姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝   作:気力♪

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嵐の日の少年 奈落の卵を叩き割るの章
嵐の日のこと 襲撃予定日前日の、あるボランティアのこと


 本日は、セプテントリオン襲撃予定日の前日。

 

 現在、己とツギハギ殿は地元の街を練り歩いている。遊び気分が無いわけではないが遊びではなく、市街地パトロールのボランティアとしてのお仕事だ。

 

 技研に振られた仕事であり、イカサマ禁止大富豪での下位2名である己とツギハギ殿が押し付けられた仕事である。

 

 パトロールを行う事自体に是非は無いのだが、フジワラに嵌められて負けた事自体は悔しいので次はなにか対策を練りたいところだ。

 

 なお、ツギハギ殿は特になにかある訳でなく普通に負けていた。

 

 

 街では、多くの人々が避難を終えている。コンビニエンスストアなどわずかな商店を除き、ほぼすべての商店が「CLOSED」となっているのは、実に不思議な感覚だった。

 

 眠っている街、と言うのだろうか? 

 

「……街の喧騒がない、というのはなかなかに寂しいものだな」

 

 ツギハギ殿が、要警戒地点である十字路を超えてからそうぼやいていた。

 

「うむ。地元(元の世界)ではだいたいどっかしらで火災か爆発か戦闘が起きていたからな。元の世界に似た空気というわけでもない。不思議なものだ」

 

「して、そろそろ別件の捜索エリアに入ったが、変わりはあったか?」

「情報以上のものはないな。地脈の関係で結界の効力に急勾配ができているのは変わらないが、失せ物を作り出す呪いが敷かれている気配はない。アナライズでも確認した」

「こちらでも同じ意見だ。場所が場所であるから警戒をしたが、普通に失せ物探しだけのようだな」

 

 今回のパトロールにて、己とツギハギ殿は一つ別件の些細な依頼を受けている。

 

 それは、避難先シェルター付近で会った一人の少年の『お守り』を探すというもの。

 

 その少年は以前、時期的には第一のセプテントリオン『ドゥべ』なる者の襲撃があったさい、自信を助けてくれた少女より一枚のお札を貰ったらしい。

 

 そのお札が彼を無事に家族の元へ帰してくれた。と彼は信じているようだ。

 

 彼が無事家族の元へ帰れたのは彼自身の勇気と運のたまものだと思うのだが、そのお札を新たに産まれた弟に持たせたい。という心意気自体は尊敬すべき美点であった。

 

 そんな小さな依頼があったため、パトロールのかたわらに失せ物探しなんぞをしていたのだった。いわゆる『サブクエスト』である。

 

「しかし……人が少ないせいかゴミの放置が目立つな」

「一人だれかがゴミを放置すると、他の連中もそれに続いてしまう。というやつだな。『割れ窓理論』だったか」

「最初の一人になりたくはないが、2番目以降なら許容できる。そういう人間の性質なのだろうな」

 

「よし、ついでにゴミ拾いでもしておこうか。失せ物探しの役にも立とう」

「……なら、俺も続こうか。最初の一人になるのは面倒でごめんだが、子供がやっているのに大人が無視するというのもバツが悪い」

 

 ツギハギ殿はそんな言葉を言うが、柔らかな笑顔で発せられたその声は優しいものだった。

 

 割れ窓理論が『最初の一人になりたくない』という心の動きの話であるならば、善行をしている者が一人いれば続くものは容易く現れる。という論にもなるだろう。

 

 元の理論の前提とは大分異なるのだろうが、少なくとも己はそうなると信じている。

 

 ──それが良い結果に繋がるかは、運であるが。

 

 

 そんなことを考えながら歩いていると、「ちょっといいかい?」と声をかけられる。

 

 レベルの頃は10未満。覚醒はしているが鍛えていないタイプの女性だろう。

 

 瞳孔が妙であるため、両方の目が義眼であるらしい。それ以外にもいろいろ仕込み(インプラント)のある人物ようだ。

 

「うむ! 何用か?」

「この辺りで、紫の台車を見なかったかい? コンビニから出てきたら、なくなっちまっててね」

「む? 置き引きの類か?」

「やっぱり、そうなのかねぇ……」

 

 己がさして考えずに可能性を口にすると、女性はと遠い目をしていた。思い当たる点はあったようだが、そう信じたくなかったらしい。

 

「このような場合警察に通報するのが通例であるが、どうする? あと1日との通達になっているが、こういった予定は往々にしてズレるものだ。早く避難するに越したことはない」

 

 社会的正義とはいささか異なるが、時期が時期なので泣き寝入りする方がトータルでの被害が少なくなる可能性がある状況だ。

 

 盗人を追いかけたところで捕まえられる可能性も、荷物が無事な可能性も少ない。

 

 ──火事場泥棒への対処は、結構面倒なのだ。明日が保証されてない今では特に。

 

 そういう言葉の意を受けて迷っているところに、ツギハギ殿が実務的な説明を付け加える。

 

「実のところ、避難民を狙った盗難事件は頻発していてな。警察で即時対応は正直難しいという話がある。だが、連絡先と盗まれたものについてだけ情報を貰えれば、あとは俺たち(ボランティア)が対応できる仕組みも出来ている」

「悪は許さず、しかして避難も妨げない。というシステムであるな。頼もしい話だよ」

 

 そう己達が話していくと、オルネラ殿は「そんなもんかね……?」と少し迷い、それから口を開いた。

 

「けど、生憎私は普通よりちょっとは丈夫な女さ。もう少し自分でなんとかして、それで無理そうなら避難所に引っ込むよ。アンタらや警察の連中に無駄な迷惑かけるのもアレだしね」

 

 彼女の言葉は、語れぬ部分を語らずに、しかしその中で可能な限り誠実に言葉を紡いでいた。

 

 嘘吐きの言葉であるが、嘘を誰かを害するために使おうとはしていない。そういう者の言葉をであった。

 

「ツギハギ殿、良いだろうか?」

「……パトロール途中の『ついで』は既に一つある。二つになったところで変わりはあるまい」

「アンタたち?」

「可能な限り己たちでも力になるぞ。警察沙汰にしたくないというなら、警察以外の手数が必要になろう」

 

 己は彼女が言外に言っていた言葉を表に示しつつ、その上で協力を行うことを告げる。

 

 すると、彼女は一瞬、『懐かしいもの』を見たような表情をしてから、「分かった、話そうじゃないかい」と告げた。

 


 

 彼女の名前は『オルネラ・安蘭寺』。アメリカ出身だが、縁があって日本の防災メーカーに勤めている女性だ。

 

 日本にはもう10年以上住んでおり、娘さんは独り立ちして看護師として頑張っているとのこと。

 

 そんな彼女は、幼少期アメリカにて『タイフーン』による被害から逃れるため数日シェルターにて過ごした経験があった。

 

 それが本当に台風やらの自然現象によるものかは知らないが、しかしシェルターという閉鎖空間に対しての知識は他の一般市民よりある。と彼女自身は自負していた。

 

 だからこそ、彼女は粉ミルクやベビーパウダー、体拭きシートなどを、普通の避難物資とは別に持ってきていたそうだ。

 

 なんというか、普通に頭が下がる話だ。

 

「ツギハギ殿、こういう時に身銭を切って、誰かのために動く者も居るのだな。びっくりだ」

「彼女自身は『閉鎖空間でガキが泣くのは煩くて仕方ないんだよ』などと言っていたがな。ぐちぐち言い訳をしなければ善行を行えんあたり、素直でないというかなんというか」

「勘だが、真っ当でない事をしていた経験によるものだと思うぞ。自分自身を悪人と思っている者は、ああいう言い訳を挟まなければ人助けには動けんのだ」

 

「ムラカミ殿とかその典型例だし」

「そうでもないぞ。アイツは酒が入ると素直な言葉を出すようになる」

「え、マジか? 超見たいのだが」

「お前が大人になったら、飲みにでも誘ってやれ」

 

「いや、6〜7年後とか己もムラカミ殿も普通に死んでると思うのだが」

「……縁起でもない事を口にするな。そうならんように、皆が動いている」

 

 事実を普通に告げたら、ツギハギ殿から割とキツめに咎められた。

 

 事実は事実として言った方が良い派の己であるが、TPOは弁えておかねばならない。未来に希望が無いという風に捉えられてしまっては大変だと。

 

「であれば、6年後にツギハギ殿は何をしていると思う?」

「俺か? 俺は……」

 

 という事で、カウンターとしてツギハギ殿の未来の予定を聞いてみる。すると、案の定言葉に詰まって離せないでいた。

 

「……すまん、俺自身がそこまで生きていると思ってはいなかった」

「割とツギハギ殿の未来予想とか難しいのよな。デビバスの仕事だけで食っていけたらそれで良いのであろうが、仕事の単価下がるだろうから専業で生きていくのは多分無理だし」

「おい、嫌な未来を語ってくれるな。自衛隊上がりの職歴も使えんこの世界で、オッサンが転職活動をする未来は容易く想像できてしまう。笑える絵面ではないぞ」

 

 などと語りながら、気楽に歩いていく。

 

 パトロールの順路から少し外れ、盗人の痕跡を辿って行く。

 

 

 オルネラ殿がこの件を警察沙汰にしたくなかった理由は、おそらく犯人であると目される存在が『子供』であったからという話だ。

 

 大通りから少し逸れてコンビニへの道を通った際に、一度視線を感じたらしい。しかし、その際に振り返ったところ姿は見えなかったと。

 

 隠れられる箇所は、小さめの室外機のみ。

 位置関係からして隠れられるエリアはとても狭く、大人であれば、どころか己クラスの身長のものですら隠れ切るのは不可能と断言していた。

 

 だから、そういう小さい者であると想定して、痕跡を追いかけていく。

 

 すると、犬猫などの獣の毛に似たものが、随所に痕跡として落ちているのが発見できた。

 

「獣系悪魔の混じりの子供、ということか」

「そのようだ。であれば今避難所に入れていない理由も、割と簡単に思いつく。この世界はそんなでもないが、差別の下で生きていた者は容易く誰かを信じれまい」

「閉鎖空間では、そういう異端は槍玉に上がるからな。長引けば私刑の果てに殺される未来が来る。そう信じ込んでしまっている。そういう話か」

 

「そのへん、割と素直に「役所に行ってこい」で解決するのだがなぁ……」

「役所の仕事の公報が足りんのは、どこの世界でも同じらしい」

 

 なんというか、漂流者やら無知な連中が勝手な論で抱いている絶望というのは、案外お国がなんとかしようと動いていたりするのである。

 

 獣系の人、悪魔混じりの人、サイボーグ、その他諸々の人種に対して同一条件で支援できるように、「漂流者」というのが定義されている。誰も試した話は聞かないが、そこらの石ころでも『その中の意思を証明できれば』漂流者としてお国に登録できる制度の筈だ。

 

 その先の漂流者支援については、乃木グループをはじめとした各種企業に、聖華学園をはじめとした学校などが対応してくれているのは周知の事実。

 

 善い人であろうとすれば、だいたいなんとか出来る仕組みにはなっているのだ。

 

「やはり、役所の制度の宣伝動画が必要なのだろうか」

「……思い出した。お前、『誰でも出来る戸籍ロンダリング』だとかの動画をジムで宣伝していただろう」

「あぁ、あの釣り動画であるか」

「……釣り動画?」

 

「あの動画の手口というのは、実際行われていたものではあるのだが、動画がサイトに投稿された時点で役所の実務の方々に周知されていたのだよ」

「……なるほど、釣り動画か」

「うむ。更生したいという意思があるなら黙認するが、しっかりタグ付けは出来ているとのことだ。漂流者対策課で課長してる藤原殿に確認を取ったので間違いはない」

 

 そんな四方山話をしつつ、追跡を続ける。

 

 台車の足が転がった跡も見えているうえ、積載量についても変化は見られない。

 

 ベビーパウダーやらのダンボールと折り畳みヘルメットのダンボール、二つ合わせて8キロ程度。結構な重さであるため盗まれる前にも若干の痕跡が残っており、その痕跡と現在追っている痕跡を比べた結果だ。

 

 そのため、全く同じ重さの荷を台車の上に乗せ、目立つ痕跡を用いてあえて道を示している可能性はゼロではない。ないが、杜撰な気配がするうえに盗んだ荷は金額にして5万円いかない程度。リスクとリターンの釣り合いを取っていないのも含めて、素人の盗みである。

 

「にしても、何の混じりの悪魔人間だ?イナバノシロウサギは言葉のごとく白い毛であるから、三毛猫のようなこの毛色とは異なるし」

「『マメダヌキ』や『チヌンロプ』……その辺りなら体躯が大きくならないと思うが」

「あの辺とは臭いの種類が異なるのよなぁ……」

 

 ゴミ拾いをしつつ、少年のお札を探しつつ、痕跡を追いかけて進んでいく。

 

 こういうマルチタスクはどれかが疎かになりそうなものだが、どれもやることは地面をよく見るという事なので並列して行うことができている。運のいい事だ。

 

 さらに、幸運というものには連鎖する性質があったりする。

 

「お、ラッキーだな」

「何か見つかったのか?」

「これこれ」

 

 そう言って、ツギハギ殿に一枚のお札を見せる。

 少し汚れてしまっているが、デジタルプリントで描かれた下地の上に力のある紋様が記されている。

 設計としては『鎮心符*1』を基本に『退魔の水*2』の力を長く受け止められるようになっていた。

 

 構造はシンプルながら頑強で、込めた力がうまく循環して退魔結界が出来るだけ長く続くようになっている。

 

 異界での月齢一周分だけの長さがあれば月の作用で効果が消える*3ので、新興の激安アイテムメーカーでは効果時間についてはケチっていることがある。そういう部分がちゃんとしているのは、見ていて気持ちが良いものだ。量産が簡単な仕込みこそあるが、手作業にて作られるものであると尚更に。

 

「良い術者だな」

「ああ。術には素人同然の俺でも、頼りにできると感じられる。だが、どうして少年から離れたんだ? こういうのは手元から剥がれにくくなるよう仕込んでおくもんだろう」

「どうにもそのへんの機能がここらの結界と干渉したらしい。地脈の溜まりになっている場所であるから、それを彼と誤解して止まろうとしてしまったのだよ」

「そういうことが起きるものなのか?」

「効果切れの状態だと、退魔結界の力を受け止める構造はそのままに中の力だけが無い状態だからな。その部分に地脈からのエネルギーが入れば、エネルギーを受けてその場に留まろうとしてしまう」

 

「……原理はよくわからんが、腹減りが飯の前から離れようとしない。くらいの認識でいいか?」

「そんな感じだ」

 

 ついでにいえば、その腹ペコお札は機能停止してるので、失くしたところで実害はない。せいぜい、街の掃除の者にチラシ1枚くらいの迷惑がかかる程度だろう。

 

 そういった意味でも、質実剛健なこのお札の作り方は気に入った。今度自作するときはこの構造をパクろう。

 

 さて、お札についての探索が必要でなくなったので、ちょいちょいペースを上げていく。

 そのスピードアップに、ツギハギ殿はギョッとしていた。

 

「おいジエン、本当に痕跡を追えておるんだろうな」

「何故にそう思う?」

「歩みが早くなり過ぎているだろうが。痕跡を見て嗅いでで探しながらで、そんなにスピードを出せるものか?」

「実のところ、潜伏位置には検討が付いているからな。ここから北東の商店街エリアで、ちょい前に閉店したマッサージ屋か、ずっとシャッター閉まってる元クリーニング屋のどっちがだ」

「……そいつはどうしてだ?」

「4日前あたりから、あのあたりに似た獣の毛を見ている。猫か何かだと思っていたのだがな」

 

 もうちょっと興味を持って、空き家の中まで覗いてみれば今は少し変わったかもしれない。『好奇心猫を殺す』という言葉にはもうちょい反逆していこう。

 

 ツギハギ殿は「先に言え」と言いたげな視線で己を見る。だが、逃走ルートと隠れ家の位置だけでは流石に同一とまでは断言できなかったのである。

 

 

 マッサージ屋の前に着く。

 

 以前見たときと変わらず、空き家の中に強い悪魔の気配だとかは特にない。

 

 が、紫色の台車という妙にビビッドなものが扉のところに畳まれてかけられている。荷物は中に持ち込まれたらしい。クリーニング屋の方は見ていないが、当たりはこちらであるようだあ。

 

「ツギハギ殿、裏口を頼む」

「了解だ。さっさと終わらせるぞ」

 

「入らせてもらうぞ」

 

 そして、ツギハギ殿に後詰めを任せた己は、昔とった杵柄にてちょちょいと鍵開けをして中に入る。

 

「ももも⁉︎カギをちゃんと閉めなかったも⁉︎」

「最後に入ったのはそっちだヨ! これだからオマエは信用できないんだよネェ!」

「これはもう、誠心誠意謝るしかないと思うんですが」

「頭下げたらそのまま切り刻まれてオサシミにされるも! デビルバスターは容赦がないんだも!」

「そうだヨ! 僕らがなんでこんなところにいるのか忘れたのカイ⁉︎ヒトじゃない奴は生きるのしんどい場所なんだヨ!」

「いや、まぁそうなんですが」

 

「デビルバスターの人が、さっきからずっと見てるんですよね」

「ももも⁉︎」

「なんだっテェ⁉︎」

 

 ドアを開け、中にいるのは3体の悪魔もどき。

 一人は、追いかけていた痕跡の主。丸い小さな身体に長い耳を持つ怪生物。『まんまる長耳』と仮称する。

 

 一人は、爬虫類めいた顔と手足を持っている人型。身長は己より少し小さい程度。おそらくチュパカブラがベースの悪魔混じりだろう。シンプルに『チュパカブラもどき』と仮称。

 

 一人は、顔面全体を覆うガスマスクと防護服に背後に巨大なバックパックを背負っている人型。マッドガッサーみたいな雰囲気だ。仮称は『怪人ガスマスク』でいいか。

 

 まんまる耳長な謎の獣、チュパカブラもどきの謎の小人、成人男性くらいの大きさの怪人ガスマスク。実に奇妙な取り合わせである。

 

「念の為尋ねるが、自首をする気はあるか?」

「自首したら、許してくれるも?」

「事情次第だな」

 

 そう告げた瞬間、『チュパカブラもどき』と、『怪人ガスマスク』は『まるまる耳長』の両耳をそれぞれ一本ずつ掴み「「犯人はコイツです」」と告げてきた。

 

「なんでだも⁉︎『ムイムイ』を売るのかも⁉︎」

「売るも何も、盗みについてはボクらガチで無関係なんダヨネ」

「正直、重金属イオンとか放射性物質とかじゃないものを盗む気持ちがわからなくて」

「毒の食べ過ぎで頭おかしくなってるも⁉︎」

 

 語る口は滑らかであること以外にも、コンビニ前からこちらまで続く痕跡は『ムイムイ』と自らのことを語ったまんまる耳長の痕跡以外は存在しなかった。

 

 チュパカブラもどきと怪人ガスマスクは、無関係なのだろう。

 

「うぅ……仕方なかったんだも! 『ムイムイ』達はシェルターにも入れなくてお先真っ暗なのに、こんな良さそうなものを置きっぱなしにされたんだも! そりゃ手がでちゃうんだも!」

「やらねば明日生きられぬという気持ち自体はわかるが、それは許す理由にはならんぞ」

 

「ただ、『ムイムイ』よ。貴様が盗みを働いた相手の『オルネラ』殿であるが、今回の件を警察には告げていない。きちんと事情を話せば、情状酌量はもらえるかもしれん。だから、警察ではなく己達が来た」

「もも! 本当かも⁉︎」

「もっとも、警察に告げていない件で、貴様ら自体も『そういう』者達であるから、過剰な刑罰でぶっ殺しても刑罰はないのだがな」

「ももも⁉︎」

 

 と、一気に脅かし過ぎた感じがしたので圧を抑える。

 

 しかし、オルネラ殿は『下手人が子供であること』を理由に警察に頼らなかっただけなので、犯人が謎のナマモノであれば話は変わるだろう。

 

「その……減刑の材料になりそうなものは無いカイ?」

「流石に殺されるというのは、避けたいですし」

「とりあえず、『オルネラ』殿のところまで行こうか」

 

「その前に」

 

「ガスマスクの者は後ろ手に隠した武器をしまえ。打撃属性については『スプリガンベスト*4』にて効果はない」

 

「そちらのチュパカブラ擬きは警報装置から手を離せ。警報で意識を逸らした瞬間にガスマスクが一発入れようとする動きは見えている。動揺からから攻撃を受けることはない」

 

「己と貴様らの実力の差は、理解できなかったか?」

 

 その言葉と共に、『夜魔ニュクス』を召喚する。

 

夜魔ニュクスLV72
火炎耐性、氷結耐性、電撃耐性、衝撃耐性
⚫︎ランダマイザ ⚫︎ドルミナー ⚫︎ブフバリオン ⚫︎マカカジャ ⚫︎メディアラハン ⚫︎三分の活泉 ⚫︎マハブフダイン ⚫︎死神の点呼

 

「ひーほー、なんてね」

 

 呼び出されたニュクスは、特に仕事がないのをわかってか『夜魔ジャアクフロスト』時代の定型句を告げてふざけ始める。

 

 さては貴様、ジャアクフロストの体結構気に入っていたな? 自分で「早く女性型の悪魔にもどしてよね! (意訳)」と告げた貴様はどうしたよ。ヒーホー面に呑まれたか。

 


 

 台車に盗まれた荷を乗せ直し、2つの段ボールの上にロープで『ムイムイ』を縛りつけてシェぇルターへと向かう。

 

 オルネラ殿とはシェルター前での合流の約束である。ついでにお札のほうの依頼主にも連絡がついたので、一緒に待ってもらうことにした。

 

 裏口に回ってもらったが特に仕事のなかったツギハギ殿と合流してシェルターへと向かう。

 ツギハギ殿はちょっと良い感じのボトルコーヒーを飲んで休憩していたが、己たちを目視した瞬間にコーヒーを滑り落としそうになっていた。

 

 割とトンチキな絵面なのは認める。

 

「ジエン……類は友を呼ぶという話にしては、バリエーション豊かすぎないか?」

「ツギハギ殿、そう褒めてくれるな」

「断じて褒めてはいないが?」

 

「え、今の褒め言葉だよね?」と陽気なチュパカブラもどきの『マルッテト』殿と、怪人ガスマスクの『ホスケラン』殿に確認をとる。

 ついでに盗人の『ムイムイ』殿にも

 

「褒め言葉だも! ムイムイ達と一緒なのは良いことだも!」

「褒め言葉だネ! 沢山トモダチが居るって素敵じゃない!」

「僕は知らないのでノーコメントで」

 

 己、ムイムイ殿、マルッテト殿が褒め言葉派、ホスケラン殿がノーコメントでツギハギ殿が否定派。

 つまり、この状況においては「褒め言葉」派が主流である。

 

「ツギハギ殿、言葉とは皆に伝わらなくては意味がないぞ」

「そうだも」

「そうだネ」

 

 ツギハギ殿は、無言で己達の頭を叩いた。鞘に入ったままとはいえ、その霊験あらたかな太刀で殴られると普通に痛い。『貫通撃*5』の殴り方でやってくると特に。こう、魂が叱られる気がするのだ。

 

 魂に影響があるとは、一種の共感現象なのだろうか。

 

 などと愉快な会話をしつつ、縄抜けを行おうとする『ムイムイ』殿を牽制したりする。本気で殺気を当てたのはさっきのことであったが、立ち直りのなんと早いことか。

 

「サマナー、脅しが足りないのでは?」

「正直そう思うが、しかし今の厳戒態勢で本気の威圧なぞしたら、色々集まってきて面倒になるぞ。皆の暮らしを守らんと動いている皆々の手を煩わせるのは忍びない」

「そうだも。ムイムイのことを脅すなんてしちゃだめだも。可愛い可愛い一つの命として扱うも」

 

「見た目良くても中身がコレだとネ」と『マルッテト』殿が呆れてくる。完全に、自分のやらかしで今から裁かれる状態であることを棚に上げているらしい。

 

 が、そう言っている『マルッテト』殿本人はついさっき(LV70超えの怪物)の気を逸らそうと動こうとした事実を棚に上げているので、こっちもなかなかに面の皮が厚い。

 

「致し方あるまい」

 

 その尊大さは嫌いではないのだが、『マルネラ』殿とのファーストインプレッションが最悪になると普通にぶっ殺す結末になってしまう。

 

 多少、脅しておくとしよう

 

マガオン魔法スキル敵単体のニヤリ状態を解除する。真4F。

 

『マガオン』は、ニヤリ状態を解除する術だ。その理屈は、好機に乗って流れを掴み、魂がノリノリに高揚する状態の中に、邪念怨念を叩き込んで冷や水を浴びせるというもの。

 

 その叩き込む邪念怨念を『禍怨(まがおん)』で、変じて『マガオン』である。と出典不明のハンターメモが己の地元で記されていた。

 

 だから、こういう使い方もできる。

 

「も……も……も……」

「すこしそれで反省していろ。盗みがバレて死んだ者の怨念であれば、多少は堪えよう」

 

「凄いネ。ムイムイが静かになった」

「すいません、今のかなりの有毒(ボルタント)を感じたので私にも下さいませんか?」

「貴様ら、仲間を心配しようとする気はないのか……」

 

『マルッテト』殿と、『ホスケラン』殿のあんまりな言葉に、「自分だけは真面目にしなければ」と自制していたツギハギ殿が思わず口を挟んだ。

 

 こんな語り口でありながらも仲間のために命を張って動けるあたりが、実に奇妙な関係性である。

 

「興味本位で聞くが、貴様らはどのようにしてつるみ始めたのだ?」

「豊洲のレルムのダストヤードに逃げ込んだ仲間ダネ。正直人間からは食糧としてしか見られてなかったから、ムイムイとは気があったのサ!」

「そうか、『フード』仲間か」

 

 ムイムイ殿は、『マメダヌキ』か『イナバノシロウサギ』をベースにした家畜(デモノイド)』で、マルッテト殿は『チュパカブラ』がベースになっている家畜(デモノイド)。と、己には見える。

 

 どの悪魔も過食部が多く、味も悪くないため己の地元では『フード』という悪魔カテゴリに入っていた。

 

 であれば、食い詰め者の近くでは生きた心地はするまい。そう納得した。

 しかし、そうるると怪人ガスマスクが道を同じくしているのが気にかかる。

 

「『ホスケラン』殿はどうなんだ?」

「私は普通に住んでいたのに、絡まれました。まぁ、この二人のお陰であの、レンジでチン? から逃れられたのでその点は感謝してますね」

 

『レンジでチン』とは、違法レルムの人員全てを生贄に捧げた、『混沌の奇禍』における邪法だろう。街の各所や仕込みのある電化製品から電波を発し、街をレンジの中身のようにしてしまうハイテク焦土作戦のことだ。

 

 彼らは、そんな焦土作戦の行われる違法レルムの中で過ごし、なんかの拍子でそれを生き延びたらしい。

 

「そのあとは特に仕事を見つけるでもなく過ごしてたんですが……」

「流れたレルムだと、ボクらみたいな弱くて人じゃないのには偏見があってさ。避難先だ! って言われたところで食糧に加工されそうになっちゃったのサ」

 

「それで、色々レルムを転々としていたんだけど、今回の避難命令でしょ? シェルターなんか入ったら死んじゃうからネ」

「結果、空き家に不法侵入していたというわけです。避難は、運が良ければ生き残れるかと」

 

「ちなみに貴様らのいたあの店は空き家ではないぞ。足が悪いということで早めに避難をしていた老人の家だ」

「ダヨねー。弁償で許してくれるカナ?」

「金はあるのか?」

「マッカなら少しあります」

 

「ももも、すっごく恐ろしいモノを見たんだも。薄皮をぺりぺり剥がされ続けてはだかんぼになっちゃったも」

 

 そう、ムイムイ殿が目覚めたあたりで、シェルターの前に辿り着いた。

 

 シェルターの前では、オルネラ殿に、お札探しの依頼人である『タカシ』少年が、手遊びをしながら待っていた。

 

「あ! お兄ちゃんたち!」

「うむ。タカシ殿、オルネラ殿。大事なかったか?」

「私はなんもなかったよ。シェルターへの手続きも問題ないって言われたからね」

「僕もそんな感じ。それで、お守りはどうだった?」

「見つけたぞ! タカシ殿と弟殿の心の安心はこれで十全であるとも。ついでといえばなんだが、己の念も込めておいたので前回よりも気持ち大きめに頼りにしてくれて問題ないな」

 

 現状の探索結果を伝えると、タカシ殿は明るい表情を見せてくれた。良い事だ。

 

「本当にありがとう! 見つからなかったらお兄ちゃんがお守りを作る! なんて言ってたから正直不安だったんだ」

 

「何事にも次善の策というものは持っておくものだ。もっとも、己が作るお守りのほうがこのお札より良いならば、お札を探すことが次善の策になってしまうのだがな」

 

「えー、お兄ちゃんの作ったお守りなんて効果ある?」

「もちろんだとも! 運よく素材になりそうなモノも見つけたから、保証は折り紙つきだ!」

 

「あ、だからそのうさぎみたいなの縛り付けて持ってきたんだ」

「もも⁉︎ムイムイを生かして連れてきたのはそのタメかも⁉︎」

 

 意味深な笑みを浮かべつつ、オルネラ殿に向き直す。

 

 彼女は、まんまる耳長とチュパカブラもどき、怪人ガスマスクという奇妙な面々に若干引いていたりしたが、メールで連絡はしておいたのでざっくり事情はつたわっている。

 

「あなたが、私の荷物を盗んだ輩ね」

「……そうだも。ごめんだも。反省したから許して欲しいも」

「許すわけないじゃないの。自首したんならともかく、その子に捕まってここに来たヤツなんてね」

 

 形だけの謝罪をするも、反省の色は見えていない。自分自身の行動そのものに対して、「間違っていた」と感じてはいないようだ。

 

 こういう者の説得というのは、骨が折れるのを知っている。何か賠償を確約したところで、逃げ出すのがオチだろう。

 

「どうする? 死体の処理であれば己が得手とする者に仲介するが」

 

 なので、己があえて極論を示しておく。そこ(殺し)まで望んでいない彼女は若干対応に悩み出した。

 

 決めるのはオルネラ殿である。だが、決断のための情報は可能な限り渡してやりたい。

 

 知ったうえでの決断と知らぬが故の決断であれば、前者の方がマシになると知っているからだ。

 

「申し訳ありません。私たちの所持金全てでは足りないかもしれませんが、賠償金は払います」

「足りない分は借金でもしちゃうヨ! こんなんでも、トモダチだからネ!」

 

 そうして、己の極論と、力を示したことで与えた「己は殺る」という印象により、仲間たちからの言葉が自然に出てくる。

 案じているが故の言葉で、過ちを犯しても見捨てようとしない得難き友人がいる。ということをオルネラ殿に示せただろう。

 

 そして、心のある言葉は、心のある言葉を引き出していく。

 

「ダメだも! 『ムイムイ』はしょうがないけど、赤の他人の『マルッテト』と『ホスケラン』はダメだも! ムイムイが全部ベンショーするも!」

 

 その言葉を聞いてムイムイ殿はようやく表情を変えた。明確な『怯え』の表情に

 

 まんまる耳長な体躯と、可愛らしい声色の裏にあった、ムイムイ殿の地金をオルネラ殿に示せたようだった。

 

「そんじゃ、正直に話しなよ。あんた、盗みをやった動機については、ジエンにも頑なに話さなかったそうじゃないか」

 

「近くにあったから魔が刺して盗んだってのは本当なんだろうけど、魔が刺した原因ってのがあるんじゃないのかい?」

 

 己のささやかな策謀などつゆ知らず、オルネラ殿はムイムイ殿に正面から向き直った。

 

 

「ムイムイたちは、『フード』だも」

 

「狭いシェルターの中に閉じこもったら、他の奴らに食べられて死んじゃうも。弟は、そうだったも」

 

「言葉が通じても、優しいヤツだとしても、お腹空いた時はみんなダメなんだも」

 

「だから、お金が必要だったんだも。ムイムイたちの代わりに食べるモノを用意しないと、何処にも逃げ込めないんだも」

 

 ムイムイ殿は、諦めの混じった言葉で自分達の現在を語る。

 

 誰からも助けが来ないことを実感しているから、自分自身で自分を助けようとしているのだろう。

 

 結局、己たち流れもの(漂流者)はそうなるのだ。生き方の規格をこの世界のものに適応できれば互助の輪の中に入れるが、そうでないならごく当たり前に社会から蹴り落とされて散ってしまう。

 

 

 そんな、己の中の「当たり前」と合致する光景の中で、一人違った動きを見せるものがいた。

 

 弱く、小さな一市民である『タカシ』少年だった。

 

「ねぇ、ムイムイさん」

「……子供が口を挟むもんじゃないも。アダルトでダーティーなお話だも」

「これ、貸してあげる」

 

 タカシ少年は、縛られたムイムイ殿の手にお札を握らせた。

 

「これ持ってると、気分が落ち着くんだ。泣いてるばっかりだと、辛いから」

 

 

 タカシ殿のその行動には、彼の中では大した意味はないのだろう。泣いている者がいて、何かできることがあった。だから、手を差し伸べた。

 

 それだけのことで、決して特別なことではない。

 

 この世界で決して特別なものではない、ごく当たり前の『優しさ』の発露だった。

 

「ムイムイが悪かったも。ごめんなさいだも」

 

 ムイムイ殿が、初めて心からの謝罪を告げた。

 

 彼は、彼自身が盗みを行い害した者達は、敵だけでは決して無いと理解できたのだろう。

 

「そんじゃ、賠償についてしっかり詰めようか。今回は被害者という被害者はいなかったけど、次はそうとは限らないからね。しっかりケジメはつけてもらうよ」

 

「そんで、終わりにする。アンタのケチな盗みのことはね。わかったかい?」

「良いのかも?」

「今はまだ良かないね。これからのアンタ次第さ」

「やったネ! ムイムイ!」

「正直三人纏めて死ぬと思っていたので、快挙です」

「トカゲのあんたにガスマスクのあんた。このちんちくりんの事しっかり見てやんなよ? いざって時に真っ当な道に戻してくれるのは、『人との繋がり』だけなんだからさ」

 

 

 そう、オルネラ殿が告げた時だった。

 


WARNING   WARNING   WARNING

警報! 警報! セプテントリオン警報!!

セプテントリオンの出現が予測されました!!

ただちに最寄りの避難所に避難してください!

警報! 警報! セプテントリオン警報!!

WARNING   WARNING   WARNING


 

 スマホや街の放送設備から緊急警報が鳴り響く。

 

 5日前くらいにあった放送設備チェックの際に聞いたのと同じ音である。

 

「ももも⁉︎ヤバいも! ムイムイ達はどこに逃げ込めば良いんだも⁉︎」

「……仕方ない」

 

「そこ三人! 私と契約しな!」

「も⁉︎」

「……なるほど」

 

 オルネラ殿は、一般流通しているタイプの端末に、悪魔召喚プログラムの魔法陣を浮かべている。

 

「私はアンタらに言ったよ、キッチリケジメはつけて貰うってね!」

「ムイムイ達を助けてくれるも⁉︎」

「馬鹿言うんじゃないよ! ケジメをつけるまで死んで貰ったら困るのだけさ! 馬鹿な娘じゃないんだから、タダで人助けなんかしないよ!」

 

「きっちり働いて、返してもらうからね!」

 

 そういったオルネラ殿の言葉に嘘を感じなかったからか、あるいは単に勢いに押されただけか。ムイムイ、マルッテト、ホスケランはオルネラ殿のCOMPの中に仕舞い込まれる。

 

「さ、タカシ殿もシェルターへと戻ると良い。ここはこれから戦場となる」

「うん……」

 

「その、僕たち、今度も大丈夫だよね?」

「これまで皆を生かさんと尽力していた皆々を見ていただろう? 大丈夫だ」

 

 正直、敵が何をしてくるのか、どんな怪物なのかも知らない己達では、「絶対に守る」だなどと断言でできるものではない。

 

 しかし、それでも言えることはある。

 

 こちらの小さな勇者には、自身の小さな優しさを当たり前に出せる人になって欲しい。そう願うからこそ、言わなくてはならない嘘がある。

 

「大丈夫だ。タカシ殿らの幸せな日常は必ず戻ってくる」

 

「そのために、己達(デビルバスター)がいる」

 

「だから、タカシ殿はタカシ殿の戦いをするといい。弟君を守るのであろう?」

「そうだね……ありがとう! 頑張るよ、僕!」

 

 

 オルネラ殿に手を引かれ、シェルターの方へと進んでいくタカシ殿。

 

 嘘を吐いてしまったことには心苦しいが、まぁ結果はだいたい同じになるので問題あるまい。

 

「へいへいそこの兄ちゃん、随分かっこいいコト抜かしてんじゃねぇか」

「まったく、子供というのは夢見がちで困ります。確約のない約束して、いたいけな少年を騙すとは、信じがたい悪逆ですね」

「だが、『自分が守る』じゃなくて『俺たち(デビルバスター)が』って言ったのは良いわね! 花丸あげちゃう!」

 

 わらわらと、近場に張っていたデビバス共が集まってくる。知っているものがいたり、初めて見る者がいたりといろいろだが、皆の目には一様にやる気の炎が見えていた。

 

 それに対して己は思う

 

「その、己達(雑兵)がいくらやる気を出してもこの戦いの勝敗は変わらぬぞ? もうちょいやる気はセーブしたほうがいいと思うのだが」

 

 口にでていたので、ツギハギ殿に頭をぶん殴られた。魂に響くものが心なしか強く、説教部屋で長時間詰められた気分になった。

 

 


 

あとがき!

 

月一更新から一週間ほどオーバーしまして申し訳ありません。春バテなる寒暖差気圧差増し増し複合攻撃に被弾したのが2割。モンハンとゼノブレで春バテで減った稼働時間の全てを使い果たしていたのが8割くらいの原因です。

すまぬ……

 

・ゼノクロやってた証拠01、NLA(ニューロサンゼルス)の聖女の親代わりオルネラさん

 

ゼノクロにて、追い詰められたからああしてしまったのでは?と勝手に作者が思っている人。

 

今作においては、メシアン系列の改造兵士(ターミネーター)製造関係の出自。聖女候補「ヒメリ・アランジ」を利用して上手い汁を吸おうと擦り寄った。その際に、彼女の『無償の奉仕』があんまりにもあんまりだった結果「自分の取り分と、未来への備え」を確保するよう教えた結果、彼女から「親代わり」として認識されるようになってしまう。

 

紆余曲折の果てにヒメリと共にアメリカを脱出した際、「家族であれば怪しまれない」ということで「安蘭寺《アランジ》」の姓を使うようになった。娘からそう思われるほどに結んだ繋がりが、オルネラ自身を真っ当な人間の道に戻してくれたことを知っている。

 

だから、無理のない範囲で「娘であればやるような人助け」をするようにしている。俗人である彼女自身のやり方で。

 

・ゼノクロやってた証拠その2 『ノポン人』、『マ・ノン人』、『ザルボッカ人』の謎トリオ

 

原作で特に絡みはなかったのに、作者が印象に残った面々という雑な理由でピックされた異星人。

 

今作においては、フォールアウトな世界になった際の遺伝子組み換え家畜として描写。

 

ムイムイは、『イナバノシロウサギ』や『マメダヌキ』などの悪魔因子を元に作成されたデモノイドが脱走し、野生化した存在。

出身世界においては、人語を解しそれなりの作業もできるうえ、食べると美味いという性質からシェルターにて重宝されていた。

 

マルッテトは『チュパカブラ』の悪魔因子を元にした悪魔人間の子孫。環境適応のため悪魔因子を取り込んだ類の世界出身であり、教育

水準も高い。

しかし、チュパカブラは「フード」悪魔であるため、この世界に流れ着いてからは被捕食者になっている。そういう部分に共感され、ムイムイと行動を共にしている。

 

ホスケランは、マッドガッサーなどの悪魔因をベースに『崩壊後世界における地球環境正常化』のために作成された生体パーツ『ザルボッカ』の一人

 

体内に汚染物質を蓄積し、無毒化するまでの過程で必要な栄養をを獲得する生態。繁殖可能な空気清浄機として設計され、汚染のなくなった世界では呼吸もできず死んでしまう生き物。

 

彼の付けているガスマスクは、吸った空気に汚染物質などを付加してザルボッカの呼吸に使用きるものに汚染する機能を持つ。

 

なので、ご馳走がたんまりやってくる違法ゴミ捨て場に住んでいたらフード2匹が迷い込み、つるんでいたら混沌の奇禍から生き延びられたという豪運野郎でもある。

 

と、そんなブラック生態であるが特に悲観することもなく、その日暮らしをしている一般悪魔人間。それが彼らである。

 

・ジエンくん&ツギハギさん&その他デビルバスターズ

 

当たり前の日常から外れた中で、当たり前にあった善を見た。

それは、彼らが命を燃やす理由には十分だった。

 

それはそれとして一人「カタログスペック以上の無理をして継続戦闘時間減らすのはアホの極みでは?もっとやる気を抑えろよ」とか言っている奴がいた。

 

*1
消費アイテム 混乱・至福・睡眠・緊縛を治療する デビルサマナー 出典

*2
しばらくの間、敵が出現しにくくなる ソウルハッカーズ、アバドン王など出典

*3
多くのシリーズにて、『エストマ』の効果は次の新月に消失する。

*4
技反射相性の防具。 剣攻撃、悪魔攻撃以外の物理技を反射する。 デビルサマナー出典

*5
敵単体に物理属性中ダメージ。貫通効果。

真V出典




次回はなるべく早めに投稿しますぜ
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