姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝   作:気力♪

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聖華学園大激闘その3.1 観戦席にて、ある刀のこと

#雑談チャット

 

m学籍番号:■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:03
開幕出オチしたやつ結構いて笑うんだけど

 

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 待ち伏せって訳じゃなく、巡回してるところにカチあった感じらしいね

 

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 6チーム遭遇して生き残りは2チームだってさ

 

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 4チーム壊滅してんだ

 

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 雑魚に足引っ張られないで済むのは楽でいいよね。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:09
 現役デビバスがどれだけ強くても、私らが全力で戦えれば十分勝てるからよゆーよゆー

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:10
 伊達に学園で鍛えてないって話よ

 

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 てか、もう戦闘が起きたってんならこっちは何人くらい倒してんの?

 

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 ゼロだってさ

 

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 生き残った連中も情けねー、尻尾巻いて逃げてるだけじゃん

 

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 敵の装備とか確認できてる?

 

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 見た目は誤魔化されててアテにならないらしいのと、耐性ノック全然できてないから装備は不明だって。

 

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 やっぱジエンっての大したことねぇじゃねえかよ。非常識クラス最強だとか言われてる癖に

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:15
 微妙に広まってるよなー。転校生周りの非常識クラスって呼び名。問題外クラスよりはマシだけど、こっちもひでー呼び名

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:16
 実際そうだろ。アイツら使った後の工作室とか汚れやらで相当酷いぜ? 掃除当番変わって欲しいくらい

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:17
 戦場の情報伝達ツールで愚痴んなよ。SNSじゃねぇんだから。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:17
 実際SNSみたいなもんじゃない? 重要情報なり戦況情報は別のとこに分けられてるし

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:18
 現役デビバス連中はレルムでレイドバトルしながら掲示板で駄弁るのが普通らしいよ。情報部の子がそんな事言って無理やり雑談欄増設してた

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■20xx/xx/xx 11:19
 確かに、ゴミみたいな情報でも話さないよりはマシよな

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■20xx/xx/xx 11:19
 問題は、あの九頭竜(笑)の連中がそれを活かせるかどうかだけどな。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:20
 え、天衣ちゃん将棋強いし大丈夫じゃない?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:20
 将棋が強いからって作戦指揮が上手いわけではなくない? 所詮ゲームだし

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■20xx/xx/xx 11:21
 頭使うゲームに強いやつは大体作戦指揮上手いぞ。地元で詰んでた俺らを生き残らせた軍師の人が将棋バカ強かったし、その息子さんも強かったから。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:22
 じゃあその強いやつ連れてこいよ

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:23
 殺されてるから無理かなー

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:24
 しれっと言うなし

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:24
 てか、転校生組の話って藪蛇多くない?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:25
 みんな悪魔絡みの生き方してるからなー。望んで戦えるようになった奴ばっかりじゃないし

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:26
 戦うしかなかったから戦ったってのは分かるんだけどさ、それはそれとして戦うのって楽しくない?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:28
 分からんでもないが口外はするなよ

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:28
 戦うことが楽しいことなわけないだろ。命かかってんだぞ?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:28
 これが属性の対立って奴だね!

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:29
 第一生徒会と第十二生徒会とかめっちゃ仲悪いもんなー。合わない人は居るって

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:30
 @everyone

 開始から30分が経ちました。全体指示を更新したので確認して下さい

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:30
 ルールーちゃんお疲れー

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:31
 あれ、こっちってカジュアル派がメインにしてるツールじゃなかったっけ? なんでクズリュウ派のアムールが?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:31
 使っているツールは同じなんよ。クズリュウ派のお嬢さんが倒れたり、逆にウチらのエーデルはんが倒れでもしたら指揮がぐちゃぐちゃなってまうからなぁ

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:32
 普通に知らんかった。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:33
 けど、そしたらカジュアル派の通信網向こうが握ってることにならね? ヤバくない?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:34
 全然ヤバくなくない? 敵対してないんだし。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:34
 命綱を知らない他人に預けられてたって気分? 怖いよねー

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:36
 あと、そもそもこの通信網が安心なのかって話もあるよね。本番前に超突貫で作られたもんだし。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:37
 敵に覗かれてるって?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:38
 戦闘不能になった奴はBANされるらしいから、死体から情報抜かれるのはあんまりないと思うよ。

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:39
 そういう仕事あるから、オペレーターの増員とかあったのな。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:39
 そしたらこのチャットのサーバーってどこにあるの? こっちの優先防御対象だよね?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:40
 クズリュウ派のルールーちゃんがサーバーやで。そういうことのできる造魔らしい。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■20xx/xx/xx 11:41
 なら、守るためにあれこれする必要はないわな。レベル90オーバーとかイカれてるし。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:42
 敵側にも90オーバーが居るんだよなぁ……

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:42
 レベルなんて飾りだしどうとでもなるでしょ。ボス耐性の有無のほうが問題じゃない?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:43
 あ、そっか。異界の主導権取られてるからボスが居る可能性あるんだ。怖えなあ。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:44
 ちょいと報告。エーデルガルトに報告はしたけど、こっちでも一応。

 C12地点から北に行ったエリアに、異界みたいなエリアを確認した。方向感覚を惑わせるとか同じ道をループするとか、そういう雰囲気。迂回して他のエリアのマッピングを優先する。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:44
 りょーかい。その結界の特徴とかある?

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:45
 なんか0番出口とか書かれてる案内板があったわ。

 

学籍番号 : ■■■■■■■■■■ 20xx/xx/xx 11:45
 8回くらい間違い探しさせられそうやなー

 

 


 

 情報の質としてはたいしたものではない。普段のキリギリスの掲示板と情報量は大差ないようだ。

 

 現状戦場では大きなトラブルはなく、互いの想定を超えるような手が打たれていない。だからこそ、現役デビバス側も学生側も、どちらもそこそこの余裕をもっているらしい。

 

「ジエン的に、これはどうなのでしょうね?」

「……おそらく、多少の無理をしてでも()()()()だろうな。極限状況下、とまでは行かずとも追い込まれた状況で弾ける奴を探しているのだろう?」

「はい」

 

 ジエンのガントレットをハッキングして通信データを読み取りつつ、中継に映っているデビバスと生徒をタグ付けして、戦闘ログデータを作成する。

 

 ある程度の自動化はされているので苦ではないのだが、さりとて楽でもない。

 

 自分が言い出した癖に苦労の大半を私に押し付け、自分は好き勝手に戦っているジエンは痛い目を見たほうがいいと思う。

 

「……しかし、観客席の面々は相当の強者ばかりだな」

 

 ツギハギがしみじみと語っている。自身も漂流当時から考えて意味不明な成長を遂げ、先の戦いの結果もあり75レベルまで跳ね上がった相当の強者であることが考えから抜けているらしい。

 

 とは言いながらも、ツギハギの目は一つの方向から離れない。

 

 彼が見ているのは、可奈美さんの居るグループだった。おそらくあのあたりが、『漫画好き』こと佐々木さんの一段なのだろう。

 

 アナライズはしていないので正確な値は不明だが、可奈美さんは相変わらず凄まじい強さをしているし、それ以上に意味不明な強さの女性は2人いる。

 

 金髪の女性の方は初めて見るが、黒髪の女性の方は見覚えがある。

 

「ツギハギ、声をかけないのですか?」

「流石にな。異世界で世話になったことを別世界の彼女に礼を言うのは、道理が合わんだろう。だが、生きていて嬉しく思うのは確かだな」

 

 彼女の名前は『黛冬優子』。尋常でない強者の気配が漂っているが、私がツギハギから「彼女を知らないか?」と調べるのを頼まれた経験がある。

 

 彼女は『ストレイライト』というアイドルグループの一員であった。あ 現在は活動休止中で行方不明となっており、それはコミックマーケットにて行われた襲撃事件がきっかけであるとは噂されていた。が、現在元気にやっているのがよくわかる、柔らかい表情をしているので、なんだかんだあったのだろうけれど、今幸せに生きられているらしい。

 

「そういえば、ジエンの奴はストレイライトの曲を聞くと異常な怯えを見せるのだが、フジワラは何か知っているか?」

「……ジエンが語った訳ではありませんが、記録から推測できることはあります」

 

「私たちの世界、天蓋のトウキョウでは2つの巨大な勢力がありました。『救世主』と『悪魔王』と名乗る者が主導していた軍団ですね」

「……その辺りは、俺の世界と変わらんな」

「そして、人外ハンター商会はその二つの勢力のバランスを保つ事で膠着状態を生み出し、なんとか生きながらえていました。ですが、敵の首魁達はそれなりにフットワークが軽かったので、幾らかの戦場に現れていたんです」

 

「……ラスボスが自由に歩き回るようなものか?」

「私たちの世界の皆皆が奮闘した結果、手傷を負ってはいました。でなければ最終戦争が起きて私は生まれる前に死んでいたと思われます」

 

「で、そのように自由にしていた『救世主』『悪魔王』と相対して生き残った唯一のハンターがジエンなんです。記録を見た限りでは生き残れるほど強かった、と思っていたんですが……」

「が?」

「まず間違いなく煽って逃げてを繰り返していただけですね。ジエンがこの世界に漂流した際のレベルは57とかでしたし」

「たしかに、奴のステータスの伸び方では、戦える耐久にはなっていないな」

 

 そんな事を話していたら、件の黛さんと目があった。

 

 バツの悪そうな顔をしているあたり、そこそこ聞こえていたらしい。隠していなかったし微妙に距離も近いから当然なのだけれど。

 

「あー……ごめんなさい、聞いたわ。あさひと芽衣の奴とやり合った子が居るって本当?」

「あさひ? 芽衣?」

「……アイドルグループ、ストレイライトのメンバーだな。もしや、彼女達が『悪魔王』や『救世主』なのか?」

 

 ツギハギの言葉に納得する。私たちの世界では奴らが元々どんな存在だったのかを知っているもの、記録している者もいなかった。

 

 ともすれば、あり得るのだろう。

 

「正直本人から聞いた訳ではないので断定はできないのですが、今中継画面3で不思議な踊りをしながれゾンビアタックしているのが、さっき語っていたジエン。かつての世界で人外ハンターランク8だったものです」

 

 一応、私たちが漂流者であることが分かるように伝えてみる。

 

 そうして彼女がジエンを見て、割と普通に引いていた。

 

「なんで踊ってんの? 煽り?」

「おそらくパーティMPリカバリで横の蘇生役のMPを回復しているのかと。まぁ、踊る必要はありませんが」

 

 黛さんは、なんというか微妙な顔をしていた。

 

 戦法として有用なのはその通りなのだけれど、だからといってあの奇行を認めるのは癪なのだろう。

 

「てか、ガントレットじゃない。バロウズ付いてると操作楽なの良いわよね」

「……バロウズ?」

「ほら、サポートしてくれるAI的な奴」

 

 黛さんはこともなげに言っているが、ジエンのガントレットは出所不明で製作者も不明、なんとなくで使えているから無理やり使っている類の装備だ。

 

 性能はほどほどに高いがそれだけなので、ジエンにはCOMPを新調するように言っているが頑なに頷かない。もしかすると、黛さんの言う『バロウズ』が理由なのだろうか?

 

 だとすれば、あの野郎はまたしても私たちに隠し事をしている事になる。ジエンは多弁あるのだけれど、後ろ暗いことややましい事は聞かれても誤魔化すし、真実ではあるのだけれどこちらが誤解するような言い方をしたりする。

 

「まぁ、ジエンのCOMP操作技術は何らかのサポートがなければ難しそうな技ばかりなのですが……アレは大概びっくり人間なので、素の力量な気もするんですよね」

 

「あのガントレットは拾い物で色々わからない事が多いので、なにかあれば相談したく思います。連絡用のアドレスの交換をお願いできますか?」

「んー、捨て垢同然の奴で忙しいと確認できないかもだけど。それでも良いなら」

「はい」

 

 まぁ、こんなふらっと話しただけの輩と連絡先を交換すると言うのもリスクだろう。

 

「私はフジワラ。ちなみに彼はツギハギです」

「……ああ、よろしく頼むぞ黛」

「よろしくツギハギさん。ところでフジワラちゃん、下の名前は? フジワラだけだとややこしいし」

「地元では苗字がなかったのでフジワラが本名となります。世話になっている方々の関係で、琴葉フジワラを名乗ってはいますが」

「苗字苗字なのね」

「尊敬している先祖から受け継いだ名前なので変えたくはないのです。いまさら藤原なにがしと他の名前を使うのも違和感がありますしね」

 

 そんな感じにゆるっと会話をしていると、ジエンに動きが起きる。

 特に理由もなさそうなタイミングで、同行者に合図も無しに突っ込んでいった。それと同時に、敵側のサマナーも動いている。

 

 映像越しには分からない変化がどこかにあったらしい。ジエンに限らず、現役で戦っている面々の多くはこういった見えない予兆に大しての反応がずば抜けている。

 

 ひとつ仮説はあるのだが、それを口外するには世界のループ論を口に出さなくてはならないのであまり議論できてはいない。

 

 眼前の彼女は知っている側なのだろうか? と疑問に思うが、こんな場で口に出すことは私の信頼を損なうことになってしまう。今度都合がついた時にでも聞いてみようか? まぁリテラシーのしっかりしている人っぽいし答えてくれるとは思えないが。

 

「うわ、『オール1』からの詰め方ギャンブルが過ぎない? 早死にするわよアレ」

「普通、そう思いますよねぇ……」

 

 ジエンはよくわからない理由で自ら『オール1』に突っ込んでいき、自ら体力を瀕死にした。走り出した時点では、イシュタルあたりの『メディアラハン』を考慮に入れていた気がするが、仲魔たちは奇襲によって仕留められている。

 

 さては、放った百麻痺針で緊縛を付与できたことでチャンスになってしまい、引くに引けなくなったな?

 

「自分に食いしばりが残っている前提ならそう悪くない手なんですが、ルールで禁止されているってこと忘れてませんかね、アレ」

「……正直あの子のことカケラも知らないんだけど、すっごくありそうに思えるわ」

 

 別に手を抜いているとか、ふざけているとかそういう訳ではない。しかし、ジエンの動きの節々に『遊び』が見える。

 

 なんというか、ダメな時のジエンの動きである。

 

「ちなみに黛さんなら先の盤面どうします?」

「焦って攻め込む必要とかないんだから、見え見えの罠に突っ込まないで味方来るまで待てば良いんじゃない? トラップ破壊した時点でそれ以上無理する必要ゼロでしょ」

 

 そう話している裏で、グクマッツの攻撃をドッペルゲンガーを壁にしての反射を行い、反撃で始末した。また無駄に曲芸みたいなことをしていて馬鹿らしく思う。この戦場は、絶対に無理をする盤面ではなかった。

 

「あ、なるほど」

「最初からグクマッツ狙い? ……違いますね、アドリブでたまたま倒せた奴をさも計算通りと言い張ってるだけです。ハッタリですね」

 

 グクマッツが仕留められ、『テトラカシフト』を排除してからの縁初期攻撃でトドメ。一見すると美しい流れだ。

 

 が、この場でグクマッツが持っているであろう回復スキルを使われたら反撃ですっぱり死ぬのはジエンである。無意味な二択を敵に渡しているだけだった。

 

「……だから踊って煽ってたのね」

「……なんと」

「自分たちが必死こいて作った罠をあんなふざけたやり方でぶっ壊したガキとか、一瞬でも自由にしておきたくないじゃない? そりゃ仕留められる可能性があるならやっちゃうわね」

 

 黛さんのその考え方を前提にして、ジエンの動きを考え直す。

 

 開幕初戦から『オール1』での奇襲、それを失敗した際の逃走成功。

 続いて今回のスタンドプレーの連続に、歩いていれば無限のMPと蘇生を見せている。

 

 なんというか、ジエンはジエン自身の価値を釣り上げまくっていた。

 

「自分を囮にするつもりですね」

「けど、あの子どっちかというと暗殺とかそっちの方が得意でしょ? なんでそんな目立とうとしてんのよ」

 

「……実は、ジエンと私はこんなものを作っていましてね」

「……うわ、個人情報もろもろアウトじゃない」

 

 黛さんは私の記録している戦闘データログを見る。デビバスの名前は隠している者が多いため番号による仮のものだが、学生側の名前はパスワードを通せば見えるようになっている。データログ照合のために顔写真と仮の名前を照合させることのできるシートも別に作っている。

 

「これを現役デビバス組に売って、外に出たい学生と戦力が欲しいデビバスの橋渡しをする、と本人は言っていました」

「……なんというか、たくましいわね」

 

 無論、学園に顔を通して、きちんとした手続きをすれば情報をもらう事はできるだろう。しかし、その時には先んじて情報を得ていた他のデビバスがもう声をかけ、勧誘を成功させているかもしれない。

 

 だから、多少の出費はやむなしとデータに金を出す者も多いだろう、そうジエンは言っていた。

 

「で、売るの?」

「無理ですね。許可降りなかったので」

 

 まぁ、当然ながら個人情報爆乗りの取り扱い注意のものだ。見せ札しか使われていないとはいえ最前線組の手持ちや戦闘データもある。また、生徒たちの弱点などが広まってしまえば拉致なりの被害も考えられる。

 

 常識的に考えて、ダメなのだった。

 

「じゃあなんでフジワラちゃんは記録付けてんのよ?」

「データの配布は許可されませんでしたが、仲介だけなら問題ない言われたので」

 

 なので情報漏洩に気を遣いつつ、自分用にデータを纏めているのだった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ので連絡もそう難しいことではないのだし。

 

「あ、あちらに何か動きがあったみたいですよ」

「あら、友奈の所ね。相方の子と良いコンビやってるわ」

「阿慈谷ヒフミさんという方ですね。ジエンから、入学してから困ったことがあれば彼女に頼ると良いと言われました。とても優しい方であり、強い心を持っている方だと」

「……超褒めてるわね」

「ジエンの誉め言葉はだいたい盛りに盛られているか問題点を意図的に無視しているかのどちらかですが、嘘はありません。なので、本当に頼りになる良い人だとは思います」

 

 問題があるかどうかは口に出す必要はないだろう。ジエンとつるんでいる人間に変なことがない人間などほぼ皆無なのだから。

 ……私も、リオたちには劣るがそれなりに浮世離れしている自覚はあるのだし。

 

「まぁいいわ。とりあえず今日はよろしくね。何かあったときに頼れる目は多い方が良いし」

「あちらのオペレーターの方々がいれば私は不要な気もしますがね」

 

 ふらっと仲間たちの元に帰ろうとする黛さん。

 

 ふと、隣のツギハギを見る。

 穏やかな目をしていた。しかし、どう考えても何かしら話したいだろうに黛さんに話しかけようとしない。

 

「ツギハギ、良いのですか?」

「俺が知っている彼女は死んだ。今あった黛はこの世界で育った別人だ。重ねられて話しかけられても迷惑だろうよ」

 

「そも、向こうからしたら俺は何も知らぬ身を好き勝手に戦場に放り出した外道のうちの一人でしかない。無駄に関りを増やす必要もあるまい」

 

 そういったツギハギは、刀を強く握っていた。かつてマサカド公のものであり、今は公とのつながりを失っているその刀は、何も語らずそこにあった。

 

「預りもののその刀、返せなくて残念でしたね」

「……見透かしたようなことを言うな」

 

「この刀が彼女を前にしてなんの輝きも示さなかったという事は、やはりこの刀は死んでいるという事だ。そんな程度の刀を渡されたところで邪魔にしかなるまい」

「いずれ返すにしても、その刀を蘇らせてからと?」

「そんなところだ」

 

 そう返してきたが、ツギハギに彼女に刀を返す気はなさそうだ。

 

 そもそも根本的な話として

 

「その刀、別に最強の武器というわけでもないですし、今無理に渡す必要もありませんしね」

「同系統の武器が複数個ある中の弱い方だからな。いや、公の刀が複数種確認できているというのもおかしな話なんだが」

 

将門の刀剣装備
装備として使えるのは真1、真2、P3、アバドン王、IMAGINE。ツギハギの持っているのは真1、真2をベースとした刀が弱体化したもの。真1では威力195、攻撃回数1~3と強力な剣だが、ヒノカグツチや魔人武器より威力、回数が劣っている。真2でも威力190の1~3回攻撃の強力な剣だが、やはりヒノカグツチや倶利伽羅の剣、妖刀正宗や魔人装備より威力が劣っている。ソウルハッカーズにおける『秘剣ヒノカグツチ*1』の威力が132であることから、現在冬優子の装備している『スダルサナ*2』と将門の刀は同等程度ほ判断。これが弱体化しているので、ツギハギの持つ刀はスダルサナより劣ると裁定する。

 

 P3では順平の最強武器としてペルソナ合体で作成可能。最新のP3Rでは威力450に全能力+5、スキル『アドバイス』の効果を持ち、クリティカル率を2倍にできる効果を持つ。アバドン王では2周目限定装備ではあるが、錬剣術によって作成できる最強の太刀であり、威力450でHPに50と全能力+5の効果を持つ。IMAGINEではクエスト『将門塚』の報酬にて獲得可能。近接威力108の威力最強の剣である。真4ではイベントアイテムとして登場、破壊神マサカドを祀る祭器としての役割が強く、武器としては装備できない。

 

 シリーズごとに立ち位置の変わる刀であるが、いずれも強力な剣である。

 

 感じる力の気配だけでの概算ですら、この刀は彼女の獲物に劣る。公との繋がりが生きていればともすれば互角の武器にはなったのかもしれない。しかし、力が弱まっている今ではこの刀はそれなり程度の刀でしかない。

 

「託されたものが未来ではさして役に立たんか。物語のような劇的な顛末には、なかなかならんものだな」

「そんなものですよ」

 

「未来に希望があるからと誘われてこの世界に来た私ですが……正直な話明確な何かを希望として捉えることができている訳ではありません。なにか劇的な事があったとしても、それだけで生きていく事はできませんからね」

 

などと言いながら、眼前のモニターからレクリエーションの様子を見る。

 

最初のドタバタがある程度収まり、複数人で集結しての大部屋を攻めるチームと、小さいチームで動きまくる遊撃部隊と分かれていた。

 

クズリュウ派、カジュアル派とわりとしっかり分かれている所もあれば、両方の派閥の人員の混ざる混成チームもある。

 

ぐだぐだというか、適当というか

 

「やはり、学生側に勝てるビジョンが見えませんね」

「個人個人の強さでは現役組より強い奴もいるのだろうが、現役組はそういう連中を確実に囲んで叩けるように布陣している。ジエンから話は聞いていたが、指揮をとっている『漫画好き』は相当な奴のようだ」

「正直に言って、あの人はジエンの完全上位互換です。単独での速度ならジエンは多少ましかもしれませんが」

「……サマナーとしてのジエン、ということか?」

「はい。ジエンがやる殺意を誘導して全体の流れを掴むあれを、ほぼ無条件に行なっていました。自然と最適解に導かれるような指揮でして、いつ私が流れに組み込まれたのか今でも理解できていませんから」

 

ジエンの指揮みたいなアレは、なんというか、本当に殺意だけで生まれるネットワークなのだ。初見の相手でも、相手への殺意があればすぐに流れに組み込んで敵を殺しにいっている。

友好度が低いどころかマイナスに行きかけている仲魔がジエンの指示には割と従っているのはそれが理由だ。

 

自分で考えて、あるいは考えることすらなく、敵を始末するためにこの流れに乗るべきだと感じさせる“雰囲気”の掌握力。

 

あれを殺意以外の全ての感情でやってのけるというのだから、率直に言って彼は人間ではないと思う。ジエンの時点で大体おかしい技能なのだし。

 

そのうえ指揮によって導かれる戦術はジエンのギャンブル万歳の方針とは異なり、確実に勝てる堅実なものである。ジエンは本当に佐々木さんの爪の垢でも煎じて飲めばいい。

 

ジエンの指揮下で殺意に流されている面々はあんまり見えないようになっているらしいが、バックアップとして離れているので賭けに失敗した時のリスクがありありと見えているのだ。正直、気が気ではない。

 

「……今更だが、お前はかなりジエンに辛辣だよな、フジワラ」

「ジエンは加点評価だと良い人物になりますが、減点評価で見ると割とド畜生のクソ野郎ですよ」

「……言わんとしている事はなんとなく分かるな」

 

などと考えるとジエンへの不満点が溢れて止まらなくなるので、この辺りで思考を切り替えておく。

 

画面には、ジエンが合計5人と結構な大人数で行動を始めたのが写っている。

 

ジエンの他には、『雷市陣吾』というジエンとウマが合うらしい長身の男性だ。ジエンとウマが合う時点でロクな人間ではないとは思うが、言動からしても乱暴者であるのは間違いないらしい。が、サッカーに出会った結果凄まじい速度で社会適応性を身につけたという話は聞いているので、悪いだけの人間ではないとも思う。

 

次に、ギター型の装備を構えている少女。先程ジエンと組んだ少女で、『霧島ロミン』という名前であると記憶している。ギターでの演奏を用いることで、不完全な自らの異能を調整しているようにも見える。また、ギターには不自然なケースのようなものが付いており、何かしらのギミックがあるようだ。やけに低いレベルでこのレクリエーションに来たらしいが、初戦にて、奇襲を受けた際にジエンが来るまで生き延びた粘り強さは驚嘆に値するだろう。

 

4人目は、大型のハンマーを装備している少女だ。髪が青い炎を思わせる鮮やかな色合いになっており、純粋な人間ではないことがよく分かる。名前を『セナ』というらしい。このレクリエーションではまだ戦闘をした記録はないが、巨大なハンマーを自然に軽々と振り回していることからその実力が窺える。

 

そして5人目。名前を『シャナイア・リイド』。

 

私は彼女を見た事はない。情報でも知らないだろう。しかし、それでもなんとなく思う事がある。あるいは、思ってしまう事がある。

 

「何故、彼女を敵と……?」

 

由来は一切わからない。しかし私は、彼女を排除すべき敵と見做していた。

 


 

更新遅くなりましたー

 

理由はまたしても遊んでいたからです。14種のマインスイーパーバリエーションは良いぞ……

 

本スレにて愉快な3人が湧いてきたり新世塾、ヤクザとの決戦が決まったりしましたね。ヤクザ絡みは聖華の学生なりルルーシュたちが絡むらしいので楽しみです。絶対面白いキャラしたますからね黒の騎士団の面々は。

 

・フジワラちゃん

しれっとヤバいことしてる系少女。このレクリエーションに参加した全生徒の顔と名前と連絡先に加え、レクリエーションから想定できる戦闘練度、アライメント傾向などなどを手に入れた。

 

悪用する予定はない。今のところは、だが。

 

・ツギハギさん

かつて盟友より託されたマサカドの刀を返せるか?と思ったけれどそれは気のせいだったマン。キタローがまだ居ないので順平がマサカドの刀振り回すことにはなっていないが、14代目が振り回したやべー太刀の記録はあるので相当の逸品には違いない。

が、ヴィシュヌ神の剣合体であるスダルシャナとかいう激ヤバチャクラムを装備している冬優子には無用の一振りである。

 

ちなみに作者は真4でも真1と同様にマサカドの刀で結界を叩っ斬っていると勘違いしていたが、真4では同行している破壊神のマサカド公が結界を食べていた。結界は食べられる、覚えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
威力132、全体攻撃の男専用剣装備。隠しダンジョンである無限の回廊にて入手可能

*2
ソウルハッカーズにて、魔神ヴィシュヌとの剣合体にて作成可能。威力120で、敵全体に攻撃可能




今回SNSの所で使わせて頂いた自作フォントは以下になります。

ボーボボ 三馬鹿(絵文字) 
製作者:柴猫侍 様


カレル文字フォント
製作者:大蛤志望凡才ぶなしめじ 様

素敵なフォント、ありがとうございました!
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