姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
ジエンくんがひたすら煽る話とも。
まず、現状を再確認する。
敵の名前は『嘆きに呼び出されしグルル』なんらかの儀式により召喚されたであろうレベル90の大悪魔だ。弱点属性は銃撃が見えている。
なんか空に魔法陣がでたな? と思えば、攻撃がクリティカルに当てられる位置に巨大なグルルが召喚されていた。なので、つい『百麻痺針*1』を放ってしまった。
それが反射などではなく弱点だったのは結構な幸運だろう。凶鳥グルルは大体銃撃弱点だが、スキルが弄られていたりするの可能性もあるのだし。
そういうわけで、凶鳥グルルがこの世界に召喚されて最初に感じたのは、己からのダメージであったのは違いない。
そんな己に即応したのは2人。
どうにも二人組であるが、チームとしては全員いないようで、噛み合いは悪い。
しかしながら、デビルバスターのマナーは理解しているようだった。弱点は突いて突いて突きまくるのが大正義である。
適当に銃をぶっ放している分には、問題なく連携は取れた。
「己はデバフ系サマナーだ!」
「僕は火炎系異能者、こっちのニャンデスターは近接系シフター!」
「サマナーなら早く仲魔呼びなさい! 他に動いてるのは居ないわ! 当分私たちだけよ!」
「了解した!」
射撃を中断し、位置取りを変更。まずメイン盾としてのゴグマゴグを召喚。その後、しばらくは耐久戦が続くだろうからクイーンメイブとサラスヴァティを召喚する。現状頭を張るのは己になりそうだが、仕留めるにはそこそこの手数が必要だろう。足止め優先だ。
「最低限! デバフを入れるぞ!」
「……レベルが90を超えている! デバフよりも継続カーンを!」
「私たちはレベル40程度! 場慣れはしてるけど攻撃には耐えられない!」
「安心しろ! 耐久力的にはどうせ己と大差ない!」
「それは安心できる情報じゃない!」
敵グルルが攻撃を開始しようとするその直前に、再びの『百麻痺針』を叩き込む。
全弾命中、緊縛は入らない。しかし、敵の攻撃の出足は挫け、己たちが流れを取った。
「『タルカジャ』随分な化け物相手ね」
「ふふふ、私の拳であの羽を千切るのは楽しそうだわ」
クイーンメイブが『タルカジャ*2』を放ち火力上昇のバフを。サラスヴァティが『パス』で手番を回してからゴグマゴグが『ラクカジャ*3』で防御力を向上。
再び己が『百麻痺針』を叩き込みグルルを崩してクイーンメイブが『タルカジャ』で支援。サラスヴァティは『マハ・ラクカジャ*4』で防御を上げてバフを積む。
そうして、グルルの手番が始まろうとしたその瞬間に、最初の乱射時点で細かく誘導していた位置調整とタイミングの指定により、己の奥義が噛み合った。
「見える、奴を攻めるタイミングが!」
「『隙の糸』でも感じたの? マナブちゃん!」
己の手番が終わり、最大限に力を発揮できるタイミングで見知らぬ仲間の行動が開始される。
ASSIST ATTACK! |
| アシストゲージが最大(八段階目)時に発動*5。同行しているパートナーの補助行動の後、人数分の万能属性ダメージを与える。その後、敵ターンをスキップする |
昨夜の戦いで昂ったままのテンション*6が、一瞬で爆発するのを感じる。
男の方が放ったのは『火炎ガードキル*7』素直にありがたい奴だ。猫の方が放ったのは『マカカジャ*8』クイーンメイブのタルカジャで上がらない魔法攻撃力を補強してくれたのはありがたい。
そして、二人の攻撃がグルルの翼に直撃する。崩れていた姿勢を立て直そうとして強く羽ばたいていた動きが阻害され、グルルはさらに大きく姿勢を崩す。
「隙だらけだなぁでかいの! 貴様の未来は焼き鳥か?」
アシストアタックにて大きく崩れて生まれた隙に己たちの動きを無理矢理に差し込む。
そう簡単にターンは渡さん! と連打できるのならいいのだけれどコレ一回使うと相当に警戒されるし、ちょっと位置を変えるだけで連鎖が途切れるので、もう一度1から仕込みをしていないと再使用は難しい。
というのは置いておいて、ひとまずデバフの方も叩き込んでデカジャデクンダの誘発をしよう。見た感じ、攻撃力はありそうだ。
「もっとも! タルカジャ入った己は撃ちまくるのだがなぁ!」
久々の、非常に珍しい己がメインアタッカーの戦いだった。
クイーンメイブのタルカジャにより火力の上がった己が『百麻痺針』で攻撃。ゴグマゴグはソロネに『チェンジ』して『ランダマイザ*9そして、クイーンメイブが『マカラカーン*10』を、サラスヴァティが『テトラカーン*11』を放ち、己が『百麻痺針』で追撃。そしてソロネがもう一回『ランダマイザ』。
最後に、
本来の耐性では、火炎属性は耐性らしい。幻惑の方は発動しなかったようで不明だ。
これにより、己たちは攻撃+2、防御+2、魔法攻撃+1であり、敵はランダマイザ2回で全能力二段階低下。デカジャ誘発もデクンダ誘発も問題はない。
グルルが動き始める。
まず放ったのは『フォッグブレス*13』だ。ちょっと珍しい。
「ダメージタイプのフォッグブレス?」
「マカラカーンで反射はできたな。魔法ではあるらしい」
反射で動きが鈍る瞬間に己たちが行動を差し込んでいく。
名前も知らぬ二人が連携慣れをしているおかげで己が指揮を取れているが、結構な綱渡りだ。
己たちが優勢を取れていてそこそこの時間が経った、『ならば自分も』と足手纏いが動き始めるタイミングだろう。それに乗じてこのグルルを召喚した敵サマナーも動くかも知れない。
そうなれば全体としての動きが鈍り、
現在位置は大橋に近い居住区画。グルルから100メートル近くには己たちしか居ないが、200メートル程度の場所にはちらほらと人がいる。主に腰を抜かしている連中だった。タゲが分散するからさっさと逃げてくれ。
「クイーンメイブのMPは⁉︎」
「約半分! まだ少しは猶予がある!」
『百麻痺針』にてグルルに攻撃をしながら、手札を擦り合わせる。二人はクイーンメイブのマカラカーンがMP消費の激しいタイプ*14だと理解したらしい。サラスヴァティのカーンが消費MP6とかいう狂った燃費なのと比較するのはアレだが、消費は重い。
「両カーンでも万能を撃たれなかった! 万能はないか、ダメージにより制限解除のパターンだ!」
「貫通の可能性もある! クイーンメイブのMPが残っているウチに手札を割り出せ!」
ソロネがもう一度『ランダマイザ』を放ち、クイーンメイブが『マカラカーン』、サラスヴァティが『テトラカーン』を発動。
そうして、『百麻痺針』で手番とダメージを稼いでからソロネが『アギダイン*15』で攻撃。ダメージを稼いでおく。
──一瞬、緊縛が入った感じがした。が、ソロネのアギダインの後にはもう回復している*16。何かのギミックの可能性を考慮して、頭の隅に入れておく、余裕ができたら掲示板とかで共有しよう。
そうして、援護攻撃のタイミングに合わせて傍観者たちが動き始める。後から来たのか元から居たのかは定かではないが、4人がそれぞれ銃撃を重ねてきた。
「タイミングを合わせてきたか! レベル90に喧嘩を売るだけあって、凄腕だぞ!」
「キミ! 指揮は取り続けられるか⁉︎」
「知らぬ! もう戦場の流れは己の手から離れているからな!」
戦場に4人も人が加われば、戦場の空気はガラリと変わっていく。それは、その4人が合わせてくれていても変わることはない。
というか、己が無理やり指揮を取っても動かぬだろう。こういう濃い連中は。
「銃撃弱点なんてカモ相手! 手を出さずにいられるか!」
「ピーピー、アクマ、コロス」
「・-・-- -・・・ ・・ -・-・- -・-・・ -・-・ --・-・ ・-・-- ・-- -・--・ 」
『ハイジョシマス』
人間の言葉を語ったのは一人だけ。明らかなキルマシーンにモールス信号で殺意を語る変態に、空中投影ディスプレイに文字を投影する者。よりどりみどりだ。
とはいえこういうアクの強い連中が強いのは元の世界でも今の世界でも変わらない。ありがたい増援だ。
バズーカ砲、マシンガン、ショットガン、アサルトライフルの4つの銃口から射撃が放たれ、グルルに傷を付ける。
致命傷にはまだまだ遠いが、違いなく有効打だ。
そうして、グルルの動きが始まる。
放ってきたのは『パニックボイス*17』
やっべ、と口に出しそうになる。クイーンメイブとサラスヴァティが混乱にヒットした。
また、パニックボイスにかかったのは仲魔だけでなく、猫殿とモールス信号にヒットしている。どの混乱かによっては大惨事になりかねない。
続いて、疾風陣というスキルだ。シロエWikiによると反撃状態にモードシフトするスキルらしい。銃撃や魔法などある程度の距離から放たれるものを回避する状態だ。
「だとしても、先手で回復すれば実質ノーダメージ!」
という発言の通り、乱戦になってから最速で『メパトラストーン*18』を使用。ギリギリ全員範囲内に差し込めた。
続いて、乱入してきたバズーカで人語を解する者がクイーンメイブに『チャクラポット*19』を投げつけてきた。
「そこのガキ! 手数が来たんだから無茶すんな!」
「可能な無茶しかしていない! 問題はないぞ!」
「可能でも無茶してんじゃねぇってんだよアホが!」
口は悪いが、随分と優しい者だ。デモニカと思われるパワードスーツがゴツく、肩に載せているバズーカが格好良くて己は好きだ。が、デモニカ使い特有の見た目にも拘ってるぜベイビー! 感が若干薄い。リアル系兵器か好きな人なのだろう。あるいは、ダメージを受けて塗装剥げたままなのか? AC6のように*20。
『ボウヘキ、テンカイ』
なんて事を言いながら空中文字のサイボーグが『護りの盾*21』を発動する。アプリ使い系列のシステムなのだろうか? 範囲も広く、良い使い勝手だ。
「間の悪い乱入かと思ったが、やるじゃないか!」
「勝算もなしに突っ込む馬鹿じゃねぇが、勝算見えた戦いを避けるほどビビりじゃねぇからな!」
「・-・-- -・・・ ・・ -・-・- -・-・・ -・-・ --・-・ ・-・-- ・-- -・--・ 」
「所で、さっきから何故にモールス信号なのだ? しかも『てばさきにしてやる』しか言わぬし」
「言語補助用のマシンの調子悪いらしいぜ。銃は撃てるから問題はねえだろ」
さっきと同じテンポの音しか発しないサイボーグの彼? 彼女? はマシンガンをリロードしている言語中枢に異常があるのは大変そうだが、動きに翳りはないので問題はないか。
この辺りが、グルルに先手を取れそうな面々だ。
グルルの3手目が差し込まれる。射撃カウンターは中断したらしい。
放ってきたのは『カマイタチ*22』だ。
ターゲットにされたのは明確に己である。レベル高い奴を優先して狙うルーチンだろうか? 己たちへを真空の刃で切り刻もうとしながら移動をしていた。
「サラスヴァティ」
「はい、サマナー。ひどい人」
己たち『護りの盾』の効果でダメージこそ受けないが、それでは敵からのダメージ感覚が分からない。なので、今役割が浮いているサラスヴァティを護りの盾を影響範囲から外していた。おそらく死ぬが、攻撃力という情報が手に入るので問題ない。
防御二段上昇、攻撃二段弱体化で衝撃75%耐性のサラスヴァティが受けたダメージは……なんと致命ギリギリ。
己たちでも問題なく耐えられるな。嬉しい誤算だ。
「己はコイツと遊んでいる! 加勢を呼んでくれ!」
なんて余裕そうに語っているが、カマイタチの余波を護りの盾で受けたノックバックにより他の面子と位置が離れたので連携できないというのが実情だ。今までなぁなぁと連携ができていたのは、敵と近くてやることが簡単だったからだ。
戦略をちゃんと練るような大捕物ならば、ちょっと纏まった手助けはほしい。
「だったら距離が離れ切る前に検証をする! 『シバブー*23』だ!」
「耐性ノックよ! 『ポイズマ*24」
男と猫の放ったのは緊縛属性と魔力属性。
魔力属性は無効にされたが、緊縛属性は無効にはされなかった。ヒットはしなかったが。
「ピーピー、アクマ、シビレロ」
『パララアイ*25』言語の前にピーピー言う謎のサイボーグが魔眼? 魔カメラ? にて神経属性のバステを叩き込む。当然というかなんというか、無効耐性だった。魔力、神経無効はボスとしてはメジャーな耐性であるな。
「バステノック感謝だぞ!」
「すぐに追いつく! 死ぬなよ!」
そんなありがたい声援を背に受けて、グルルとの交戦を再開する。
ある意味ちょうど良いのは、己の進む方向は居住区画から外れようとしていることだろう。川の方に進んでいる。
適当に殴りながら戦えば被害を抑えられ、かつ経験値も貰える。素直に素敵だなと思う。なんなら奴の羽が禿げ上がるまで甚振ってMAGを吐き出させてから殺したいとも思っている。
が、己は今帰りたいのだ。適当に戦っていれば適当に前線を張ろうとする者も出てくるだろう。そう言うのに任せて楽に行こう。
「戦法を変える。サラスヴァティ、戻れ。召喚、ペルセポネー、ゴグマゴグ、マハーマユリ!」
これにて、現在己のパーティは前衛にゴグマゴグ、マハーマユリ、ソロネ。後衛に己、クイーンメイブ、ペルセポネーだ。
この世界に来てから行っていなかった限界以上の召喚。かつての世界では己は4体召喚がギリギリだったのだが、まさかのびっくり5体召喚である。
なのだが、己自身の行動にも支障はない。MAGの出費は重いが、しかし回収のアテが目の前にいるのだからそれも問題ない。
なぜそんな事が可能になったのかと言われれば……気付けばできそうだったから? というふわっとしたアレである。フジワラに教わって分割思考の練習をしたのが効いているのか、レベルが上がってMAG容量が増えたからか、などなど理由は色々考えられる。
今回は鉄火場ではあるものの裏切りの心配が少ない*26場なので、お試しに実戦投入だ。
「サマナー、ソロネが割とキレ気味よ。マハーマユリと一緒にいるのは強制されてないと嫌みたい。私もだけど」
「己は仲魔同士の悪魔関係とか知らぬのだけど、やばそうか?」
「ソロネがマハーマユリを焼くのは考慮に入れておいた方がいいくらいには、やばそうね」
「なんだ普通ではないか」
「普通ってなにかしら……」
マハーマユリは有能な味方ではあるし、強力な手札ではあるが、己が殺した魔丞の影響かたまに若干愛情が粘ついている。ソロネは一応天使であり、愛とか正義とかを普通に信じている性質なので普通に気持ちが悪いのだろう。
「『マカラカーン』……あのねサマナー、戦闘中よ?」
「奴が射程内にいないのだから仕方あるまい。周囲を飛び回ってからに」
所謂ひとつの『ワールドツアー*27』であるのだろう。高高度にて旋回し、加速度を付けての急襲をするつもりだ。最近触ったMH2Gにてやられた奴である。
ならばと先ほどの面々と合流しようとすれば、急降下して、『ヒートウェイブ*28』にて進路を妨害してくる。己そんなに狙われるような事したか? ちょっとつついただけだろうに。
「まいった、掲示板を覗く隙がない」
現在どういう状況なのか、己を何故か追ってくるコイツをどこに誘導するべきか分からない。なんなら下手に移動させたら他の敵と合流するかもしれない。
なので、見える情報から分かることだけを方針の軸に。
レルムに流れる川はそこそこ凪いでいる。海上で戦闘が起きているのならもっともっと水面が暴れていそうなので、とりあえず方向は問題はないだろう。
「速度が乗ってきているなぁ!」
急降下からの連続攻撃が入ってくる。
ヒートウェイブとカマイタチ。どちらも移動を伴う攻撃スキルだ。確かマカラカーンで防げるが、ヒートウェイブは直撃してしまう。とはいえ、レベル90という割にプレロマだとかブースタだとかが乗っていないようで、デバフとバフがあれば問題なく耐えられる。
耐久ライン的に、一回は回復をマハーマユリの『慈愛の旋風*29でギリギリ誤魔化せるラインだ。
ちらほらと乱入者が入ってきているし、己より強そうな人もそこそこ入っている。その皆が銃撃から入り、神経魔力のバステを使わないあたり情報共有はできているのだろう。
だが、戦場が定まらない。逃げる己を追っているからという可能性は普通にあるのだけれど、それ以上にコイツがびゅんびゅん飛び回るので移動して位置調整をしないと攻撃が出来ないのだ。
……十字砲火のできるポイントを誰か提示してくれないだろうか? ついでに囮役も変わってくれないだろうか?
そういう弱音は置いておく。
「
「心得た! 細かい位置はそちらで調整してくれ!」
「え、ノータイムで信じられた?」
「高速で走り回る己に遠距離テレパスなんて面倒なことする奴が敵だったら、とうに己は死んでいる!」
唐突に飛んでくる何者かの声。誰だか知らないが、この位置から左回りにぐるっと誘導するのならば、大橋を目指して動けば良いだろう。
あ、旋回して速度落ちた。
「射程圏での甘えた動き! 『百麻痺針』だ!」
「回復ついでの攻撃といきましょう。『慈愛の旋風』」
「『マカラカーン』……私、今日これしかやってない気がするわ」
ゴグマゴグ、ペルセポネー、ソロネはカバー待機。クイーンメイブのMPが怪しくなってきているが、ペルセポネーに『チャクラポット』を使わせる前に、グルルのスピードに追いつけない勢がチャクラポットなりを投げつけてくれている。
ついでに、回復魔法とかも飛ばしてくれているのでまあまあ余裕はあったりする。
「鬼さんこちら、手のなる方へ!」
「……鳥では?」
「なるほど、言い換えよう! 鳥さんこちら、手のなる方へ!」
走りながらパンパン手を叩いて挑発をする。なんか、野良ケルピーに芸を教えている時の気分だ。
「サマナー、侮りの気がビシビシ伝わっているようですよ。グルルからの殺気が増しています」
「む? 可愛い奴だと思うのは侮りなのか?」
「侮りでしょう。グルルはこちらを皆殺しにするつもりできているのですよ?」
「しかし、可愛いものは可愛いではないか。ジャックフロストは敵でも味方でも愛嬌があるだろう?」
「アレに愛嬌があると?」
「アレだけ皆殺しの気配を漂わせていながら己一人殺せていないのは愛嬌だと思うのだが」
その言葉にペルセポネーは頭を抱え、グルルからの殺気はさらに増してくる。別段困りはしていないのだけど、たまには己以外を狙ってもいいのでは?
「お、低空飛行だ」
己達の正面側に回り込んだグルルが、『マハザンダイン』『カマイタチ』『ヒートウェイブ』の三連攻撃で突っ込んでくる。
カウンター系技の『疾風陣』と『ストライクバック・バッシュ』を挟まないでの3回攻撃は珍しいパターンだ。
クイーンメイブの『マカラカーン』は1ターン継続で魔法相性反射。力依存攻撃を反射しないタイプ。『カマイタチ』は物理の匂いも魔法の匂いも両方する奇妙なスキルで、反射が取れるか微妙である。さっきは反射できたが、仕様違いの別スキルの可能性はある。
「ゴグマゴグ」
なので、カバー待機させていたゴグマゴグを壁にする。ゴグマゴグは衝撃弱点があるが、『三分の活泉』と『最後の敵対者*30』があればまあ死なぬだろう。己達のバフとグルルへのデバフで効果時間の長いものは残っているし。
「お、反射はマカラカーンで良いのか」
敵の攻撃のうち、マハザンダインとカマイタチは反射できた。その次のヒートウェイブは直撃したが、全滅するようなダメージでもない。
そして、ちょっとの思いつきにより低空飛行したグルルの上に乗ってみる。空を飛ぶ鳥は体重が軽く、骨とかはスカスカであると聞いたので、己程度の重量でもいけるかな? という試しである。
「流石に飛べなくなったりはしないのだな。覚えたぞ」
「サマナー、阿呆が過ぎませんか?」
「指示もしていないのにグルルの上に乗った馬鹿には言われたくないぞ、マハーマユリ」
「面白そうでしたので、つい」
ならしかたがない。グルルが上昇して己達を振り払おうとするタイミングで『百麻痺針』と『慈愛の旋風』を叩き込み首を下げさせる。そうしてさらに地面に近づいたタイミングで、ゴグマゴグの『アースクエイク*31のエネルギーが下から噴火のようにぶち当たる。
グルルは、その衝撃によって空中にすぽーんと飛ばされてしまった。そしてその背中にいた己とマハーマユリは吹っ飛ばされ、しかし着地は成功。グルルが盾になってくれたおかげでノーダメージだ。ありがとうグルル……
「空を飛ぶ怪鳥の頭を踏みつけて放つ旋風は、実に心地が良いものです」
「同感だ。クリティカルに直撃した感じがして、思わず笑みが溢れたぞ」
空中でなんとか姿勢を戻したグルルだが、その動きは鈍い。しかし、殺気はマシマシになっている。なんか逆鱗に触れたような気がしないでもない。
──これは後から聞いた話である。凶鳥グルルとは霊鳥ガルーダが神話的対立により貶められた姿だ。そのガルーダはヴィシュヌ神のヴァーハナ*32。
ヴィシュヌ神が乗るべき自身の背中に勝手に乗っての乱暴狼藉は、グルルに貶められた今でも逆鱗オブ逆鱗だったのだろう。そりゃ殺すまで狙われると言うものだ。
そんなことは露知らず、誘導が楽にならないなーと周りを見ていた己。近くにサポートに入ってくれそうな人は絶無である。
現在位置はもう橋の前なので、これはもうラストまで走り抜けるしかない奴だろう。
「『メディアラハン』。サマナー、遊び過ぎ。怒らせ過ぎて攻撃鋭くなってるわよ?」
「感謝だクイーンメイブ。なぜ怒っているのだろうなー」
これまでの戦いの流れが割と順調だったことから、気持ちが若干浮ついている感じはする。そこはかとない祭りの匂いがしているからだろう。レイドバトルというのだったか? そんなのの匂いだ。
とはいえ、現状単身である寂しさとか面倒な事を押し付けられた感はあるのが確か。サポートが欲しいぞー
「というか、そーろそろ助けてくれぬと死ぬぞ己」
「そりゃあれだけ遊んでいたらそうなるわよ、サマナー」
あ、なんか祭りの下準備している部分を直視したら疲れがどっと出てきた。逃走ルートだとか仲魔の壁配置とかが雑になってる気がする。
まぁ、もう少しだしなんとかなるだろう!
本スレにて追いかけられていた部分の補足な雰囲気の話でした。道中のデビバスは元ネタがいたり居なかったり色々です。変な奴を出そう! という脳の瞬発力だけで出したので。
描写されてない範囲でサポートを受けていたり、グルルを殴った人も多分います。
・ジエンくん
最初に『百麻痺針』をぶち込んだだけだと物足りないなーと言う事でありとあらゆる方法でグルルさんを煽りまくった問題児。
ジエンくんが逃げ回ったからグルルによる被害範囲が広がった! と見られるか、ジエンくんが誘導したからレルム都心部にグルルが来なかった! と見られるか結構微妙なライン。
・現地で会った助っ人少年
遊戯王ゴーラッシュより、蒼月マナブ。AAHubにアスキーアートあるの⁉︎という衝撃があった。
登場人物が全員おかしいゴーラッシュにおいて変なワードセンスしてるだけなマナブちゃんは比較的普通な奴だったが、二年目に入って迷走し始めてからの裏切りクズ野郎三下ムーブ*33、周囲が闇の力によって洗脳されている中で素でおかしいだけだった『スタディ総帥』ムーブ*34など、ちょっとオタクくんサマナー世界に適応させるのに難しいエピソードが多過ぎて、家出した武家の息子という味のない紹介をしてしまったのは作者の反省点。良いキャラなのです……
相棒のニャンデスターとの関係性におねショタの波動を感じなくもない。
・グルルさん
空を自由に飛び回り、周囲に大きな被害を出すであろう大悪魔だった時しか描写していないので、とても強そうなカタログスペックをしている。けどマカラカーンやテトラカーンを破れないので、チャクラポットの数があればジエンくん一人でも余裕で殺せる匂いがして大変だった。
本スレのスペックより盛ったのは移動速度。リオレウスばりにびゅんびゅん空を飛び回り、カマイタチやヒートウェイブで接近したり、遠距離からザンダインなどで攻撃するという怪物になっていた。
ただ、まぁガトリング斎のあの戦法をされたら『ディスクローズの石』がなかったら死ぬしかないので盛ったスペックがレイドで生かされることはない。なんならデビサバ系の龍王の『龍胴固め』で隣接する敵の移動距離を1にするのは自動効果で発動の必要はないので、ジエンくんやアズサちゃんたちが備えていたけど『沈黙のささやき』のエリアからは抜け出せないのでは? とは思ったり。謎のフィクサー『ファウスト』が大活躍したようなので、きっと一回くらいは抜け出せたかな?
頑張れグルルくん。
尚、グルルとガルーダの関係を知ったのは今回のエピソードを書くと決めた時。グルルさんはスリランカにて『羅刹』と見られたガルーダさんである、くらいのエピソードしかなかったので逆鱗探しは大変でした。ので、ガルーダのアイデンティティを汚す方向の煽り方となりました。