姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
その連絡がリオに届いたのは、ジエンが異界に引き込まれてから、おおよそ30分ほどの時間が経ってからだった。
「あの子は、もう……ッ!」
「レイドボスの誘導役で大活躍というのも肝が冷えたが、今度は人命救助で未知の異界に引きずられたのか」
「控えめに言って馬鹿な話ですが、避けられなかったのでしょうね。ジエンは一応、引き際だけは弁えているので」
「……その引き際のセンスは常人と違うがな」
「ジエンくん、何も考えてないわけじゃないもんね。思考のネジが外れているだけで」
ゆるゆると会話をしているこの集団だが、それは周辺には悪魔が存在していないからこその事だった。
メダマノオヤジに誘導された悪魔、たまたま近くに出現した悪魔、能動的に仕留めた悪魔など様々である。しかし、流れるように悪魔の群れを仕留め放って積み上げている屍の山が、この集団の強さを示していた。
「ジエンの救出に向かうか?」
「んー……この悪魔だらけなウエノ出て首都高使ってシナガワまで行くのは、時間かかりすぎるかな。今回の騒ぎで電車止まってたり大渋滞起こってたりするみたいだから、普通に間に合わないと思う」
「……ターミナルでもあれば、話は早いんだがな」
「ターミナル?」
「ワープ装置と言えばだいたい間違いはないな。俺の地元で使われていたよくわからん装置だ。悪魔召喚プログラムとリンクして、別のターミナルまで転移できる」
「……この世界では一般化されてなさそうね」
「無いものを語っても仕方があるまい。リオ、ここに死体を積み上げ作った塚、移動のために流用できないか?」
「今考えてる」
リオ達がここに死体の塚を作っていたのは、防衛陣地を作るためだ。MP回復と若干の防御効果のあるモニュメントを作る事で、他のバスターのサポートに加えて敵からの襲撃に備えているためだった。
もっとも、回復効果については上位互換が割と近くにあり、神に奉納する舞とマッカにてMPを高速で回復できる
リオが結構悔しがっていても、サブなのであった。
「リオ、認知異界とは何だ?」
「ペルソナ使いみたいな、『心の海』に接続するタイプの人たちの使ってるようなエネルギーで生まれる異界よ。詳しい理論は専門外だけど、私たちが戦っている異界とは構成されている要素の性質が違うわ。魔界に近づいたのが異界で、『心の海』に近づいたのが認知異界」
「人の心は奥底で繋がっているという話か。あまり想像が付かん」
「それは私も」
「フジワラちゃん、メダマノオヤジの位置は?」
「散らばって配置されていますね。私たちの監視には2体。ただ、ずっと私たちを見ているわけでなく交代交代で周囲別方向の監視をしています。私たちの監視以外にもタスクを課せられているようですね。誰かの捜索でしょうか」
「おっけーそろそろやるよ。この塚の使い道も、なんとなく思いついたしね」
リオ達は、これまで7体ものメダマノオヤジを発見次第即撃破していた。それはレイドバトルという場においての事故回避の為というだけでなく。ある仕込みをする為だった。
それは、油断を作る事。目的がメダマノオヤジの討伐であれば、極端な話辞林は何もしなくて良いのだ。メダマノオヤジには生産にコストがかかり材料に貴重素材『ドリー・カドモン』、あるいはそれに類するものを消費するとはいえ、替えはいくらでもあるのだから。
ブレイドがフジワラに示されたルート通りに電撃を2発発射する。ジオンガ程度の威力であるが、メダマノオヤジの耐久を削り切るには十分だった。
そこを、リオとツギハギが急襲する。
目的は『メダマノオヤジの捕縛』であった。
「自爆なりはあると想定! フジワラちゃん、解析始めて!」
「了解です。……もう、逃さない」
捕縛されたメダマノオヤジには、辞林の操り糸が付いている。故に、その糸を手繰り逆探知すれば、敵の居場所を割り出せる。シンプルな理屈だった。
──それを可能にする異常極まる演算能力があることが、前提ではあるが。
「敵『造魔使い』の用いている悪魔召喚サーバー、逆探知しました。シナガワレルムの南西部です」
「サーバー……制御をマシンパワーで補うために大型の機械使ってる感じ?」
「はい。かなりの計算速度でしたので、相応に巨大なものかと。該当地点をマップで確認したところ、先ほど死んでいた『ジャスレイ・ドミニコス』の運営していたアイテム工場があります」
「え、そこに繋がってくるの?」
「そのようです。そして、造魔の大量制御システムはそこで演算がされていると分かりました。クラウド式の召喚プログラムですね」
「……通信を支配できている訳でないのだろう? 公的機関で通信を監視できたりはしないのか?」
「通信に含まれるMAGなんて監視されてるに決まってるじゃない。この世界でなんでデビオクが規制されてると思ってるのよ」
「TOKYOサバイバルガイドのTIPSには、確かネット回線上に独自ネットワークを作られないようにするため、とあったな」
「MAGが流れてたら電霊とか生まれちゃうからね。自由なネットワークで生まれる電霊とかちょっとした悪夢だよ?」
「つまり、独自の回線があるってコトね」
「はい。逆探知をしている最中、『トウキョウなのにトウキョウじゃない場所』を知覚しました。おそらくは、『認知異界ムナール』かと」
「ケーブル引いてるか無線飛ばしてるかは知らないけど、マメねぇ」
「……だとするなら、中継基地があるな」
「西東京にある技研でも、ここウエノでも造魔を使えてる訳だからね。大型の悪魔召喚プログラムだとしても、影響範囲が大きすぎる」
「まぁ、その辺は行きながら考えましょ。塚を門にするわ。フジワラちゃん、ガイドお願い。ブレイドとツギハギは周辺の雑魚対処とバスターへの説明お願い。私は、儀式を組み上げ……終わったわ。意外と簡単なのね」
死体を積み上げて作った塚に異界に潜るための穴が生まれる。それは、現在のレルムが大規模戦闘の影響で不安定であることによって生まれる異界の歪みを利用したもの。
認知異界へのアクセス方法としては、イセカイナビやマヨナカテレビには到底及ばない非効率的な方法である。だが、分解され霧散する前の新鮮な悪魔の死体を山のように使うことで、リソース問題は解決している。
「琴葉、周囲のバスターにここの保持を取り付けさせた」
「え、なんでそんな面倒なコト引き受けてくれたの?」
「近くに作られた即席の祭祀場を守るため、周辺の悪魔は出現次第排除しているらしい。そのついでだな」
「なるほどね。そういう理由ならありがたく利用させてもらいましょ」
そう言って、リオ達は認知異界へと侵入した。
だが、ここで一つの計算外が発生する。先にツギハギが語った即席の祭祀場、そこに祀られた神が生み出したエネルギーは祭祀場への創意工夫によって乱高下していること。それは、乱雑ながらも計算されて行われた儀式を狂わせるに足る変数だった。
そんなガバの始まりつつあるリオと同時に、辞林も動き出していた。
「……もうチャートもクソもないけど、優先順に処理していこう。まずはゴドーを殺すことからだ。琴葉リオの答え合わせのために生かしていたけど、もうそんな余裕はない。奴が生き延びた方が僕の損失は大きい」
言葉を吐き捨てながら、“損切り”の含めた行動方針を始めていく。
「琴葉リオはしばらく放置でいい。ウエノでの戦局は決まっている以上、不意の事故でロストすることはない」
「逃走した洗脳の検体は、ロキのサマナーと合流した奴は直接殺ればいい。残り2匹は戦闘員達に予想位置と経歴を流せば『
「……いや、それは楽観だな。研究室そのもののパージをするべきだ。ガイア再生機構として作った現地施設だから替えは効く。優先すべきは主要研究員を守ることだ」
そうして、手元の端末で研究室に報告と要請を上げながら、最短経路で研究室に戻るために連絡通路へと入ったその時
リオは/辞林は、反射的に攻撃を放った
| 万魔の一撃 | 物理スキル | 敵単体に万能属性大ダメージ |
| 霞駆け | 物理スキル | 敵複数体に物理属性中ダメージ2〜4回 めまいの追加効果 |
「待ち伏せって訳? やってくれるじゃない! *2
「こちらのルートを予測してきただと⁉︎メダマノオヤジからの逆算か*3!」
眼前に敵を捉えてから戦闘開始まで0.02秒。
瞬きのうちに、戦いが始まった。
眼前の敵、『刈り取る者』を見る。
使う技はほとんど攻撃一辺倒。火炎、氷結、疾風、電撃、核熱、念動に物理と銃撃とかなりの多芸だが、ダメージはブースタなどの気配はないダイン級が限度。
たまに『コンセントレイト』や火炎、氷結、疾風、電撃のガードキルなどの補助行動、ワンショットキルや空間殺法ような特大威力を織り交ぜてくるが、それとて全回復でターンを回せば問題にはならない。
戦闘スタイルは弱点やクリティカルで
| 至高の魔弾 | 物理スキル | 敵全体に銃撃属性特大ダメージ |
| 空間殺法 | 物理スキル | 敵全体に物理属性特大ダメージ |
「ツンツンな動きが続くなぁ!」
「学習能力はない。本能で動いているだけだ」
ゴドー殿の影に隠れて1発を回避して、2発目の特大威力攻撃を受ける。そして、全員が生き延びたことを確認しつつ回復行動を行う。
| メディアラハン | 魔法スキル | 味方全体のHPを全回復する |
「クイーンメイブ、ソロネ! ガードを解くな!」
「私たちが命綱ですもの、わかっているわ」
「あのような者達に攻撃を任せるのは、いささか不安ですがね」
「『旋風陣*5』!」
「『切なさ乱れ撃ち*6』だホー!」
「……双手*7」
MPやらSPやらの消費をケチりながらの戦闘だった。刈り取る者はデカジャ、デクンダがないために、もうバフデバフは積み終わっている今は安定しているのだ。2連クリティカルでも出なければ崩れることはない。
問題は、ここが敵地であることと、『刈り取るもの』の耐久力がボス並みであること。瞬殺して敵に備える事が最善であるのだけれど、それが不可能なので耐久戦をしつつ『ソーマ*8で即時に全回復できるように整えている形だ。
「削れたのは、およそ半分か?」
「そのようだぁ! パターン変更に注意しろ!」
「半分削れると本気出すボスは多いホ。ダメージ以外で自分の危険を理解できない間抜けだホ」
| マハムドオン | 魔法スキル | 敵全体に呪怨属性で中確率の即死効果 |
あ、ヤバい
「ちぃっ⁉︎」
「即死ホ⁉︎」
「ゴドー! デモニホ殿!」
通常であれば対策しているので何一つ問題にならないデレ行動になるが、しかし現在ゴドー殿とオオノ殿はロクな装備をしていない。囚われの身から逃げ出してすぐなのだから、武装解除されてしまっているのだ。
なので、ゴドー殿は呪殺が素通りであり、命中したが故に『不屈の闘志*9』を切らされてしまっていた。
流れが、敵方に動いている。こういう時は、悪い流れに入っていくものだ。
| ワンショットキル | 物理スキル | 敵単体に銃撃属性特大ダメージ |
「……ッ⁉︎」
ゴドー殿が呪殺によって死に、生まれたカバーの隙に叩き込まれる絶殺の銃撃。
この面子のメイン回復役である己を殺すつもりだったらしい。パターン気味なルーチンしかないと見せかけて、若干の意思とか殺意とかは隠し持っていたようだ。
そして、その一撃は
そして、クリティカルで動きの乗った『刈り取るもの』は行動を連続させる。放ったのは『コンセントレイト*10』。
土壇場でデレてくれてありがたい限りである。
「召喚、ネビロス! テトラジャ*11撒きつつ囮になれ!」
「ATTACKが銃撃の相手は相性が悪い*12のですが……仕方がありませんね」
ネビロスが『テトラジャ』を張り、クイーンメイブが『メディアラハン』を発動。ソロネはカバー待機をして敵の魔法に備える。
そうして、前衛組が行動を始めようとしたその時。遠方から超高速で打撃音が近づいてくる。
「戦闘音、新手か?」
| 霞駆け | 物理スキル | 敵複数体に物理属性中ダメージ2〜4回。幻惑の追加効果 |
| 猛反撃 | 自動効果スキル | 敵の物理攻撃に対して、確率で反撃を行う |
| 千烈突き | 物理スキル | 敵複数体に物理属性小ダメージ2〜7回 攻撃回数は速度差により決定 |
| ハイパーカウンタ | 自動効果スキル | 物理攻撃を20%の確率で反射する |
超高速の乱打戦。片方は、以前技研を襲った者と体格や技の撃ち方が完全に一致している。こっちが殺すべき敵だろう。
もう一人は見知った顔、見知った小ささ、見知った動きの女戦士。つまりリオであった。
え、リオなの?
「くたばれドグサレショタモドキ! この後に及んで手加減してる自分を恥じろ!」
「黙れクソボケショタコン女! 保護してるガキを使って致しているところを見せられた恨みを思い知れ!」
「勝手にストーカーして勝手にダメージ受けてるゴミ屑が! ごちゃごちゃとうざいのよ! 死んで詫びろ!」
「死ぬのはお前だ! 僕の計画をことごとく砕いた今日のことを許せるほど人間はできてない!」
「
「お前もな!」
あ、仲良くなってる。
殺し合いの最中に何も考えず吐き出し合う口喧嘩って結構楽しいのよなー。脳死でひたすら敵を否定しまくるあの感覚はなかなかに面白い。口喧嘩に負けた時のメンタルダメージはでかいけれど、それはそれ。
そして、そんな『造魔使い』に向けて刈り取るものが行動を差し込む。前衛3人はカバー待機しつつの状況の様子見を選んだようだ。
| ジオダイン | 魔法スキル | 敵単体に電撃属性大ダメージ |
| エージェント・B | 上半身防具 | HP126上昇 電撃無効耐性 |
「横槍? 邪魔だなぁもう!」
「誰だか知らないけどナイス! 次は電撃以外でお願い!」
トップギアで殴り合っている二人。おおよそ1ターン2回行動の速度で、しかも細かく立ち回り間合いを差し合っている。
この異界が一直線だから移動方法が限定されており、遠くウエノからここシナガワ近くまでやってきたのだろう。
「え、ウケノからシナガワまで殴り合いながらやってきたのか?」
「バケモンだホ。どっちも」
「丁度いい、リオと俺たちで挟撃するぞ、『刈り取るもの』を奴に押し付ける」
「イカれ具合はゴドーとさほど変わらんな。血筋か」
リオの背後から、ツギハギ殿、ブレイド殿とフジワラが現れる。周辺のシャドウを押し付けられたのか多少の戦闘をしながら、リオのサポートしていた。
「……何故、互角に殴り合えている?」
「手勢がいない。奴は造魔に強化や弱体解除を任せている。その分だろう」
「カジャンダの大切さが身に染みるな」
続いて『刈り取るもの』が『至高の魔弾』を解き放つ。全体にむけた銃撃で、単発っぽいスキル名とは若干噛み合っていないアレである。
そして、その一撃は己達に通る。ブラックデモニホ教官は無効耐性で受け流し、ネビロスは弱点に受けて一撃で死亡した。誇れ、テトラジャストーン1つ分の仕事はしたぞ。出来れば単体攻撃ひっかけて欲しかったが。
そんな中、リオ、ゴドー、そして造魔使いの『猛反撃』が『刈り取るもの』に叩き込まれる。
「邪魔!」
「落ちろ、雑魚が!」
「……未だ気付かんのか、馬鹿娘」
ダメージ量的に考えるとそろそろ仕留められるだろう。
手番が回る。先手を取ったのは己、まずは『ソーマ』で魔弾のダメージを全回復しつつ消費したMPを回復する。
「よくやったわ横槍野郎! 後で殺す時遺言くらいは聞いてあげる!」
あ、これ集中しすぎて目の前以外を見ていない奴だ。さっきの『刈り取るもの』の攻撃と己の回復が別人のものだと気付いていない。
己だと告げるタイミング間違えたら気が逸れて死ぬやつだな、コレ。
その時、『造魔使い』の雰囲気が変化する。
「メダマノオヤジ、シャドウ探索のタスクを切り上げ。あのバカは好きに暴れて好きに死んでろ」
「ギアチェンジ。『アクセラレート*13』ギア3」
運動速度自体は変わっていない。しかし動きの質ががらりと変化する。永続タイプの行動増加バフ、面倒な手合いだ。
「雑魚操作のリソース流用? ちゃんちゃら遅いのよ!」
「データを詰められただけの木っ端風情が! 図に乗るな!」
「お前も、お前も、お前らも!」
刈り取るものに対して『造魔使い』の攻撃が入る。放たれたのはおそらく物理スキルで、特大威力クラス。
そろそろ倒せそうだとはいえ3割くらい残っていた『刈り取るもの』が一撃で消し飛んだ。打撃の威力が音にも衝撃にもならず、体内で破壊へと変じる絶技であった。
──ひどく、見知った技によく似ていた。
「纏めてここで始末する。面倒なんだよ、もう!」
「面倒程度で放り捨てられるなんて、軽い仕事で羨ましいわね!」
「ゴドーの庇護下で、甘えて生きてるお前が何を!」
「そんな甘ちゃんに文句言われてて片腹痛いわね! ていうか、私が誰だろうとあんたが仕事を面倒さだけで放り出したクズだって事には変わりはないんですけどー?」
「……ぶっ殺す!」
「あらお下品な言葉ですこと。さっきまでみたく言葉に無駄な修飾語つけてカッコつけなさいよ、下衆な魂が隠せないわよ?」
リオと『造魔使い』の舌戦が止まらない。技の冴えや、HPの残量的に押されているのはリオだろうに、口の回り方では圧勝している。
そんな舌戦の最中に、己の視界に重なるように『造魔使い』のアナライズデータが現れる。フジワラのバックアップだ。
| ■■ | ■■ | LV93 |
| 電撃無効 銃撃無効 ??? | ||
| アリ・ダンス*14銃撃無効、??? | ||
ほとんどジャミングされて見えないが、耐性ノックにて明かされた分があるようだ。電撃、銃撃無効なのはブレイド殿のマーキング効果の弾丸、『ダート』と呼ばれるアレ*15の対策だろう。奴はそこそこの回避能力を持っているが故に必中状態を避けたのだろう。
「フジワラ、敵の回復手段は?」
小声でそう呟くと、視界に文章が表示される。
『回復はアイテムです。これまでは2ターンに1回のペースで全回復していました。行動回数を増やしたのは、増えた敵の数に対応するためでしょう』
『体力は大威力4から5発分はありますね。防御力も物理型相応にあるので、相当にタフです』
聞いてもない情報を教えてくれたが、聞きたい情報だったのでまぁそこは良い。
リオで1発目、ゴドー殿で2発目、ブラックデモニホ教官で3発目、オオノ殿で4発目、ブレイド殿で5発目を差し込んで食いしばりを切らせて、ツギハギ殿か己か仲魔かでトドメを刺す。というのが理想。
しかし、奴の『アリ・ダンス』がその計算を狂わせる。あれ、流れに乗っている時だと半分くらい避けるのだ。故に、5割の命中率と仮定する。誤差は出るだろうが、今は無視
その上で、奴には『ハイパーカウンタ』が存在する。最適なタイミング、最適な力での反撃を行うことで自分へのダメージをゼロにする絶技だ。
それも含めれば、10発の攻撃のうち有効打になるのは4発となる。奴への致命には1発届かない。全部魔法ならば5発入るだろうが、己達の面子で特大威力相当の魔法攻撃ができるのはブレイド殿だけ。電撃属性なので装備耐性で防がれる。
ブレイド殿電撃貫通持っているが、あれ食いしばりからの覚醒を必要とするので今は使えていないのだ。ビリビリしてる電撃の色もまだ普通であるし。
思考を加速する。奴の気が『刈り取るもの』を仕留めたことで緩んでいるこの瞬間しかチャートを組む時間はない。
電撃ガードキルで耐性を剥いてマーキングを当てる? 己の手持ちにはないし、あったとしても効果の切れるまで防戦に回られれば意味はない。
見落としているものはないかと現状を再確認。己たちの目的は、脱出だ。そのためにどこかにいる異界の主を仕留める必要がある。
リオ達がやってきた方向は、妙な動き方をしていなければウエノから。一本道は行き先はウエノシナガワの連絡通路なのだろう。
ワンチャンス賭けて、奴を誰かに任せて先に異界の主を暗殺する? 無理だ。この一本道の異界での主の位置はどう考えても端である。引き返した先に主がいなければ、無意味に背中を向けて危険を晒すだけになる。確率は1/2、まだ命は賭けられない。
増援要請? 行けなくはないが、呼べる増援は己達の入った罠の場所を守ってくれているマナブ殿達だけ。言ってはなんだが、足手纏いだ。
思考がぶれている。縛りを入れなければ思考が収束していかない。
「ゴドー殿。脱出と打倒どちらに絞る?」
「……脱出だ。リオ達が混ざったところで、俺たちでは奴に勝てん」
「理由は?」
「俺は、奴を5度殺し5度魂を砕いた。だが現在奴は生きている。ただ殺すだけでは意味のない手合いだろう」
「ネタのアタリは付いてるか?」
「ここでないどこかに操作主体がいると見ている。一見本体に見える生身を操っているモノだ」
あのバカみたいな強さの技の精度で? とゴドー殿の正気を疑う。しかし、奴の操る造魔の肉体と生身? の肉体が寸分違わず同じ筋肉比率であることなどの理由から、生身が作られた存在である可能性は否定できない。
「フジワラ! 異界の壁の薄いポイントをマークしろ!」
「……ッ⁉︎ジエンくん⁉︎」
「その隙、獲った!」
あ、やべ。
| 龍眼 | 自動効果スキル | 命中率を大きく上昇させる |
| 朧一閃 | 物理スキル | 敵単体に物理属性特大ダメージ 低命中率 確定クリティカル |
| ニヤリ状態 | 基本システム(真4) | クリティカル時、弱点への攻撃時、敵の攻撃を回避、耐性により無効化したとき確率でニヤリ状態となる |
| ニヤリ状態時、敵からの弱点、クリティカルを受けない*16。攻撃の威力が増大する。攻撃がクリティカルになる。攻撃が必ず命中する | ||
| 物理スキル | 敵単体に物理属性特大ダメージ クリティカル時ダメージ上昇 |
1発目の必殺に見える大技『朧一閃』。その確定クリティカルをもって姿勢を崩し、ニヤリ状態の乗った確定クリティカルアカシャアーツにてトドメを刺すというオーバーキルコンボ。
二の打ち要らずとか言いながらの2撃必殺コンボ技であったが、紛れもなく必殺であった。
ズン、と思い音がする。リオに着弾した一撃は音を立てず、衝撃も生まず、ただ破壊力だけを爆発させる大技
そんな一撃が、
「躱された? ……いや、違う。打撃時の受け方でダメージを
「……人間、やれるものね」
「キミが人間? 悪い冗談はやめてくれ」
するりと抜けたように見えても、ダメージはきちんと通っている。リオは致命傷を受けて生きているのが不思議レベルの体力だろう。HPが一桁な奴再びだ。
「でもってぇ!」
| 猛反撃 | 自動効果スキル | 敵の物理攻撃に、高確率で反撃をする |
リオが、敵の特大威力コンボに対して、前に踏み出して反撃を叩き込む。
ダメージは中威力程度、積み重ならなければ誤差程度。
だが、それにより姿勢が崩れた事実は変わらない。リオの追撃が始まった。
| とんぼ蹴り | 物理スキル | 敵単体に物理属性小ダメージ。確定でクリティカル |
「……ッ⁉︎」
「いいコンボねそれ。パクらせて貰うわよ!」
トンボが飛ぶときのように鋭く刺さる蹴りが急所に入り、その手応えによりリオが『ニヤリ』と笑う。そして蹴りでダウンした『造魔使い』に対して
このクリティカルで差し込んだダウンは大きい。連続攻撃を当てて『気絶*17』を誘発できれば、殺れる!
| 物理スキル | 敵単体に物理属性特大ダメージ。ニヤリ時貫通効果を付与(練度不足により反射貫通不可) |
リオのアカシャアーツがダウンした敵に直撃する。その技は、先ほど『造魔使い』が放った技の要素を組み込んだのか、技の打ち方が若干変わって強くなっている。
今の1発被弾しただけで技を進化させたらしい。やっぱりリオが人間だと言うのはなにかの間違いだと思うぞ己。
「チィッ!」
『造魔使い』が反撃をしようと転がりながら構えを取る。しかしその転がった先を狙い澄ましたリオの拳が突き刺さる。
両腕によるガードが間に合ったために頭部は守られたが、しかし威力を受け止めた両腕が内側から砕け、ぐちゃぐちゃになっている。
しかし、そのぐちゃぐちゃな腕を使っての『猛反撃』が入る。鞭のようにしならせて顎を砕く技巧の一撃だ。
先の一撃が致命傷だったリオはそのダメージを耐えきれず、衝撃で首が飛びそうになっていた、しかし『食いしばり』にて皮一枚繋いで耐えていた。
「腕は獲った! 姿勢も崩した! これだけすりゃあ殺せるでしょ!」
「安心してくれリオ! 連れてきたのは雑兵ではなく、精鋭だ! たまたまだがな!」
「別に連れてこられた訳でもないホ、でも、精鋭なのも本当だホ!」
ブラックデモニホ教官が『うちまくり』にて『造魔使い』を狙い撃つ。5発放たれて、当たったのは2発。転がり逃れる動きが機敏で、なかなか攻撃が当たっていない。踊るような足捌き、ならぬ転がり捌きだ。
だが、ゴドー殿は敵を捉えた。放った技は『ブレイブザッパー*18』先程までの打撃型のスタイルから手刀での斬撃型のスタイルに変化している。
なにか、雰囲気が変わった気が……
「ってオオノ殿⁉︎」
「チェンジ完了『機界鬼』!」
気付けば、オオノ殿の姿が変わっている。先程までの忍者を思わせる鬼から、機械の戦士を思わせるカラフルな鬼の姿へと変じている。
だが、この姿はどこか歪で、内側になにか凄まじい力を隠している気配がする──というか、『チンゼイハチロウ』の気配がする。奴はゴドー殿のペルソナではなかったのか?
「『ヤブサメショット*19』!」
チンゼイハチロウ、もとい『機界鬼』の『龍眼』により定められた狙いの元で放たれた一矢は、『造魔使い』の喉元に真っ直ぐ飛んでいった。しかしその矢は添えられたぐちゃぐちゃの腕により数センチズレ、地面を抉るだけに至る。
「なんだホコイツのしぶとさ⁉︎ゴキブリか小僧か何かホ⁉︎」
「己を混ぜるなその中に! 奴らほど逞しく生きたいとは思っているが!」
そうして地面に命中して爆発した矢の衝撃を利用して姿勢を立て直し、ダウン状態から復帰した。ブレイド殿とツギハギ殿は追撃に間に合わなかったようだ。
「千載一遇のチャンスを潰したね、君たち」
そう言いながら『宝玉*20』を用いてダメージを全回復する『造魔使い』。
「しかし、どうしたものかな。レベルダウンも含めて70台が5匹にサマナー2匹、仲魔レベルは60くらい? 限界召喚数は2と5かな?」
恐ろしく正確な認識。メダマノオヤジがいなくても周辺を認識する力はかなり高いらしい。
奴の肉体がカラテモンスターなだけでバックアップ系の異能者なのではないか? という恐ろしい推測が生まれる。
そして次の行動で奴は驚くべきスキルを発動した。一見意味が分からないし、戦闘中に使うべきでないスキルを。
それこそが、己達を詰ませる必殺の技であるように
| マッパー | 魔法スキル | 周辺のミニマップを表示する。目に見えない背後でも、壁に阻まれた向こう側でも、立体的に周辺を把握することができる。 |
「……時間切れか」
「フジワラみたいなことをしでかすのか、コイツは!」
ゴドー殿から、諦めに似た声がする。
己の第六感も、この化け物から逃げろと叫んでいる。本体が別にいる端末としての戦闘体だから? 殺しても死なないから?
どれも違う。まっとうなやり方ではコイツに勝てないから逃げなくてはならなかったのだ。
「総員!
「結構前に噂になったわね、情報を100%解析されたら100%の確率で攻撃を回避できる*21って!」
「必中効果でダメージを重ねるか?」
「奴はまだまだたくさん回復アイテム抱えてるホ!
「無駄じゃないよ、僕の持っているアイテムは有限だからね。リソースくらいは削れるんじゃない?」
「僕のリソースが尽きる前に、君たち全員殺すけどさ」
流れに流れ流されて、始まった有利極まりない状態での突発的戦闘。
その趨勢は己達に不利なまま進んでいくかに思われた。……その爆発音が響くまでは。
「えぇ……? 厄日とかそういうレベルじゃないでしょコレ」
「皆さん! 異界が崩壊します! マーカー方向を見て下さい!」
フジワラの言葉の通り、崩壊音がした方向を見る。すると、そこには先ほど手こずった上にトドメを掻っ攫われた化け物、『刈り取るもの』が存在していた。
異界の壁面を貫き、この連絡通路へと現れたらしい。空いた大穴の向こうには、東京を思わせる奇妙な街が見えている。
そこからは、数えられるだけで18体の刈り取るものが存在していた。
「全員撤退! 蓋が取れたんだからトラエストいけるはず! いけなかったら死ぬしかないから諦めて!」
リオの叫び声を聞き、咄嗟に面子を集めて撤退に移る。位置的に、己はゴドー殿を拾い、ブラックデモニホ教官はオオノ殿を拾う形になるだろう。
あとの面子は脱出アイテム持っている筈なので、なんとかなってくれ。
「逃げろ!」
いつものドタバタ脱出劇になるか? と思いきや『造魔使い』は意外なことに追撃をして来なかった。いや、刈り取るもの4体くらいに絡まれているから無理だという話なのかもしれないが……まぁ、うん。頑張れ、死体が残る程度には生き残っていてくれ、己がぐちゃぐちゃにして悪魔の餌にしたいからな!
「あ、レベル上がった」
認知異界ムナールにて発生したある種の“免疫作用”により発生した『刈り取るもの』による連絡通路破壊は、完了した。しかし、辞林はその『刈り取るもの』達を正面突破して生き延びていた。
現在『造魔使い』辞林がいるのはムナールのセーフゾーン。人々の『ここは安全だ』『ここならば休める』という認知の生み出した安全地帯にて、ぐっだぐだのぐだぐだだった本日の収支を計算していた。
その時、『刈り取るもの』を数体倒したことによるレベルアップが辞林に訪れるのだった。
「めんどいなぁもう。93レベが一番消費MAGとステータスの効率が釣り合ってるんだから、レベル上げの意味ないんだよ? この身体。まぁ躯体の残りは少なくなってきたからもう暫くこれ使うけどさぁ」
などと愚痴りながら、COMPに届いた動画を見てさらに死んだ目をする
「死んで下さい死んで下さい死んで下さい!」
「ヒャッハー! ジャスレイのゴミ屑の工場だぁ! ついでにぶっ壊しちまえ!」
「あいつ実は同業他社なんだよねー! 今はレイドバトルだから仕方ないよねー! 工場の機材が壊れちゃうなんてねー!」
「レルムなんて信用できない土地に工場作る馬鹿はこれだからねぇ! 金持ちがぶっ潰れる様は気持ちよくて堪らないねぇ!」
「え、ここ誰かの工場だった? 言ってよもう、盗るもの盗ってから壊すから!」
映像に映っていたのは、『ジャスレイ・ドミニコス』の経営するJPTトラストのアイテム工場だった。
そこには空から撃ち落とされた『嘆きに呼び出されしグルル』が着弾し、そこに追い打ちをかけるデビルバスター達の銃撃によってさらなる破壊がもたらされている。
彼の工場には『新型機材』と称して『メダマノオヤジ』の制御サーバーを内蔵したものが搬入されていた。工場への微量なMAG流入ラインを用いてのものである。辞林が稀に行う、現地民へ提供した機材の中に計算デバイスをそれと分からないように仕込む手法だった。
メダマノオヤジの制御に使われているプログラムは、この世界にて使われている悪魔召喚プログラムの延長線上にあるものだ。漏洩しても被害は少ない。あるとすれば辞林がこの世界での信用を失うというリスクだが、そもそもの話として辞林はさして信用を必要とする役職にいないので問題はない。
「いや、証拠隠滅した後だから良いんだけどね? メダマノオヤジの制御放棄した後だから問題はないんだけどね? それはそれとしてちょっと運がなさすぎじゃない?」
今回の
「……コレで
なお、再生機構に繋がらない理由は『JPTトラスト』へ搬入した機材も、先程砕けた連絡通路も、ほぼ全て辞林の独力で作り上げたものだからである。
事実としてバックアップをされていないのだから繋がりようがないのだ。エデンという大組織の端の端、組織の主目的から若干離れている『マイナー技術の蒐集と解析』という窓際部署であるから、仕方ないといえば仕方ないのだが。
「まぁ、データ解析から始めようか。今回ので極限状態にて発揮される
「そしたら、殺して終わりだね」
認知異界ムナールにて、そんな言葉が解けて消えていった。
「なんかあの雑魚が強キャラ風吹かせてる気がするわ。もうギャグキャラ一歩手前だって分からないのかしら」
「唐突に電波を受信しないでくれリオ。運転に支障が出ていてそうで怖いぞ」
レイドバトルは無事終了した。レイドバトルの裏で起こった認知異界への引き込みを初めとした各地で起こった小事件も大きな被害なく収まりつつあった。
人類悪と呼ばれて然るべきバスターたちの戦いの裏でちょいちょい変な事が起きている。戦勝ムード、楽勝ムードの裏側で、微妙にすわりの悪い空気が混ざっている。
「己、朝の時点ではリオと会ったら色々話そうと思っていたりしたのだが……色々ありすぎて何を話したかったのか忘れてしまったぞ」
「あー、微妙に悩んでたわよねジエンくん。そうやって悩んだ結果親父が釣れたんだから結果オーライじゃない?」
「自分の親父を魚かアズミかのように言うものではないぞリオ」
「……なんでそこでアズミ?」
「水場によく居て、1匹にダメージを与える仲魔のために団結して襲ってきてくれる食料だぞ。友釣りというのだろう?」
「外道気味な勘違いが広がってるわねぇ。友釣りってのは、仲間割れとかを利用して針に引っ掛けるやり方よ」
「へー」と頷いた己である。そんな中で「すぅ」とか「くかー」とかの寝息が聞こえてくる。
車内にて、フジワラやブレイド殿がすやすやと眠っている。ゴドー殿、オオノ殿は泥のように、あるいは死んだように眠っていた。ツギハギ殿は残念ながら車に乗り切らないので電車にて帰ることとなってしまっている。悲しい奴だ
「いま襲われたらひとたまりもない奴であるな、己たち」
「大丈夫じゃない? 鉄火場なら起きて戦うでしょ。RoRoちゃんの歌とか目覚ましに良さそうだし」
「寝起きに気持ちのいい歌声があるとは……天国か?」
「ジエンくんの天国ってすごい近くにありそうよねー」
「む? どういう事だ?」
「ジエンくんって、些細な事で笑顔になれるじゃない。茶柱が立ったとか、朝友達に会えたとか。そういうのを感じられる場所が、天国なんじゃない? って」
「あー、そういうのはよく言われるぞ。『地獄の底でも花を見て笑える奴だ』とか」
「へー、そういうの言われてたんだ。やっぱ素敵だもんね、その感性」
「そうなのか? 己は普通に思っているだけだが」
「普通のことが、凄いことなんだよ」
「そういや、ジエンくんの話したかった事って思い出せた?」
「あ、あれであるぞ。“人は課せられた役割によって生き方を変える”とかそういうのだ。なので、不良学生という役割ならハンターよりこの世界向きでは? みたいなのだ」
「なんか……ドラマチックな話し方すれば、一個の素敵なシーンになりそうな奴だね」
「うむ。こんなぐっだぐだな雰囲気の中で話すことではないのでは? と思うが、しかし話さないのも違くないか?」
「まぁ、ジエンくんなら大丈夫でしょ。たくさん役割貰ってるし」
「む?」
「不良じゃない普通の学生に、ゲーム好きな男の子、RTA走者見習いに、宴会の幹事さん、ゲテモノグルメ探求者に、動画配信初心者さん。いろいろ沢山貰ってるでしょ? 私が見てきた中だけどさ」
「……酷い役割多くないか?」
「まぁ、酷めなの選んで言ったし」
「なんと」
「そんな肩肘張らなくても、ジエンくんはいろんな役割に合わせて色んなことをやれてるよ。多分悩みの本質の“やりたくない事”をやらないでいいままにさ」
「……リオ、実はヒフミ先輩から話聞いていたりしないか?」
「ん? 誰ヒフミって、女の子?」
「うむ。優しく温かく、しかし心根は鋼が如き強き人だ。おのれのポンコツっぷりに心を砕いてくれた恩人だぞ」
「友達多いわねぇ」
「……己は、敵の企みを挫くためにリオを殺してしまうことを考えた。選択肢の中に入れた。それが、辛かったのだ」
「あ、有りねそれ。頭柔らかいわー」
「フラットに認めないでくれ。恩人を死なせたいとは思っていない」
「まぁ、そんときはさっきの役割話を使って、都合のいい役割を自分に課しちゃえばいいんじゃない?」
「雇用契約の時にした、“私の護衛”とかさ」
そういえば、そんな仕事内容で契約をした記憶がある。その当時はリオは異常性を取り繕えていたらしく……いや本当にそうか? 微妙では? ……まぁとにかく、姫などと呼ばれていて弄られていたのは記憶に新しい。本当に割と新めな記憶でもあるし。
「うむ。改めて拝領しよう。姫の護衛という役割を」
「懐かしいネタを振ってきたわね。……なんで最近言われなくなったのかしら?」
「武力が強くなりすぎたからではないか?」
「誤魔化しやがったな、このー」
「こらリオ、ハンドルから無意に手を離すな!」
「地味に真面目だよねぇ、ジエンくんは」
雑な会話をしていたら、ヒフミ殿と話し、学校でいろいろやって吹っ切れた心がどんどんと澄んできた。
「まぁ、なんだかんだと生き残ったんだし適当にやろうよ。人生まだまだこれからだしね」
「世界が滅びなければの話ではないか?」
「じゃ、ほどよく真面目にキリギリスやらなきゃね。今回の第二次レイドバトルみたいさ」
「第二次レイドバトル?」
「ほら、宝石のやつ。あれ、知らない?」
この日、己は己に定めた役割に、『宝石ハンター』を定めることに決めた。ステータス増加量半端じゃなくないか?
ワンピースの一挙放送を見ながらの執筆はぜんぜん全く進まないという事実を先週の私に伝えたい気持ちが若干ある、だいたい週一投稿(大本営発表)でした。
レルムレイド関係話は、これにて終了です。辞林くんがアホほど運が悪かった理由はステータス配分の関係です。初期の初期から自分の思い通りにステータスを振れたけっか運をおざなりにした結果こうなったのです。
というのが理由の一部。実際はもうちょいいろいろあります。
・ジエンくん
やっと帰れた不良学生兼姫の護衛兼宝石ハンター。色々ありすぎて掲示板をあんまり見てなかった結果、第二次レイドバトル(宝石争奪戦)に乗り遅れた。
真4Fでは宝石は『ヒスイの守刀』を使った宝箱くらいにしか入ってないので、手持ちには殆どない。
耐久力をレベル外で上げられるあれこれを求めて、宝石ハンター今日も怪しい取引へと向かうのだった。
・リオさん
事故って敵ボスと遭遇したカラテモンスター。出会った瞬間の異界の月齢が新月だったので『マッパー』されずに戦闘ができた。
ひたすら殴り合っては移動してを繰り返していたので一番疲れている筈だが、『ジエンくんへの好感度稼ぎポイント』を察知した嗅覚により危なめなドリンクを飲んで格好をつけていた。翌日青い顔をしてゲロ吐いたが、瑣末なことである。
・ゴドーさん
100時間オーバーの活動時間では流石に疲労が溜まり、運転をリオに任せて眠った。他人の前で眠ることが珍しいので、寝顔はレアである。リオは写真を撮った
ペルソナ使いではあるが『チンゼイハチロウ』はコスト重すぎてほとんど使えず、基本鍛えたカラテだけで戦っている。ペルソナは外付けのステータス上昇装備くらいにしか思ってない。
辞林くんとの初戦時は、月齢が新月になるまで耐えて、新月時に殺して、を繰り返して5回仕留めた。超長時間の耐久戦である。
・オオノ(謎の忍者おじさん)
一般ペルソナ使い(暴走型)なおじさんだが、これがことゴドーと組むと化け物じみた戦力にかわったりする。
ゴドーと共にP2のフィレモン式(正確には、アルカニストによって引き出された擬似フィレモン式)のペルソナ使いであり、アルカナも近くペルソナのストックを共有できる。
ので、チンゼイハチロウを暴走させてコストをペルソナ発動のためのSP(ペルソナ1、2式)からスキル発動のためのコスト(ペルソナ3以降)に切り替えてぶっ放している。ゴドーとオオノが組んでる理由のコンボ。
そもそもの話として召喚に必要なコストが馬鹿デカすぎるチンゼイハチロウがおかしいだけなので、コンボの再現性はない。
・ブラックデモニホ教官
なんでジエンくんと勝負していたのかはもう忘れている。車に乗れなかったツギハギさんと意気投合し、ツギハギさんは技研に戻る前に一緒に飲みに行っていた。奇妙な友情がまた一つ……
ジエンくんの保護者たるリオさんを見て、割とガチめにジエンくんがこの世界に適応するためにはあの怪物の影響を剥がすべきでは?と思わなくはない。