姫の護衛は地底人《ケガレビト》 真・女神転生オタクくんサマナー外伝 作:気力♪
ご了承ください
本スレ様の該当話
やる夫まとめ本棚様 真・女神転生オタクくんサマナー ~世界滅亡パパ活計画を阻止せよ!~ 第969話 ノー・モア・ヒーローズ 第4幕 VS巨人殺し 前
「なぁ、コレ見てみろよ」
「何言ってんだアホ。俺ら今雇われ警備員だぞ? 真面目に仕事しろ」
「仕事に関わる話だぜ。俺らの防衛区画だと救援は西か北の微妙に遠い区画からって話が変わるかもだ」
「……配置変えでもあったのか?」
「勝手にやってるバカが出た。それなりの数がな」
隣の男が見せてきたスマホを見る。
そこには、キリギリス掲示板にて勝手に行われているムーブメントである『浮き駒として死兵を各地に配備する』というものが示されていた。
端的に言って、馬鹿としか言いようがない。
「死ぬ気なのは別に良いが、少数が浮き駒になっても変わらなくないか? 単身で救援に来た所で、連携訓練もしていない馬鹿が一人増えても邪魔なだけだろう」
「それはそうなんだけどな。口火を切ったのがレルムでのレイドで真っ先に突っ込んだ『ファーストペンギン』なんだよ」
「レルムでのレイド……どいつを殴った奴だ?」
「俺らが撃ちまくった鳥野郎だ。ほら、煽りながら走り回ってキルポイントに誘導したサマナーだよ」
「……まだ、ガキじゃねぇか」
ギリ、と拳を握る音がした。
防護グローブに包まれているため手のひらから血が流れることはなかったが、普段であれば傷薬なりが必要になっただろう。
戦えるからと、若い連中が1番前で戦っている事ほど、無力感を感じることはない。
数年前までレベル20程度の雑魚に甘んじて、世界の流れに逆らおうとしなかった自分の恥を突きつけられているような気がするからだ。
「コイツに限っちゃお前らの不手際じゃねぇって。『
「つーか、放逐された元ヤタガラスの草って事をそんなに気にしてどうすんだよ。今は立派にデビバスしてんのに」
「あのガキが誰かなんて関係あるか。俺の気分が悪いんだよ」
「というか、
「戦える奴が戦わねぇと死ぬ世界だと思うがねぇ?」
「ここは戦える奴が一人減った程度で滅ぶ世界か? 戦える連中アホ程居るんだが?」
「……元ヤタガラスの限界人員ローテを経験してるから、基準がバグってやがる」
俺は「この世界には戦える連中がアホ程居るから、戦いたくない奴は下がって良い」と思う」
コイツは「まだ戦える連中が足りないから、戦える奴は前に出て来い」と思っている。
キリギリスという枠組みの中で、同じ地域を防衛している同レベルのデビルバスターでも、やはり見ている世界の色は異なっている。
そういう意味では、件の『漂流者《ドリフ》』の『ファーストペンギン』からも、見えている世界は違うのだろう。
自分が戦わなければ、滅んでしまうような儚い世界だとか、そういう風に。
──反吐が出る
誰か個人の力一つで世界が変わることはないし、誰か一人の言葉だけで世界が変わることはない。
世界を変えるのはいつだって『行動』で、俺たちは少しずつ積み上げて、この世界をマシにしてきた。
その結果を見ていない連中であれば何を言われても『アホの言葉』として切り捨てられるが、この世界でもずっと戦い続けた異邦人に言われるのは少し毛色が変わる。
俺たちがコレまで積み上げてきたものがあったとしても、『俺たち《この世界》』への信頼は足りていない。
──それはひどく、悲しいことだ
「お前さ、断片的な情報で勝手に悲観的になってねぇか?」
「……なっていない。事実を受け止めているだけだ」
「嘘つけや」
「ちゃんと読めって。モチベ上がるから」とスマホから掲示板のリンクを送られた。
そこには、ガヤガヤとやかましい文字列があった。皆を守るために死兵になるぞ着いて来い、と嘯いたその実は、レベル上限突破のために死地に突っ込みたいという暴論が根にあった。
だから、他のレベル上限に引っかかっている連中も、それ以外の連中も『皆を守るため』に追従することを選べたらしい。
思い出すのは、中間層のデビバスが減っている中で安い単価の仕事を複数回していた日々のこと。
『世界が滅んだら、来週のジャンプを読むことができない』
ただそれだけのことで
──いや、明らかに流れが似すぎている。計算でやっている、煽動者の言論だ。
「……コイツ、本当にあの時の少年か? アカウントを乗っ取られている可能性もありそうだが」
「アカウント乗っ取ってなおノリを続けられてたらむしろ乗っ取った奴の方を尊敬するわ」
コイツの言葉には嘘がある。証拠はないが、これまでに見てきた多くの『誘導』と似通う点が、俺にそう思わせる。
だが
562:名無しのハンター@東京西部防衛中
あの! 己配置換え6回目なのだけど⁉︎小回りも足回りも良いスーパーサポートであるのは認めるが、そろそろ落ち着かせてくれないだろうか?
563:名無しの駆除要員@
速度速い連中にもいろいろあるし仕方なくない? 直線距離なら爆速だけど小回り微妙なやつとか多いし
564:名無しの駆除要員@日本防衛中
というか道路も市街地も爆速で走り回れる野生児くんが便利すぎるのが悪いと思う。5分以内対応可能範囲デカ過ぎるのよ
566:名無しの駆除要員@日本防衛中
バイク使えてちょっと飛べる俺より動き回れるのマジでどうかしてんだよな。なんでそんなフィールド移動早いんだよ?
568:名無しのハンター@東京西部防衛中
月齢が動かないうちに東京の端から端まで走り回って戦わないといけない仕事をしていたのでな。頑張ったのだ*1
570:名無しの駆除要員@日本防衛中
頑張ってどうにか出来てたまるか
571:名無しの駆除要員@日本防衛中
それは時間の流れが違うとかそういう話ではなくて?
572:名無しのハンター@東京西部防衛中
きっちり24時間で一日だったぞ
573:名無しの駆除要員@日本防衛中
やっぱこの子おかしいって
『誘導』以外の言葉にあまりにも実がありすぎる。
現実を見続けていた者の特有の、目を背けない価値観の表れだった。
576:名無しの駆除要員@日本防衛中
それだけ多くを見てきて、何故こんな軽挙妄動を?
思わず、一言書き込んでしまった。
こういった悪癖があるので掲示板への書き込みは慎重にしていたというのに。情けない。
578:名無しのハンター@東京西部防衛中
前に書いた気もするが、この世界の戦士たちなら、真っ向勝負に持ち込めれば必ず勝てると知っているからだ。
579:名無しのハンター@東京西部防衛中
奇襲の類が致命傷にならないよう抑えられれば、他の皆が必ず勝利に繋げてくれる。
580:名無しのハンター@東京西部防衛中
だから己は動いている。
多くを見て、多くを感じて、
『だから自分にできる無理をするのだ』と、彼は言った。
それは、護国を称する者もそうでない者も、この戦場の皆が持つ献身の輝きだった。
581:名無しの駆除要員@日本防衛中
その結果一人抜けて防衛に穴が開いた自分のチームに何か言うことは?
583:名無しのハンター@東京西部防衛中
己が居なくとも防衛できると信じているぞ!
585:名無しの駆除要員@日本防衛中
コイツ部下に無茶振りするタイプの上司になるのでは?
587:名無しの駆除要員@日本防衛中
アレだ、実力的に無理なことは指示してこないから逆にムカつくやつ。俺たちは楽に金を稼ぎたいんだよバーカ!
そんな掲示板での動きを見ていると、僅かな風切り音が遠くから聞こえてきた。
見れば、ヤタガラスを肩に乗せてビルの壁や屋上を駆け回っている少年が、遠くを目指して移動していた。
こちらが見ていると勘づいたのか、空中で天地逆転した状態で、器用に手を振ってくる。
見ていると、不思議と元気が出る。
奇妙なものだ。先程まで彼が戦うこと自体に悪印象を持っていたというのに。
──自由に駆ける彼を見ただけで、それを肯定したくなってしまっていた。
「な、モチベ上がるだろ?」
「……『戦え』と請われるのではなく、『共に頑張ろう』と示されてはな。アレに情けない背中を見せたいと思う者などおるまい」
「だが、休憩はここまでだ。俺たちよりあの小僧が先に接敵するなどは笑えん」
「おうよ相棒。まぁ、お互い警戒サボってた訳じゃねえんだけどな」
──俺たちはこれから数分後、グランギニョル社付近の空が紅く染まり、馴染んだ戦禍へと踏み込んでいくことになる。
そう、『踏み込んでいく』だ
日常を基本とし、戦禍に挑む俺たちと
戦禍を基本とし、戦禍に帰っていく者たちと
同じ世界に生きていても、どこまでも『違っている』ことを、俺たちは理解していなかった。
──小僧より長く生きているだけの、俺たちは。
―戦場の匂いが変わった気がした。
現在、セプテン警報発報から1時間と少し。
それなりにいろんな場所で「俺に任せて他に行け!」とか「ここに先に陣取ったのは私たちですが? 何か?」とかされた結果若干
オフィス街とは若干外れた位置にあるが、美麗ながらも剛健な建築と掲げられた『Grand Guignol』というロゴ。
軽く調べた結果、フランスのパリという街にあった劇場の名前だったらしい。
エログロが結構強めな劇場であったらしく、『グランギニョル的』と言う言葉で『恐怖演劇』、『血みどろな』、『荒唐無稽な』みないな意味になるのだとか。
武器COMPとかを作っている会社がなんでそんな名前をしているのかは知らぬが、語感が格好いいので己は好きだ。
「悪魔どもに残虐ファイトをしてやるぜ!」という意味だと勝手に納得しておこう。その意味ならばとてもとても良いと思う。実際は知らんが
『ジエン、定時連絡です。問題はありませんか?』
「特に問題はない。沿岸部での戦闘が軽く見えるようになったくらいだな。大津波を氷結で固めて凌いでいるようで大変そうだ」
『あの大質量を前で多少の氷結は焼石に水でしょう。本体を急ぎ倒さねばなりません』
「そのあたりは目の前に現れた時か、上からの指示があるまで気にしないでよいだろう。精鋭が殺しに行くだろうさ」
そんな会話をしていると、ガントレットからアラートが鳴る。
設定地域での救難信号が出されたようだ。
「フジワラ、行ってくるぞ」
「武運を祈ります」
たん、と高速道路から跳んで移動しつつ掲示板での救難信号を確認。
誤字脱字などが多いが、多数に攻め込まれてボス級の対処ができないらしい。
このグランギニョル社付近にはDAT隊という『御厳結晶』についての情報をくれた『DAT一般隊員*2』殿の属する戦士たちがいるのを知っている。
拾ったよくわからないモノを押し付けたら、いくらかの消耗品と『木彫りの山羊』なる面白アイテムをくれた相手だった。
| 木彫りの山羊 | ナホビノのHPが0になった時、1度だけ身代わりになって消去し、HP全快で復活させる 真5出典 |
食いしばりの補助アイテムらしいのだが、これまで効果が出なかったので不良品を押し付けられたのか? などと邪推している。一般隊員殿に悪意はない感じだったので、目利きにしくじったのだろう。よくあるよくある
閑話休題
一般隊員殿らのチームは精強であるらしいので、彼らで対処できていないということは救難要請の出た戦場とは別の場所でも激戦が起きているということだろう。
ヒリついた空気、地元で良く嗅いだことのある邪悪な匂い、眼前の謎の敵。
戦うのは決めているが、どう戦うのかは良く見て考えなくてはならないようだ。
首都高速道路からいくつかのビルを経由しつつ、戦場の真っただ中を目視する。
| 軍勢 | ニンゲンの群れ | LV61 |
| 軍勢 | ニンゲンの群れ | LV52 |
| 軍勢 | ニンゲンの末路 | LV33 |
| ヒュージ | ホモ・ソリソ | LV50 |
戦場周辺には、救援要請にてデータ共有された「ニンゲン」だの「ヒュージ」だのよく知らぬ連中がいる。
| 貪狼星 | ドゥベ | Lv20 |
| 貪狼星 | ドゥベ | Lv20 |
| 貪狼星 | ドゥベ | Lv20 |
| 武曲星 | ミザール | Lv45 |
| 武曲星 | ミザール | Lv45 |
| 武曲星 | ミザール | Lv45 |
少し離れた戦場には、噂の無敵カプリコーンに、紫の丸が連なった形の怪生物がわらわらと。
あれが『セプテントリオン』という連中だろう。悪魔とは根本的に異なる異質さが感じられて不気味だ。
セプテントリオンと比べれば、ヒュージやニンゲンなどはいくらか「こっち寄り」の存在だ。 MAGたっぷりだし。
―そして、救援要請のきっかけとなったボスクラスの存在。
| ニンゲン | ホモ・プルシャ | LV94 |
| ??? | プルシャ・ラージャニヤ(火) | LV90 |
| ??? | プルシャ・ラージャニヤ(氷) | LV90 |
| ??? | プルシャ・ヴァイシャ | LV99 |
| プルシャ・バラモン | LV90 |
卵の殻から2本の腕が生えているデカブツ。『卵』、『火腕/右腕』、『氷腕/左腕』と仮称
悠々自適に空を舞う『神官』擬き。無難に『神官』と仮称
そして、『卵』の下で延々とマニ車(で良いのだよな?)を回し続けている人間の群れ。農民、農奴、奴隷、若干迷ったが『奴隷』と仮称
──着地
空中移動の必要がなくなったことでヤタガラスを『
周囲の味方の耐性が『氷結無効』に寄っていることを確認してから仲魔を選択。召喚。
フレンドリーファイアのことを考えて、『氷結属性攻撃』に寄せた仲魔を主軸にした動きから入っていくのが良いだろう。
「情報を頼む。空が妙だ、異界化ではないようだが」
スタっと着地しつつ、『パンデミアブーム*3』により周辺の敵に嫌がらせをする。
風邪が通った敵はそれなりに居た。わざわざノックする属性ではないからと手隙の今放り込んだが、これなら殲滅の方でもそれなりに動けそうだ。
「ファーストペンギンの小僧か!」
「敵はタフ、『卵』、『神官』のカス、『右手』、『左手』、『奴隷がよく回してる棒』でそれぞれ分離してる!」
周辺への攻撃を途切れさせることなく会話での情報交換を行う。
最優先目標は『クソデカ卵』とその上でふよふよしている『神官』のコンビだというのは共通見解らしい。
見た感じ『卵』の力場なりを利用して宙に浮いているようなので、『腕が2本生えて下でマニ車をぐるぐる回している卵の怪物』と、『神官』面した偉そうな輩』は2体1セットの存在であるとか。
敵のレベルは90以上。普通に化け物だ。
周辺の死の痕跡は2人分。
ノータイムで殴りかかった1チームがいたが、横槍で壊滅したというところだろう。
―さきほどすれ違った際に見た二人がこの戦場に見えていない。そういうことだろう
「レベルが高いだけのと乱入のキモベータモドキのせいで上手く交戦出来ん! 判明相性はCOMPに送る!」
だが、横槍でぶちのめされる前に情報を残してくれたらしい。物理属性のノック。細かく言えば剣、拳、弓に反射などはなかったようだ。
ただし『神官』に対しては物理が命中しなかったために詳細不明。
貫通のない物理でのノックのため『反射』、『吸収』であれば回避行動は取らないという仕様……というか、反応がある。回避しない方が利があるから咄嗟に身体が動かぬのだ。*4
宙に浮き、良く通る大きな声にて『神官』が発言する。
集団によく通る発声法での指示、というか鼓舞であり、『卵』も『奴隷』もしっかりと耳を傾けていた。
命令用の定型文であるのだろうが、聞いてる『卵』に知性は見えない。言葉を聞いてから指示通り動くのではなく音に対して反射で動くタイプの連中と仮定。声真似による伝達ミスを狙うのは避けた方が良いだろう。
「これより始まるのは天の裁き!」
声高に叫ぶ『神官』の言葉を聞きながら、裏で気象についての情報を受け取る。現在戦線を維持しているデビバスは強くはないが歴戦であり、即席チームアップに慣れているようだ。
最小限の会話で最大限の情報を。
そう意識してくれているのだから、こちらもその流儀に合わせる。
敵を茶化してこちらの流れに乗せるのは、戦闘開始してからだ。
「空の異様、低レベルの覚醒者が発狂したんで『パトラ*5』かけて戻した」
「ここらの連中、弱点がないのか、直撃食らわせても怯まん!」
己自身の発狂については無視する。意識がバグっていたとしたも『目の前の『卵』を破壊する』という小目的と、『この世界に生きる皆々を明日に繋ぐ』という大目的は崩れていないからだ。
ただ、『パトラ』については要所要所でかけておこう。自分が狂っていないと思っている奴ほど狂気の中にいるものだ。
攻撃ヒットでの怯みがないというのは素直に弱点ではなかったものと仮定する。クリティカルに当たっても呼吸が崩れなければギミックを探る方向で。
「お前、サマナーなら分断の足止めか、あの絶対爆発とかなんか爆弾しそうなシン・ゴジラもどきフラグと殴り合うか、どっちがいい!?」
『爆発しそうなシン・ゴジラもどき』と格好良く呼ばれた『卵』を良く見る。
『卵』の内側からは恐ろしく嫌な予感がしており、アレが孵るとすれば相当の怪物になるだろう。
己ならば『卵』ではなくBC兵器、毒ガスの類を合わせて周辺の『ベータ擬き』、『ニンゲン』や『ヒュージ』とされているエネミーの効力を最大化する方向で動かしたい。という感覚もある。
どちらにせよ、手数の多い己がボスと戦い、瞬間出力の高い周りのデビバスの皆が雑魚狩りをする。というのが戦略的に正しい。
己も他の皆も、この瞬間でなければ替えは効く。
「譲ってくれるならボスが欲しい」
一瞬、より死地に近い場所に踏み込もうとする己への遠慮の表情が見えてくる。
だが、己はこういうのに慣れている。
気負いもせず語れば、『実力に裏打ちされた発言』と受け入れて貰えるものなのだ。
この世界の戦士は『子供に戦わせたくない』と思っていても、最優先は『防衛』と『勝利』なのだから。
「あいよ、ムリならギブ言え!」
「最悪、増援来るまで粘るだけでヨシ!」
そう言って最小限の言葉で、最大限の心配をしてくれた二人のデビルバスターに、サムズアップにて返答する。
まぁ実際問題として『負けない』自信はあっても『勝てる』自信はないので、ダメそうだったら遅延戦闘重ねつつ他力本願に切り替えよう。
周囲のエネミーをデビバスの二人が追い払い作られた決戦場にて、己と『神官』&『卵』チームが向かい合う。
「観客が少ないのは寂しいですが、まあいいでしょう」
歌劇のように言葉を語る『神官』からは嘲りの目の色があり、『卵』からは
そして、『卵』の下で棒のついたマニ車を回す『奴隷』たちは己がここにいる事を気に留めず、ひたすらに自分の仕事を続けていた。
現実逃避の気があれど、地に根差した人々の営みがそのまま現れていて己はそんなに嫌いではない。
──殺すことに、変わりはないのだが。
「召喚、ニュクス、アナンタ、ネビロス」
\カカカッ/
| 夜魔 | ニュクス | LV72 |
「良き夢をここに」
\カカカッ/
| 龍王 | アナンタ | LV72 |
「暴れるときが来たかぁ」
\カカカッ/
| 堕天使 | ネビロス | LV72 |
「あ、アリスはんはどこですか……」
「いないが」
「お……おいでやす
いや……来ちゃったどす……
あ……ありっす……のんッ……アリスどすぅ~」
「ぁアリス……アリス、アリスぅ、アリス」
「アリスはぁあああああん!!!」
「俺がアリスだ!」
「違うと思うが?」
一部「お前そんなキャラだったか?」という者がいたが、というかネビロスだが、SNSでALyCE殿と煽りあっていたのを見かけて以来ネビロスはトチ狂っていた。具体的にはたまに鬱になる。
学園闘争の際に軽く挨拶した際に、『アリスニウム』? とか『アリス成分』? とかを摂取した事で、現在のアリス飢餓状態に耐えられないのだろう。
そんなことがあると、推しの動画投稿者が復活したと思ったら思想信条その他諸々が激変し「どう考えても中身が変わっているッ!」となって反転アンチと化した経験のあるスズキ殿が言っていた。
与えられてから奪われると心は死んでしまうのである。──よく使った手だ。
召喚の隙、会話の隙を晒したが動きはなし。射程距離の関係で少し近づいてくれた方が先手を取りやすかったのだが、ダメらしい。
ゆっくりと近づきながら、機を伺う。
105メートル、103メートル、101メートル……
「さあ、祈りなさい。これより旧人類の、汚らわしい大地の運命が決ま―」
射程圏内、戦闘を開始する。
己が最速で近づきながら仲魔の配置を微調整。
敵の呼吸を読み、敵の狙いを見定め、その狙いを
「先手は貰った!」
| 無終なるもの | 自分のターン開始時、敵ターン開始時、連動効果発動 |
| 1ターンの間、味方全体の攻撃力・防御力・命中回避率を1段階(20%)上昇させる。(D2出典、1段階上限) | |
―PASS
―ランダマイザ*6
―PASS
―ラスタキャンディ*7
高速で手番を回し、ニュクスの
そして、小手調べといえばコレである
―百麻痺針+9*8
放った麻痺針は、3ヒット。
燃えている気配のある『火腕』に1発、『卵』本体に1発、『奴隷』に1発だ。
『緊縛』の発生はなし。しかし銃撃は有効。
弓での攻撃が有効だったというノックデータがあったのでそう心配はしていなかったが、銃撃系、貫通系は通るらしい。
「
そして、『百麻痺針』が『卵』に深く突き刺さり、殻にがっつりとヒビを入れた。
この当たり具合ならば確実に呼吸は乱れ、己の呼吸を差し込める!
そう判断し踏み込もうとした瞬間、己の予想より1拍早く敵の行動が発生する。
「やれやれ、慈悲を乞う所作もわかりませんか」
| 慈愛の猛反撃 | 自動効果スキル 味方に物理攻撃(物理属性・銃撃属性)が行われた際、確率で大威力の反撃を行う |
| 慈愛の猛反撃 | 自動効果スキル 味方に物理攻撃(物理属性・銃撃属性)が行われた際、確率で大威力の反撃を行う |
―呼吸が乱れないッ!
熱狂による忘我か、死を確信した割り切りか、そういう印象の乱れの無さだ。
不明な現象なれど、今はそういうものと割り切って考える。
「備えておりますとも、自動排除の機構ぐらいはねぇ……ん?」
だが、この反撃はチャンスでもある。
敵の攻撃が「悪魔攻撃」属性ならば今後立ち回りを微調整する必要があるが、この悪魔かシャドウかよくわからん『ニンゲン』という敵の「通常攻撃」がどういうものかを見極められるからだ。
| スプリガンベスト | 胴防具 | 物理反射相性の胴防具。厳密には『槍』『ガン』『剣技』『突撃』『剣技』属性に50R、『剣攻』『投具』は100(無耐性) |
―REFLECTION―
『慈愛の猛反撃』の反射は成功。『悪魔攻撃』属性、『剣攻』属性ではない。
『物理』属性に丸まっているのか、『突撃』に類されがちな『打撃』属性であるようだ*9。
「レベルは高いが、貫通持たせていないのか?」
『反射できる属性だヒャッハ―!』という内心を押し隠し、ポーカーフェイスで言葉を煽る『神官』が、己の言葉に苛立ちを覚えたのを感じる。
「たまたま一発防げただけのラッキーで喜ぶ有り様には哀れみを憶えますねぇ!!」
「絶望を教えてあげましょう、
と、彼が絶望を教えてくれる前にニュクスはまだ
──さて、ここからの反撃で
──
──現実的に考えれば
──出来れば
──隠し札もあるだろうことを考えれば、
──理想を言うならば【
──勝負の天秤を己の勝利に傾けたい──
──出来るか、出来ないかで言えば可能だということを知っている ──
──あの
(勝ち切るための
──相手は格上、レベル差もある強敵に出来ないならば──
──死ぬだけだ──
「うむ、いつもどおりだな」
―無終なるもの―
アナンタの威光により、味方全体に『ラスタキャンディ』と同様の効果が発生する。
毎ターン発動する自動効果なのだけど、
「サマナーはん、これ効果延長つけたほうがよかったんちゃう? 動く前にデバフ入れてくる連中の1段階防げるで?」
「といっても御霊で詰め込みすると深層スキルが抜ける可能性がなぁ」
まず、『奴隷』たちがマニ車をぐるぐると回し出す。回転により教典を唱えるのと同様の効果を引き起こし、所属する神族に力を与える機構であるようだ。
そんなマニ車を回し始めた瞬間、『奴隷』たちは己とネビロスを注視していた。酷く歪んだ、『システムに所属しない者たちへの排他性』による怨念だ。
ニュクスとアナンタに対しての睨みは大したことがなかったので、条件は己とネビロスの共通項からと推定。
──物理反射か、物理無効以上か。そのあたりだ
──バイオレンス*10──
Skill Update!
──ギガバイオレンス*11──
「……ッ!」
敵の動きが伸びていく。
『奴隷』どもがマニ車をぶん回す速度が『
──おそらく、毎ターン開始時に『バイオレンス』を起動するのが『奴隷』の役割だ。それが毎ターン『ギガバイオレンス』に伸びるというのは、ワンチャン全滅まであるか? と警戒する。
ポーカーフェイスを保ったまま、さも『余裕だが?』という表情で。
──深淵のベール*12──
まず行われたのは、空をふよふよしている『神官』に対しての防御補助効果。見た感じ、『水の壁』などと同様の耐性付与効果だろう。
もしや、結構いろいろ弱点がある奴なのでは? と邪推するも今は置いておく。弱点がない、あるいは反射以上の相性の奴に属性防壁をかけ、防壁が抜けた後の反射を狙う戦術はそれなりにメジャーである。
『神官』がそうでないとは断言できない。
──薙ぎ払い*13──
「……ッ!」
そう考え事をしていたから、と言うのではなく。『薙ぎ払い』という物理技であれば『スプリガンベスト』の反射で返せる。という認識で踏み込んでいたところに、『卵』から伸びた2本の腕からの『薙ぎ払い』が直撃した。
──
―CRITICAL!―
―HIT!―
―HIT!―
―REFLECTION!―
だが、ネビロスの『物理反射』が作用して、敵の両腕はあらぬ方向に流され、呼吸は乱れ、己たちの呼吸を差し込めた。
【 PLAYER TURN 02】
──被弾時に怯まないが、攻撃ミスで呼吸は乱れる。
そういう条件であるならば、『防御時に発生する『セーフティ*14』のような姿勢制御補助スキル』を所持している。という仮定でやろう。
スキルによるものか、コイツら『ニンゲン』なる存在の種族特性か、あるいは結界などによる効果なのかは不明だが、原因と結果は等しくなる。
──どうでもいいが、スプリガンベストが安かった理由を思い出す。
剣による通常攻撃を防げないが、剣技なら防げるという変な耐性の防具であるから、『物理反射』としては微妙に信用できないのでは? という風評から防具を『髑髏の稽古着』などに切り替えた者から安く買ったのが己の着ている『スプリガンベスト』だった。
つまり、いつもの『仕様違い』による耐性の穴である。
いや、『薙ぎ払い』ってどう見ても技であるよな⁉︎物理剣でないのになんで剣属性として穴にブッ刺さっているのか!?せめて剣技ではないのか!?
などとこの世を儚んでみたが、戦局としてはとても良い。「アリスにビンタされたいどすなー!!」などとうそぶいているネビロスの奇行を素直に笑えるくらいに。
──物理反射の存在は、『奴隷』が見て知覚していた。
──にも関わらずの『薙ぎ払い』からの入りは、連携が取れていないこと、もしくは『卵』の『戦闘思考レベル*15』がさして高くないということを示している。
──敵の実質的な初動は『卵』であるから、薙ぎ払いを撃ち続けてくれればカモって殺せる。
毎ターン『ギガバイオレンス』からの2呼吸に4つの半呼吸はなかなかに厄介だが、呼吸の奪い合いならばどうにでもなる。
──ドーピング
──メディアラハン
2強化2弱体で火力は36%*16まで弱体している。体力に3割の補正を重ねれば、おそらく全滅はないだろう。弱体なしで喰らったら己は最悪一撃で吹き飛ぶがそれはそれ。
よってここは、臆せず攻める!
「アナンタ!」
| 氷結プレロマ | 自動効果スキル 自身の氷結属性攻撃によるダメージを25%自動上昇させる。(真4無印出典) |
| 氷結ギガプレロマ | 自動効果スキル 自身の氷結属性攻撃によるダメージを50%自動上昇させる。(真4無印出典) |
| マハブフダイン | 敵全体に氷結属性大ダメージ(真4出典) |
―Hit!
―Resist!
―Resist!
―Weak!
―Absorption!
【 ENEMY TURN 02】
こちらのメインの氷結属性に吸収あり。氷腕の耐性は見たままらしかった。
『卵』、『奴隷』は通ってこそ居るが耐性あり。『神官』は無耐性で、火腕は弱点。
「ははははははは!」
そして、アナンタがミスったことで乱れた呼吸に敵は付け込み、呼吸を奪っていく。
「愚かなり! 愚民!」
アナンタの『無終なるもの』の(無駄な)発光が始まると同時に、『奴隷』どもが棒を回す速度を加速させる。
──『ギガバイオレンス』
「来るか……ッ⁉︎」
──『マハンマ──
MAGの励起状態から、破魔属性全体攻撃と推定。己は無効のため無視して前に出て、次の攻撃に備える。
そう判断した時だった。
じっとりと、己を見つめる瞳があった。
それは、『卵』の下で棒を回している『奴隷』からのもの。
じっと己を見つめるその瞳の中に、己の姿が映っている。
ツギハギだらけの肉体もどきの表面を、人間の形の塗り固めた
「……ガッ⁉︎」
肉体が、ヒトの形を保とうとしなくなっている。
縛りつけられた精神が、自由を求めて逸脱していく。
己自身が、己自身をブチ破ろうと拡張し続けている……ッ!
「外部に通達! コイツの半径100メートルに近づくな! 『中身が塗り変わる』ぞ!」
「『
Jien:>
フジワラ!半径100mを結界で隔離指示
助っ人は火力持ちで悪魔因子耐性持ちを!
許容限界オーバーのときは己ごと吹き飛ばせ!
―自意識が拡張し、自分の価値観が変化していくのを感じる。最低限の要請を出したことで、気が緩んだらしい。
生きとし生けるすべてのものを踏み躙り、『死』に導こうとする意識が、いつもより強く己に干渉してくる。
自分自身が悪意の『
BurroughsⅡ:>
──システム『全滅マニアクス』、強制起動。
現状態を基本精神構造と再定義。
所有者の精神崩壊を以ての全システムの削除、および抹消措置の実行準備
完了いたしました。
| 全滅マニアクス | ハンターアプリ(真4F出典) ケガレに塗れ終わった魂を確実に砕き処理するための処刑機構。これにより、アプリ使用者は人間のまま終わることができる。幾度も幾度も黄泉還る、『皆殺しの救世主』のような例外を除いて |
己の精神崩壊予兆を感知してガントレットが気を効かせたアプリケーションを起動してくれる。
己の魂が砕けなくても、コイツがあれば己の死体が悪さをする事はないだろう。良いことだ。
──だが、持ち直すまでに剥がれた『偽装』を観測されたことにより、己の『人間』が剥がれてしまったようだ。
そうして『人間』が剥がれた『
| マハンマオン | 敵全体のHPを現在の20%まで減少させる。人間には効果がない |
己の中に存在する穢れが祓われ、余波で肉が削げ落ちていく。
魂の浄化ではく、穢れの除去に特化した『破魔』であるらしく、即死こそ発生しなかった。しかし、穢れと共に削られた身体はズタズタであと一撃で己は死ぬ。
──だが、ネビロスに付けておいた破魔無効が効果を発揮し、奴の呼吸は乱れた。あと2と2半呼吸
『大地の怒り*19』
そして、大地より発生したエネルギーに直撃した己の身体は、己自身のダメージ計算通り二つに折れて吹き飛んでいく
──『食いしばり*20』
そうして真っ二つに折れた肉体を気合いで整え立て直す。
次の行動は『神官』からのもの。彼我の距離は十分に離れており、今の体勢なら敵の攻撃は見てから回避できる。『獣の反応*21』と微妙に頼りないスキルであるが、知覚補助という面白い性質を持っている。
認識できても回避できない事が多いが、この距離、この体勢ならば何があろうと対応できる。
2強化2弱体に『獣の反応』からの回避クソゲーを舐めるなよ……ッ!
「やはり愚か」
──デクンダ*22
プレスアイコン:うう
「息汚くて見苦しい。まるで地下のモグラのようです。だが、これで! さようならです!」
『薙ぎ払い』
『卵』から伸びる2本の腕から、2回の薙ぎ払いが放たれる。
最初に放たれた時より、1回目と2回目の間隔が長い。これは、『死体にする』一撃と、『死体を砕く』一撃に分けての攻撃だ。
やはり、格下を殺し慣れている。
「ネビロス!」
「わてのアリスになっておくれやすぅぅぅぅう!」
―REFLECTION!―
前の己のターン、
「サマナーはんはアリスになれると思うんや!」
「なりたいと思って簡単になれるものではないぞ!」
【 PLAYER TURN 03】
ネビロスにとっての『アリス』とは、『愛しき少女』とか、『永遠の善きもの』とかそういう意味だ。
女装でもしろということか?
アナンタの『無終なるもの』が(意味なく)発動し目眩しとなっている隙に、思考を整理。
──敵の耐性だけを考えると、物理で攻めるのが上作に思える。
『慈愛の猛反撃』による反撃があるが、無効耐性持ち以上で攻撃すれば問題はない。
だが、己の手持ちの物理役といえば『ゴグマゴグ』だ。物理無効なので問題はないのだが、スキル外特性、所謂『ユニークスキル』が判明したことでスキル構築をそっちに寄せている。寄せてしまっている。
そんなゴグマゴグを使った戦法については皆から
「その……馬鹿なの?」
「ジエン、流石に貴方でも死ぬかと」
「お前自身の性質を強みにしたいと思うのは良いが、流石に不味いだろう」
「当たらなければどうと言う事はない。などと言われるが往々にして攻撃は当たるものだ。考え直せ」
などと散々な言われようだし、己も割とそう思う。
──PASS
──ランダマイザ
──PASS
──ラスタキャンディ
──テトラジャストーン*23
──メディアラハン
これで、弱体1段階、強化3段階。破魔呪殺無効結界を張ったことで、『マハンマダイン』からの即死コンボは対処。
また、敵の『デクンダ』の条件を探るため弱体を1段階に抑える。1段階時点で確率使用であったなら、攻撃の手が緩むのでお得である。
「不愉快です。ひたすら耐え忍んだ先になら、貴方たちにも未来があるとでも?」
──『ギガバイオレンス』
──『大地の怒り』
──『大地の怒り』
「アリス以外からのツン行動とかお断りやぁ!」
「──現実を見せて差し上げましょう」
| 天啓 | 自身の攻撃力を強化段階+2まで上昇させ、ニヤリ状態を付与する。 真4F |
殺気が跳ね上がる。
『神官』の顔に、嘲笑の色が濃い笑みが浮かび、その魂が高揚していく。
『神官』からの火力が80%から140%になったことで被ダメージは1.75倍。敵の残り
だが、耐えられるのならばこの戦いは『負けないため』でなく『勝つため』の戦いに切り替えられる!
──最小ターンで計算するというのは失敗したが、それはあいつが攻撃反射されまくるからだ。うん。そういうことにしておこう。
「さぁ、来い!」
死地を前に笑う己を見て、仲魔たちも不敵に笑みを溢す。
| 廃忘の粉塵 | 敵単体に万能属性で『忘却』を付与する |
『卵』が攻撃行動ではなく、バステ付与を繰り出してくる。対象は己。
知らないスキルだが、己の『運』は高い。
素受けは分の悪い賭けではない!
──PROTECTION──
え、何その耐性知らん。
「──計算通りッ!」
「忌々しい愚民がぁ!」
完全初見のバステに対して無効耐性持っていたという上振れがあれど、バステ喰らわず駆け抜ける事自体は計算通りだから良いのだ。うん。
『卵』の振りまいた『忘却』を引き起こす毒煙を前方に走り抜ける事で突破し、奴の攻め手が緩んだ際に即反撃を撃てる陣形を組み上げる。
そうして、怒りと嘲笑の混じった君の悪い笑みと
| 天上の裁き | 敵全体に銃撃属性特大ダメージ 命中時全能力1段階低下 |
ニヤリ状態特有の『知覚の全能感*26』から放たれる銃撃の狙いは正確で、回避することは不可能だ。
──REFLECTION
だが、『
【 PLAYER TURN 04】
「……ッ!」
「最高打点連打でもドーピング込みなら耐えられる! 30%は伊達ではないなぁ!」
両腕が吹っ飛んでいるニュクスと、3つ首の2つにドデカい穴が開いているアナンタ。そして、腹に4つ穴が開いたネビロスなど、惨状といって過言ではない。
だが、敵の最高打点連打でも、乱数で生き残れる!
「勝てる相手だぞ! 気張れ!」
──デカジャの石*27
──ランダマイザ
──PASS
──ラスタキャンディ
──メディアラハン
「手も足も出ていない現状を認識できてすらいない! 見苦しいんですよ、
──ギガバイオレンス
『奴隷』たちが、マニ車を回していく。
怒りと共に、『卵』に力が集約していく。
「その『卵』の力は強力だ。だが、貴様らの中で1番最初に動き出すソイツは!」
「いたずらに、力を振り回しているだけだ!」
──『薙ぎ払い』
──REFLECTION
【 PLAYER TURN 05】
「プルシャ! 何をしている!」
動揺した『神官』の声が、スローに聞こえてくる。
ガントレットを通じて、仲魔たちに行動指示。待っていた敵の行動の下振れが来た。
己が最速でPASSした先のニュクスが展開するのは、『マカカジャ*28』
己たちの使っていた『ラスタキャンディ』は、攻撃、防御、命中回避だけでなく、魔法攻撃力を魔法攻撃力として上昇させる効果をもつ。
そこに『ニュクス』に仕込んだ、最大4段階、一段階威力25%上昇の『マカカジャ』を入れると、3段階強化160%の威力を、一気に200%の威力にまで跳ね上げることができる。
所謂、『カジャの乗り換え』という奴だ。
まぁ他の方式だと250%威力上昇になったりするのだが、『夜魔ニュクス』と噛み合う補助*29で手元にあったがこれだったのだ。仕方なし仕方なし
そして、御霊合体で仕込んだスキルは、ニュクスのコレだけではない!
「ニュクスはん!」
| 氷結ガードキル | 3ターン(3行動を起こすまで)の間、敵全体の氷結属性耐性を無効化する P5出典 |
「よくやったネビロス!ぶちかませ、ニュクス!」
「ええ、安らかな死を与えましょう」
| マハブフダイン | 敵全体に氷結属性大ダメージを与え、確率で凍結を付与する 真3出典 |
氷の波が地面を伝い、『奴隷』たちと、『卵』と、そこから生える2本の腕を凍てつかせ、その上空に座する『神官』に届こうとしたその時
「実に愚かしいですね、地を這うドブネズミが、天上に住まう私たちに手が届くなどと考えるとは!」
―MISS―
攻撃を見てから、ひらりと宙を舞い回避した。
こちらの命中率は3段階強化、敵は1段階弱体化。そんな中でのあの攻撃の回避のパターンは間違いなく知覚の強化。回避率の強化によるものだ!
「コイツ、そういうタイプのクソゲーか!」
よーいどんで戦えたなら、己はコイツを殺せるだろう。
20分あれば、自分の命、自分の人間性を保ったままで問題なく。
―ガントレットがアラートを鳴らす。
『
実のところ、交戦開始から250秒*30しか猶予はなかったらしい。
空を舞う『神官』、物理に反撃かましてくる2本の腕、中に何を隠しているのか知れたものでない『卵』。いずれも、レベル相応のボスとしての耐久を備えている。
そんな相手を残り200秒で始末しなくてはならないこの状況まで考え―
「やれる相手だな」
己はそう、判断していた。
あとがき!
月一更新だとか言っているのに、半月投稿遅れて申し訳ない……
お題がよかったので、つい黒閃を狙おうとしてぐだぐだしてしまったのです……
なお、今回の話に限らず、今作品と本スレ様はパラレルワールドですので、細かくない描写の違いは無視していただけると幸いです
・ジエンくん
ボロボロと人間が剥がれ落ちているケガレビト。
悪魔因子の活性化による暴走の経験が豊富であるため、感染空間にて自我を保ち続けることができている。
悪魔の力で暴走した方が弱くなる悲しい生物だったばっかりに奇妙な方向性にスキルツリーが伸びている回生物である。
・前半の二人のデビルバスター
ジエンくんの境遇の箇条書きマジックを示しつつ、デビバスたちにもいろんなスタンスあるよなーと示したくて配役した二人。
Law気味の人とCHAOS気味の人で現状の見方が違っており、『どんな力を持っていたとしてもそれは戦わなくてはならない理由にはならない』と『戦える奴は全員前に出ろ、総力戦だ!』は交わることは決してない。
けれど折り合いをつけて並び立つことはできる。そういうイメージでした。
―なお、どんな人格者でも信条を持っていても事故ったら死にます。
特に関係のない宣伝です。
現在、Amazon Prime Video にて、映画『トラペジウム』が絶賛配信中となっています。
ルルーシュに似てるタイプのアイドル志望『東ゆう』と東西南北の4つの高校から集まった美少女たちが描く青春ストーリー
最高におすすめですので、メンタルに余裕があるときに是非ご覧ください!