音速の妹のヒーローアカデミア   作:えきねこ

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ソニックとヒロアカのクロスオーバー中々ねぇなぁ→自分で書いたろ!
そんな紙よりも軽いノリで一年くらい書き溜めてました。色々忙しくて投稿してなかったけど。

「これどっかで見たぞ」みたいなとこがあっても優しくスルーしていただけると幸いです。丸コピはない、はず。

あと大前提として、この作品のソニックたちはケモミミ人間の姿です。


序章 Magician of the wind
プロローグ


 ──────―光が眩しくてたまらなかったことは、今でもはっきり覚えている。

 

 まるで、この世のものではないみたいな光景を、揺蕩う微睡みの中で記憶にないはずの記憶を夢として見た。

 

 ただひたすらに、辛いだけの夢。

 

 目が覚めれば何を見たのかも忘れてしまうが、それだけは覚えていた。

 

 実際に何かをされたわけではないはずなのに、

 

 

 

 

 身を切り裂く痛みが、

 

 

 

 

 

 心なき言葉の刃を刺された悲しみが、

 

 

 

 

 

 深い深い、底の見えぬ絶望が、

 

 

 

 

 

 実際に体験したことのように身体を巡った。

 

 

 

 

 それが本当に忘れ去った記憶だったとしても、それを確認する術なんかない。確認をしたいとも思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの頃からか、頭に響いてくる声がある。

 

 

 

 ────────ねえ、■■■■■。あなたが、あなただけが希望だったの。

 

 二度と踏むことはない大地を踏みしめることができるであろう、唯一の希望。

 

《くるしい………………》

 

 私達の想いを背負ってくれる唯一の存在。

 

《いたい………………》

 

 怒りも恨みも悲しみも……全部、なかったことにできたらいいのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 せめて、あなただけでも──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まるで、ハウリングのように何度も響く声に耳を傾けても、何一つ分かることなんてなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 やがて身を焦がす怒りに呑まれて、何も考えられなくなって、もうどうでもいいやって全て投げ出してしまえばどれほど楽だったのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 唄を紡いで、退けて、心が壊れてしまったとしても、

 

 

 

 

 

 

 

 自分という存在が、この場所に残るのであれば。

 

 

 

 

 

 

 

 それはどれだけ、幸福なことなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事の始まりは中国のある病院にて。発光する赤子が誕生したというニュースだった。

 

 その後、各地で超常は発見され、原因も判然としないまま時は流れていく。

 

 世界総人口の約8割が、何らかの特異体質、“個性”を持つ超人社会となった現代。混乱渦巻く世の中で、かつて誰もが空想し憧れた、一つの職業が脚光を浴びていた。

 

 世のため人のため、正義のために己が“個性”を使う正義のヒーロー。かつての混乱の世の中で希望の光となったヒーローは、たちまち市民権を獲得し、世界各地で公的職務に定められる。

 

 しかし、ヒーローでなくとも戦う者たちは存在する。

 

 彼らは正義を堂々と掲げているわけでもなければ、ヒーローと名乗っている訳でもない。

 

 そこにあるのは、ある宿敵との因縁とある種のライバル意識にスリルを求める欲求、そして古来より一族守ってきたものを守るという使命感。

 

 そこに多少の正義感こそあれど、ヒーロー精神なんぞは存在しなかった。

 

 

 

 

 

 

 さて、この物語はそんな完成したように見せかけて、破綻した世界の物語。

 

 世のため人のため、その裏に隠れた欲を満たすため、そのために自身であることも棄て去った壊れた英雄が蔓延る世界の物語。

 

 普遍から外れて、普通であることを求められ、世界に敵対する道を選んだ愚かな敵が、壊れた英雄から身を隠し、静かに息をひそめる世界の物語。

 

 英雄でも敵でもなく、ただただ自分のしたいがために行動をする、ある意味の健常者たちが根付く世界の物語。

 

 そして……………………

 

 

 

 

 

 そんな世界にあって、世界を選び取ることを宿命付けられた、運命を仕組まれた狂った子供たちの物語。

 その序章。

 

 

 

 もし、こんな奇劇をお望みでないのなら、目を逸して別の所に行けばいい。私にそれを止める術はない。

 

 

 だけど……もし、この物語を見届けたいのであれば、この破綻した世界の結末を、知りたいのであれば。

 

 

 

 

 

 ……どんな結末が待っていようとも、後悔だけはしないでくれよ? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは欧州のある一国、ラフリオンにあるグリーンヒル。自然豊かなこの場所を、一陣の青い風が駆け抜けた。

 

 その風は、何かに導かれてか、はたまた偶然か。電池が切れたかのように地面に倒れ伏して眠るボロボロな身なりの子供を見つけた。

 

「……Hey,生きてるか? 息は……一応、してるな」

 

 その風は、少年だった。青い髪は毛先の方がハリネズミの針のように尖っており、青ベースのラフなパーカーとショートズボン、白い手袋と赤い靴を身に着けた、ハリネズミの耳と尻尾を持つ緑の瞳の少年。

 

 少年は少し考えた後、ボロボロな子供を抱えると、先程よりは遅いスピードで駆け抜けていった。

 

 

 

 

 

 子供が目を覚ますと、そこはふかふかなベッドの上だった。そのことに驚いて飛び起きようとしたが、身体は動かなかった。代わりに、軋むような痛みが身体を襲う。

 

 ここに至るまでの経緯を思い出そうとして、子供はある違和感を覚えた。

 

 ……何も、思い出せない。

 

 何かが、あって、光に飛び込んだことまでは覚えている。だけど、その前も、先も、何も分からない。

 

 自分が何者なのかすら、分からない。

 

 子供がその事実に気付いたその時、ガチャリ、という音がした。

 

「気付いたか?」

 

 子供が声のした方へ目を向けると、そこには青い髪の少年が居た。白い手袋に包まれたその手にヨーグルトの入ったサラダボウルを持ち、子供の方へと歩み寄ってくる。

 

「驚いたぜ。お前、道端で倒れていたんだ。ヨーグルト、食べるか?」

「……うん」

 

 子供はおどおどと頷く。少年はヨーグルトをスプーンで掬って子供の口に運んだ。子供はその行動に驚く。

 

「……ぇ」

「ん? だってその怪我じゃ食べられないだろ?」

 

 確かに、仰る通りだ。子供は指一つ動かせる状態ではない。よく身体を見ると、身体中に包帯が巻かれていた。

 

「……ああ、包帯を巻いたはオレの知り合いだ。オレがやるのは、ちょっと問題があるだろ?」

「……ぅ、ん」

「ほら、怪我してるんだからまずは食べろ!」

 

 少年はそう言うと、残りのヨーグルトを子供に食べさせた。はちみつの入ったヨーグルトは甘く、優しい味わいだった。

 

「……おい、しい」

「Thanks! ヨーグルトに少しはちみつを混ぜてみたんだ。食べやすいだろ?」

 

 子供がヨーグルトを食べ終えると、少年は容器をテーブルの上に置き、子供の寝そべっているベッドに腰掛け、子供の口に水の入ったコップを近付けた。

 

「少しでも飲んでおけよ」

 

 少年の声になんとなく安心感を覚えた子供は、大人しく近付けられたコップに口を付けて水を飲んだ。

 

「オレはソニック。ソニック・ザ・ヘッジホッグだ」

「そに……っく?」

「ああ。お前は?」

「………………」

 

 何も、分からない。何かを言おうとしても、口が音を発することはなかった。少年、ソニックはそれを察したのか、サイドテーブルから何かを掴み、子供にそれを差し出した。

 

「それ、は?」

「ああ、お前が持ってた物だ。ベッドに寝かした時にお前が着ていた服のポケットから落ちてきた。ちなみに、服はエミー……お前に包帯を巻いてくれた知り合いが洗濯してる。その服もそいつの物だ。後でお礼を言っておけよ」

 

 ソニックの言葉に耳を傾けながら、子供はソニックが差し出してきたものを凝視した。

 

 それは、青いひし形のきれいなペンダントだった。

 

 子供には見覚えのないものだ。分からないという意思を込めて首を振るが、ソニックはペンダントを子供の首にかけた。

 

「オレが持ってるよりはお前が持ってる方がいい気がするんだ」

 

 そんなことを言われてしまえば、子供は押し黙るしかない。大人しくペンダントをかけてもらうことにした。

 

「んー、お前、本当に何も覚えてないのか?」

「うん……」

「名前も、どこに住んでたとかも?」

「何も、分からない」

「そうか……」

 

 一般に、記憶喪失と言われる状態だろう。自分が何者で、どこに住んでいたのか、何があったのかなど、子供にはそれら全ての記憶が存在していなかった。

 

 悲しいとも思わなかった。悲しいと思うだけの思い出もないから。

 

「でも、呼び名がないと不便だよな……」

 

 ソニックはうーんと考える素振りを見せる。そして、少しした後、子供の頭を優しく撫でて、言った。

 

「アンジェラ……なんて、どうだ?」

「あん……じぇら……?」

「ああ。お前の髪の空色とか、目の金色が、童話に出てくる天使みたいに見えたんだ。どうだ? 気に入らないなら他のにするか?」

「アン、ジェラ…………」

 

 子供の中に、ソニックに与えられた名前がストン、と落ちてきた。名前すら記憶にない子供に、新しい名前が与えられた。子供は心の中で与えられた名前を何度も復唱する。心に刻みつけて、もう二度と、忘れないように。

 

「アンジェラ……うん、気に入った。ありがとう」

「You're welcome!」

 

 新しい名前を与えられた子供……アンジェラは、精一杯喜びを表現しようと、月のような笑みを浮かべた。

 

 

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