 反転し、私たちを閉じ込める方向に変わっています!」
「……今までのは、足止めと時間稼ぎだった?」
「どうにも、こちらに引きこもりを続けてほしいらしいな」
「ジエン、勝手な行動をするなら一声かけてください! 状況が無駄に悪くなっています!」
「すまぬ。怒りは後で受け止めよう。理由はその時に話す」
「見て居ましたので不要です!」
フジワラの割ともっともな怒りをもって、淡々と事実ベースで語られる説教はまあまぁ心に来るのだが、しかしそれを避けられる状況ではない。ジャンク屋で売れ筋アイテムだった『バルーンシールド*13を使ってしまったことも含め、そのうち謝ろう。
「この反転結界はウチの資料の盗難防止用機能よ。盗人をビルの中に閉じ込めるって奴。つっても、私達は普通に管理者キー持っているから、地下の管理室で解除できるわ」
「あからさまに罠ですが、行くのですか?」
「んー……」
リオが考え事をしながら、虚空に拳を二度叩き込む。
すると、その先には砕け弾けたメダマノオヤジが存在した。食いしばったところに追撃の一撃を入れたらしい。
「コイツらを見切るコツは掴んだ。道中皆殺しにしながら、行きましょう」
「……私の視界を、欺いた?」
「私たちも見えてた訳じゃないわ。けど、変な所からフジワラちゃんの気配がしたからね」
「なるほど、自分の臭いに気付けないのと同じ原理か」
自身の臭いというのは自分の鼻が無意識に無視してしまうことがあると聞いたことがある。日常的に感じる臭いは安全であるから、危険だとか変だとかの印象を覚えなくなるからだとか。
フジワラの感知も似たようなものなのだろう。マッパーによる地形探査も、アナライズ、サードアイによる探査にも当然フジワラ自身のMAGを使っている。
自分のものは安全であると、無自覚になることもあるだろう。
「……もしかして、このメダマノオヤジって作られてから時間経ってない?」
「かもしれんな。躯体に模倣するMAGのデータを入れているのだから、測定した後でなければ作れまい」
「LV1なのもそれが理由ですか。私に似せたMAG以外を使わないために、出力が絞られていると」
意識を切り替えたフジワラが、自分の知識の中から仮説を叩き出す。なるほど、だから造魔は雑魚であったのだなー。
「……で、ごめんねフジワラちゃん。多分私らのアナライズデータはもう盗まれてる。隠れてた奴らで
「それは仕方がありません。先手を取られた私の落ち度です」
「それで、私らを閉じ込めたのは詰みに持っていく算段が付いたからだと思うんだ。地下にあるのは、私たちを殺せる手札な訳よ」
「ゆるっと詰められたな、己達」
「流石に親父をとっ捕まえただけはあるわ。やり手ね」
などと言っているが、リオの自然体に釣られてフジワラは冷静さを取り戻してきた。己は元々気負ってはいないので問題ないと思っていたが、存外気持ちは楽になっている。
「死線であるな」
「デッドラインだねぇ」
「超えていきましょう。私たちなら、可能です」
地下の訓練室の扉を開く。管制室の前のスペースを拡張して作ったのが訓練室であるから、避けては通れない。
「……なんの変哲もない、造魔ね」
「人型タイプだな。レルムで見たことがある。素体である『ドリー・カドモン』がそこそこの数漂流物で流れ着いているらしい。使い勝手は良いらしいぞ」
「今、アナライズ結果を出します」
| 造魔 | F型戦闘用造魔 | LV72 |
| 破魔、呪殺、神経、精神無効 | ||
特段変わった所がない。強いて言えばレベルが低いのが問題だろうか? こういう手合いがそのまんま普通な訳がないので、注意していこう。
「……ここを抑えてくるって、完全に情報戦で負けてたわね。いつからウチに攻め込もうとしてたのよ」
リオがぼやき、構えを取る。
造魔も、同じ構えを取った。
「……ジエンくん、フジワラちゃん、私が前張るわ、援護お願い」
「この構え、ゴドーの技をインストールした造魔か?」
「……違うわね。コイツ自身が鍛えた技よ。手本にはしたかもしれないけど」
リオがそう言うと、造魔は口元を緩めた。武術家の造魔、なのだろうか?
サラスヴァティとゴグマゴグを召喚し、援護の体勢を取る。ゴグマゴグのラクカオート*14が発動し、リオの防御力を一段階上昇させる。
しかし、それは敵側に現れたメダマノオヤジのデカジャにて解除される。
現れては消えてを繰り返すそれは、先のセイテンタイセイの使ったシンドゥミステリーに似た、当たり判定を隠す技だろう。
「起点をあの造魔にした『隠し身*15』ね」
封魔管を使った古式召喚術の技だっただろうか? 悪魔を攻撃から隠す技の類がそんな名前をしていた。
そうしていると、敵がリオに接近してくる。注視していなければ動いたと認識できないよう、静かな動き出しだった。
だが、リオはその動きに対応している。そして放たれる2人の技。鏡合わせのような、突撃からの連打だった。
| 物理貫通 | 自動効果スキル | 物理属性の攻撃時、耐性、無効、吸収を無視する |
| 霞駆け | 物理スキル | 敵複数体に物理属性中ダメージ2〜4回。真4Fではめまい、真Vでは幻惑の追加効果を付与 |
| ハイパーカウンタ | 自動効果スキル | 20%の確率で物理攻撃を反射する |
| 猛反撃 | 自動効果スキル | 力依存攻撃を受けた時、確率で中ダメージの物理攻撃で反撃する |
「ラッシュの速さは……互角ッ⁉︎」
「霞駆けからの派生は互いに四発! そこにカウンターと反撃が差し込み続けられている!」
滑るような静かな踏み込みから始まった近接格闘は、いきなりの超高速戦闘だった。互いが互いの攻撃に反撃やカウンターを重ねている。あまりにも早く動きまくるものだから、通常の戦闘タイミングでの援護は難しい。
これは無理だとサポートに徹する。割り込めないなら、手番の切れ目をじっくり待ち、差し込む。
互いの反撃の拳が正面から衝突し、ラッシュが止まるようなタイミングで。
「霧に沈め! 『フォッグブレス*16』!」
「回復よ、『ディアラハン*17』」
「踏みとどまれ、母親気取り!」
己のフォッグブレスによる弱体付与、ゴグマゴグの『ウォークライ*18』による強化が重なる。そしてクイーンメイブの回復が入り、リオは万全の状態。
敵方は『デカジャ*19』『デクンダ*20』『タルカジャ*21』と強化を打ち消しつつの強化。この場で一度に動いたメダマノオヤジは3体。弱体を消しつつ、強化を重ねてきた。続けばリオが不利になる。
ならばと先にメダマノオヤジを始末しようとすれば、すぐに『隠し身』が発動されメダマノオヤジの姿は消えてしまう。
「確か、隠し身は封魔で止められる*22のだったな」
「ジエン、魔力神経以外で魔封を入れる手を持っていますか?」
「なくはない。付与率はそう高くないがな」
| クローズショット | 弾丸 | 威力84の銃弾。魔封の追加効果 |
「やりましょう。互角が続くのは
一瞬離れた距離はもうすでにゼロになっている。リオが放ったのは『千烈突き*23』互いの速度差によって攻撃回数が変化する小ダメージの乱打技だ。放てた回数は3回。速度は向こうが上のようで、大した回数放ててはいない。
対して向こうが放ったのは『ゴッドハンド*24』生命力を込めて巨大化した拳を叩きつける技として使い、パワーで散らす算段のようだ。
タルカジャ一回分リオが不利。
しかしゴッドハンドにハイパーカウンタを合わせた事によりノーダメージで切り抜けたリオは突きの3連打を叩き込む。
一発はハイパーカウンタにより反撃され、一発は猛反撃による反撃に繋がり──一発は、クリティカルに敵の喉に突き刺さった。
そして、リオの仕込んだ毒が造魔へと炸裂する。
| 封技追加 | 自動効果スキル | 通常攻撃、物理系スキルに封技の追加効果を付与する |
そして、その瞬間に造魔を中心にしていた隠し身が解除され、メダマノオヤジがこの世界へと引き摺り出される。
「確実に始末する! フジワラ!」
「回避能力があろうとも、レベル1はレベル1です。ダニー!」
己とダニーが放ったのは『マハジオストーン*25』。己の故郷より持ってきたアイテムであり、アイテム攻撃の凄まじい鋭さにより実質必中攻撃となっているアイテムだ*26
メダマノオヤジは一発目の電撃を食いしばるものの、続く二発目の電撃の直撃を受けて消し炭と化した。
「これで!」
そう言ってリオが攻めに転じようとした瞬間、『パトラ*27』によって造魔の魔封が解除される。やったのは倒したのとは別のメダマノオヤジ。いつのまにか、また召喚されていたらしい。
今度も3体。そして、メダマノオヤジの死体が
「……なるほど、支援を絶やさないでいればガチンコで負けることはないって計算なワケね」
「舐めてくれんじゃないの……ッ!」
戦闘は続く。正面衝突を余儀なくされている、この盤面で。
「うん、データ収集は順調だね。技術の主軸になっているのはゴドーと同じくガイア式の対悪魔格闘術。スキル一つ一つの練度に比べて戦闘での立ち回りは平凡だ。『野生児』みたく外法と才能で練度を誤魔化している訳じゃない。そんな凡才のくせにあの数と質、やっぱりまともじゃない」
辞林が、『龍脈渡り』にて技研に流し込んだ『メダマノオヤジ』は
彼女のスキルの適正は異常だ。物理や火炎、回復や補助といったメジャー属性だけでなく、念動、祝福、水撃などのマイナー属性に至るまで全ての属性に対して『+1の適正値』を示している。
「人間である今なら意味はないに等しい話だけど、悪魔化すれば+1ある適性をすべて『教典*28で補強できる。そういう用途で調整された魂だね」
『メダマノオヤジ』からの観測データは、F型戦闘用造魔と琴葉リオが互角に殴り合っている様子を示している。
あの造魔での戦闘における感性の引き出し方は2つ前の世界でのゴドーのイマージュをベースにしたものだ。戦闘におけるロジックや技の引き出し方などの戦闘スタイルの根幹が似ているから、ここまで互角の戦いになっているのだろう。
もっと簡単に捌けると踏んでいた辞林は、軽い驚きの中にいた。
「しかし、ガキどもの方はなかなか引っかからないな。そろそろウザい見た目の目玉にキレる頃だと思うんだけど……」
そして、想定外なのは他にも幾つかある。
例えば、野生児の死を嗅ぎ分ける嗅覚だ。
奴は、メダマノオヤジを仕留める際の『マハジオストーン』の攻撃範囲を見えている3体だけに絞っている。けっこうあからさまに『ここに隠れている』というポイントは見せていると言うのに、そこを攻撃範囲に巻き込んでいない。
待機させている一体に『マカラカーン』の発動を待機させているのを、見抜いているかのように、だ。
たかがマハジオでも、現在戦闘可能エリアにいる24体からの反射を受ければ致死ダメージになる。そして、サマナーの方が崩れれば支援役でしかないフジワラの方はバッドステータスの連打によって石化できる。
メインプランである『琴葉リオ』の戦闘データ測定には問題はないものの、ごちゃごちゃ動き回る雑魚を封じられていないのは少し気分が悪い。その程度の些事だった。
「あぁ、本当になんで全滅したかなぁアイツら……メンタル腐ってるのは問題だったけど、それ以外は普通に使えた優良戦力だったのに……」
無論、愚痴ったところで現状が変わることはない。死んだ者達が蘇り辞林に味方をすることはない。
そんな余計なことを考えている時だった。
不意に、電撃が襲ってくる。
レベルは60台中盤程度、龍の気配を漂わせる、蒼色の電撃だ。
MAGを込めた手で電撃を弾き攻撃を防ぐも、静電気が走る程度だがダメージは通っている。
明確な、敵襲だった。
金の髪に、鬼の面。握られている近代的なブレードに背後に浮いている球体ドローン。
「貴様、何者だ?」
「そっちこそ何者だい? ボクは君に攻撃なんかはしてないんだけど」
「私の友人に攻撃をしているのだろう? 遠隔地に悪魔召喚を行って」
「……ネット回線は真っ先に封鎖した筈なんだけど、どっから知ったのさ」
「普通にメッセージは届いていたぞ。封鎖しそびれた回線があったのではないか? まぁ、私の知る所ではないのだが」
「それもそうだね。つまり君を筆頭にこれから沢山来る訳だ。あの子ら楽しそうに生きてるから、友達多そうだもんね」
などと言いつつも、メダマノオヤジを介して情報封鎖が解けていないかを確認する。
間違いなく、技研から送信する情報を封鎖、偽造するAIは機能し続けている。外側から情報を見ようとする者が居なければそうそう発覚はしない筈だった。
「……『アリババ』か?」
「私に聞くな、戦うしか脳がない」
「そういう事を言う奴で、本当に戦うしかできない奴は少ないんだよね。面倒くさいなぁもう」
「だから、キミを排除してさっさと逃げさせてもらうよ」
戦闘が始まる。
先手を取ったのはブレイド。銃口を向け、『マーキング弾』を発射する。そこに辞林は無警戒に突っ込んでいく。銃撃反射相性だ。
その結果、銃撃そのものは反射されるも辞林に僅かな電気属性ダメージと、『MARK*29』の状態異常が付与される。
「複合属性弾か。銃撃と電撃、どっちかが通ればマーキングって?」
「良いアシストだ、ブレイド!」
そして、そのタイミングで影から一人の男が現れる。身体中にツギハギの縫合痕を持つ男が、刀を抜いて切り掛かってくる。
| 奥義一閃 | 物理スキル | 敵全体に物理属性中ダメージ、確率で即死 |
「遅い」
| ハイパーカウンタ | 自動効果スキル | 敵の物理攻撃を確立で反射する |
しかし、ツギハギの一閃は刃が届くまえに放たれた蹴りにより、反射され、ツギハギ自身に深手を負わせる。
「流石にコッテコテの自衛隊剣術を見切れないほど僕の目は腐ってはいないよ?」
そして、姿勢の崩れたツギハギを辞林の拳が襲う。
| 万魔の一撃 | 物理スキル | 敵単体に万能属性大ダメージを与える。ダメージは力依存 |
「がはっ⁉︎」
「ツギハギ!」
ツギハギはその一撃にて吹き飛ぶ五体を『食いしばり』にて耐え、命を繋ぐ。
しかし、攻撃は続いた
| ニ身の残影 | 自動効果スキル | 確率で、同じスキルを繰り返し発動する |
| 万魔の一撃 | 物理スキル | 敵単体に万能属性大ダメージを与える。ダメージは力依存 |
同じ瞬間に二度行動をしているような動きの鋭さから放たれた一撃は、ブレイドの『カバー』によって防がれる。しかし、無理な動きで庇ったことにより
「いや、一撃で食いしばる程度の雑魚の癖に出てこないでよ。ボクは別に殺しが好きなシリアルキラーじゃないんだよ?」
「雑魚かどうかは、ここからを見てからにしてもらおう! 頼むぞ、
「初手発動は考慮してなかったけどね……行くよ! ブレイド、ツギハギさん!」
| 自動効果スキル | 味方が食いしばりをしたとき、連動効果発動 | |
| 味方のHPMPを全回復し、スキルの封印状態を解除する | ||
その食いしばりの発動タイミングに、ブレイドの背後にいた球体ドローンが歌を歌い始める。その歌は、死にかけた二人に生きる力を与え、ダメージを全回復させた。
そして、その球体ドローンには人型のヴィジョンが重なる。翠の髪に元気そうな表情、そして赤い翼を持った『歌を歌うための姿』だった。
「これがあの丸いのの力とは、なかなかどうして侮れん!」
「この強化があっても戦力差は覆らん! 注意しろ!」
「だから戦力差があるって分かってるなら来ないでってば。キミらも別に自殺志願者って訳じゃないんでしょ?」
などと言い、面倒臭さを隠さない辞林。それはある意味当然である。なぜなら、F型戦闘用造魔は造魔。完全なる『虚心』のままだからだ。
その動きの一つ一つ、その技も駆け引きも全て遠隔操縦にて辞林が行なっていた完全
「あ、また被弾しちゃった。技封追加強いなー」
「何を!」
「向こうのことだよ。戦いが巧い連中だね」
その言葉の中の楽しそうな感覚が、ブレイド達を苛立たせる。片手間で相手をされていると理解したのだろう。
「調子に乗るな!」
ブレイドがマーキングにより回避不能状態となっている辞林に
ダメージは通る、無敵ではない。
「あ、また間違えた」
追撃に踏み込もうとしたブレイドに合わせて引き、斬撃の射程の半歩外へと移動した辞林が言う。
「琴葉リオを殺しちゃったじゃないか」
ブレイドとツギハギの表情が強張る。共に戦った経験のある彼らはリオの格闘技術の高さを知っているためだ。おおよそ片手間で仕留められるような戦士ではないと。
「割と互角だから殺さないようにするのは大変なんだよ?」
「……殺さないようにする?」
「理解できんな。お前は技研を襲撃する側だろう。何故手加減をする必要がある」
「ボクが欲しいのはあの娘のデータだからね。機能が最大限に発揮され続けている状態を継続して欲しいだけで、殺したい訳じゃない」
「というか、分かるでしょ?」
「殺すだけなら、簡単なんだから」
そういって、技研での戦闘において、蘇生の為の明らかな隙になるタイミングで、辞林は自身の意思を目の前の敵二人に集中する。
圧倒的な死の気配。造魔操作のために使う力を自分自身につぎ込んだ辞林の気配はレベル90以上のそれだった。
「……想像以上だな」
「格上だと知ってはいた。変わりはない」
「ちょっとは怯んでよ。ビビらせようとしたボクが馬鹿みたいじゃないか」
しかし、ブレイドもツギハギも怯えは見せない。彼らにとっては、自分より強い者と戦うのは日常であった。レベルがどれだけ離れているかは、さほど気にするものではないのだ。
どのみち、勝つしかないのだから。
そんな時だった。この場の3人の足元がぐらりと揺れる。地震にしては一瞬だけの、奇妙な揺れだった。
「……ッ⁉︎生きていたのか、魔王ロキ!」
これまで余裕を保ってきた敵の見せた明確な隙。二人は示し合わせるでもなく同時に切り札を切る。
「RoRo!」
「オーケー! EXウェポン起動! ヴリトラソース、
ブレイドが放つのは、龍王ヴリトラの固有攻撃スキル『雷刃吼龍掌*31』。それを『黒色帯電*32』による電撃属性強化を持って放つ、飛翔する黒い斬撃だった。
「チッ!」
舌打ちと共にその斬撃に手刀を放つ辞林。被弾すれば重症は避けられないという確信が辞林の全力での防御を誘発した。
「その隙貰った!」
そんな全力防御の後隙に差し込まれる『奥義一閃』。斬撃の鋭さにより、『死の感覚』を叩き込む絶技である。
初手では遅いと返された技だったが、しかし今は違う。
ツギハギもブレイド同様に、
するりと、少年の首が落ちかける。
しかし少年の体は身体を傾けて、首が落ちようとする力の向きをコントロール。そのままMAGを励起させることで『食いしばり』を発動し、切られた首をつなぎ直す。
「……うわ、油断しすぎた」
「このまま仕留めろ!」
「分かっている!」
そうして、ブレイドとツギハギがトドメを刺さんと追撃を仕掛ける。しかし、その攻撃は当たらない。『
「……しかも、
困惑するブレイドとツギハギ。彼らの知るところではないが、現在夜の闇を駆け抜けてとある者達が近づいてきていたからだ。
『アリババ』というアカウント、その正体は怪盗団のサポーター『ナビ』。彼女はフジワラとのチャットが不自然になった事から攻撃があったと判断し、技研周辺に住むバスターに救援を要請した。
しかしそれでも不十分だという直感に従って、自分の最も信用できる戦力を援護に向かわせたのだった。『友達を、助けてくれ』と。
「うん、データは十分に取れたしいっか。プライベートだから、特にノルマとかもないしね」
「何を……ッ⁉︎」
| ドロン玉 | アイテム | 戦闘から確実に逃走する |
そう言って、首を切り落とされた恨みなどを何一つ言わぬまま、辞林はあっさりと撤退した。これまでの暴虐を見せた自身の力量をまるで信用していないように、あっさりと。
「どうやら、コレが急所だったようですね。地脈へと杭を差し込んで、龍脈溜まりの位置を微調整する技術。これをもって技研内部に道を作っていたのですか」
魔王ロキは、地面不覚に差し込まれていた杭を破壊しながらそう呟く。
ロキは自身のサマナーからの命令を完全に遂行した。『敵の企てを破壊しろ』というほとんど自由行動に近い命令を。
そのために敵のメギドラオンによる爆撃を『バルーンシールド』で回避し、敵が見せつけてきた位置とは逆方向に向かって行動をしたのだ。敵の策の肝が、そのあたりにあると確信して。
「しかし、近場に遊べる人間が少なかったのは心残りですね。5人程いたぶってマガツヒを溜めたくはあったのですが……」
遊びたい気持ちを抑え命令を忠実に実行したのは、やはりサマナーであるジエンが見ていて面白いからだろう。様々な悪魔を縛り、強請って金を稼ぎまくる外道にしてまだ13歳の少年。そのような面白そうな存在を見てみようという気まぐれで合体に割り込んだだけだったが、あそこまでの『自分の人生を楽しむ天才』だったとは完全なる想定外だった。
共に居て楽しいと思える得難いサマナーだ。気まぐれに殺そうとすれば、それ以上の技を持って返してくる愉快な修羅だ。
「存外、気に入っていたのですね」
そう言った魔王ロキ。仕事は終わったのでそろそろサマナーのCOMPに
| ルナトラップ | 特殊スキル | 3ターンの間、逃走を封じる |
「結界ッ⁉︎」
「そうだよ。逃走を封じるもの」
カツカツ、足音を立てて一人の少年が近づいてくる。ロキはそれが、今回の襲撃者であると直感する。
顔の形こそ違うものの、サマナーの見たF型造魔と身長、体重、腕の長さ、足の長さ、果ては内臓の位置に至るまで、全てのパーツが等しく同じであるのだから。
「今回ボクはプライベートでやってきたから、敵を皆殺しにしろーみたいなノルマはないんだけどさ」
コツコツと鳴らしていた足音が消える。いつのまにか足音のリズムで攻め込んでくると認識を誘導された魔王ロキは、正面から虚を突かれて一撃を受けた。
「人だろうが悪魔だろうが、邪魔なのを殺さないのは違うって話なんだよね」
そうして一撃で腹が吹き飛び死体となったロキの魂を踏み砕く。霊核を確実に踏み抜いたその一撃は、魔王ロキの存在そのものを破壊する一撃だった。
魔王ロキは、LOSTした。サマナーに成果を報告することなく、道端に転がる塵のように踏み砕かれたのだった。
「さって、データ解析データ解析と。多分、ゴドーはとっても素敵なやり方で技術を未来に残そうとしてる気がするんだよね。楽しみだなー」
辞林はゆっくりと夜の闇の中に消えていく。先程までの戦いなどなかったかのように。
敵造魔が逃走アイテムを使用して撤退する。
敵の『メダマノオヤジ』の死体はどこにも残っていない。撤退の際に持ち逃げされたようである。
「終わった……のか……?」
「ジエン! リオの回復を!」
「……大、丈夫よ。ギリギリ生きてるから」
己達は、『F型戦闘用造魔』と、無限に居るのでは? と思わんばかりの『メダマノオヤジ』の群れと戦い──敗北した。
リオと造魔の実力は互角であった。互いにデカジャ、デクンダを使える以上大きなサポートはできず、その戦いを互角以上に持ち込む事はできなかった。
リオを援護するべく行ったことはいくつかある。ゴグマゴグなどの前衛型悪魔を壁に出し、リオに休憩を差し込ませる算段は、『刹那の刃*33』や『闇討ち*34』により放たれた即死攻撃で一蹴された。
テトラカーンによる防壁を張り反射を狙う算段は、『メダマノオヤジ』の『テトラブレイク*35』により破壊された。
遠距離攻撃により造魔だけを攻撃しようとする算段は、リオと造魔の動きが早すぎて狙いがつかなかった。
おそらく、メダマノオヤジという
このように、様々な『崩し』を仕掛けても全て効果がなく、リオが正面突破するのが最適解になってしまうという始末。
そして、その正面突破が成功しなかった以上、生き残れはしたもののこれは敗北である。
己が打開を願い送り出した、ロキと同じように。
「無事か、ジエン!」
「ツギハギ殿、ブレイド殿……ああ、生きてはいるぞ」
「大丈夫?」
「うむ、長らく忘れていたぞ」
目の前で、命を懸ける人がいて
それを見る、何もできない自分がいる
「弱いとはこういう事なのだとな」
あとがき
ジエンくん陣営の完全敗北です。辞林が撤退したのは、ジョーカーが近付いてくるのを感知したから。双葉とフジワラちゃんが駄弁ってなかったら普通に全滅して居ました。
そういうのに襲われるのが、今回の章です
・ジエンくん
久しぶりに完敗した。昔を思い出した。
・リオさん
ガチンコ勝負が最適解の状態で突っ込んで、敵を打倒しきれなかった。とは言っても実力差が理由ではなく、防戦重視の敵から流れを取りきれなかったのが原因。戦った感覚としては、6:4くらいの実力差とみている。殺せる程度の実力差なので、次は殺す。
・ブレイドお姉ちゃん&RoRoちゃん
技研の近所に住んでるバスターその1
フジワラの名義で飛んできたメッセージに疑いなく飛び付き、仲間を守ろうと強敵に立ち向かった。とても良い人。
RoRoというサポートロボットの機体は、妹のコハクちゃん(生身)が奥多摩アビスのジャンクから作ったもの。ふよふよ浮く機能と共に、ルクシアの歌の力を解析しての能力
RoRoという名前は、コハクと二人で決めたもの。
・ツギハギさん
技研の近所に住んでいるバスターその2
奥義一閃の雑魚狩り性能によりレベルを爆上げしている成長株の中年。現在レベル65。
敗北に慣れきっているジエンはそれはそれで問題と見ているが、それよりも問題と見ているのはフジワラの方。
友の子孫ということで、友の悪い方の性質も引き継いではいないか?と。
・フジワラちゃん
運命に対して何もできずに負けた経験はあっても、敵に何もできずに負けたのはこれが初めて。
・辞林くん
戦力としてはそこそこ強いのだが、本人が研究者志望であることと研究者としての力量は割と微妙寄りな事からエデン内部では立場はあんまりない。辞林にスキル習得の手助けをして貰ったとかのツテで仲良くして居たチームはいたが、そいつらはたっちゃんによって薙ぎ払われたのでもういない。
龍脈に対しての干渉に独自で気付いたであろうロキを脅威に思い、ジョーカーの襲来までの残り時間で最優先に排除した。ジョーカーとロキ以外については想定の範囲内でしかなく、さほど脅威には思っていない。
ソウルハッカーズ2